特にベアトリーチェ、テメェは死刑だ
カイザーはアビドスにちょっかい出したので死刑
あれから数日が過ぎ、カタカタヘルメット団の被害も少なくなっていた
襲撃の頻度が減り、もはや一週間に一回程度の頻度になっているともはや皆も欠伸が出るものである
故に、通例会議というのを久しぶりにしたものの
「なんで!なんで皆さんはまともな案を出せないんですか!
銀行強盗からアイドル…挙句の果てにマルチ商法なんて!
先生や霊夢ちゃんが居なけりゃどうするつもりだったんですか…!」
若干…というか普通に怒っているアヤネを引き摺って柴関ラーメンに来ていた
アヤネが怒るのは珍しいことではある、今まで私は1度も見ていない
まぁ、あの会議ならキレるのも仕方ないことである
皆笑える冗談のつもりで言ったのだろう
…数人冗談では無いようだが、私の知ったことでは無い
というかそれと状況が状況なので冗談にしては苦しかったようである
「いやぁ、悪かったよアヤネちゃーん、おじさん反省してるからね、ね?
ラーメン奢ってあげるからさ?」
「怒ってません…」
「はーい、お口吹きましょうねー☆」
「赤ちゃんじゃありません私はッ!」
…どうも怒っている後輩を窘めるのも楽しんでいる辺り、彼女達にとって可愛い後輩なのだろう
困っているような顔ではなく、楽しんでいる顔だ…先輩方は
「…いや、こうなった原因は貴女達にあるのよ」
「んー?なんの事かな霊夢ちゃん?」
そう、こうして窘めているコイツらがアヤネの怒りの原因なのである
先程行われた会議の中にて、どうやってアビドスの借金を返すかが議題となったのである
まぁ、会議の題名は真面目なものである、会議の"題名"だけは
内容がヒッドイもので『真面目に仕事するだけじゃ無理!一発逆転!』というセリカから全て始まった
詐欺から始まった会議はスクールバスジャック、銀行強盗、スクールアイドルに終わり…まぁ、ろくでも無い会議だった
「あと、霊夢先輩は人のこと言えない」
「シロッコは少しお静かにして頂けるかしら?」
「そうだよー、『博麗印のありがーたい御札』なんて…ここじゃ詐欺話と同じようなものだよ?」
私も博麗の札を売ろうとしたのだが、却下された
理由はホシノの言う通り、この世界では詐欺紛いの話である
霊力も不思議な力も信じられていない、あの世界にいた頃の外の世界より進歩しているこの世界
それなので、余程の信仰家ではないと買ってくれないのだろう
ホシノ達は私の札の効力を知っているが、それでもだろう…
「…そういえば先生、この話は考えてくれたかしら?」
「"あぁ、シャーレに直属する話?"」
「何それ!?」
ホシノがダンと机を叩きながら叫んだ
あまりの行動に、他のメンバーが驚いた様子でホシノを見る
少し興奮しすぎたと彼女はうへーと誤魔化しながら席に座り直した
「…、…霊夢先輩、どういうこと?」
「私は、1つの場所に留まるのは好きじゃない」
霊夢は目を瞑りながら言う
「何かの場所にいるより、"自由"に動いていたい」
「…それで、アビドスを離れると?」
シロコは目を細めてそう言った
僅かに感じとれる、静かな怒りがそこにはあった
「私は捨てる訳じゃない、わがままかもしれないけど…私はもっと世界を見てみたい」
霊夢は空を見ながら言った
もちろん、それはアビドスの面々からして許されるものでは無い
しかし、そうでない者もいる
「…いいよ」
「シロコ先輩!?」
「私は確かに、霊夢先輩は縛られる存在じゃないと思う
もっと遠くに、目に見えるけど…しかし届かない場所にいるべき"存在"」
シロコは、言った
それは彼女にとって霊夢がある種の尊敬を向ける存在であると言うことを示唆していた
