1.海崎凛夜は『人間』なのかどうか。
2.海崎凛夜を〝不老不死〟たらしめているもの。
3.海崎凛夜が記憶を保持し続けられる理由。
4.海崎凛夜がセラフを呼び出せる理由。
5.海崎凛夜の本当の年齢。
6.海崎凛夜の過去。
7.海崎凛夜の転生特典。
8.海崎凛夜のセラフィムコード。
9.海崎凛夜の『 』
「……そう言う訳で、俺はマジモンの不老不死ってわけだ」
「……そう…だったんですか」
俺の事情について説明すると蒼井はぽかーんと呆けた後に自分から戻ってきてそう呟いた。
「私てっきり、リン君の鉄板ジョークだと……」
「この話は止めよう俺の精神衛生上大変よろしくない」
なんだろうか?
黒歴史を知っている友達と10年後に酒を飲みに行った時にその話題が出てきたような、そんなソワソワとした感覚だ。
ま、そんな友達もう数十年持っていないけどな。
?って顔をするな。
理解できないんだろうな。
中二病とは無縁そうな奴だもの。
だが、この話は俺に毒過ぎる。
俺の魂に染み付いた前世の記憶が悲鳴を上げている。
……思えば、この表現も若干中二病じみてるな。
やだやだ。死にたくなってくる。
「…その、リン君」
「何だ?」
唐突に蒼井が震える声で俺に何かを伝えようと口を開いた。
眉を八の字にした蒼井は、困ったようなそれでいて悲しい笑みを浮かべて俺を見る。
「……もう、居なくならないでください」
……
俺達は『約束』をした。
いつかは俺が破ってしまう、『約束』。
通常セラフには防御機能であるデフレクタが存在する。
このデフレクタによって、防御、トランスポートなどが可能となるが、俺にはそれが
厳密には存在はするのだが、その量が圧倒的に少なくまともに防御すれば一撃で破壊されるような拙いものだ。
つまり、防御力が圧倒的に足りないということ。
トランスポートによる
それは、この宇宙外生命体が跋扈する戦場において、致命的。
もちろん、それを補う火力を有してはいるが……。
ひたすら硬く、その硬さを活かした攻撃も出来る蒼井とは違い、俺は圧倒的な防御を捨てた攻撃力特化。
どちらの生存確率が高いかと言われれば、自明の理だ。
「…………」
でも、だからといって。
『俺のほうが早く死ぬ』なんて、こんな少女に言えるわけ無いだろう?
例え、生き返るとしても。
まだ、俺の人生の10分の1も経験したことない少女に言えるわけ無いだろう?
……いや、違うな。
これは、俺のクソみたいなエゴだ。
蒼井の悲しむ顔を見たくないなんて、そんな綺麗な理由じゃない。
もっと、醜悪で、自分勝手な理由だ。
……俺は俺が傷つきたくないだけなんだ。
守る気のない『約束』だったんだ。
だって、俺は『死んでも大丈夫』だから。
この考えが良くないことだって自覚はある。
命は命。
この『生』はちゃんと俺の人生。
でも、考えてみてほしい。
コンテニューが効いてしまう人生に、一生懸命になれるか?
少なくとも、俺は無理だった。
だから、俺は嘘つきだ。
「私、もうあんな経験、2度としたくないです…から」
――約束、破らないでくだい。
「………ああ、そうだな。約束するよ」
本当に、自己嫌悪で死にたくなる。
死ねない身体を恨むのはこれで何回目だろうか。
そもそも俺は…根本的に『死にたがり』なんだ。
「今日からお前達31Aの技術指導に当たる31
「男?」「男のセラフ部隊員?」「男性がいる!?」「男の人だ…」「男がおるやん」「ディスイズ男!」
「彼は特別指導官として、司令部に所属しながら前線に出るセラフ部隊員です。これからも度々お世話になると思うので顔と名前を覚えていってください」
七瀬さんが俺の説明をしてくれる。
あらためて、眼の前に居る奴らを見る。
データはあらかじめ読んではいたが…。
コレまた凄い奴らだな。
茅森月歌
伝説のバンドShe is Legendのボーカル。
双剣。
和泉ユキ
ハッカー集団オーキッド所属のハッカー。
大砲。
朝倉可憐
FPSのゲーマー兼殺人鬼。
鎌。
東城つかさ
とある組織の諜報員。
銃。
逢川めぐみ
サイキッカー。
大剣。
國見タマ
元艦長。
片手剣。
ふむ。
全員【模倣】できるな。
良かった。
使ったことのない武器だったら、少し面倒くさいがこの分なら大丈夫だろう。
「取り敢えずお前らの実力をみたい。全員纏めてかかってこい」
「どういう事?」
「そのままの意味だ茅森。今から6対1の戦闘訓練をする」
なるほどねーと言って首に手を当てる茅森。
「司令官とやったときみたいな感じでか?」
「大体そんな感じだ」
小さく挙手して発言する和泉はこの中で一番マトモそうだ。
「はっ!舐めてかかったら痛い目見るで!」
「そうなることを祈るよ」
勝ち気にそう吠えるのは逢川。
その独特なポーズはデフォルトなのだろうか?
