して、どうにかしてこの悪行を暴く必要がある
問題は何をして悪行を世間にばらまいてやるかである
霊夢はこういうのは苦手なので、意見を出さずにいた
すると、シロコが苦肉の策のように言う
「あれしかないね、もう」
「あー、あれかー…もうあれしかないのかー」
ホシノが諦めたようにそう言った
しかしその目は確かに楽しみが目の前にあるかのような輝きを持っていた
もしかして、シロコがやろうとしているのは…
「ん、銀行を襲う」
「えっ」
「お、マジか嬢ちゃん」
「だよねぇ、そういう展開になるよねぇ」
青い覆面帽を被ったシロコがふんすと格好をつける
妹紅は面白い事が起きるのを察知して笑う
どうやら苦肉の策というのは銀行を襲うことのようだった
怪しい奴を叩き、証拠を得る
なるほど、どこも変わらないようであった
シロコにある種の感情を抱きながら霊夢は続ける
「で?それは勿論1つじゃないわよね」
「勿論」
覆面帽を彼女はバックから取り出した
数は…霊夢と先生とヒフミを除いた分存在していた
「…ここまで来たらやるしかないか!」
まともだと思っていたセリカは悪の手に堕ちた
これが最近流行りの悪堕ちって奴か?ならば可愛いものだな
いつの間にかアビドスのメンバーは全員覆面帽を被っていた
霊夢は数が無かったので被っていない、そもそも参加する気がない
『…仕方ありませんね、他に方法もありませんし…
今回だけ特別に許可を出します』
アヤネは諦めきった声でそう言った
一番のブレーキ役が諦めるあたり、もうこれしか策が無いのだろう
全く関係ない妹紅は様々な想像をして笑っていた
「…あ、ヒフミちゃんの分はこれ」
「えっただの紙袋…番号と穴が空いてる!?」
シロコは間に合わせかのように紙袋を取り出し、ヒフミに渡した
どうやらたまたまバックに入っていたもののようである
なんという偶然だろう、本当に偶然かコレ
「じゃあ先生、例のセリフを」
シロコが先生に向き、そう言った
呆れたような顔の先生ではあったが、遂に諦め
「"皆、銀行を襲っちゃうわよ!"」
高らかに、そう宣言したのだった
〇
「やれやれ、最近の若いもんは楽しそうだな」
ため息を吐きながら妹紅は言う
その視線の先には配置に移っていくアビドス対策委員会の姿が見える
霊夢と先生はどうやら別の場所に移動したようだった
既にその姿は見えない、後霊夢に焼き鳥5本奪われた
「銀行、銀行ねぇ…」
アビドスの借金は"知ってる"
というかそこらのスケバンが話のネタに使うレベルだ
来る客がそんな話をするもんだから嫌でも記憶に残る
にしても、アビドスも可哀想だ
大人の事情で全てを搾り取られる
社会の縮図、とも言えるのがこのキヴォトスか
「永琳もなぁ、"危う過ぎる"って言うくらいだからな」
私でも分かるくらい、このキヴォトスは危うい
20歳にもならない子供達が国を統治しているようなものなのだ
明らかに不安定な上にいつ瓦解してもおかしくない話だ
そう思うと
「連邦生徒会長とかいう奴、人間か?」
最近の失踪までこの国をワンマンで統治していたらしい連邦生徒会長は人間なのか?
