チートが斬る!   作:トマホーク

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皆様のご要望がありましたので続きを。

勢いとノリで書いておりますが(汗)








帝都にある自宅兼何でも屋の事務所でカズヤは新聞を眺めながらくつろいでいた。

 

「ふーん。最近大活躍だな、あいつら」

 

ソファーの上で寝そべりながらナイトレイドが関係している記事を読み、カズヤがそう呟いた時だった。

 

「おーい、カズヤー居るかー?」

 

威勢のいい声が聞こえたかと思うと同時に玄関のドアがドンドンドンと力強く叩かれる。

 

「この声は……レオーネの奴だな。………………居留守を使うか」

 

来る度に面倒事しか持ち込んで来ないレオーネにカズヤは居留守を決め込む事にした。

 

「おぉーい、居るんだろー?」

 

「……」

 

「おぉーい!!」

 

「……」

 

「あれぇー?本当に居ないのか?……しょうがない、じゃあ帰るか」

 

よし。

 

レオーネの言葉にカズヤがホッと胸を撫で下ろした瞬間、ドガンッ!!と玄関のドアが吹き飛ぶ音がした。

 

「あっ!?……ま、またやりやがったあの野郎ッ……」

 

何度目になるか分からないドアの破壊にカズヤが頭を抱えているとバタバタと階段を上がってくる足音が聞こえた。

 

「あ〜やっぱり居た!!カズヤ、お前何で居留守使ってるんだよ!!」

 

「ちょ、ね、姐さん……ドア破っちゃったけど……いいのかよ?」

 

「あーあ、アタシは知らないわよ」

 

玄関のドアを吹き飛ばし二階に上がってきたレオーネやタツミ、そして正体がバレないように変装しているマインが三者三様の言葉を漏らす。

 

「この野郎……いつも言って――マイン、その腕どうした?」

 

ドアを破ったレオーネに文句を言ってやろうとしたカズヤだったが、妹分のマインが腕を吊っているのを見て慌てて立ち上がった。

 

「ア、アハハッ……。昨日、ちょっとしくじっちゃってね……」

 

「……話は奥で聞く。入れ」

 

「ちょっと待ってくれ。表に待たせている子達も入れてやっていいかい?」

 

「表?」

 

レオーネの言葉に首を捻ったカズヤは窓から自宅の外を覗いた。

 

「これはまた人数が多いな。……なら地下にするか、早く入れろ」

 

「あいよ。タツミ、皆を案内してきて」

 

「了解」

 

レオーネに声を掛けられたタツミは外に行き、連れて来ていた女達をカズヤの家に招き入れた。

 

 

「で、コイツらは?」

 

家の地下深くにある巨大な地下室に皆が入るとカズヤが口を開いた。

 

「実は昨日、色町で――」

 

「はぁ……もう言わなくていい……大体分かった。治療すればいいんだろ?」

 

「あぁ、頼むよ」

 

「ったく、ほらマインもこっちへ」

 

「はーい」

 

レオーネの説明を遮りボリボリと頭を掻いたカズヤは早速、片腕を骨折しているマインや薬漬けになっている女達の治療に移った。

 

「――……なぁ姐さん、治療ってカズヤ1人でやるのか?」

 

「ん?あぁ、そうだよ。――……おっともう始まるから黙って見てな。面白いものが見れるからさ」

 

することが無くただ突っ立っているタツミの問い掛けに含み笑いで答えたレオーネは、口の前に人差し指をピンと立てタツミにウィンクを送った。

 

「さてと……多重影分身の術」

 

「なっ!?」

 

カズヤの言葉と同時にボフッ!!と幾つもの煙が発生したかと思いきや、煙の中から大勢のカズヤが地下室に出現した。

 

「ね、姐さん……これって……一体……」

 

「どうだ、面白いだろ?」

 

驚愕するタツミを余所にレオーネはニシシシと愉しそうに笑っていた。

 

 

「……そうか……シェーレが逝ったか……」

 

「……うん」

 

局部的な人体錬成と医療忍術、更に治癒力を高める為に核鉄をマインに持たせたカズヤは治療を行いながら事の成り行きを聞き終えると小さい声でそう言った。

 

シェーレを殺った相手はセリュー……か。

 

