ブルーアーカイブ 解釈違いのルルーシュ 作:血濡れのユフィ―
私達に背を向ける灰色のKMF。その手にあるモノ、帯電している銃と思わしきモノの銃口をグラスゴーへと向け、私でも感じ取れるピリピリとした空気が漂っている、世に言う一触即発の状態だ。
「えっと、マヤさん?」
⦅この状況、あのナイトメアのパイロットはどっちだ? 指揮下と言っているぐらいだから味方だとありがたいが……⦆
このKMF、恐らくカスタム機かな。一見グラスゴーの次世代機サザーランドにも見えたけどそれにしては何て言うか全体的に整って無い。持っている武器もかなりの大型で何だかホースみたいな物が腰の箱に繋がってるみたいだし、試作品でも使ってるんだろうかな?
【マヤで大丈夫です先生】
あ、名前合ってた。あの時はビックリしながら聞いてたから自信なかったけど良かった──―って、そんな事をしてる場合じゃないか。
生徒の事を疑っても仕方ない。本当は子供にこんな事頼みたくないけどこの場所、この状況じゃ頼むしかないか。
「じゃあマヤ。あのグラスゴーを単独で倒せる?」
見据えるは恐らく今回の騒ぎを起こした首謀者である生徒が操っていると思われるグラスゴー。灰色のナイトメアを操るマヤそのままゆっくりと庇いやすいであろう場所へと移動していた。そして私の問いにハッキリと答えてくれた。
【倒せます】
当然のごとく。当り前の如く。その答えに難の感情も感じられない、と言うよりまるでピザにかけるタバスコをとってと頼んだ時ぐらいに軽い。なら多分、大丈夫かな?
「じゃあ、よろしく!」
【イエス・ユアハイネス!】
【ッ!】
マヤはそう返事しながらそまま銃を撃ち放ち、突撃して行った。
⦅今はとにかく逃げるぞ。流石にナイトメア同士の戦いに巻き込まれる! ⦆
「そ、そだね」
【先生! 早くこっちです!】
それにしても枢木か……確かC,Cさんが言っていた人のうちにそんな人が居たような……
そんな疑問を他所にハスミちゃんの誘導声を頼りに私は痛む体に鞭打ってユウカちゃんを連れてその場を離れた。
※※※
先生として着弾────もとい着任したシズクの元へ駆け付けたのは連邦生徒会に所属している生徒、枢木マヤである。
ここで今の連邦生徒会におけるKMFの取り扱いについて説明しよう。
元々キヴォトスにおけるロボット及びドローンと言うのは一般的な物だった。しかし人が乗れるサイズともなると中々見る機会は無く、ほとんどがとんちき企業が開発した失敗作兵器ぐらいであった。しかしそんな中、何時しかキヴォトスのアンダーグラウンドの巣窟であるブラックマーケットにてそれらを凌駕する完成度を誇るモノが広まって行った。それが後のナイトメアフレーム、通称KMFと呼ばれる兵器である。
広まり始めた当初アビドス砂漠に伝わる伝説などと一緒くたの存在、つまり単なる噂話と思われていた。しかしその存在が確認され、それにより被害が出始めると嫌でもKMFの有効性が示された。生徒などが持つ小火器では簡単に貫けない堅牢な装甲に、その巨体を生かした物理攻撃。そしてなによりもど兵器よりも優れた機動性。キヴォトスにおける科学技術の高いミレミアムサイエンススクールであってもこのような高性能な人型兵器、作れはするがこんな風に大量の数を揃えるなんて無理と言わしめる者だった。
そしてそれは不良生徒から取り上げた一機を分析してみると更に異形性が高まるととなる。
分析した結果KMFはキヴォトスに存在した兵器、ロボット、ドローンなどの技術体系とは似て異なる技術で作り出されており、その原動力である電気ではあった。しかしそれを生み出す又は溜めている部品は未知の物質。更に細かく分析しようにも進まず、不幸な事故からこの未知のピンク色の物質は爆発物とわかった時には連邦生徒会が用意した研究所を含めたビル一棟を過去実験の失敗によって吹っ飛ばし、倒壊させている。幸いな事に死者こそ出なかったが多数の怪我人が出た結果となった為、これを重く見た連邦生徒会はこの桜色の物質の研究を封印。緊急処置としてそれを搭載しているKMFの回収に動く事になる。だがこのような高性能な兵器、アンダーグラウンドの人達が目を付けない訳も無く多数のKMFは既に不良生徒達に広まった後であり、他多数の一般生徒もが分析のためと称して手に入れている状態であった。それによって連邦生徒会は既に広まったKMFの回収、及び処分は無理と判断。当時の生徒会長による指示によってキヴォトスにおけるKMFの管理、運営を一挙に行う機関が出来た。それが後のKMF管理員会である。そして今回先生の助けに来た人物はその員会からの人間であった。
連邦生徒会と言うのはその性質上キヴォトスにおける全ての学園を束ねる組織である為、集められる生徒も優秀でなければならい。そうでなければ運営がまとに出来ない組織であったから。その為、連邦生徒会に新たに作られたKMF管理員会も例に漏れず優秀である。つまり何が言いたいかと言うと枢木マヤ彼女は────―凄腕のデヴァイサーである。