手に取れるようでなかなか手に取ることは出来ない、宙に浮く綿のような存在
「…霊夢ちゃんは本当にいいと思ってるの?」
「私は、私は何者にも縛られること無い巫女だから」
ホシノは理由になっていないとも、なっているとも思った
矛盾した感情ではあったが少なくとも悪い印象は残らなかった
アヤネも、ノノミも、セリカも激しく反対はできなかった
この2人が言うならばおそらく仕方のない事だと思った
しかし、それでも
「…絶対、会いに来てくださいよ」
「…!そうよ!約束よ!霊夢先輩!」
「来たらぎゅーって抱きしめて上げます☆」
再会を
どこに浮かんでいようと、舞い戻って来ることを彼女達は望んだ
あらゆるものから縛られない、"博麗の巫女"に対して
そんな、ある種の微妙な雰囲気をぶち壊すかのように店の扉が開いた
紫色の、ここらでは見ない服を着た学生のようである
おそらくアビドス以外の学校から来た物だろう
この雰囲気を紛らわす為か、霊夢以外のメンバーは他愛のない話を始める
セリカはもちろん責務を全うする為彼女に声をかけに行った
その中、霊夢はその生徒をじっと見ていた
「こ、この店で一番安い品物はなんですか…」
ここから見てわかるレベルのコミュ障だ、あれは
ひたすらに辺りを見渡し、そのショットガンにかかった引き金は今にも引かれそうである
よく見てみると、ポケットにはC4と呼ばれる爆弾の遠隔スイッチも見えた
…テロリスト?
無いか、ただ自己防衛の意識が高いだけなのだろう
もしくは武器として持っているか、またはオシャレか
セリカはそれに対して一番安いメニューを答えると、目に見えるレベルで目を輝かせ、店の外に出る
どうも外に友人がいるようである、あの反応はそうだ
その思った通り、3人の人物を引き連れて店の中に入ってくる
4人は席に座ってラーメンを頼んだ…箸4人分で、1つの柴関ラーメンを
…?聞き間違いか?
もしかしてあの学生達はお金を出しあってようやくラーメン1つだったりするのか?
というか1つのラーメンを4人で分け合うつもりなのか?
…ただの学生なら、ここのラーメン代位は払えるはず
それ程までに柴関ラーメンは懐に割と優しい価格なのだ
──────────一体全体、何に使ったというのか
「ホシノ」
「うへ」
鳴くような声をホシノが出す
しかし、この程度で霊夢の考えていることは伝わった
…やがて彼女達が談笑を始めた
聞き流す程度にしていたが、どうも変な会話だ
どうもあの赤髪の奴が『社長』という身分らしい
そして今回の奇行は"今日の襲撃"の為、傭兵を雇ったからだそうだ
…いや、変というか
「…ダダ漏れというか…」
「…わざとだと思う?」
「…あの赤髪は多分、素ね」
なんとも響く声で喋るものである
あれが演技とすれば中々の切れ者…いや、演技でも本音でもバカである
なんで此処で言うんだろう、あの社長さんはアホの子なのか
…多分、そうか
「はい!どうぞ!」
セリカが明らかに量が多い柴関ラーメンを置く
どうやら大将さんがこの子達の為に気を利かせてくれたようだ
その証拠に、私が彼を見るとこちらにウインクをしてきた
なかなか、良い大人らしいじゃないか
「美味しかったー!」
「くふふ!あの"焼き鳥屋さん"よりはいいわね!」
「あそこは500円で焼き鳥5本だったし、仕方ない」
「まぁ!彼女も雇えたからモーマンタイよ!」
その後、彼女達はラーメンを食べ終えて店を出て行った
きちんと柴関ラーメン1つ分の代金を払って、である
さて
「…皆、聞いてほしいのだけれど」
「?どうしましたか霊夢さん?」
アヤネが不思議そうな顔でこちらを見る
その口元にネギがついているのは放置しておくとして、テーブル肘をつく