「ここは胸を借りて挑みましょう皆さん!」
「……小さいな」
「……何が!?一体何を見て小さいと判断したんですか!?」
「あー、すまん」
「主語を!主語を明確にして下さい!!」
「おい、タマァァ!!」
「は、はいぃぃ!!」
「大丈夫や将来性は十分ある。諦めるのはまだ早いで」
「だから、ナニが!?」
「身体的特徴を弄ってやるなよ……」
「だから、ドコが!?!?」
元気だなぁ。
なんだか、あれだ。
孫を見る爺ちゃんみたいな気分だ。
……あ、俺十分爺だった。
見た目はこんなんだけど、もう100歳超えた爺だったな。
「ほれ、はよセラフ呼べ。時間は有限サッサッとやろう」
「よし皆!やるぞ!」
「おう!」「ええ!」「ヒャッハー!」「行くで!」「やったりましょう!」
さて、俺も呼ぶか。
「呼吸をするように息の根を止める」
「救世主様のお出ましや」
「天下一品」
「■―■■―■――■■■―■■」
瞬間。
アリーナ上空の空間が割れ穴が出来る。
そこから武器が降りてくる。
さーてと。
ちょっとは、教官らしいことをしようか。
「まずはあたしと可憐ちゃんとめぐみんで叩く!ユッキーとつかさっちは援護。おタマさんは遊撃で行こう!」
茅森がそう指示すると、奇声を発しながら朝倉が真っ先に正面から突っ込んで来た。
凄まじい連撃の嵐が俺を襲うが、どこに来るかが分かりやすい為、相手の視線にさえ気をつければ余裕でかわせる。
「此奴…!儂の攻撃を紙一重で…!!」
「連撃はいいが、長期戦のことも視野に入れて仲間を頼れ。お前なら出来るだろ」
「チッ……!」
セラフは使わない。
底上げされた身体能力だけで避ける。
まずはそれで様子見……
ゾワリ……
【スキル】
【クロス斬り】
「そこだ!」
「惜しい。朝倉の攻撃が終わった瞬間にはもう刃が届いているようにしろ」
「マジか!?」
茅森の二刀が俺めがけて振り下ろされる。
【スキル】の影響で、喰らえばかなり痛い事は確実だが、当たらなければどうと言うことはない。
振り下ろされた剣を半身をずらすことで回避。
……だが、今のは危なかった。
俺の手札を1枚きるところだった。
「くらえ!」
茅森の攻撃をかわした後に逢川がその大剣を降る。
「もう少し早く攻撃を入れられるようにしろ。大剣はその巨体の分だけ振りが大きくなる。そこを見極められるようにしろ」
「クッソ!当たらへん!」
逢川の攻撃を避け、セラフを足で踏みつけ行動させないようにする。
もちろん、力尽くで振り上げられればそれまでだが。
その一瞬の隙さえあれば、次の攻撃に対処出来る。
好機と見た國見が体格を活かした下段斬りをする。
「そこです!」
それを軽くバックステップで避ける。
「遊撃は相手の隙を見て攻撃するか、仲間の隙をカバーするかが基本だ。そのためには観察眼が高くないと出来ない。見た所お前はそれに優れているから相手と仲間をよく見ろ」
「なんて、強キャラ感!」
さて、前衛の奴らは防いだ。
攻撃に隙間が出来たな。
来るか。
【スキル】
【ブレイクバースト】
「お前らどいてろ!」
上空にエネルギーの塊を撃ち出し、そこから雨のように降り注ぐ。
しかし、
「敵の退路を塞いで確実に当てるのはいい選択だ。たが、如何せん威力が弱い。敵が1人なら一点集中で狙うことをお勧めする。後は空間把握能力を鍛えるといい。当てるのは当たり前。相手との距離感を理解してどこに撃ち出すかを理解しろ。タイミングはバッチリだったそこは文句ない」
「アレ全部避けるのかよ!?あたしだけ嫌に説教口調で長ぇし!」
「いや、かなりよかったぞ。十分驚異的だった」
「全部避けられてちゃ説得力ないぜ…!」
ゾワリ…
大技か。
派手なの来るな。
【スキル】
【メメント・モリ】
「こんな攻撃はどう?」
「む…?」
撃ち出された火の玉のようなものは当たり前に宙に留まる。
なるほど。
爆発か。
「はい、バーン!」
爆発が俺の身体を襲う。
咄嗟にブレザーを脱ぎ壁に。
心もとないが、なにもないよりはマシ。
爆発と同じタイミングで爆風と同じスピードでバックステップ。
結果。
「……大技を使うのは結構。問題は使うタイミングだ。お前の力は他者の力を底上げすることが向いている、仲間の得意なフィールドにすることもそうだが、まずは味方の力を底上げしてからをお勧めする。後、序盤から大技を使うのは自分は長期戦が苦手ですと言っているようなものだぞ」
「どうして無傷なの!?」
「無傷じゃない。ブレザーはボロボロだ」
「実質無傷じゃない!」
さーて、
必要な情報は集まった。
終わらすか。
「じゃあ、俺も攻撃するから……死ぬ気で避けて死ぬ気で守れよ」
――じゃないとお前ら……死ぬぞ?
