営業時間:AM8:00~PM4:00
オープン初日。朝の8時開店であるこのお店に初めてのお客さんが来たのは10時になってからだった。
「お、やってるな」
カランコロンというドアベルの音とともにやってきたのは魔法使いみたいな服を着た人だった。彼女は店内を見渡し、カウンターにいる私と机を拭いている千歳を見つけた。
「もうやってんだろ?」彼女は確認のためかそう、聞いてきた。
「ええ、いらっしゃいませ」千歳はそう答えた。
「あ、いらっしゃいませ」私は遅れて言う。
「えーと。席に案内とかしてくれるのか?本ではそんな感じだったんだが…」
とりあえずカウンターに案内する。一人目のお客さんだし。
「えーっと。初めまして、私は霧雨魔理沙だぜ。新聞に書いてあってな。早速来てみたんだが、誰もいないな。」
「あはは。私はアグネテ・イープノスといいます。この人は、ここの店主で蓑神千歳さんといいます。」私は苦笑しつつ言った。
「何かメニューとかあるか?」
「あ、どうぞ」
「ども。うーん、まずはコーヒーにしようかな。種類とかの名前はよく知らないから、適当でいいぞ。」
「承知しました」千歳はお湯を沸かし始めた。
~5分後~ (作者はコーヒーの描写が描けなかった)
「どうぞ」
「ありがと…ってこれアイスコーヒーかよ!さっき沸かしてたお湯はどこにあるんだ!?」
「安心してください、睡眠薬は入っていませんよ。」
「当たり前だ!あんな伝統受け継ぐな!」
「伝統?何のことですか?」
「いや、知らなくていい。お前は。」
何のことだろう。アイスコーヒーに睡眠薬って…
「で、こっちが本当の淹れたコーヒーです。」千歳はそう言って魔理沙の前にカップを置いた。コーヒーはミルクの入った明るい茶色をしていて、今まで見たこともないほどおいしそうだった。
「じゃあ、いただくぜ」のどがコクっと動く。
何度かコーヒーを香ったり飲んだりして魔理沙は千歳をじっとみた。
「…お前、これ、うまいな…初めて飲んだけど、なんだかちょっと懐かしい気持ちになったぜ。もう一杯貰えるか?」
「ええ。同じ中煎りでいいですか?」
「任せるよ」
千歳は二杯目のコーヒーを淹れ始めた。
「アグネテはどんな魔法を使うんだ?」
魔理沙がいきなりそう言ってきた。
「え、私、魔法が使えるって言いましたっけ…」
「いや、においでわかる。魔法使いからは魔法のにおいがするんだ。」
「そうなんですね…」
「ああ。私も魔法使いなんだ。おまえからは知らない魔法のにおいがする。」
「はあ。⋯⋯私の魔法は『鏡の魔法』です。」
「鏡⋯…」
「はい。鏡の中に入って鏡どうしを行き来したり、空中に鏡を出現させたりできます。」
「へぇ。そりゃすごいな!教えてくれよ!」
「いえ、この魔法は教えれないんです…」
「なんでだ?本とかから覚えたんじゃないのか?」
「ええ。私の魔法…私の家の魔法は生まれつきのものなので、ほかの人は使えないんです。」
「そうか…私みたいな魔法使いはたいてい練習して魔法を覚えるんだけどな~」
「へぇー。そういう場合もあるんですね。」
「あー、アグネテ。敬語使わなくていいぞ。私はため口でしゃべってるし。」
「ああ、うん。敬語使わないほうが難しいけど、頑張るよ。」
「…⋯まぁいっか」
そんな話をしていると千歳がやってきた。
「魔理沙、コーヒーがもう少しでできるんだが…」
「ん?ああ、早く持ってきてくれよ」
「いや、ケーキとかつけないかな~と。」
「…⋯金を使わせたいんだな?」
「端的に言えば」
「じゃあ、おすすめをくれよ。」
「ありがとう」
千歳はガラス張りのケースの中に入ったショートケーキを持ってきた。
「これを」
「いくらするんだ?」
「とりあえず300円かな」
「えっ、安い」
「それとコーヒー」
千歳は今度はコーヒーを持ってきた。
ケーキを口に入れた直後、魔理沙の目の中の星が光った気がした。
「美味い!!なんふぁこれ!今までにないくふぁい美味いぞ!」
途中は口に入っていたのでこんな風に聞こえた。
「でしょう。幻想郷は文化が停滞していますからね。これぐらいはきっと紫さんも許してくれるでしょう。」
「そうだな!」
魔理沙はものの数分でケーキを食べきった。コーヒーも。
会計を済ませた魔理沙は、こう言った。
「なぁ、千歳。弾幕ごっこって知ってるか?」
「え、ああ。神奈子さんから聞きました。…やりたいんですね。」
「準備はいいか?」
「外に行きましょうか」
戦う流れになるのはなぜなんだ。
「じゃあ私はスぺルカード2枚で戦うぜ。お前は何枚?」
「いや、スペルカードを持ってないから即興で2回だけ技を使うよ」
両者が30メートルほど離れて、戦闘態勢に入った。
まず初めに動いたのは魔理沙だった。
緑のミサイル弾を飛ばした後、箒にのって移動し星屑をばらまいた。
千歳の周りに星の弾が集まり、身動きが取れない状態になった。
「ここだ!喰らえ、恋符『マスタースパーク』!!」