……クソッ。多少緩和されたとは言え、この忌々しい“制約”がある以上好き勝手な行動が出来ん。

 

まったくもって歯痒い。

 

黙々とマインの治療を続けながらカズヤは苦々しい思いを抱いていた。

 

「さて、もういいぞ」

 

「……うん、完璧に治ってる。ありがとうカズ兄」

 

先程まで骨折していたはずの腕を2〜3度振って調子を確かめたマインがカズヤに頭を下げる。

 

「おうよ。可愛い妹分の為だからな気にするな……おっ、他の奴らもちょうど終わったみたいだな。解」

 

レオーネが連れてきた女達の治療を分身達が終えるとカズヤは多重影分身の術を解く。

 

するとボボボンッとまた煙が発生。次いで煙が消え去るとカズヤの分身も煙と一緒に消え去っていた。

 

「ん〜〜〜〜ッ!!。はぁ……疲れた……」

 

能力を使いすぎたか……この感じだとしばらくの間は大人しくしてないといけないな。

 

全身を覆う倦怠感と戦いながらカズヤは思いっきり背を伸ばし首をポキポキと鳴らした。

 

「終わったみたいだね。えーとそれで……えっとさ、あの、カズヤ…その…お代の……話――」

 

「ふん、この人数だ。最初からお前に――借金があるやつに払えるとは思ってねぇよ」

 

「タハハハ……助かる」

 

治療費の支払いについて言及しようとしたレオーネの顔を見ずにカズヤは一方的にそう告げたのだった。

 

 

「……これなら介入出来るか?まぁいい。おい、マイン」

 

帰り仕度を始めたレオーネ達の背後でカズヤは悩んでいた。

 

そして思案した結果、何も手を打たないよりはマシか。と思いあるものを手に取りマインに声を掛けた。

 

「何?カズ兄」

 

「お守りを渡しておく」

 

「お守りって……何これ?……変わった形の武器ね」

 

「クナイって言う暗器だ。まぁ、普通のとはちょっと違うが」

 

「ふーん」

 

「とにかく出来る限り肌身離さず持っていろ。いいな?」

 

「……分かった。カズ兄がそう言うなら持っておく」

 

通常のクナイとは形状が異なり、またミミズがのたくったような奇っ怪な文字が書かれた紙が持ち手に貼り付けられている特殊なクナイを受け取ったマインはカズヤの言葉を素直に聞き入れた。

 

「レオーネ、タツミ。お前達にもだ」

 

「おっと」

 

「うぉっ、あ、あぶねぇよカズヤ!!」

 

言うなり放り投げられた特殊なクナイをレオーネとタツミは受けとった。

 

「それぐらい取れるだろ」

 

「いや取れるけどさ、普通に渡してくれればいいだろ?」

 

「ハッハッハッ」

 

「笑って誤魔化しやがった……」

 

タツミの抗議を聞き流しカズヤはただ笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「ふむ。苦労をかける将軍には黄金だけではなく、別の褒美も与えたいな。何か望むものはあるか……?爵位とか領地とか」

 

玉座に座る幼い皇帝が視線の先で跪く美女――北の制圧を終え帝都に呼び戻されたエスデスに向けそう言った。

 

「そうですね……あえて言えば……」

 

「言えば……?」

 

「この男を探す事にお力添えを頂きたいと存じ上げます」

 

エスデスは胸元から取り出した似顔絵を皇帝とその隣で寿司をパクつくオネスト大臣に見せた。

 

……将軍に画才はないのだな。

 

しかし……この似顔絵の男……どこかで見たような。

 

幼い皇帝はエスデスの手書きと思われる似顔絵を見て、そんな感想を抱いていた。

 

「うっ……」

 

エスデスの取り出した似顔絵を見た途端、大臣は顔色をガラリと変え寿司を食べるのを止めた。

 

「どうした大臣?」

 

「い、いえ……なんでもありませんよ。陛下」

 

こ、困りましたね。あの男に言われて(脅されて)エスデス将軍の元には情報が届かないようにしていたのですが……。

 

約束を反故にするとなると……。

 

いえ、逆にエスデス将軍に情報を渡してあの男の手綱を握ってもらいましょうかね。

 

……少々、危険な賭けですが。

 

