かくして博麗は透き通る世界に至る   作:回忌

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抱える闇

…あの後、説明を大幅に省くが、カタカタヘルメット団のアジトをぶっ飛ばした

 

ホシノ先輩が考案し、先生の指揮の元戦った

先生はついて行ったが私とアヤネは残った

私は基本戦う気は無いしアヤネはオペレーターである

 

やると言われてもやらない、やる気があればやる

こちらの気分次第で敵のその後は決まる

 

…いや、戦わんが

 

そして、今皆が帰還したところであった

 

「おかえりなさい、皆さん…お疲れ様でしたー」

「ご苦労さまだったわねー」

「アヤネちゃんこそ、オペレーターお疲れ様」

「霊夢さ…先輩は働きなさいよ!?何もしてないでしょ!?」

 

それぞれの苦労を労う言葉が飛び交う

え?1人ニートがいた?私はありがたーい御札を書いていた

よって私は無職とか言うやつでは無い

 

幻想郷じゃ魔除けの札を書いて、売っていたものである

適当にひゅーとやってほいとするとありがてぇ御札が出来るのである

低級妖怪は寄ってこないし、中級も警戒をする。大妖怪は…会った方が悪い(暴論)

 

「これで火急の用事であったカタカタヘルメット団制圧が片付きました!」

「ん、これでようやく重大な問題に入れる」

「うん!先生のお陰だね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!ありがとう、先生!…あ」

 

言い終わった後にセリカがあっという顔をする

どうやら言ってはいけないことを言った様子だ

 

…借金って、お前…

 

この学校が抱えている問題、やっぱり面倒事だ

 

「…初耳ねぇ」

「まぁ、軽く言えるものじゃあないしねぇ」

 

ホシノが言い訳のように言った

まぁ、あながち間違いでは無いのだろう

突然現れて入学したほぼ部外者にそんな情報を渡す訳がない

 

…逆説的に私は信用されてなかった訳だが

 

その事に少し傷つきながらも話を聞く

 

「"借金って、どういうことかしら?"」

 

質問したいことを先生が言ってくれた

この人は私の聞きたいことを代弁してくれるだろう、多分

 

「……このアビドスには借金があるんです。額にして、9億6235万……。」

 

……?(理解拒絶)

…、……(理解出来た)

………、……(やっぱ理解出来ぬ)

 

9、億?…聞き間違いか何かか?

この世界の金の単位はパーッと聞いて覚えたが、大概な額ではなかろうか

そこまでの額だろうと高を括っていたが、予想外

 

霊夢は理解するまで脳がフリーズしてしまっていた

 

 「当然これだけの額が、私たちだけで返せる訳もなく……。」

 

そらそうだ、学生だもの

どうやって億単位の借金を返済しろと

 

 「……今は、利息の支払いだけで、手一杯です。」

 

逆にできるだけすごいと私は思う

私なら荷物纏めて夜逃げするだろう、出来れば

幻想郷ならそんな心配はないので心配はご無用!()

 

 「利息も払えなくなったら、アビドスは銀行の手に渡ってしまうんです……。」

 

…本当に、深刻な問題だった

生徒数が5人の時点で何かがおかしいと思ったが…

そう思っていると、セリカがガンと机を叩く

 

「――ッ!?なんで言っちゃうのよアヤネ!?

 この大人が信用できるって分かったわけじゃないでしょ!」

「…」

 

…確かに一理ある

今の今まで…この対策委員会に協力してくれた大人なぞ居ない

居たのは毎月無慈悲に利息を取りに来る大人だけだ

 

それを考えれば、セリカの事も当たり前であろう

 

「ねぇ!他の人たちも何か言ったらどうなの!?」

 

セリカは叫ぶ

恐らく、彼女には彼女なりの"プライド"というのがあるのだろう

今まで…そう、今まで誰の助けも借りずにここまでやってきたという自信が

 

…脆い、簡単に壊れるであろう"プライド"が

 

「そうは言ってもねぇー?他になんかツテでもあんのー?」

「ん、ホシノ先輩の言う通り…先生は信頼するべき」

 