【妙な武器を使いますわね!】
グラスゴーは大きくジャンプする。それによって撃ち出された弾丸は躱され、距離を取られる。しかしその判断は正しい。だが、その判断は正しく撃ち出した弾丸の威力は凄まじく、居た場所のコンクリートが酷く抉れている。しかしその武器に見える銃身は真っ赤に変色するほど高熱を持っていよう。廃熱の為の煙が武器後方から垂れ流され、その量は足元を包むほどだ。
【あらあらしかし、この場にそのような武器だなんて無粋ですね!】
枢木マヤの扱うKMFはサザーランドと呼ばれるトリニティ総合学園にて生産された新型だ。そして彼女が連邦生徒会に入るにあたりそれを他の学園と共に手を入れた改良機だ。対するはブラックマーケットなどやDC近辺であればよく見かけるキヴォトスにおけるKMFの最低限の性能であるグラスゴー。どう考えても圧倒的な性能差である。
故にそれを感じ取り、その武装の威力を見て遠距離戦は不利と見たらしくグラスゴーは彼女の得意な接近戦へ移行した。それを見てマヤも突撃して来たのを迎え撃つ為コックピット横のウェポンラックと思われる場所へ武器を固定すると左腰に下げる長物を手にした。
【抜刀ッ!】
日本刀にも類似した巨大な片刃刀。しかしその刀身には細かな刃が飛び出しており、独特のモーター音と共に高速で動き出す。まるでチェーソーを刀に落とし込んだような装備だった。その柄を両手で保持し、武器の構え構え取るとそのまま脚部のランドスピナーを高速で動かし、地面に火花が上がるほど高速でそれへと立ち向かった。振り下ろされる恐らく鉄塊と思う長い棒に鍔刷り会うように重なる刀。煌びやかな火花を散らせながら両者はそのまますれ違った。両者一度すれ違っただであったがよく見るとグラスゴーの武器は両断され、すれ違った方の肩部装甲に斬撃痕が残っている。それを分かってか分からないが、グラスゴーはそのまま残った鉄塊を後ろへ素早く振り返るが、遅かった。
【おやッ!?】
すれ違ったマヤはそのままの勢いを殺さないように大回りで回転すると、両サイドのビルへ向かって両腕に装備されていたスラッシュハーケンを使い機体を浮かせ、巻き取り機能を使い四次元機動化の如く高度を稼ぐとグラスゴー近くにもう一度ハーケンを撃ちこみ、グラスゴーへ先ほどよりも素早く接近していたのだ。流石の七囚人でもこの様な自体は予想外であった為か対応ができず、迫って来る飛び蹴りに対応出来ずビルへと叩きつけられていた。
残るのはマヤの乗ったナイトメアと共に巻き上がる煙。そしてその手にする刃が回転する刀のモーター音が再度鳴り響き始めると、枢木マヤはゆっくりと沈黙したグラスゴーへ襲い掛かる。
「ちょ! やり過ぎやり過ぎ!」
ギリギリ先生に停められた。
※※※
セーフ! セーフ!
夢で見たみたいな戦闘光景だなぁーって感じで見た私もダメだけど、まさかこんなにあっという間に終わるとも思わなかったしそれに加えて止めを刺しに行こうとするなんて思わなかったッ!
「マヤちゃーん! きこえてるー? いいからストップストップ!」
⦅あの戦闘……いや、ないな⦆
ユウカちゃんを安全そうな場所に下ろした後、ハスミさんとスズミちゃんと合流してマヤちゃんの元へ急ぎながら大声で叫んだ。声はきちんと届いたみたいでコックピット部分に突き立てられそうだった刀を止める。けど刀のまわりに回っている刃の回転は一切止まってない。
そして近くに近づくとマヤちゃんが乗るKMFの顔がゆっくりとコチラを向いた。
【しかし先生これは恐らく第1世代。危険ですので迅速に処理を────】
「でも中にまだ人いるからぁ! 私の生徒いるからぁ!」
⦅容赦ないな、コイツ⦆
いくら銃弾にも耐える生徒でもこんなおっきい刀を刺されて無事な訳無いから! そうこうしていると沈黙していたグラスゴーがゆっくりと動き出した。それにマヤちゃんは再度刺そうとするけど私が駄目っとアピールすると指すのを止めてくれた、けど刀は向けたままだ。
【……少々、不覚をとりましたわ】
上半身がゆっくりと動くとコックピットが開き、私の目には映らないほどの速度で飛び出して来た。そのまま地面にスタイリッシュで着地。私の前に姿を現してくれた。
ボロボロの着物に欠けた狐のお面。所々で血が滲んでるを見るにかなり痛そうだ。思わず手持ちの応急処置キットを取り出そうとするけどそれよりも先にハスミちゃんとスズミちゃん、それといつの間にか合流してたチナツちゃんが私を守るように前へ出てしまった。
「まって皆、落ち着て」
「流石にここまでやられるとは予想外ですわ、流石外より招かれた先生」
フフフと上品笑う血だらけの生徒。どうにかその怪我の治療をしたいと考えていたけどそれよりも先に私の上に影を差す存在が表立った。
「狐坂ワカモ」
多分コックピットハッチを開いて話しているんだろうけどマヤちゃんの姿は丁度死角で見えない。けれど目の前のこの子、ワカモが見ている方向を見るにやっぱり背中にあるんだろうか?
