ブルーアーカイブ 解釈違いのルルーシュ   作:血濡れのユフィ―

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出来たー 何故か徹夜二日目!


チュートリアル
夢を見るC


 連邦捜査部S.C.H.A.L.E、通称シャーレ。

 

 キヴォトスの行政組織であり、連邦生徒会長が行方知れずになる直前まで外から招き入れる先生の活動拠点として立ち上げた機関。

 連邦生徒会長の権利によってありとあらゆる規約や法律による規制や罰則を免れる超法規的機関である。故にその門は不特定多数の様々な組織に属する生徒達へ開かれており、協力し合う事が出来る特殊な組織だ。一個人から組織ぐるみの問題まで干渉出来る権利は生徒達の強力によってその範囲を拡大、強力となって行く。そんな組織であったが、キーパーソンである先生はまだ着任しては居なかった。

 

「いやいや来てはいるからね!」

 ⦅一体誰に話しかけてるんだ? ⦆

「先生、誰に話しかけてるんですか?」

 

 まだ着任してないのである。

 

※※※

 

 多くの学生が溢れるDCの駅。ロボットや獣に似た人達も混ざる人混みに1人、このキヴォトスでは珍しい人が混ざっていた。

 

「えっとここでいいのかな?」

 

 手にあるメモを見ながら顔を傾げる彼女の名は聖良(せら)シズク。このキヴォトスではまず見る事は無いヘイローを持たない大人である。何だか色々とはみ出している大きなリュックを背負い、その緑のメッシュの入った長い髪を束ねる姿は旅行者そのものだが彼女には目的があった。

 

「とりあえず連邦生徒会? って組織の建物に行かないと」

 

 遡るは数か月前。色々あって連邦生徒会長からスカウトされた、以上ッ! 

 

 え、あまりにも説明が雑だって? 

 

 ……

 

 原作が明かしてないので仕方ないネ! 

 

 まぁ何やかんやあってお人好しの彼女は彼女の依頼を了承。そうしてこの学生達箱庭であるキヴォトスへとやって来たのである。家族である元踊り子なご老人方の見送りもあって苦労してヒッチハイクを繰り返しながらキヴォトス、それも中心地たるDCへ渡されたメモを頼りにやってきたは良いが彼女には一つ疑問があった。

 

「それにしても夢に見た通りの光景だなぁ……占いバッチャンの言う通り予知夢だったのかな?」

 

 夢。

 本来なら科学的に脳に蓄積された記憶の整理を目的とした睡眠の副作用によって生じる現象。なので記憶や心象心理に焼き付いた風景などを背景に脳が錯覚して見る現象などだが……彼女にとっては別の意味を持っていた。

 

 彼女は昔から不思議な夢を見る。

 

 緑色の髪色をした自分によく似た少女。その少女の過ごした長い長い人生をまるで追体験するかのように映像を見ていた。酷い扱いによって酷い目に遭う少女の姿を、不思議なシスターによって不思議な力を授かる少女の姿、様々な人達に囲まれながら嬉しそうにする少女の姿、そして────それらを全て台無しにする血塗られたシスターを見ている姿。その後も様々な場面を見る事が出来た彼女はその悲惨さに涙し、未熟ながらも自身の環境がどれだけ恵まれていたんだと知った。だけどその夢もマオと呼ばれていた少年と別れ、数回場面が変ったタイミングでどんどんと変る事となる。切っ掛けは黒髪の少年達と出会った事が始まりだった。

 契約を交わし、過去シスターから自身が施されたように不思議な力を授ける事から切り替わり、その少年と不思議な共同生活を送る場面。様々な問題が彼へと降りかかるが、それを乗り越える姿を後方から見ていた。契約の元に、自身の目的を果たす為に。故に彼女はその目的が達成される事に喜んだ。彼女は長く生き、長く経験し、多くのモノを見て来た。

 

 だからこそ彼女はその長さ故に限界を迎えていた。

 

 不老不死と言うのは残酷だ。信頼を深めた友人も恋人も知人も、その老いを見届け最後を看取らなければならいならないのだから。故にただの人間だった彼女にとってそれは残酷だった。心を殺し、魔女と呼ばれる存在になって心を守ろうとしても傷は少しずつ蓄積し続け限界を迎えていたのだ。見送った者達と同様終わりを望み、何年もその目的を達成する事の出来る人物を探し続け可能性のある少年を見つけた。けれど彼女もやはり人間、仲の良くなってしまった人から説得されてしまえば考えを変える。これまで歩んできた繋がりに雁字搦めにされるものの少年によって救い出され、最終的には彼を支えその行く末を見守ると目的を決めた彼女は無事少年の最後を見守った。

 

 その後少年の遺体を引き取り、不死の力を授け死者蘇生を試みるが不完全に終わり彼女はそれから長い二人旅に出る事となる。少年を復活させて約束を果たしてもらいたい、ただその一点である我儘を叶えてもらう為に。様々な偶然、そして奇跡が重なり少年の完全なる復活を遂げるとそれを見送り、自身はその場を去ろうとするが────少年は彼女と歩む道を選んだ、選んでくれた。少年と共に笑みを浮かべ、涙を流しながらも共に歩んで行く、そんな場面で終わる。そんな夢を繰り返し見たのだが、ある時からか夢は全く違うモノへと変わる。

