キヴォトスの遊戯王   作:ユッケじゃん

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原作突入です。


始発点

「いやそんなこと言ってないですハイ」

「嘘つけぇ!ほとんど口に出してただろうが!!」

「ヒッすみませんほんとは言いかけてましたぁ!!」

「ハァ……ったくどいつもこいつも……」

「そ、それにしてもなんでネルはエンジニア部に……?」

「あん?そりゃお前に会いに来たんだよ。お前がミレニアムに入ったって報告がセミナー経由で上がって来たから探してたんだ」

 

なんで私が自治区に入るだけで生徒会に報告が上がるんですか???私はただのキヴォトスで一番流行ってるカードゲームの唯一の開発者兼世界大会優勝者なんだけどなぁ……うん、そりゃ報告もするわ。

今のキヴォトスでは、紛争解決の手段として銃と弾に代わってカードが用いられるようになってしまっている。その革命の元凶であり、そこに人に言うことを聞かせる力(カードゲーム)が一番強いなんていう属性まで加わったら……まあ警戒が必要になりますよねぇ……この先ずーっと監視され続けるのかぁ……。

 

「一応聞くけどなんで私に会いに来たの……?」

「逆に聞くがお前と殺りあう(デュエルする)以外の理由があると思うのか?」

「だよねぇ……」

 

ネルはこないだの大会以来私と再戦がしたくてたまらないらしく、モモトークに「リベンジさせろ」「いつミレニアムにくるんだ」「早く来い」という旨のメッセージを度々送ってくるのだ。普通に圧がヤンキーのそれなので怖い。

 

「あたしが来いっつってたのに全然来ねえ割にはあたしに何にも言わず急にふらっとやって来やがってよぉ……今日こそお前に勝ってやる!!さぁさっさとやるぞ、今すぐ殺るぞ!だから早くそこの面白そうなもん貸せ!」

 

めっちゃキラキラした顔してるぅ……でも今日はね……。

 

「あー、ごめんネル!今日はもうこの後すぐ行かなきゃいけないところがあって……」

「あんだと!?あたしとの決闘(デュエル)はどうすんだよ!」

「今度絶対やったげるから!きょうは勘弁してー!!あ、ウタハ!試作品のデータとかまた送っといてねーーー!!!」

「あっおいまてこのヤロって相変わらず足早ぇなオイ!!!待ちやがれーーー!!!!!!」

 

 

 

どうにかネルとなぜか途中から一緒になって追いかけてきたC&Cから逃げ切り、I2社*1に戻ってこられた。

 

「さてさて、データは……よし、ちゃんと来てるね。これでやっと……」

 

なぜ私はここまで急いで社に戻ってこなくてはならなかったのか。それは勿論、完成したデュエルディスクのデータを用いてすぐさま生産に移るためである。これをキヴォトス全土に行き渡らせるまでにかかるだろう時間は、I2社の全力をもってしても今から数か月はかかるだろう。なんともギリギリだ。

何に対してギリギリなのかって?

それは……。

 

 

 

 

一か月後

 

連邦生徒会レセプションルームにて。

 

「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連保生徒会長を呼んできて!」

「主席行政官。お待ちしておりました」

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています」

 

「数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したという情報もありました」

「スケバンのような不良たちが、登校中の生徒たちに辻デュエルを仕掛ける頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています」

「違法デュエルディスクや拘束アームなど、出所の分からない道具の不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます」

 

「こんな状況で連邦生徒会会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ会わせて!あと、そこの隅っこにいるオウカはここで何やってるのよ!!不法流通への対処で忙しいんじゃなかったの?!」

「えっここで私?!いや私も連邦生徒会とちょっと話があってねハハハ」

「……連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました」

 

「現状を解決する方法は先ほどまで見つかっていませんでしたが……こちらの先生が、フィクサーになってくれるはずです」

「ほえ~これが先生……やっぱイケメンなんだなぁ……」

「先生は、連邦生徒会長が立ち上げたある部活の顧問として、特別に指名された人物です」

 

「連邦捜査部シャーレ。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約なしに決闘活動を行うことも可能です」

「決闘活動って何……?やっぱりみんなデュエル脳*2になってるなぁ……」

 

「シャーレの部室はここから離れたところにあり、そこに連邦生徒会長の命令でとあるものを持ち込んでいるので、先生をそこにお連れしなければならないのですが……」

「シャーレの部室?そこ今大騒ぎだけど?矯正局を脱出した学生が「今日この街は戦場になるんだからよぉ!!」とか言いながら騒ぎを起こしたの。通行人から取り押さえに来たワルキューレの生徒まで、見境なくデュエルしまくって大混乱なんだって。まあでも、とっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大したことな……あ、お昼ご飯のデリバリーが来たから切るね!」

 

「……少々問題が発生しましたが、大したことではありません。丁度ここに各学園を代表する立派で暇そうな方々、かの遊戯王までいらっしゃるので、私は心強いです」

「公的機関の人までその呼び方してるんだね???」

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう」

 

 

 

そうしてたどり着いたD.U.外郭のシャーレ部室付近では……。

 

「な、なに、これ!?」

 

見渡す限り、人型の戦士から巨大な竜、重厚な戦車に邪悪なオーラを放つ悪魔、果てはでっかい魚まで、ありとあらゆるモンスターが……いや、モンスターのソリッドビジョンが投影され、さながら質の悪い怪獣映画のような様相を呈している。

 

これだよこれ!!これが見たかったんだよぉ!!!

 

「オウカ!なんてものを開発してるのよ!!もう街がめちゃくちゃな光景になっちゃってるじゃない!!」

「いやそこは使う人次第じゃん!しかもあの人たちが使ってるデュエルディスクほとんど違法コピー品だから私関係ないって!!」

 

嘘です。コピー品が開発、流通されないとブラックマーケット周りに広まらないのであえて構造を簡単にしてシステム面もガード薄めにしておきました。

対外的には急いで開発してしまった結果セキュリティ対策が甘くなってしまった、ということにしている。

どうにか急いだ甲斐があったもんだよ~、ギリギリ連邦生徒会長の失踪に流通が間に合うかどうかってところだったんだよねぇ。

 

「さて、皆さんには前方の障害を排除、突破して、シャーレ部室まで先生を護送していただきます」

「分かってるわよ、もうここまで来ちゃったんだから。先生、先生は私たちの後ろにいてください!私たちが戦っている間は、安全な場所にいてくださいね!」

「いや、私も前線で戦いながら、みんなを指揮するよ。任せて」

「え、ええっ?戦術指揮をされるんですか?まあ……先生ですし……。」

「分かりました。これより先生の指揮に従います」

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」

えっ先生デッキあるの……?あっ、でしたら、このデュエルディスクを使ってください!最新式の、ソリッドビジョン・システム搭載したウチの正式なモデルです!」

「ありがとう、使わせてもらうよ」

「よし、じゃあ行ってみましょうか!」

 

私たちはユウカの号令とともに、混乱の真っ只中に飛び込んだ。

*1
インダストリアル・イリュージョン社の略称

*2
すべての物事をデュエルに絡め、ありとあらゆる問題をデュエルで解決し、それに違和感を持たない状態。




キヴォトスはオウカちゃんのせいでもうめちゃくちゃです。まあ元から治安は終わってるんですけども。
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