「そうか?顔色が悪いようだが……」

 

引き吊った笑みで何でもないと答えるオネスト大臣の姿に首を捻る皇帝。

 

「……まぁいい。よし、将軍の望みは叶えよう」

 

「ありがとうございます」

 

「しかし……その男は誰なのだ?」

 

「私の恋人です」

 

「「……」」

 

エスデスの答えに玉座の間は凍り付いたのだった。

 

 

 

帝都近郊を進む馬車の中で元大臣のチョウリとその娘のスピアが話をしていた。

 

「――いい娘に育ったのう。勇ましすぎて嫁の貰い手がないのが玉に傷だが……」

 

「そ、それは今関係ないでしょう父上!!それに私には心に決めたお方がいるのです!!」

 

「? あぁ、あの男か……。ワシはあまり薦めたくはないのだがのう」

 

「何故で――ん?なんだ……?」

 

馬車の進路上に3人の男が立ち塞がっている事にスピアが気が付いた。

 

「……また盗賊か!?治安の乱れにも程がある!!」

 

「父上はここに。今までと同じように蹴散らす!!油断するな!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

馬車から降りたスピアは護衛の兵士達に声を掛け、槍を構えると立ち塞がる3人の男と相対する。

 

「……行くぞっ!!」

 

大きな斧を担いだ大男がズイッと前に進み出たのを合図にスピアと兵士達が正面から一斉に斬りかかった。

 

「危ないっ!!」

 

「えっ!?キャア!!」

 

ボフンッと煙が立ち虚空から突然現れたその男に突き飛ばされるようにして後方に下がったスピアはダイダラが使用する二挺大斧の帝具『ベルヴァーク』の攻撃を受けることは無かった。

 

しかしダイダラの正面から攻撃を仕掛けた他の兵士達はベルヴァークによって真っ二つに叩き斬られてしまう。

 

「あ、貴方が何故ここにいるのですか!?カズヤ!!」

 

「説明は後だ。気を抜くな」

 

ベルヴァークに両断され上に跳ね飛んだ死体がボタボタと降り注ぐ中、スピアを庇うように立つカズヤはそう言って眼前の敵を睨んでいた。

 

「おい、リヴァ。あの男……まさか!?」

 

「あぁ、我らが主エスデス様が探しておられる男だ」

 

「へぇー。ってことはあれが噂の『黒い悪魔』かぁー僕、始めて見たよ。……でもあんまり強そうじゃないね」

 

「おい、分かってるとは思うが気は抜くなよお前達。この男は……化物だぞ」

 

「へへッ、リヴァに化物とまで言わす相手か……これはたっぷり経験値が稼げそうだぜぇ」

 

「というか、この男を捕まえて帰ればエスデス様も大喜びだね!!」

 

「うむ、そうだな。だがそう簡単にはいくまい……しかしエスデス様のため何としても捕縛する!!」

 

例え我が命が引き換えになろうとも!!

 

三獣士の中で唯一カズヤの強さを知っているリヴァは人知れず決死の覚悟を決める。

 

「おう!!」

 

「りょーかいっ!!」

 

しかしカズヤの力とリヴァの決意を知らないダイダラとニャウは主から見つけ次第必ず捕獲せよ。という至上命令が出ている捕獲対象を前に決死の覚悟ではなく、ただ気合いを入れただけだった。

 

不味いなぁ……今の――分身の俺じゃあこいつら3人の相手はちとキツイ。

 

かといってスピアとチョウリのオッサンを守りながら逃げるのも不可能……。

 

さて、どうしたものか。

 

本体のカズヤが旅をしていた時に出会ったスピアに渡しておいたお守り――カズヤの分身が変化の術を使用し化けていたもの――はスピアに命の危険が迫れば自然と変化の術が解けるように仕込んでいたため、この危機に反応して変化の術が解かれた。

 

そして目論み通りスピアの命を救った分身のカズヤだったが、相対する3人の強さに頭を抱えていた。

 

「カズヤ、あの3人は何者なのですか?」

 

「知ったら殺される可能性が高まるから知らないほうがいい」

 

「……ということは帝国の将兵なのですね」

 

「頭がいいのも考えようだな」

 

背後に隠れているスピアの言葉にカズヤはやれやれと首を振る。

 

「ッ!!来るぞ、気を付けろ!!」

 

不利な状況だがやるっきゃないか!!