そんなセリカに賛同する者は居らず

出てくるのは協力するべきということのみ

 

 

…たが、私も応と賛成するはずもない

先程の戦闘指示が上手いとか弾薬くれた程度の"功績"なのだ

それだけで信用しろと言われても困るものだ

 

「霊夢も同じような顔をしてるわ!まともなのは私と霊夢だけ!?」

 

彼女は叫ぶ

まともなのは霊夢とセリカだけなのかと

…言ってしまえばこの世界にまともな奴なんて一人もいない訳だが

 

「私達の問題は、今まで私達で何とかしてきたじゃん!

 それを、いきなり首を突っ込んで来た部外者の大人に手伝ってもらう!?

 …そんなの私は認められない!私は、大人なんて信用できない!

 そもそも、どうして皆は先生の事をそんなに信用してるのよ!?」

 

…いや、本当にその通りだ

彼女の言い分も理解できない訳では無い

というか霊夢の思っていた事と大体同じであると思った

 

 

 

 

「…私は、そんなの認めない!」

 

 

彼女はそう言うと扉を乱暴に開け、どこかに走って行ってしまった

その背中を見て、アヤネが「ちょっとみてきます!」と追いかける

…こんな所で内輪揉めしてる場合ではないと思うんだが

 

そう思いながら、筆を走らす

空気にそぐわないがそんなことに縛られる私では無い

 

「"…霊夢ちゃんも、反対?"」

 

どんよりとした空気の中、先生が私に質問した

どうやら先程のセリカの発言が気になっているようである

私は溜息をつきながら筆を置いた

 

「私としてはアンタなんて信用ならない」

「"そう…なんだ"」

「だけど」

 

確かに信用ならない

突然連邦生徒会から来た大人と言われて簡単に信用なんてできない

 

しかし

 

「利用するものは、利用する」

 

今は、それが得だ

大人の力でしか解決出来ないことだってあるのだ

利用出来るのなら利用するまで、使えなくなったら捨てるまで

 

無慈悲だろうが、"あそこ"では常であった

 

「"…ありがとう"」

「信用した訳じゃない、私に信用出来るレベルの実績を出しなさい」

 

私とて利用する立場に居たいものではない

出来れば互いに信用出来る程の関係で居たいものだ

 

いつまでも利用できると思っているのは…バカだけだ

 

そう思っていると、誰かの腹の虫が鳴り響いた

派手な、…というか何日も食べてないであろう腹の音である

 

 

「"…えっち"」

「鳴らしたの先生でしたよね?」

「"乙女には聞かれたく無いものがあってね!?"」

 

頬を赤らめながら先生が言った

…そこだけ見ればとてもいやらしく見えるが、経緯が経緯なので思わない

 

はぁ…とため息をついて霊夢は言う

 

「お昼でも食べに行けば?」

「…いいですね!皆で行きましょう!」

 

霊夢の提案に、アヤネは乗っかる形で自分の意見を言った

霊夢からはひとりで行けばええやんというニュアンスだったが…

 

「ついでにセリカも探す?」

「…なら、柴関ラーメンに行くといいわ」

 

霊夢は立ち上がり、大幣等を背中側のハーネスに挟む

どうせ私も巻き込まれるのだろう、なら先に行く準備をした方がいい

 

「どうしてですか?…どっちみちそこ以外ありませんけど…」

 

アヤネは質問した、何故そこなのかと

まぁどっちみち昼飯を食べによく行く場所なんて柴関ラーメンくらいしかないのだが

 

「そうねぇ…」

 

霊夢は10秒ほど考えた後、こう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勘がそう言ってるから」

 

 

霊夢の発言に、他の者全員が困惑したのは言うまでもない

 

 

「いらっしゃいませ! 紫関ラーメンです!」

 

 店の外でも溌剌とした明るい声が届いてきた。

 セリカの声だ、違いは全くない

 

「何名様ですか? 空いてるお席にご案内しますね!」

 

