侑「そういえばさ、いまは米内Pはちゃんと働いてるの?」
米内P「え、いまは歌い手だよ。最近は再生数はそこそこだけど…」
たしかにね、動画投稿者はそこそこお金がもらえると聞いたよ。でもそれはあくまで、再生数の多い動画の話だよね。それに…。
侑「この家の生活費は、お兄さんとおじさんが稼いでいるんでしょ。ボカロやVtuber相手にして」
最近はそういう話を書いてないけど、あの二人はちゃんとした事務所に所属してプロデュース業などを行っているんだ。まあもっともあの二人もそれなりに問題を起こすのだが…。
侑「ひとつ提案があるんだけど、バイトしてみない?ヒマならさ」
米内P「え、いやだよ。動画の撮影で忙しいもん」
うわ、即答!まあこうもはっきりと断われるとは…、まあこういうことは言いたくないけど。
侑「歩夢がさ、言ってたんだよ。「パパやママのためにがんばってる男の子って、かっこいいな」って」
米内P「よしやろう」
大体の男は美少女のセリフで男は動くんだよ。そんなわけで私は彼を働かせることに成功した。
さて、そもそも事の発端は友達のバイト先がデリバリーシステムを開始したからだ。それで人手が足りないということで、私はちょうどヒマそうにしている彼を連れてきた。そしてここがその友達のバイト先だ。
「いらっしゃい、私は看板娘のエマ・ヴェルデだよ」
顔はめパネルに顔をはめて身動きできない状態でいる、文字通りの看板娘。これでバイト代がもらえるからかなり重要(?)な役割なんだろうなぁ。
米内P「友達ってエマさんだったの!?それでオレがやることって何かな!?」 サッ
エマ「(まだ警戒してるし…)キミにはデリバリーをやってもらうよ」
「デリバリーシステム」、みんなも街中で見たことないかな?自転車に乗って届けるあれだよ。
エマ「ライバル店の売り上げが急に伸びてね、ドナルドのお店なんだけど…。それで何か対抗できないかって話になって、いま流行のデリバリーをやろうってことになったの」
プルルルルル
エマ「はい、分かりました♪」
侑「なんの電話だったの?」
エマ「えっと、ナポリタン3人前。場所はライブハウスの「STARRY」ってお店なんだけど…」
米内P「えっ…」
そりゃこんな反応するよね。あそこは恐そうなお姉さんが3人もいるライブハウス。生きて帰れる保証は………、あるんだろうけどさ。それでも待たせるわけにはいかないから。
米内P「ていうか、オレが行くんですか!あんな怪獣無法地帯に!それこそエマさんか侑さんが…」
エマ「私は看板娘で忙しいから。ていうかお客さんを怪獣呼ばわりしちゃダメだよ」
侑「とにかく行ってきなさい!」
米内P「は、はい!」
大丈夫かな、一応ついていくことにした。そして特にこれといってハプニングがあるわけでもなく、彼は無事に到着した。そして私も店の中に入っていくと…。
米内P「え、えっと…。ナポリタン3人分です……」
星歌「どうも…」
PAさん「はい、これ代金です」
きくり「え〜、こんな子供働かせてるの?やばくない、ガハハ!」
うわぁ、ウワサ以上に恐そうなデカい女三人組だよ。目つきの悪い金髪のお姉さんに、ブカブカの上着のお姉さん、それに酔っぱらいまでいる。ほんとは出てきたら彼のためにならないんだけど…。
侑「た、食べないでください!」
星歌「食べなきゃ失礼だろ!!」
「失礼だろ」って……、実は律儀でいい人だったりするのかな。
きくり「え、なに、キミ?お皿でも片付けにきたの?」
侑「いえ、私は彼のバイト先を紹介した者です。それより彼に何かしませんでした?」
きくり「えー、何もしてないよー」
星歌「あ〜、あたしらこういう見た目しているからさ。よく危ないやつだって間違われるんだ」
あ、私たちはどうやら誤解していたようだ。口調や外見はアレだけど、根はいい人のようだ。
きくり「ところでさ、キミらこの後時間ある?ライブイベントがあるんだけど…」
米内P「いやでも、お店に戻らないと…」
きくり「今日はこの金髪のお姉さんがチケット代を払ってくれるからさ」
星歌「おい」
米内P「え、いいの!それじゃ観ます!」
侑「今後のスクールアイドル活動のためにも観てみようかな」
喜多ちゃん「毎日ひとり呪っていくよ!」
いま世間で話題になっている「結束バンド」をはじめ、多くのアーティストが会場を盛り上げてくれた。もう時間も忘れるぐらいに。そして、いまバイト中だということも忘れるぐらい………。
エマ「ふたりとも遅いなぁ。何やってるんだろう」
エマ「店長、バイトの彼の様子を見に行ってきますね」
ガッタンガッタン
店長(その格好のままで行くの!?)