集金記録簿について話し合った翌日、霊夢は柴関ラーメンへ来ていた
来ていた理由は簡単で、大将に助けを求められたのである
どうやら本日は大量にお客さんが来てらっしゃるようで、大忙しのようだった
私は面倒だったので、セリカが居るでしょと返した
しかし誠に残念なことに彼女は外しているようである
まぁ毎日彼女が来ることも出来ないのだろう
彼女だって女の子だ、休んで遊びたい年頃…の筈、だ
やることも特にないので久々に働くことにした
大将から求められた点もあり、前の働きぶりが功を奏して面接も無く採用された
即時採用とはなんとも気前がいいものである、現実もそうでありたい
「霊夢ちゃん!豚骨二個頼むぜ!」
「合点」
大将や客からの注文を捌いていく
大将程美味く作れはしないが、それでいい
横目で汗を流しながら懸命にラーメンを作る大将を見る
その目には客人を絶対に笑顔にさせるという炎が宿っている
──────天才に潰される努力家なんて…もう見たくない
ラーメンを作り、客人に出していく
時折注文を拝見し彼らの要望通りに仕事を終わらせる
こうして働くというのはとても新鮮なことである
幻想郷では異変や依頼以外で働いたことはない
そも仕事も殆ど戦闘や退治とかなのでこういう事はあまりしたことはないのである
そもそも、幻想郷に居た頃にこんな依頼をされたら、蹴る自信がある
あのころの自堕落な生活に戻りたい気持ちはある
御札を書いて売ればPON☆と金が貰える生活
時たま(半年1回周期)起きる異変を沈めればさらに感謝される
ここじゃ、そんなことは出来ない
額に流れる汗を拭いラーメンに集中する
働かなければ金は無いし衣食住も自分で見つけなければならない
…私はホシノのおかげで衣食住の衣住は手に入っている
彼女には感謝しなければならないな
足りない食はこうして補わなければならない
そう思うと、いつまでもノノミのスネを齧るわけにもいかない
彼女なら「大丈夫ですよー☆」とかいいそうだがダメだ
もうここでバイトした方がいいのかもしれない
和食ではないが、店の雰囲気が似合っている気がする
それと毎日くるのはかなり楽だ…いや、どこでも同じなのだが
空を飛んで行ける場所なら、どこでも良い
ここは大将も優しいしセリカも働いている
「おっじゃまするわよー!」
「お、お邪魔します…」
「アルちゃん、うるさいよ」
「昨日たまたま落ちてたバッグに大金入ってて良かったねー!」
「今回は私が奢ると言ったろ」
ふと、アビドス組はどうやって金を稼いでいるのか気になった所に客が来た
それも聞き覚えのある声の客達である
見てみれば、便利屋と妹紅が入ってきていた
話を聞く限り今度は全員分の金があるようである
大金の入ったバッグについては心当たりがあるが、ノノミが処分した筈なので大丈夫…のはず
まさか彼女がわざと置いて便利屋に拾わせたとか、んな事はあるまい
そう思いながら席に着いた彼女達に向かう
「いらっしゃいませお客様、ご注文はございますか?」
「ヒッ…あ、あ、巫女サン!?アイエエエエミコサン!?ミコサンナンデ!?」
「アルちゃんが壊れちゃった、どうしよう」
「ほっとけ、霊夢、柴関ラーメン全員分」
「ご注文ありがとうございます」
ペコリと頭を下げて厨房に向かう
時間を見れば、もうお昼時のようであった
その割に人は居ないようで、彼女達以外の客は誰もいなかった
朝近くは柴関だったので他のところにしたとかか?
どちみちに私がやることは変わらない
ラーメンを作る
絶妙なバランスやらなんやらは一旦忘れて自分の感覚で全てぶち込んでしまおう
自分が思う丁度良い、そこを狙って全てをぶち込む
取り敢えずはこれでいいのができる*1
「はいお待ち」
「早い!?まだ5分も経ってないわよ!?」
「流石博麗、やらせればなんでもできる」
「褒め言葉として受け取っておくわ」
キッチリ全員分のラーメンを配膳し、霊夢は厨房に戻る
どうも客が来ないようなのでやることがなくなってしまった
大将はなにか別のことをしている様子である
関わる必要も無いのであまり気にしない
暇を潰すのは慣れている、暇潰しの名人は伊達じゃない
大将に許可を得てお茶を作り始める
珍しく一番煎じのお茶を作ることにした
幻想郷なら何番煎じか分からないものを使っていたが…
久々に美味しいお茶が飲めそうである
────────
あれから30分くらいしたところ
美味しいお茶を飲んでいると、ふとアルの大声が聞こえる
客が居ない故にとてもよく響く
「私、ずっと引っかかってたの!問題はこの店よ!」
おやおやおやおや(イケボ)喧嘩を売りたいようですよ彼女は
霊夢は奥に仕舞っていた大幣を取り出した
妹紅がゲッとした顔をしていた
「えっ!?何が!?」
それに気付かずに話が続く
節穴かテメーら
「私達は仕事しにこの街に来てるのよ!ハードボイルドに!
アウトローっぽく!
なのに───なのに、なんなのよこの店は!?
お腹いっぱい食べられるし!
