成程俺が描き続けるしかないということか(理解)
「はい、先生はこちらへ! 私の隣、空いてます!」
「……ん、私の隣も空いてる」
さて、悪い人云々は忘れてしまおう
現在の状況は先生がノノミかシロコ、どちらの隣に座るか悩んでいる
今回、セリカが居ないので私と先生はどちらとも座れる
ただ、どちらが良いか私が決めることでは無い
「"んー、霊夢ちゃんはどう思う?"」
「…シロコの隣にしたら?」
私としてはどちらでも良いのだが…
まぁ最初に出会ったのはシロコだし、少しでも気が軽くなるだろうと私はシロコを勧めた
「"失礼するよ、シロコちゃん"」
「ん」
心做しかシロコが楽しそうである
それを見てるノノミの目が暗いのは置いておいて、ラーメンを頼もう
「セリカちゃん。バイトのユニフォーム、とってもカワイイです☆」
言われれば確かにそうである
こう言った仕事の服装は大体が可愛くないものだ
この場合…来ているモデルがいいのか機能美なのか分からないものである
多分、私には似合わない
「いやぁー、セリカちゃんってそっち系か。ユニフォームでバイト決めちゃうタイプ?」
「ち、ち、ち、違うって! 関係ないし! …こ、ここは行きつけのお店だったし……」
「…行きつけの割に私が手伝いした時にはいなかったわね?」
「ウッ!?」
ホシノの質問に動揺しながらセリカは答える
その動揺を更に揺さぶるように私は追撃して行った
たまたま休みだったのかどうかはさておき、居なかったものはいなかったのである
「ユニフォーム姿のセリカちゃん、写真撮っとけば一儲けできそうだねー。どう? 一枚買わない、先生?」
「変な副業はやめてください、先輩……」
ホシノが怪しい副業をしようとしてるのを横目に、品揃えを見る
うむ、何も変わっていない…あれ?
なんか博麗印のラーメンなんてものがあるんですけど…
しかしどうやら今は売り切れと書いており、販売されてないようだ
…いつの間にか店の品に並べられているのを驚きながらセリカ達を見た
「バイトは何時位から始めたの?」
「い、一週間くらい前から……」
…それでたまたま噛み合わなかったと?
何か彼女、用事でもあったのだろうか
どちみちにしろ私は知らないことである
「そうだったんですね☆ 時々姿を消していたのは、バイトだったということですか!」
「というか、バイトなら焼き鳥屋さんが募集してなかった?屋台の」
「も、もういいでしょ! ご注文はっ!?」
度重なる弄りにセリカは限界を迎え、叫ぶ
しかしそれに臆することなく彼女達は弄る、めっちゃ弄ぶ
「『ご注文はお決まりですか』でしょー?
セリカちゃーん、お客様には笑顔で親切に接客しなきゃー?」
「その通り、客は神様って言葉があるくらいなのよ?」
「あうう……ご、ご注文は、お決まりですか……」
ホシノと霊夢のダブルコンボによりセリカはバイトの責務を全うすることになった
赤面しながら注文を尋ねるその姿はなんとも美しいものである
…まぁ、そうしたのは私たちなのだが
「私は、チャーシュー麺をお願いします!」
「ん、私は塩」
「えっと……私は味噌で……」
「私はねー、特製味噌ラーメン!…炙りチャーシュートッピングで!
先生も遠慮しないで、ジャンジャン頼んでねぇ
この店、めちゃくちゃ美味しいんだよー!
アビドス名物、紫関ラーメン!聞いたことはないだろうけどネ…」
「"じゃあ、柴関ラーメン1つ頼めるかしら?"」
「私もお願いね、セリカ」
次々と注文が舞い込む
それらをまとめて紙に書き、確認する
大将に注文内容を言う直前セリカはこちらを見た
「そういえば代金はどうするの?