「さっきの子達、多分学校に攻めてくるわよ」
「!?あ、あの子達がぁ!?」
「ん、本当に?」
セリカが一番驚いていた
まぁ、そうか、接客していたし…あれだと尚更悪人には見えないか
「ね、ホシノ」
「そうだねぇー、会話ダダ漏れだったからね」
「"じゃあ、早く帰ろう!"」
先生が箸を置き、そう言った
ご満悦な顔である…どうやら柴関ラーメンを気に入って頂けたようだ
そのるんるんな心を痛めなければならないのは、少し心苦しい
しかし、こちらもアビドス学校を奪われる訳にはいかないのである
〇
「…大規模な兵力接近中!傭兵のようです!」
「やっぱり来たわね」
アビドス対策委員会部室、アヤネと2人っきりだ
先生には少しだけ前線に出てもらっている
まぁ、彼女も前線に出るのが良いらしく、変わっていると私は思った
司令塔は司令塔らしく、司令室に居ればいいのに
『傭兵?結構高いらしいけど?』
「…あぁ、そういう」
なるほど、あの子達がラーメン一個を4人ですすっていたのはそういう背景があったわけだ
ある意味仕方ないわけではあるが…まぁこっちからしたら知らんことである
『"…皆、一気に奇襲をかけるよ"』
先生はタブレットで敵の位置を確認した後そう言った
校庭にある障害物を利用して奇襲をかけようという話のようだ
…"だと思った"
「皆、敵が来るであろう場所に渡した札を貼りなさい」
『これのこと?分かった』
無線機を取り、各位に連絡した
彼女達が出る前に渡したものである
これならばいくら相手が多かろうが打破できる
そういう品物である
皆が予測地点に札を貼り付けたのを無線で確認する
貼り付けた、と無線から返信が来た
「…できるだけ札から離れなさい、アフロになりたくなければね」
『…うへ、そういうことかー』
『ん、分かった』
ホシノ、というか大体のメンバーは察したようである
遮蔽に隠れ各々の武器を構える
『ど、どういうことか分からないわ…』
…約一名は放置だ、忘れろ
そう思っていると敵の反応が校門まで来ていた
「…?誰も居ないわね」
「おかしい…柴関ラーメンで聞かれた筈なのに」
「……、まぁいいわ!今回は楽な仕事ね!」
白黒の髪の女が警戒している様子だ
おそらくあの子ともう1人のメスガキが頭のキレる奴だろう
…紫の奴の印象は、狂信者だ、あれはヤバい
「…先生、合図で"吹っ飛ばすわ"」
それはそうと、奴らは大体の位置に来ている
かなり校庭内に侵入されている、本来ならば侵入するのことの出来ない場所も、だ
『"お願い"』
「起爆」
瞬間、閃光が走る
遅れて爆発音が響き傭兵達の悲鳴がこだましていく
爆炎は霊力故に土煙が晴れるのは早い事だった
「き、奇襲!?」
「クソ!やっぱり待ち伏せしてた!」
白目を剥いた赤髪の子が叫ぶ
白黒の髪の子は冷静に体制を立て直そうとする
しかし、そうはさせないのが待ち伏せである
『"行くよ!皆!"』
『『『おー!』』』
──────────ただ、何事にもイレギュラーはあるものであった
火柱が急に立ち上がり、攻めかかったアビドス対策委員会の面々を吹っ飛ばす
どうやら火傷をする程度の火力であり見た目以下の威力のようだった
「何が!?」
「…、……あれは!」
霊夢はそれを確認すると同時に、窓枠に手をかけていた
とある姿が火柱の真ん中に浮かんでいる
その姿を、私は知っている
いいや、知らない筈が無いのであるから
やがて火柱が晴れ、その姿が顕になった
「──────────藤原妹紅!」
滅びた郷の住民が、ここに存在していた
今の段階じゃ不死組以外で生きてるのは二三人だったりする
この後の展開やら設定やらでモリモリ増える
仕方ないやん、幻想郷の奴らしぶとい越えて鬱陶しいレベルの生命力やもん