 

スピアに注意を促しつつカズヤは己に活を入れる。

 

「はい!!」

 

両者が戦闘態勢を取り、いよいよ戦いが始まった。

 

「うおおおおぉぉぉぉらああああぁぁぁぁーーー!!!」

 

2つに割ったベルヴァークの片方を投擲し、残りの片割れを振りかざし斬りかかって来たダイダラに対しカズヤは一気に距離を詰める。

 

「邪魔だ!!――ぶっ飛べッ!!」

 

「なっ!?」

 

飛んできたベルヴァークを拳で叩き落としダイダラの懐に易々と潜り込んだカズヤは思い切り拳を振りかぶる。

 

「連続普通のパンチ!!」

 

「グヘハッ!?」

 

ズドドドッと凄まじい勢いで放たれたカズヤの拳がダイダラの体をボコボコになるまで打ち据える。

 

「次!!」

 

「えっ!?は、はやっ――ウグッ!?」

 

ダイダラを戦闘不能に追い込んだカズヤがターゲットを変更、背後に回り攻撃を仕掛けようとしていたニャウの顔面にヤクザキックをお見舞した。

 

「……っつう……イタタタッ……っ!?うわっ!!」

 

吹き飛んだニャウが受け身を取り、体勢を立て直そうとするがカズヤの攻撃はまだ終わっていなかった。

 

「部分倍化の術!!潰れろっ!!」

 

巨大化したカズヤの手がニャウを潰しにかかる。

 

「ハハッ、こんなのあり?」

 

迫り来る巨大な手を仰ぎ見たニャウは最後にそう呟き意識を失った。

 

残りは1人!!

 

勢いに乗るカズヤはリヴァを倒すべく次の技を出そうとする。

 

しかし、本体の半分以下の力しかないカズヤの分身の健闘もそこまでだった。

 

「動くな!!動けばこの2人を殺す!!」

 

「うっ……くっ……カ、カズヤ……ッ!!」

 

「や、止めろッ!!娘を離せ!!」

 

ダイダラとニャウを陽動にしてカズヤを引き付けている間にスピアとチョウリを捕らえたリヴァが叫んだ。

 

「……お前がその2人を殺すより早く俺がお前を殺すぞ?」

 

鬼の形相でカズヤがリヴァを睨む。

 

「……フ」

 

――ザンッ!!

 

カズヤの言葉に臆すること無くリヴァは不敵な笑みを溢す。

 

そして……次の瞬間チョウリの首が空中に飛んだ。

 

「なっ!?」

 

「そ、んな…父……上…?」

 

「ふっ……エスデス様から聞いた事がある貴様は日によって強さが変わるとな。そしてズバリ今日は弱くなっている日だろう?」

 

眉1つ動かさずチョウリの首をはねたリヴァがニヤリと不敵な笑みを浮かべて続ける。

 

「……」

 

残りのチャクラが少ない……。

 

これ以上の戦闘は無理か。

 

「貴様が本気を出せていれば我々は瞬殺されていただろうからな。もっとも、ダイダラとニャウはその事を理解していないようだが」

 

気絶し戦闘不能になっているダイダラとニャウにリヴァが視線を送った時だった。

 

「半分外れ」

 

そんな言葉と共にカズヤはスピアの心臓に向けてクナイを投げ付ける。

 

なっ!?人質を殺すつもりか!?

 

迫り来るクナイにリヴァが目を剥いた次の瞬間。

 

「俺は分身だから弱いのは当然」

 

スピアの心臓に突き刺さる寸前だったクナイを握るカズヤがリヴァの目の前に出現した。

 

「いつの間――」

 

「じゃあな」

 

驚くリヴァが動き出すよりも早くカズヤはスピアの体に触れる。

 

そしてカズヤは飛雷神の術を使いスピアを連れてリヴァの前から姿を消した。

 

「……フハハッ、あの男を捕えるのは無理だな」

 

リヴァは力なく言葉を漏らし渇いた笑いを口に浮かべていた。




時間が無いので感想返しが出来ておりません。

ですからこの場を借りてお礼申し上げます。

たくさんのご感想ありがとうございました。
m(__)m

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