カードゲームの歴史。
それは僅か三年の昔、ミレニアムプライスに遡るという。
キヴォトスにおけるカードゲームは銃に代わって闘争に用いられる、運命を決める儀式であった。
それは「闇のゲーム」と呼ばれたりはしなかったが。
今 好奇心でキヴォトスにカードを流通させ、思ったより流行っちゃって「あれ?これって原作ブレイクじゃない?」と大焦りする少女がいた。
光(やばいやばい何とか軌道修正しなきゃ)と闇(このままどうなるのか眺めるのも楽しいんじゃないか?)、二つの心を持つ少女。
人は彼女を「遊戯王」と呼ぶ。
「おうおうどこ見て歩いてんだコラぁ?!いまぶつかったよなぁ?!」
「んだよてめーこそふらふら歩いてんじゃねーぞコラ!」
「あんだよやるかコラぁ?!」
「おーおー上等だよやってやろーじゃねーかよ、行くぞぉオイ!」
「こいやぁ!!」
「「
どうしてこうなった……
私の名前は
うんもう名前の時点でお察しなんだけどこの世界にやってきたときにはこの名前だったんだから仕方ない。
私は三年前にこのブルーアーカイブの世界に転生してしまった健全な遊戯王プレイヤーだ。……そう、"元"遊戯王プレイヤーではないのだ。
この世界には遊戯王が存在する。なんでかって?私が流行らせたんだよ。
いや違うんです。ほんの出来心だったんです。ちょっとミレニアムプライスの時期に丁度遊戯王のプロキシ*1みたいなカードを自作して遊んでたから、それをそのまま出したらなんか大賞取っちゃって、調子に乗って会社作って*2気の向くまま刷りまくってたらどんどん広まっていって、気づけば銃弾よりカードのほうが流通量が増えてただけなんです……ちょっとこの世界でも遊戯王が遊びたくなっちゃっただけなんです……。
そんな訳で私は原作ブレイクどころか世界観ブレイクをかましてしまったのだった。色彩よりタチ悪ぃや。
ゲマトリアの人たち今どんな顔してるんだろ……何にも干渉してこないのが逆に怖い……。
「先行はアタシがもらう、アタシは『
「へっ、そんな貧弱な盤面で大丈夫かぁ?私のターン、ドロー!!私は……」
こんな風に、街中では銃撃戦ではなく
ヤンキーたちの仁義なき
察しのいい読者諸君はミレニアムプライスの名前が出た時点で分かったかと思うが、私はミレニアムサイエンススクール所属だ。
ミレニアムサイエンススクール。科学技術に特化した巨大な学園であり、キヴォトスにおける三大校の一つ。キヴォトスにおいて「最先端」「最新鋭」と呼ばれるものの多くはここミレニアムで開発され、普及したものだ。そして、ミレニアムという名前の由来は『千年難題』と呼ばれるとんでもない難問を解き明かす研究者の集まりがこの学校の前身になっていることから、であったはずなのだが……。
いつの間にか『千年難題』が『千年パズル』*3に置き換わってました。
どうして……いや絶対私のせいですね……我が書き換えたのだ……。
ちなみに学校の展示室にどうぞ解いてくださいと言わんばかりに展示されているが怖くて触れていない。触って解けちゃってもやだし……。
あと学校の授業BDの中にしれっと詰めデュエルとか裁定クイズみたいな教材が混ざっていた。もうこれミレニアムアカデミアに改名した方がいいだろ。
学校についた。普段は自治区の端っこの方にあるウチの会社*4でカード開発をしているのだが、今日はエンジニア部のウタハに呼び出されたのでここに来ている。何の用事で呼び出されたかというと……。
「やあ、オウカ。いや、最近はこう呼ばれてるんだったか。よく来てくれたね、遊戯お」
「その呼び方やめてぇ!!恥ずかしいし畏れ多い!!!」
マジでなんでその呼び名が流行ってるのかなぁ!!いやまあこないだのキヴォトス一の
出たくなかったけどさすがにキヴォトスに遊戯王流行らせた本人が出ないわけにもいかないし、出るなら手は抜きたくないし……。優勝なんてしたらその呼び方されるのなんて目に見えてたのに……!
「はは、すまない。でも似合っているじゃないか。デュエルモンスターズの開発者であり、最強の
「だとしても!知り合いにそれで呼ばれるのはヤダよ!!普通に名前で呼んでぇ!」
「わかったわかった。それでオウカ、モモトークでも伝えたが、頼まれていた新型デュエルディスクの試作機が完成したよ」
「まったく……。うん、今日はそれを見に来たんだから。実物はどこに?」
「これさ」
そういって差し出されたのは、下の方が大きいΩみたいな形をした機械。丸い部分とそれにくっつく板があり、板は五つのスペースで区切られている。丸い部分には二つのくぼみと、腕に着けられるように筒状のパーツが取り付けられている。色は赤、青、白。
うん、要するにアニメ版のデュエルディスクそのまんまだ。
遊戯王を開発するにあたって、カードの次に大事なのがこのデュエルディスクだろう。これがないと机がある場所でないと
「要望にあった
そう、ソリッドビジョン*6だ!これがないとやはり始まらない。ソリッドビジョンを使った
幸いこの世界には元から高度なホログラム投射技術があるし、ミレニアム所属でウタハと知り合いだったので以前からデュエルディスクの開発を依頼していたのだ。
「ありがとう、ウタハ!もちろんだよ、これがあれば
「それにしても、よくこんなものを思いついたね。あのミレニアムプライスの時からむこう、数多のカードを休みなく創り続けているのもそうだが、君の想像力の限界は一体どこにあるんだい?」
「あ、あはは!そうだねーほんとにどこまで行けるんだろうねーアハハ……」
遊戯王を黎明期からひたすらやり続けていたこともあって、前世でも大半のカードは覚えていたのだが、この世界にきてからは何故かすべてのカードのことを詳細に思い出せるようになっていた。普通に怖い。なんで?*7
「さて、実はここにもう一つ試作機がある。そしてここには二人の
「待ってました!実はモモトーク貰った時から早くソリッドビジョンを試したくてうずうずしてたんだ!早くやろう今すぐやろう!!」
「よし、それじゃあこっちのスペースに移動してくれるかい?これくらいの広さなら、存分にソリッドビジョンの迫力を楽しめるだろう」
「わかった!」
案内されて、バスケットコートくらいの広さのフィールドに向かい合って立つ。ああ、ようやく始まるんだ。夢に見たアニメのような
おっと、はしゃいで暴れだしそうな心は手札の奥に隠して、不敵な笑みを浮かべておかなくちゃ。
「それじゃあいくよ!」
「遊戯王のお手内、拝見させてもらうよ」
「それやめてって言ったじゃん!も~締まらないなあ」
いきなりポーカーフェイスを崩されそうになるが何とか持ちこたえて。
「じゃあ改めて!」
「いざ!」
「「