まーたノノミ先輩に奢ってもらう予定だったりしないよね?」
心配そうな顔である
確かに利子の返済や借金により金銭面は心配なところがある
…ノノミが私以外の者たちの分を払っていたのは聞かなかったことにしておきましょう
「私は自分で払えるわ」
「おー?霊夢ちゃんがお金を持ってるなんて」
私が財布を取り出し、お金を見せるとホシノに驚かれた
失礼な、私だってお金は持っているのである、全く…
「どこから手に入れたの、それ」
「…安心して払えるからセリカは心配しなくていいわよ」
「霊夢ちゃーん?」
…いや、やましい金では無い
本当にやましい金では無いのでそんなにほっぺを引っ張らないで欲しい
「…売られた喧嘩は買うスタイルなのよ」
「君喧嘩は売るタイプでしょ?前見てたよ」
おっと見られていたならしょうがない、ダメだな
売ったり売られたりしてもう何が何だか覚えていない
取り敢えず、"巫女服の女"はヤベー奴という噂が不良共の間に広まったくらいである
なんでも急に「不良?」と聞いてきてYESと言えばボコされNoと言えば「見た目が不良」とボコされるとか
…なんともヒッドイ奴である、怖いな
「"霊夢ちゃん、後でお説教ね"」
「余計なお世話よ…」
先生が全く笑ってない目でこちらを見ていた
…やっぱりこの人先生だわ、と後のお説教で霊夢は思い知ることになることを今はまだ知らなかった
「"後、私が払うから大丈夫だよ"」
「本当!?」
「うへー、太っ腹だねぇ先生は」
懐からカードを取り出し、ムッふーとした顔をする先生
水色の、煌々と輝くカードである、なにそれ?
金色の四角いマークのようなものだけがあの青く無いようである
…この世界の基準がよく分からない…
そう思いながら、現れた出来たてのラーメンを腹一杯頬張ったのだった
〇
食べ終わってから数時間
既に皆とは別れた後、霊夢は1人で夜のアビドスを歩いていた
今日は少し学校から離れ土地勘を鍛えるために歩いている
大体の立地などを覚えておけば後々楽である
そう思いながら、歩いていた時だった
…暗闇に、人がいる
「…誰かしら?」
大幣と札を持って警戒、同時に相手を観察する
どうも、スーツを着ている人物のようだ
体格からして男…そして確定で大人だ
「クククッ、初めまして"楽園の巫女"よ」
「…へぇ、私の2つ名とも言えるものを知ってるなんて」
それと同時に暗闇からその人物が姿を現す
その人物の顔は無く、炎の様なゆらめきがあるだけだ
そこに稲妻のようなものが駆け走り、目や口のようなものを作り上げている
…妖怪みたいな野郎だ、霊夢はそう思った
「まぁ、武器を下ろしていただけると幸いです…私に敵意は無いので」
「そう?だからといってあんたをボコボコにしない理由がないのだけれど」
「…はぁー…」
その人物は大袈裟な様子でため息をついた
くっそデカい溜息である、そこまで言うのかよお前
「とりあえずいいでしょう…私が来たのは取引のためです」
「遠慮するわ」
「早いですよ博麗の巫女、内容くらいは聞きましょう?」
即刻、切り捨てた
こんなヤツの提案する取引なんぞクソみたいなものでしかない
ちょっと黙っててもらいたい
やつの足に向かって札を投げた
突然のことによりやつは反応出来ず、札がぺたりと足に張り付く
「ククッ、一体何…これは!?」
「どう?動けないでしょうね、今のあんたは」
『封印』と書かれた札は奴の足に張り付き、何故か彼を動けなくしてしまった
見た目人外であるため、通用するか多少不安だったが大丈夫そうである
やはり博麗の札、博麗の術最高である
「これなら心置き無く聞けるわね、何時でも殴れるから」
「野蛮ですねぇ…まぁ、いいでしょう」
不服ですが、とそいつは言いながらネクタイを閉めた
…こんな状況で余裕のようである、これが大人って奴か
私の好きなタイプでは無い、クソが