 

 不思議な場所。人間ではなく獣の姿をした人やロボット、そして似つかわしくない凶器である銃を所持した女子学生。そんな不思議な場所で男の人が中心に繰り広げられる喜びと悲しみの夢。前に見ていた夢と似ているようだけどこの夢は違った。今までの夢とは違い環境だけではなく、同じ夢でもその行く末が変る事もあった。ハッピーエンドで終わることもある、けれどバッドエンドで終わる夢もある。本当に不思議な夢。

 

「あ! すいませーん、このバスで連邦生徒会に────はい、はい! ありがとうございます!」

 

 だからこそ夢に出て来た人物が現れたので心底驚いた。今までの夢とは違い現実でそれを体験するかもしれない、と。興味はあった、疑念もあった、そして恐怖ある。けれどそれ以上に好奇心が勝った。だからこそ彼女の手を取り私は夢に見た男の人の立ち位置に立たのだ。

 

「ふぁー、流石に夜通し歩くのは疲れたぁ……少し寝よう」

 

 そうして彼女はまたも夢へと吞まれる。

 

 

※※※

 

 コレは夢。

 

 広い地平線まで広がる夕焼けの空を映す鏡のような透き通った水面。そこに走る不思議な列車。ガタンゴトンと音を立てて走り続けるその車内には自分、そしてもう一人の不思議で何処か見た事のある少女だけ。彼女は語る。

 

 

「……私のミスでした」

 

 

 対面に座る少女は真っ白な衣服には血の滲み、赤く染めている。そんな彼女だけどそんな事も構わず淡々と話す。

 

 

「私の選択、そしてそれによって招かれた全ての状況」

 

 

 

「結局、この結果に辿り着いて初めて、あなたの方が正しかったことを悟るだなんて」

 

 

 

 彼女が何を考えてるかは分からない。けど察する事は出来る、何かを伝えたい

 

 

 

「……いまさら図々しいですが、お願いします」

 

 

 

 目を暗ませる逆光が彼女を包む。それはまるで儚く消えてゆく泡のように溶けるように輪郭が消えてゆく。

 

 

 

「先生」

 

 

 

 知っている光景、知っている結末。ここは悪いも良いもどちらへも行ける前の分岐点。

 

 

「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません」

 

 

 

 忘れはしないだってこれは夢だから、忘れる事の無い夢の一つだから。

 

 

 

「何も思い出せなくても、恐らくあなたは同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから」

 

 

 

 そんなことはない。私は知っている、良き選択を良き結果への道筋を。

 

 

 

「ですから……大事なのは経験ではなく、選択。あなたにしか出来ない選択の数々で」

 

 

 

 夕日は沈む事無く赤く社内を照らし続ける。不幸に何てさせない、私はこれでもハピーエンドが好きだから。何度か見た夢の一つ。だから経験からこれから目覚める────そのはずだった。

 

 

 

 

 

 

 

「責任を負う者について、話したことがありましたね」

 

 

 

 知らない。

 

 

 

 

「あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます」

 

 

 

「大人としての責任と義務。そして、その延長線上にあった、貴方の選択。それが意味する心延えも」

 

 

 

 私はこの先を知らない。

 

 

 

「ですから先生」

 

 

 

「私が信じられる貴方になら、この捩じれて歪んだ終着点とはまた別の結果を……そこへ繋がる選択肢をきっと見つける事が出来るはずです」

 

 

 

 記憶に無い夢の続き、見た事の無い夢の続き。眩い光が強くなって包み込む。同時に視界は霞み、やがては無へ至る。

 

 

 

「だから先生、どうか────」

 

 

 

 だけど私には見えていた最後に彼女の微笑みを。見えないはずのこちらへ微笑みかける彼女の顔だけが視界に映った気がした。

 

 

 

「よろしく、お願いします」

 

 

 

 

 聞えないはずの声と共に。

 

 

※※※

 

「次は連邦生徒会前~ 連邦生徒会前~」

「ふぁ~」

 

 目が覚める。

珍しく夢は見なかったけどよく眠れたらしく頭がスッキリする。ゆっくりと背伸びをしてボタンを押しバスから降りると受付へと向かった。彼女から渡された書類を渡すと受付の1人に案内されてエレベーターを上がった先にある待合室へと通される。少し緊張するけど何とかなると信じたい。

 

「緊張、するなぁ」

 

担当の人間が来るまでまだ時間があるらしい。スッキリしてるけど何となく眠気もまだ残っているみたいなのでせっかくなのでこの柔らかそうなソファーで再度横になる。そして――――夢を見なかった。

 

※※※

 

 

「――――ようやく接触出来たな」

「……えっと、貴方は?」

 

不思議な場所。上も下も無い空間で私は浮かび、その人と対面してる。私と全く同じ背格好に容姿の少女。けど、あの夢と同じ髪は緑色でまるで囚人服みたいな恰好をしている。

見た事のある見たことの無い少女。その少女はどこか笑いながらもようやく出来たかとやれやれとした感情が感じ取れた。

 

「私の名はC.C(シーツ―)。なに、何度も見ているから知ってるだろう? 別世界の私」

「???」

 

こうして私にとって長いそして実際は短い会合が始まった。




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