幻想郷に喫茶店を~東方喫茶亭   作:お茶会おじさん

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幻想郷に新しく喫茶店ができた。年齢不詳、職業不詳の店主と、振り回される普通の人(本人視点)が、幻想の住民にお菓子を出す話。

勝手に自分の作品の要素を盛り込むこともあるかもしれませんがご容赦ください。

作者自身二次創作に慣れていないので、温かい目で見ていただけると幸いです。


幻想郷に喫茶店を。

 アグネテ・イープノスは冷たい窓ガラスに息をそっと吹きかけ、その白さが薄れるまでじっと、窓に映った自分の姿を眺めていた。窓の濁りが消え、遠くの木に見える少なくなった秋の葉が目に映る。『幻想郷』という未知のの世界にも四季があるのだろうか、と不思議に考える。まさに日本の原風景を凝縮したような世界に突然連れてこられたアグネテはその事実に頭をもたげて考え込む。ガラスのくもりが取れてきたころにまた息を吐き、白色が枯れかけた茶色に変わるのを待つ。

 

 それを何度か繰り返しているうちに、窓に映ったカウンターからここの店主が出てきた。

「イープノスさん、何をしているんですか?今日はまだ準備といいましたが、明日からお客さんは来るんですよ。」

「ああ、うん。分かってるよ。」

 正直アグネテは、ここにいたいわけではなかった。ちょうど一週間前、突然父親から、「蓑神のところに行って働いてこい」と言われたのだ。それまで名前すら聞かなかった人物とどう働けというのか。しかしそんなことを考えている間に、一週間なんてすぐに去ってしまって自分の思考だけが取り残されているような不思議な感覚に陥るのだった。

 ここに来たばかりのことは、海外旅行にでも行ったような気分だった。着いた初日に出会った『八雲 紫』という名前の綺麗な金髪と、妖艶な雰囲気を放つ、紫を基調とした服の女性や、それに仕えているという九尾の狐、『八雲 藍』たちに圧倒され、魅了されていた。新鮮な世界に胸が高鳴っていた。

 

 

 この店の店主である蓑神という男は、何度かこの幻想郷に来たことがあるらしく、古い友人の伝手を頼り、店を開くことにしたのだという。

 今日の朝にその友人がそろそろここに来るだろう、と言っていたがどんな人物なのか。どうせろくでもない変人に決まってる。

 

 そう考えているうちに、森の中から人らしき何かが向かってくるのが見えた。近づいて来るたびに姿をはっきりと捉え、その雰囲気にのまれる……。その人は、背中にしめ縄でできた大きな輪っかを背負っている紫髪の女性だった。

 

 

「へ、変人だ...!」予想が見事に当たってしまった。願わくば、別のところに行ってくれないかと思ったが、祈りは通じず、まっすぐこちらに向かってきていた。

 

「ち、千歳さん!変な人が来てますよ!」

「ん?ああ、やっと来たみたいだね。」

 

 扉は小さな鈴の音を綺麗にならして開かれた。

 

「お久しぶり。元気?」

 そう言って、その女の人は右手を差し出した。

 

「うん、神奈子さん。おかげさまで念願の店も開けていい感じだよ。」千歳も右手を差し出し、握手をした。

 

 イープノスは店主を不思議な気分で見ていた。

 こんなやつでも礼儀を持っているのか、という感情であった。……思えば出会ってからここまで、大した自己紹介もなく、かつ目的も告げられないまま来たのだから当たり前だ。

 

 蓑神 千歳、年齢不詳。少し古い感じの甚平を着ていて、常に銀色のアタッシュケースを持っている。中に何がはいっているのかは知らない。もちあげるときの動作から、重そうには見えない。

 左腕に銀製の腕輪を着けている。色白で、髪色は若々しさを感じさせるかどうかの境の黒色。身長は恐らく175cmほど。見た目だけで判断すれば30代。独身。あと、父から聞いたところによると、まだ童貞らしい。その気がないタイプなのかもしれない。そんなことを知っても何の得にもならないが。付け足して言えば彼が淹れるコーヒーや紅茶はパックで作るよりもかなりおいしい。あとスイーツも。

 

 ざっと紹介すればこんなところだろう。私のことはまた今度。

 

 千歳が神奈子にコーヒーを入れ始めたのを横目に見ながら、私は神奈子さんを観察し始めた。正直、今までに見たことがないタイプの人間だ。しめ縄を背中に背負ってるなんて、神社のコスプレでもしてるんだろうか。もしかしたらそういう仕事なのかもしれない。コスプレで地域(神社)を盛り上げる、みたいな。正直に言って、自分はあまり信心深い人間ではない。よくわからない神様より、家族や友人のほうが信じやすいし、実際に信じておいてメリットがあるのは人間のほうだからね。

 

 そんなことを考えていると、千歳から声をかけられた。

 

「イープノスさんはどこか行きたいところあるかい?」

 