そう思っていると、彼は、取引の内容を喋った
「…え」
それは、理解したくないもので
──────────理解を、出来ないもので
「…聞こえませんでしたか?"幻想郷を滅ぼした"化け物を作ったヤツを教えると言っているのですよ」
「…は、そう」
理解をしたくなかった
あれが…あの化け物たちが何かの使者という訳でもない
人造の、化け物だということを理解したくなかった
そういえば、紫が所々に縫合痕や改造の後があると言ってたっけ…
「…どいつよ」
「まぁまぁ、慌てずに─────ぐぶぁっ!?」
「どこのクソ野郎だと聞いてるでしょうがぁ!?」
霊力を大幣に込めてぶん殴った
黒服が悲鳴をあげる、口から黒い、血のような物が垂れていた
「私を殴る、だと…クククッ!やはり貴女は興味深い!」
「さっさと吐きなさいよ…質問は既に"拷問"に変わっているのだから」
ぶつくさ何かを言おうとしている黒服を制す
ちなみに黒服とやつの名前を決めたのは真っ黒な服が印象に残ったからだ
まっくろくろすけでも良かったが
「…私の取引のポリシーに反しますが…いいでしょう」
「…、……(大幣ペシペシ)」
「おお怖い怖い、どこぞのハゲ教師のよう…わかりましたわかりました言います、言いますから
それなかなか痛いんですから止めて下さい…」
勿体ぶっているクソ野郎を殴ろうとしたら泣いて懇願された
いや、こいつに泣くという生体機能があるかどうかは分からない
…声が、泣いていた、感じである
息を落ち着けた黒服はその答えを名乗る
「…アリウスに住まう、"マダム"という人物を探しなさい
彼女が、貴女の都を滅ぼした化け物を作った」
「何故」
アリウス…アビドスのような感じで、どこかの自治区だろうか
ゲヘナやミレニアムに関しては聞き覚えがあるが…アリウスは聞いたことがない
余程、田舎なのか?
とはいえ、何故そんなものを…?
「知りませんよ、そんなこと
…でもなぜそちらに渡ったか大体分かります」
「…」
「あの化け物どもの処分が面倒で、どこかに流したと聞きましたが…
まさか、そのせいで──────────」
「ありがとう、黒服」
大幣を握りしめ、黒服に近づく
彼はん?という疑問符が見えそうな顔をしていた
「確かに私は黒服と呼ばれてますが…それも、博麗の勘って奴でしょうか」
「情報提供感謝するわ」
「それはどうも──────────ごわっ!?」
殴る
大幣を使い、やつの顔面をぶん殴る
薄く白色に輝く大幣がやつを蹂躙していく
「待て…!私は貴女に情報を───────おわっー!?」
「だから対価を?私をよく知らないようね」
十三回程大幣で殴った後、やつに向けて大幣を向ける
その瞬間、体の周りを七色の弾が回転していく
「私は、人で無いものとは一切取引なんて、しないわよ」
「なっ…どういう教育を受け────────オ"ァ"ア"ァァ!?」
黒服は七色の大きな追尾弾が直撃し、土煙が吹き上がった
霊夢はパンパンと手のひらを払いその場を後にする
「…アリウス、マダム…覚えたわよ、マダム…」
その目に、深淵よりも深い憎悪を抱きながら
〇
「…初めてですね、死にそうになったのは」
土煙の中からボロボロになった黒服が現れる
時折フラフラしながら、足元に落ちている"札"を拾い上げた
「しかし、それに見合うだけの"対価"は頂きました」
『封印』と書いてあるそれをじっくり見ながら黒服は呟く
その札に入っている物の価値はあのババアに比べれば1000倍もの価値がある
彼女には悪いが、犠牲になってもらおう
「すみませんね、ベアトリーチェ…記憶には留めておきますよ」
そういいながら、黒服は夜の闇に消えていったのだった
どっかで見た
「サオリwwwwwwアレやってよアレwwwwwww
ほらあれだよアレwwwwwww」
「俺撃った奴」
が忘れられなくてツライ
飛田ボイスで流れるのが更に辛い