モモンガさんと階層守護者たちが幻想入りしたようです。   作:レムニスケート

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はじめての小説投稿となりますので、どうか温かい目でよろしくお願いします。誤字の指摘や感想、どしどしお願いいたします。拙い文章かもしれませんが楽しんでってください。それでは、今後ともご贔屓に。


第1話 終わりと始まり

本当に楽しい日々だった。本当に......

 

 

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23時58分。骸骨の王が豪奢な椅子に腰掛け、自らが築いた歴史の幕引きの時を名残惜しそうに待っていた。彼の眼前には仲間の紋章の書かれた旗がいくつも吊り下げられ、床には赤い絨毯が敷かれている。その様はまさに「玉座の間」と呼ぶに相応しいものだった。

 

「明日は4時起きか...ログアウトしたら早めに寝ないと。ヘロヘロさん、最後まで残ってはくれなかったけど、会話できたのは嬉しかったなぁ。」

 

23時59分

 

「タブラさんは、アルベドの設定変更を許してくれるだろうか。いや、最後なんだからこれくらいのイタズラは許されるよな。」

骸骨は内心で先ほどのこと、及び今までの栄光の歴史に想いを馳せながら静かに終わりの時を待つ。

 

12時00分。ナザリック大墳墓とそのギルドリーダー、モモンガの歴史は幕を閉じーーーーー新しい歴史が幕を開けた。

 

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「ん...あれ?ここは一体...?」

 

 モモンガが目を覚ますと、そこには森林が広がっていた。青々と茂った木々が、夜風にその身を任せ揺れる。モモンガはあまり木が生えていない、小さな空き地のようなところに立っていた。

 

「なんだこの場所は?ユグドラシル内の別のエリアに突然転移したのか?」

 

 モモンガは思考を巡らせる。

 まず今口に出した、ユグドラシルのエリアに転移したという説。確かにユグドラシルには広大な草原エリアがあるのだからあり得そうではある。しかし、モモンガは、木々や草葉の匂いが漂っているのを感じ、即座にその説を否定した。VRMMOでは、味覚や嗅覚などを再現することは、プレイヤーが過度にゲームにのめり込む可能性があるとして法律で禁止されている。ならば、ここまで新鮮な樹木や葉の香りを鼻が捉えることなどあり得ない。もしこれがゲーム内だとしたら思いっきり法律に抵触している。ユグドラシルⅡという説もなさそうだ。

  

 では現実世界のどこかという説。それもあり得ない話だ。今やモモンガ、といか鈴木悟の住む地球は環境破壊が進み、このような緑豊かな自然を味わうことなどできない。一部の超富裕層の住むアーコロジーにはこういった環境が残されているという噂もあるが、それ自体が陰謀論のようなものでなんの根拠もない与太話である。それに、もし残っていたとしても、ここまで広くはないだろう。モモンガの視界は今、完全に森林で埋め尽くされている。その光景はまさに、ナザリック地下大墳墓第六階層のそれである。そこまで多くの木や土、草葉はもう保存されてやしない。それに何より、今モモンガの体はゲーム中のアバターそのままだ。豪華なローブを着こなし、腹の部分からはワールドアイテム「モモンガ玉」が見え隠れする。手を見下ろせば白骨の手には多くの指輪が通され、輝きを放つ。それに加え、自分の中に独特で、不思議な感覚があることにも気づく。それは、魔法詠唱の感覚だ。言葉にするのは難しいが、どのようにすれば自分の思い浮かべる魔法が発動できるかということがはっきりと、手に取るようにわかるのだ。現実世界なら、魔法を発動することなどできようもないのだから、ここが現実世界という線もなしだ。

 

 ならば夢の中という説はどうか。この説もやはり違う。モモンガの意識は鮮明としているし、冷静に思考を重ねることだってーーーーーーーー冷静に?

 

 モモンガは重大な違和感に気づいた。そう、今自分は『冷静』なのだ。目を瞑って開けたら知らない場所に立っていたという、衝撃的な展開が目の前で起こっているにも関わらず、一切動揺していない。普段のモモンガこと鈴木悟ならテンパリすぎて、湧いてくる疑問をみっともなく吐露するのが関の山だったろう。しかし今は心が完全に落ち着いている。ーーーまるで強制的に感情の昂りが抑えられているように。

 

 「一体何がどうなっているんだ?」

 

 ここまでの考えを整理したモモンガは、困惑を隠しきれない声音でつぶやいた。何がどうなっているのかさっぱりわからない。ここがどこなのか、そもそも夢か現か.....なぜ今自分はユグドラシルでのアバターの姿をしているのか。疑問はとめどなく溢れて止まることを知らない。ただ、モモンガは困惑と同時に、微かな喜びも感じていた。ここがどこかはわからないが、荒廃し切った現実世界では決して味わうことのできなかった、植物の香り、満点の星空、心地よい夜風、それら雄大な自然のもたらした恵みを、モモンガは全身全霊で感じ取っていた。

 

 「《フライ》」

 

 モモンガは星空になるべく近づこうと、魔法を発動させる。やはり魔法は感覚的に自然と、何も考えず唱えるだけで発動することができる。ユグドラシルの時とは違う感覚に戸惑いながらも、モモンガと星空の距離は少しずつ、けれども着実に縮まっていく。

 

 「素晴らしい......。ブループラネットさんにも見せてあげたかった。」

 

 モモンガはかつての仲間を想い感傷に浸りながら、輝く星に身を委ね、ただ静かに空中に佇む。ブループラネットさんだけではない。るし☆ふぁーさんやウルベルト・アレイン・オードルさんの顔も思い出される。彼らなら、「いっちょ世界征服でもしましょうか!」などと言い出していただろう。それを自分は冗談半分で笑い飛ばして....

いや、自分もそのノリに乗っていたかもしれない。ここまで自然が美しいなど知らなかった。この美しさを前にすれば、すべてを自分のものにしたいという欲求が起こるのも致し方なしであろう。

 

 「星空もすごいけど、見下ろした景色も絶景だな。視界が森の緑で埋め尽くされるなんて....ん?」

 

 モモンガは自分の視界に違和感を覚えた。広大な森林が彩る緑の端に、一松の朱があった気がしたのだ。注視してみるとやはり、森林の端の方に赤い建造物がたっている。しかもその形は、モモンガの見慣れた、神社の鳥居そのものだった。2本の柱のてっぺんとそこから少し下がったところが、それぞれ大小の柱で繋がれたような構造を持つ、日本の伝統的な建築の一つ。日本人なら誰もが知っているそれを眼下にとらえたモモンガは、その鳥居めがけて一直線に降下していった。

 

 

 誰か人がいるかもしれない。もし人がいれば、ここがどこなのか、自分はどういう状況なのかを教えてもらえるかもしれない。とめどなく溢れる疑問が解消されるかもしれない。そんな一縷の望みにかけて、骸骨は空を下っていく。




ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
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