 どうやら明日の開店まで暇だからどこかに行こうという話になっているらしい。気づくと神奈子さんはもうコーヒーを飲み終わっていた。それにしても、土地勘のない人間にそういうことを言われても困るんだけど。

 

「いえ、どこでもいいです」

「じゃあ、この神奈子さんの神社に行ってみないか?」

 やっぱりこの人そういう感じの仕事の人だったのか。案外巫女なのかもしれない。

 

「私の家の周りには、きっと外から来た君から見ても綺麗だと思う場所がたくさんあるぞ」

「そうですか神奈子さん。じゃあ行きます。」

 こういう時は素直になったほうがいい。初対面の人ならなおさら。まぁ、視力はいいほうだし綺麗なものは好きだ。

 

 こうして神社に向かうことになった。

 

 

 

 

 

   妖怪の山にて・・・

 

 

 山道を二つの人影が飛んでいた。

「ねえ文、つい昨日くらいに喫茶店がオープンしたの知ってる?」

「ええ。知ってますよ。確か、蓑神千歳とかいうのが店主でしたよね。」

 

 そのうち一人は手にうちわを持ち、もう一人は片手にガラケーを。

「そそ。でさ、ほかの新聞の奴らが記事にしないうちに二人で行こうよ。」

「そうですね。ネタになれば儲けものです。はたてはどういう感じに書くつもりなんですか?」

「うーん、そーだな。今回は普通にお店の紹介にしておくよ。その店主が強いのかどうかわからないからね。」

「そうですか。そういえば、この間は下手に幽香さんに挑んで満身創痍になってましたもんね。それから少しは学習しているとは……。鳥頭とは思えませんね。」

「もう、思い出させないでよ。それに鳥頭って私もあんたも同じでしょう?あの時は本当に死んだと思ったんだから。文に会えなくなるかもって思ったし・・・

 

「ん?なんて?」

「ううん、何でもない。」

 はたてと呼ばれた少女はガラケーで手遊びしながら速度をあげた。すると、

「あ!はたて、あれ見てください。噂の店主ですよ。あれ……神奈子もいるな。それに人間もどきも。」

「あ、文、あれ尾けてみようよ。いいネタが見つかるかもよ?」

「そうですね、行きましょう。」

 

 

 

   アグネテ視点にて・・・

 

 

 まだ山道を登っていくみたい。こんなに長いなんて全く想像していなかった。さっきからあと少しって言ってるけど、まだまだじゃないか。綺麗なところというのがどんな所かの説明すらされていないので、やる気がだんだんなくなってきている。どこに行くのかぐらい教えてほしいものだよね。まぁ、こういうのが観光地に慣れてしまった若者の典型的な悪い面かもしれないけど。

 

 そんな愚痴を考えつつ登って約30分、目的地である神社についた。想像していたよりも結構綺麗で確かに来た価値があるなと思った。白と緑を基調とした巫女服を着ている人が迎え出てくれた。

 

「神奈子様、お帰りなさい。そちらの方たちは誰ですか?」

「ただいま早苗。この人たちは私の客だ。最近幻想郷に来たものだから案内しようと思ってな。」

「ああ、そうなんですね。ちょっと待っててください、お茶を持ってきます。」

 そういうと早苗と呼ばれた私と同じくらいの女の子は神社の横にある家っぽい小さな小屋の中に入っていった。

 

「あ、あれが家…?」つい、私はそう漏らす。

「そうだ。あれが家で悪かったな」神奈子さんがジッと鋭い目で見てくる。

「あ、いえ、すみません。その…」

 

 私が言いよどんでいる間に千歳が一歩前にでて言う。

「イープノス、この人はつい最近ふもとの巫女に戦いで負けたんだ。その報復で…こうなったというわけさ。」

 

 へぇ。この世界でも戦争っていうものがあるんだ。こんないかにも日本の千歳はどうやら私のことを守ってくれたようだった。神奈子の後ろにはぼんやりとだが、大きな蛇があらわれていた。目を細めて凝らして視る。ああ、この人は神様だったのか…。やけに空気が重くなってきたわけだ。

「神奈子、イープノスはこのあたりのことを全く知らないんだ、そんなに重くしないでほしい。」

 神奈子は柔らかい目で雰囲気を元に戻した。

 

「ああ、すまない。怖がらせて悪かった。冗談だ。いつもはもう一人の奴か、あの子が信者と対応してくれるから、普通の人と話すのは慣れていないんだ…。すまない。悪気はなかったし責める気もなかったんだ。」

 神奈子は顔を俯かせてぼそぼそと言った。なんだかこっちが申し訳ない気分になってきた。

 

 最後に書いておくと、その時、千歳はこっちをチラッと見て、神社の屋根の下に歩き始めた。

 




 オリジナルより、二次創作のほうが読まれやすいっていうのは仕方がないことですよね。
 そういうサイトだもん。
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