あったかくて親切で!
話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!
ここに居ると、皆仲良しになっちゃう気がするのよ!」
仲良しでいいと思うんですけど(名推理)
何か問題でもあるのか?
彼女らの1人が霊夢の心を代弁する
「…それに何か問題でも?」
それにアルは大問題と言わんばかりに机を叩きつける
「大有りよ!私が一人前の悪党になる為には、こんな店は要らないのよ!
私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと冷酷さなの!こんなほっこり感じゃないの!」
どうやら純粋な勘違いをしているようだ
確かにまぁ、アウトローになりたいなら思う気持ちだろうが…
それを陰ながら聞いている大将の気持ちもわかって欲しい、分かれ(豹変)
「……。」
何故だろう、凄く嫌な予感がする
霊夢は持ち前の勘でそんなことを思っていた
特にあそこのルーチカみたいな奴…ルーチカって誰?
取り敢えず不味い予感がした
「それって……こんなお店はぶっ壊してしまおう、ということですよね、アル様…?」
にへら、と彼女は笑いながらとんでもない事を言う
あまりの発言に妹紅が絶句していた
「…へ?」
「良かった…ついにアル様の力になれます…!」
彼女は手になにかのスイッチを持っていた
それは見たことがある…爆薬のスイッチだ!
それがまさに今、押されようとしている
「…!ま、待てっ」
妹紅が慌てて止めさせるが手遅れだ
そのスイッチが押され──────────
「待ちなさい」
「ひっ」
低く、冷たい声が響く
あまりの冷たさに彼女はスイッチを落としてしまう
地面に落ちかけたソレを大幣の布が拾い上げた
まるで、生きているかのように動き…スイッチは霊夢の手に収まる
「そんなことしたら気絶じゃすまないわよ」
手に持ったスイッチをぐしゃりと握りつぶし、淡々と言った
霊夢は噛み付こうとするハルカに告げる
「人殺しはしたくないでしょ?妹紅は知らないけど私はただの人間よ
…だからさっさと爆弾を回収しなさいな」
「は…はい…今から──────────」
ハルカが爆弾を回収しようとした瞬間閃光が走る
それと同時に耳をつんざく轟音響き渡る
瞬間的に大将を庇うように押し倒した
どうやら大量の爆弾のようなものが降り注いでいるようである
あっという間に柴関ラーメンは倒壊してしまった
勘で彼に覆い被さったものだが、どうやら勘は当たったらしい
彼の場所は比較的爆撃されていない場所だった
「たっくどこのどいつよ──────────」
いつもの服に着替え、大幣を構えてその方向を睨む
その瞬間、霊夢の頭の中は真っ白になった
「え、…あ」
市街地を埋め尽くす程大量に浮かぶヘイロー
そこには制服姿のどこかの生徒が大量に居た
しかし、霊夢の目にはまた別のものに見えてしまった
燃える建物、崩れゆく幻想
全てを食い尽くしながら進みゆくヘイローを浮かべた化け物共
全てを奪い尽くした、化け物たち
いつの間にか、学生は全て化け物へと変わっていた
「くっ…一体何が…」
爆撃から目が覚めたアルが最初に見たのは、霊夢の後ろ姿だった
その肩は微かに揺れており、感情的になっているのが分かる
それが異常なことであることを…アルは何となく察知した
そして、彼女は聞くことになる
「……さない」
「え」
最初は蚊の鳴くような声であった
しかし、次第にそれは増大していき…あまねく怨嗟を撒き散らす声と化す
「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…!!!」
「ひっ…!?」
「アル!下がってろ!」
怯えたアルを妹紅が下がらせる
他の便利屋の面子は怯えて声も出ないようである
手から火を出し彼女を威圧する
しかし、彼女には効果が無いだろう
そもそも、彼女は妹紅達便利屋68に興味は無いのだ
そんなことより、目の前のクズ共を潰さなければならない
「全員"退治"してやる」
大幣と針を持ち、ふわりと浮き上がる
その姿は誰が見ても守護者とは思えないものだった
しかし、それは個人の違いがあった
アル達は敵を撃滅する、鬼神だと…
妹紅はかつての仇をとる、救済者であると…
超 楽 し い (作者がニか三番目に書きたかった所)
妹紅を暴れさせるか迷いましたが大人しくして頂きます
テメェ(精神)大人ダルルォ!?大人しくしろォ!
尚爆破を阻止したのは阻止しないとワンチャン便利屋も標的に入るからです
攻撃した存在を敵認識しないほど博麗の脳は甘く無い
たとえそれがかつての友の仲間であろうとでも
NGシーン
↓
「そんなことしたら気絶じゃすまないわよ」
(スイッチ潰す方向間違えて思い切り押す図)
「「「「あ」」」」
(吹き飛ぶ柴関ラーメン)
(逆ギレする霊夢)
(またしても白目を剥くアル)
(またしても何も知らない大泉洋)
そういや、私って殆ど気分で感想の返信をしてます
答えられそーって奴とこれええやんって奴のみです
全部返す言語力は私に存在していない
それと↓(透明文字、ホシノの先輩についてのネタバレ)
ユメ先輩、陰謀でもなんでも無く脱水症状で死んだってマジ…?