霊夢の勘…とほぼ行く場所が無かったのでここのしたのだが、的中だったようである

前者に関しては根拠らしき根拠は無く、本人は勘と言い張っている

もし霊夢がいなくても行ったのだが…彼女の勘はとても鋭いようである

 

「少々お待ちください! 3番テーブル、替え玉追加です!」

 

どちみちにせよ、セリカが居るのが確定であると分かった

その姿を確認したノノミがささっと中に入っていく

それに続くように霊夢とその他4人は店に入っていく

 

「いらっしゃいませ! 紫関ラーメンで……わわっ!?」

 

入ってきた客に対して失礼だなと霊夢は思った

そんな驚いた顔をされると困る…

まるでいつの間にかバレたみたいな感じになってるじゃないか

 

…いや、前のセリカと大将さんの反応を見て大体察していたのだが

他のメンツがどうか知らないが、ホシノは多分察してるだろう

 

というか私は大将から"聞いたし"

 

「あの~☆6人なんですけど~!」

「あ、あはは……セリカちゃん、お疲れ……」

「お疲れ」

「み、みんな……どうしてここを……!?」

 

ノノミがしてやったりという顔をしている

いつも通りのメンバーを見てセリカは見てわかる通り動揺していた

とてもいつも通りの風景、というか想像出来た光景だ

 

「あー、ここだと思ったわ」

「…どっちみち行くとはいえ、当たるとは」

 

店内に一緒に入っていく

前に来た時と変わらない店内の風景だが、客が少ないようである

お昼時だというのに…もしかしたら既に食事を済ませたりしたのかもしれないな

 

「せ、先生…!どうしてここが!?…まさかずっと尾けてたの!?」

 

え?なにそれは(恐怖)

まるで先生がずっとストーカーしていたような発言じゃないか

もしかしてこの先生、思いのほかヤバい?…まさか

 

そう思いながら、セリカに言った

 

「いや、私の勘」

「…、……そう……えぇ…」

 

別の意味で困惑されてしまった

まぁ、勘で己のバイト場所がバレるなんてもはや困惑を通り越して呆れが出るだろう

今まで勘の話をしてないので、まぁ…そりゃこんな反応されるか

 

「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれぐらいにして、注文受けてくれな」

「あ、うう……はい、大将。それでは、広い席にご案内します……こちらへどうぞ……あぁ…」

 

大将さんが顔をのぞかせ、セリカに声をかける

ぎこちない敬語を使い彼女は私達を席に案内してくれた

 

にしても、大将の姿にももう慣れたものだ

最初は少し慣れないものがあったが…

 

「お!霊夢ちゃんもいるじゃないか…また来たらどうだい?

 お客さんからも割と霊夢ちゃんの作るラーメンは好評なんだ!」

「え?」

「…あー、今回は遠慮しておくわ、大将」

 

セリカからゑッという目で見られてしまった

まさかお前も働いていたのか!?という顔である

 

他のメンツにも聞かれてしまっていたようであった

 

「えー?霊夢ちゃんいつの間に働いてたのー?」

「働くってもんじゃないわ、一日忙しそうな時があったから手伝っただけよ」

 

上記の言葉通りである

1人で柴関ラーメンに行った時あまりに客が居たので困っている大将を手伝ってあげたのだ

そこで私が見様見真似で作ったラーメンが大将レベルで美味しいと好評だったのである

 

なんでも大将とはまた違った美味しさ、なのだとか

 

「もー☆言ってくれればよかったのに」

「伝えてくれたら、私達も行った」

 

ノノミとシロコが私にそう言ってきた

来られても"客"が増えるだけだから困る…

 

そう思っていると、机の上で溶けているホシノが言う

 

「良い人だねぇ霊夢ちゃんは、私は安心して老後を任せられるよ」

「…違うわ」

 

良い、人

 

私はいい人なのだろうか?

今までことをさらけ出して、良い顔をされる人間か?

 

 

 

──────────私はそうは思わない

 

 

 

 

 

「──────────私は、悪い巫女さんよ」

 

霊夢は、そっぽを向いてそんなことを言うのだった

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