極太のレーザーが千歳を包み込むように見えた…。しかし、
【相殺しよう】
そんな声が聞こえた。知らない声だった。だけどなぜか少し安心しそれと同時に恐怖を感じる声。
「じゃあ、千歳式捕縛術!」
「いや、センスなさすぎ!」思わず突っ込んでしまった。さっきの声のことは忘れよう。うん。そうしよう。
名前が少々ダサい代わりに案外実用性は高いようで、いきなりアタッシュケースから出てきた鎖がマスタースパークを包み込み、余った鎖が魔理沙へも伸びていった。
「ぐっ、あぶねぇ!」魔理沙は鎖をぎりぎりで躱した。
「なぁ千歳そのネーミングセンスは何なんだよ…」魔理沙は呆れていた。私も呆れていた。
「そういうことは関係ないんだよ」千歳はチッチッチとでも言うように指を振る。
「必要なのは火力と時間だよ。いくら魔理沙のマスタースパークが強くても、撃ってる途中に後ろから攻撃されたら危険だろう?だから、全方位に対応できる奴が案外強かったりするんだよね。」
「はぁ。なんか宇宙人が使ってそうな弾幕だな。どうせあんまり強くないだろうけど。」のちに魔理沙はこの言葉を少し後悔することになるのだが、それはまたの機会に。
「く、行くぜっ!千歳、これで終わらしてやるよ!魔砲『ファイナルスパーク』!!」
さっきのとは比べ物にならないくらいの太さのレーザーが魔理沙の手から放たれる。千歳が技を発動させる暇もなく、レーザーが直撃し、千歳が飲み込まれた。
さっき千歳は魔理沙のマスタースパークの弱点を見破れていたが、今回はそれを実践することが出来なかったようだ。正直、心の中では、乙、と言っていた。
レーザーが10秒くらいして消えた。魔理沙がぜえぜえと息を吐きながら、千歳がいた方向を見た。魔理沙が口を開けたまま放心していた。つられて私も見ると、そこにはドロドロに溶かされた鉄があった。
「…え…ち、千歳さん…?……鉄……?まさか死んだ……え……」
「お、おい……そんなに威力を強くしてたわけじゃないぞ…さっきのマスタースパークでの手ごたえを考えて撃っただけなのにッ!」
しかし、鉄塊からはなにも返事が返ってこない。時間が止まったように感じた。しかし、しばらくするとその鉄塊が小さく分割されていき細長いわっかが出来ていく。そしてそれがつながっていき、小さくて細い大量の鎖になっていく。鎖は互いにつながり、人の形になっていく。
「あ、ああ、ひ、人が」
「まさか、こいつも妹紅みたいなやつなのか……」
「…⋯妹紅ってだれ?こんなにが他にもいるの⋯⋯?」
「死なない人間だ」
千歳の形になっていく鎖。服やアタッシュケースさえも構築され、千歳の周りを鎖が取り巻く。ぐるぐると鎖が動き千歳の体の中に取り込まれていき、残った鎖はアタッシュケースのなかに入っていった。
「ふぅ。久々に復活したなぁ。魔理沙、お前強いな。思ってたよりきつかったよ。防御してなかったとはいえ、ここまでやられたのは100年前くらいだ。」
千歳が立っていた。
蓑神千歳。鎌倉時代から生き続けている、元人間。家の習わしとして行っていた儀式に失敗し、契約の神である「契」と契約を行った。契約の効力で姿が変わらず、契が死ぬまで何度でも蘇り続けるようになった。しかし、精神は人間なので、心は100年ほどで擦り切れてしまう。そのため、今までに12人の蓑神千歳がいた。彼らの記憶は千歳が体の中にある鎖に含まれており、どの部分で千歳を再構築するかによって、微妙に性格が異なるが基本的には現在の千歳がメインになる。
さっきの、相殺しよう、という声は契という神の声だったのだという。
そんな話を千歳から聞いた。途中で考えながら話していたので、おそらくまだ話していないこともあるのだろう。また、私の両親ともちょっと前からの付き合いらしく、いろいろ一緒に仕事をしたこともあったらしい。
「へぇ、そんな人間っているんだな。妹紅や輝夜と一緒か。」
「…こんな人間がここには他にもいるんですね…」
「まぁ、僕が知ってる限りでは僕だけだよ」
「そりゃそうですよ…」
正直に言うと、初めてお客さんが来てくれた、という事実は私をかなり興奮させ、嬉しくさせた。この調子で頑張っていこう、柄じゃないけどそう思った。
「じゃあ、今日はもう閉店しましょうか。疲れましたし。」
「え、そんな適当でいいんですか!?いまから頑張ろうって思ったばかりなんですけど!?」
「疲れたからいいんだよ。」千歳は片手をあげて厨房の奥に入っていった。
それでいいのか…
客が来た時間
AM:10:10~PM:12:20
出たもの
ショートケーキ、コーヒー(中煎り)
参考:https://office-coffeebreak.com/shortcake-coffee-combination/
どっちの路線がいい?
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