「なんでしょうか、連邦の白騎士様?」
「無申請のKMFの所持は連邦法違反です、貴方をKMF管理員会の権限によって連行、拘束させていただきます」
⦅白騎士? ⦆
何処か品のある返答に余りに物騒な言葉を放ったマヤはあのデッカイ銃を彼女へ向けた────って流石にオーバーキル!?
「アウト! アウト!」
三人の横を抜けて思わず彼女の前に出て庇う。三人がどうとか言ってるみたいだけ流石にあんな強力な武器を生徒に向けるなんてダメだよダメ!
【心配ありません。運が良ければ一週間ほど意識を失う程度なので】
「それは心配するねぇ!」
一触即発のこの状況。私もマヤも譲れないこの状況に停滞が見えた頃、私の背中から小声で何かが聞えたような気がした。
「やはりこの方は……いや、でも性別が違いますし」
気になりはした、けれどそれは突然背中側から発生する爆発音によって聞き取れなかった。それと同時に広がるもくもくと煙る白い煙が目を覆った為、何も見えなくなってしまった。
⦅これはスモークグレネードか⦆
【待て!?】
⦅それにキラキラしているのが混ざってるのを見るにファクトスフィア対抗用のチャフの役割もありそうだ⦆
機体を放置して遠くへ去るワカモ。それに気付いてないの私の連れて来た三人が私を守るように囲い出す。マヤは逃げたワカモをを追いかけたそうにしてたけど、この倒れたグラスゴーの方が優先っぽくて動けずにいる。そうして煙が晴れた頃、私達の戦い────いや、私の初の実戦は完全に終わった。
その後マヤは後で合流すると言い残しグラスゴーの元へと残り、私達は本来の目的地であるシャーレへと急いだ。見たところ不良は全て倒したかもしくは逃げたみたいで無人。なので無理を言って三人と別れ、一人でボロボロに戦闘痕残るシャーレへの階段を登る。それにしてもキヴォトスの建物って偉く頑丈だなぁ。やっぱり日常から銃弾とか爆発物質が飛び交う場所だからかな? それに合わせて建築技術も────ってC,Cさん? 先ほどから黙ってどうしたの?
⦅女の枢木、あの戦闘機動、そして白騎士……偶然の一致にしては質が悪いな⦆
「C,Cさーん、いきなりブツブツとどうしたの?」
びっくと驚いたような感覚が何となく走ったような気がする。私は驚いてないし何か体に異常でも出たかな?
⦅い、いいや何でもない。それよりもお前は気を引き締めろ、先ほど中に居るかもしれないって言われてでは無いか。もし不良生徒の一人でも────⦆
「心配するのは分かるけど、C,Cさんの言い方ってお母さんのソレなんだよなぁ」
⦅誰がお前の母親だ! いや、確かに昔似たようなことはやっていた事があるが……⦆
こうして二人でわちゃわちゃと話しながらシャーレオフィスの中へと入っていた。
今回もよんでくださりありがとうございます! 評価、感想、誤字報告お待ちしております。
以下オリジナル設定。
【KMF管理員局】
無造作に広まって行くKMFの脅威を認知した連邦生徒会によりキヴォトス内にて安全に管理、運営を行う為に設立された。
全てのKMFには事前登録が必要であり、それに加え登録のない場所にて製造、改造、販売を禁止している。これを破った場合連邦法違法と見なされ独自部隊による制圧、またはヴァルキューレ公安局に逮捕される事となる。その為全ての学校やKMF乗りはこの員会にて登録手続きを義務付けられている。それに加えて登録したモノは桜色の物質、通称サクラダイトと呼ばれる爆発物を発見した際には連邦生徒会への通報の義務が発生する。
学園側で登録した際には開発した技術は全て提出する事を義務付けられており、管理員会にてその危険度が図られ合否が取られる。その後合否にも関わらず提出及び登録された技術はある天才美少女ハッカー監修のセキュリティに守られたサーバー内にて管理される為他の学園に技術が流出する事は防がれている。
しかし一定の活動が無ければ開発部門の価値無しとされて登録の取り消し手続きがされる。最後一文には当時の連邦生徒会長の意思が反映されている……らしい。