そもそもワンオペで国を統治するとはどういうことだろうか
まさか1人で全ての仕事を終わらすとかいう無茶をしていた訳じゃあるまい
そんなことが出来る人間なんている訳が無い、しかも子供で
大人ならまだ分からんことも無いが…ここはキヴォトス学園都市
もしかしたら、彼女はスーパーAIだったりするのだろうか
「…あ、そうだ」
ふと、あることを思い出し懐から携帯を取り出す
銀行であることを思い出したので、伝える必要があると思ったのだ
だが早まることでは無い
ポケットから煙草を取り出し、親指に火を付ける
ライターとかZIPPOが必要ないのは便利だ
こんな体になっても良いと思ったのはそれくらいだ
…いや、これは霊力とかそういうものなのだが
そう思いながらとある人物に電話をかける
1コール後にその人物は応答した
『どうしたの、妹紅さん』
「あー、カヨコ?伝えたいことがあって」
最近は便利屋と行動することが多い
といっても私は焼き鳥屋をしてるだけで、彼女達の役に立つ事は無い
時折年長者としてアドバイスをするくらいだ…後依頼の手伝いだとか
これは、ただ単なる報告だった
「そこ、銀行強盗に今からあうらしいよ」
言った瞬間、銀行の方向から爆音が轟いた
〇
「何時間待たせんのよ!半日以上待ってるんだけど!」
「申し訳ございません、少し業務が滞っておりまして」
キッーと銀行員に怒るアルを横目にカヨコは銀行内を眺めていた
何故闇銀行に便利屋の面々が居るかと聞かれれば、普通に資金調達の為である
前回の襲撃の際に有り金は全て使い、ラーメンを買う金も無くなった
簡単な仕事だと思っていたが、手痛い反撃を受けた上に妹紅が殺された
本人は素知らぬ顔で焼き鳥屋をしていたので気にする必要も無い
そこからまた依頼を受けたのだが、雇う金はどこにも無い
かと言って4人でアビドスを攻める訳にはいかない
妹紅に頼むのも手だが、「アウトローは全て己で成す!」というアルの言葉により却下された
現実見て
なので、金を借りる必要が出来た
こんなゲヘナの問題児が集まった信用の無い部活に金を貸してくれる場所など闇銀行しかない
故に今カイザーローンの銀行に来ている訳である
しかしまぁ、現実は非情である
「結果から申しますと、融資は出来ません」
「なんですってェエエエエ!?」
知ってた
来る前から大体こんな感じになるんだろうなぁーって思っていた
考えてみればすぐに分かることである
実績も無い何処の馬の骨かも分からない部活
そんな所に投資して何か得があるかと言われればある訳が無い
全くもって彼の言う通りである
ヤレヤレと会話をみていると、電話がかかってきた
誰なのか見てみると、藤原妹紅とある
何かあったのだろうか?そう思いながら電話に出る
「どうしたの、妹紅さん」
『あー、カヨコ?伝えたいことがあって』
気怠げな、やる気のない声が聞こえる
何か伝えることがあるにしてはかなりだるそうな声だ
しかしこの人はいっつもこんな声をしている
どこで何を経験したならそんな疲れきった声を出せるのやら
恐らく煙草を吸っているのだろう
吸った息を吐き出す音が携帯越しに聞こえる
痺れを切らしてこちらから言おうとすると、あちらから声が聞こえた
『そこ、銀行強盗に今からあうらしいよ』
「…!?」
それと同時に電気が消える
ありとあらゆる電気が遮断されたようでテレビ等もさっぱり消えていた
「えっ!?えっ!?」
アルのたどたどしい声が辺りに響く
彼女の声が大きいだけで他の人物も困惑しているようだ
ホルスターからハンドガンを抜き、スライドを引く
今度は入口にて大爆発が起こった
瞬間響き渡る客の悲鳴、混乱する人々
「全員手を挙げて!」
「あはは、怪我しますよ…」
入口のあった所から覆面の女達が侵入してくる
とはいえ素性を隠している顔面だが、その服装で直ぐに誰か分かった
「アビドス?」
「面白くなってきた」
ムツキが悪い顔をする
明らかにロクでもないことを考えている顔だ
私は関わらないことを決めて、アルを見た
すっごい輝いた目をしてた
「アルちゃん?」
「か、カッコイイ…!」
駄目そう(諦観)
どうやら彼女達がアビドス対策委員会である事に気付いていないようである
気付いていればこんなにも輝いた純粋無垢な目をするわけがない
どうしよう、これ
「ムツキ?」
「まぁ、ほっといていいんじゃない?」
ムツキは面白そうなものを見る目で彼女たちを見ていた
今は確かに言わない方がいいのかもしれない
どうせ後で言うことになるだろし、今言って騒がれても困る
ハンドガンのセーフティをかけてホルスターに仕舞った
「コレに────────」
「金ですね!!!入れますので待っていてください!!!(迫真)」
青い目出し帽を付けたアビドス生が銀行員に銃を構える
それに対して怯えきった銀行員はまともな判断も出来ていないのだろう
命の為に…いや、機械なんだが…金をバッグにありったけ詰めて出す
「入ってるけど…違う、金じゃ」
「まだ足りないんですね更に持ってきます!!!(迫真)」
青い子が困惑し、銀行員はさらに金を取りに行こうとする
面倒臭いなったのか背中を向けたところを彼女は銃撃した
普通に無慈悲だなと私はおもった
「シ…ブルーちゃん、例のものは手に入ったー?」
「ん、バッチリ…」
ピンクの子がショットガンをリロードしながら言う
少し目を伏せながらブルーは言って入口に向かった
多分金が目的では無いのだろうな、アレは
アビドスが借金をしていることは知っているが、こういったことに手を染める連中では無いことも知っている
となると尚更選択肢は限られるわけであるが…
「ま、いいか」
関わりたくないカヨコは考えることを放棄したのだった