「あいつ、今ごろどうしてるかなぁ」
私は桐間 紗路(きりま しゃろ)。シャロって呼んでね。知り合いのアイドルが移籍してもう数ヶ月が経つけど、あいつ元気でやってるかなぁ。
「もう〜、激おこぷんぷん丸なんだからぁ〜!!」
な、なんなの!?お隣の幼馴染が働いてる喫茶店で何かトラブルがあったみたい。ちょっと様子を見てくるか。
シャロ「何があったの!?」
「シャロちゃん、このお客さんたちが私が考えたメニュー名を理解してくれないの!」
この子が宇治松 千夜(うじまつ ちや)。私の幼馴染でちょっと抜けたところがあるけるどかなりの頑張り屋さん。そんな千夜が相手しているお客さんというのが…。
内匠P「いやだって、分かりづらいもん」
米内P「虫料理とか出してくるんじゃないかって」
な、どんな疑い持ってるのよ!?まあ気持ちはわかる。だって…。
「漆黒の夜空に浮かぶ月」
内匠P「月見うどんだろ?」
千夜「あんみつよ!」
「エメラルドに煌めく海」
米内P「イモムシ料理でしょ?」
千夜「お抹茶なんだから!」
「世の真理をその身に秘めしもの」
シャロ「わかった、あれでしょ。パイ包みなんとか!」
千夜「ようかんだから!」
と、こんな風にわざわざわかりづらいメニュー名にする。普通に書いた方がいいのに…。
シャロ「なんだかごめんね。この子に直せって言ってもずっとこのままなんだから」
米内P「きっと彼女は高級レストランみたいにおしゃれなメニュー名にしたいんだと思いますよ。オレはそう思う」
千夜「そうなのかしら?」
なんで考えた本人が疑問に思ってるのよ!まあこのまま進めてもね、オチが無いお話になっちゃうからさ。私の知り合いの知り合いを連れてくることにした。
シャロ「もしもしすぐ来てくれる?場所は…」
しばらくして…。
「こんな店まで呼んできてなんのつもりよ、シャロ!」
シャロ「わざわざありがとうね、ヨハネ」
この子はヨハネ。本名は津島 善子(つしま よしこ)。昔ちょっと痛い子で有名だったスクールアイドルの女の子。
ヨハネ「で、客と店員がトラブル起こしたからあたしになんとかしてほしいと…」
シャロ「だいたいそんな感じだよ」
内匠P「あれ、きみ確か、地雷ちゃん?」
え、このお兄さん、ヨハネと知り合いだったの?
ヨハネ「いや、あんたたちと会うの初めてなんだけど?」
米内P「違うんですか?283プロの、ピンクの上着着ている…」
ヨハネ「え、ああ冬優子のこと言ってるんでしょ。あいつとあたしよく似てるって言われてるのよ」
え、ああ、確かにね。スタイルの良さとか吊り上がった目とか。いやそんなことよりも解決してもらいたい問題があるんだけど。
米内P「今回の騒動の原因は、このわかりづらいメニュー名」
千夜「この男の子、イモムシ料理なんて言うのよ!失礼しちゃうわ!」
ヨハネ「いや失礼も何も、その長ったらしいメニュー名の後ろにかっこして抹茶とか書き加えればいいじゃん」
・漆黒の夜空に浮かぶ月(あんみつ)
・エメラルドに煌めく海(抹茶)
・世の真理をその身に秘めしもの(ようかん)
ヨハネ「こんな感じで」
千夜「確かにわかりやすいわ。でも私の努力が水の泡になっちゃう」
そこは努力して考えてたのね。いいアイデアだけど千夜が納得いってないようだから他の案も必要になるけど…。
ヨハネ「ようするにあんたメニュー名はそのままにしたいんでしょ?だったら他の場所を変えるべきよ」
千夜「ど、どのあたり?」
そして一ヶ月後、千夜の喫茶店「甘兎庵(あまうさあん)」はリニューアルした。私のマイホーム(という名のボロ小屋)も取り壊され店も大きくなった。そして…。
千夜「いらっしゃいませ!堕天系和風喫茶「甘兎庵」へようこそ!」
「ルイージマンション」みたいないかにもお化け屋敷みたいな外観へと生まれ変わった。いや確かに中二的なネーミングにはピッタリだけどさ…。
ヨハネ「フッ、メニュー名にふさわしい内装と外観にしたんだから。これなら誰からも文句はないんだから」
シャロ「いや納得いってるのあんただけなんだから!さらにややこしくなったじゃないの!」
シャロ「私の知り合いは、中二系ゴスロリアイドルの蘭子ちゃん。あの中年のおじさんが担当プロデューサーだったって聞いているけど…」
米内P「あ、蘭子さんの知り合いだったんですね!」
内匠P「どうりで声が似てるなって思ったよ!」