「ぬわーんもう疲れたぁ!」
「それは、同感だぜ……」
「すっごく強かった…。カレンちゃんも実力を認めてる」
「なんやあのトランスポートの使い方…。あんな使い方ありなんか…?」
「まごうことなき完全敗北……。凄まじかったです…」
とりあえずボコボコにした。
いたいけな少女たちをボコボコにするとか、世間体的にアウトな気がする。
……そもそもその世間が滅んでるだったな。
皆地面に座り込んで息も絶え絶えだ。
「ていうか、あのトランスポートの使い方はなんなん?」
逢川がそう尋ねてくる。
あぁ、俺が攻撃側に回ったときに見せたアレのことか。
「あー。あれはな、超短距離トランスポートだ」
『超短距離トランスポート…?」
「まぁ、要は
読んで字のごとく。
そのまんまだ。
「それって意味あんのか……?」
「ある」
「即答かよ…」
元々は俺のデフレクタ量が雑魚過ぎるから使っていた手法だが。
「デフレクタは防御やトランスポートを使用する度に減っていくそれは理解しているな?防御ならば、相手の力の強さに応じて消費量も増えていく。トランスポートならば、移動の距離がながければ長いほど消耗が大きくなる。ここまではいいか?」
地面に座る31Aが相槌をうつのを確認して話を進める。
「効率的な話だよ。相手の攻撃を避ける為にデフレクタを使用するか、守るために使うか。移動距離を極端に短くすれば、守るためのデフレクタよりも消費量は少なく済むって訳だ」
長々と説明したが、つまり『防御量>トランスポート』ならトランスポートの方が効率いいよね!と言うことだ。
防御に使うためのデフレクタは相手の攻撃力に依存するが、
避けるために使うトランスポートならば、距離を制限すれば制御できる。
つまり、そう言う話。
頭に
和泉の説明で理解したのか、茅森が立ち上がって叫ぶ。
「なにそれ面白そう!あたしもやってみたい!」
それに感化されたのか朝倉も立ち上がって叫ぶ。
「カレンちゃんもそれやりたーい!!」
殺人鬼の方の朝倉は好戦的だな。
普段の儚げな空気が霧散する。
まあ、この技術は体得してもらう予定だから、意欲があるのはいいことだ。
「そうはしゃぐな。明日から本格的に技術指導に入るから、今日はジムに行って汗流してこい」
「やったね。いやーお風呂入りたかったんだよ…ね…?………ジム?」
なんだかルンルンで小躍りし始めた茅森はピシリと固まって俺の方をゆっくりと振り返る。
ジムで汗を流す。
何もおかしなことは言ってないと思うが……。
……ああ、そういうことか。
風呂に入れると思ったのか。
「身体は資本だ。技術云々の前に最低限の身体作りはしてもらわないと。何事もそうだろう?基礎の上に技術は成り立たない。というわけで、ジムで筋肉痛めつけてこい」
茅森はワナワナと震えながら俺を指差しして叫ぶ。
「り、リンリンの鬼畜ー!!」
……?
リンリン……?
「待て何だそれは」
「あだ名」
何故そのネーミングにした?
何処ぞのビッグマムな海賊団のお母様か?
……ネタが古いな。
前世の記憶にはあるんだが、この世界にもあるんだろうか?
「これから腕立て腹筋ベンチプレス……死んじゃう!ほんとにほんとに死んじゃうぅ!!」
「おいタマァァ!!」
「は、はいぃぃ!!」
「死なば諸共だ。さっさっと行くで……」
「足ガクブルじゃねぇか…よくそんな上から目線で言えたな」
「……もう駄目よ足が動かない…!腕も動かない!挫けそう!!」
「お前諜報員だろ諦めんなよ精神軟弱か…」
うーん。カオスってるな。
頑張れ和泉。
この中で一番マトモなのはお前だけだ。
「まぁ、いいや。取り敢えず今日は解散。明日もよろしくなー」
そのままスタコラサッサとアリーナを後にする。
……誰かに何かを教えるのは、やっぱり楽しいな。
【メメント・モリ】を無傷(ブレザー犠牲)で乗り越えたのは暗殺教室の烏間先生が爆発トラップをほぼ無傷でやり過ごしたのと同じ原理(??)です。
それと、デフレクタ持ってないのに、トランスポートしてる理由は外部からオプションとして取り付けられてるからです。
彼のDPは大体500位です。そのうち30位が自前です。
紙です。ガチの紙です。
もし、ゲームキャラとして出てきてもディフェンダーの挑発で攻撃当たらないようにするしか無いです。
……そう考えると、蒼井との連携力がパない。
何だか、人の心情を言葉にするのは難しいです。
いやマジで。