私、小宮 果穂(こみや かほ)にはちょっと変わった友達がいます。
ガシャガシャ
「おはよう、果穂ちゃん」
果穂「おはようございます!」
私と同じ小学校に通うこの男の子、名前は聖 命蓮(ひじり みょうれん)。お寺の息子だからかお坊さんのような格好で、手には錫杖(しゃくじょう)という杖を持ち、頭に傘を被って登校してきます。
命蓮「確かアイドルだっけ、大変じゃないの?学校もあるのに」
果穂「大変かもしれないですけど、それでも楽しいです!」
私と同じぐらい体が大きくて、体格もよくて、誰にでも優しく接して、お母さん譲りの茶髪、おまけに顔もそこそこイケメンだからクラスでも人気が高い。
そんな彼なんですけどある日のこた。ボーとした状態に、いわゆる上の空状態になっていました。ちょっと話しかけてみます。
果穂「どうしたんですか?命蓮くん」
命蓮「あぁ、果穂ちゃん。実はね…」
果穂「え〜!?好きな子ができた!?」
マジですか!?そういう男の子にちょっかい……、いやいや恋を応援したくなるようなものですけど。
果穂「相手はどなた?」
命蓮「隣のクラスの子。ボクよりも背が低くて、いつも白のワンピースで登校してる」
ま、またすごい格好の子ですね…。でも彼は小柄でキュートな女の子が好みだとわかりました。何が嫌いかよりも、何が好きかで自分を語った。それだけでも立派ですよ。
果穂「そうですね!だから私に力になってほしいと!」
命蓮「えっ、いや、きみはアイドルって言っても…。恋愛ソングとか専門外だろ」
さらっと失礼なこと言うんだな!私はそういうイメージはないですけど恋愛ぐらい知ってますよ!
果穂「これでも私、恋愛経験はあるんですよ!」
命蓮「えっ!?マジで!?」
果穂「ラブコメ漫画とか読んだから!」
命蓮「あぁ、やっぱりそういう感じ」
まあ色々期待させちゃってごめんね。でも恋愛のいろはについては理解していますから!
果穂「命蓮くんはそこそこ顔がかっこいいし体格もいいですから、壁ドンとか抱きしめたりしたら絶対その子は胸キュンします!」
命蓮「胸キュンって…。まあとりあえずボクなりにやってみるよ」
そして夕方ぐらい、私が河川敷近くを歩いていると…。
果穂「いやぁ、うまくいってくれるといいんだけどなぁ。ってあれぇ!?命蓮くん!?」
そこにいたのは、上着を脱いで右の拳を突き上げながら立っている命蓮くんでした。何があったんだろう…。
果穂「命蓮くん!?どうして上半身裸になってるんですか!?カゼひいちゃいます!」
命蓮「果穂ちゃん、いまのボクは例のあの子に振られて悔いの無い状態なんだ」
そういうのは人生最後にやるものじゃないのかと言いたいですが、この場面ではどう振られたのかを聞くのが正しいでしょう。
果穂「どうして振られたんですか?」
命蓮「いや実はね、ボクはストレートに「好きだ!」と言ったんだ。そしたらその子なんて言ったと思う?」
「私、背が高くてスタイルがよくてイケメンの女の人がタイプなの!男の子は無理!それじゃあね!!」
命蓮「という感じなんだ」
果穂「いわゆる「百合っ子」ってやつだったんですね、その子は。具体的に言うと、うちの咲耶さんとかがタイプなのかな…」
昔から「星の数ほど女はいる」といいます。ちょっとやそっとじゃその好きだった女の子以上に魅力的な子なんて現れないと思いますけど、それでも諦めなければいつかきっと出会えるはずです!
果穂「まぁもっとも、好きな男のタイプも星の数ほどあるんでしょうけど…」
命蓮「ところで果穂ちゃん。サブタイのときから思ったけど、どうしてボクが「最大のともだち」なの?」
果穂「クラスでも私と同じぐらい体格がいいからです!お母さんと同じぐらい力自慢ですからね、命蓮くんは!」
命蓮「お、お母さん?」
果穂「えっ、お寺の住職さんでしょ?あの茶髪の女の人…」
命蓮「あの人はボクの姉さんだよ。優しくて包容力があるから、よく母親と間違われるんだ。そしてボクは母親似の息子と間違われるんだ」
果穂「えっ!?」