かくして博麗は透き通る世界に至る   作:回忌

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空を駆ける

『目標に命中!戦果は大打撃!繰り返す!戦果は大打撃!』

「便利屋68!今降伏するなら手荒な事はしない

 早めに降伏することだな!」

 

アビドスの町をある生徒達が埋めつくしていた

厳格に統制され、キッチリと整列したその姿はただの生徒達では無いことを示している

 

その先頭に、筆頭かのような人物が2人居た

 

「おや、イオリ…どうも誰か民間人が居たようですよ?」

「なんだそりゃ、居るわけないだろこんなところに」

 

イオリはんなわけないだろとそれを否定した

なんたってここには絶対人がいるはずがないのである

 

ここはアビドスの自治区では無いのだから

 

しかし、まぁ関係ない

 

そう思っていたところだった

 

「…え」

「どうしました?イオリ」

 

チナツは急に立ち止まったイオリに声をかけた

彼女の顔は驚愕に染まっており、あまりの衝撃に足が止まっていた

後ろからなぜ止まったのか困惑する声が聞こえる

 

それと同時に、誰かが叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

「人が飛んでるぞ!?」

 

その声が響くと同時にそれに賛同するような声が響く

まさか、そんなはずは無い、イオリとチナツはそう思う

ここはアビドスであり、羽の生えたやつなんて居ないのだ

 

そう思っていた時だった

 

瓦礫となった建物の上に、誰かが浮かんでいるのが見える

土煙が晴れ、その姿がハッキリと見えるようになった

 

「まさか!ありえない!」

「嘘だろ…?人間が飛んでいる?」

 

そこには、巫女が居た

大幣をだらりと持ち、服が風によってゆらゆらと揺れている

 

その姿はまるで、絵に描いたかのようであった

頭の上にヘイローが浮かんでいないので、外の人間であることが分かる

 

しかし、外の人間は飛ぶ事など出来ない筈

 

先生が良い例だ、彼女には高い耐久力も、特別な力も存在しない

 

 

 

それ故に、目の前の光景は異常だったのである

 

 

 

 

「どこに行っても、お前らはついてくるのね」

 

 

 

ふと、彼女が無機質な声を出した

あまりにも感情のないそれに、イオリやチナツ、他の学生達も恐怖する

言いようのない恐怖が体に巻きついてくるのだ

 

これが、"殺気"というヤツだろうか

 

そう思ってライフルを構え、即座に発砲しようとする

人殺しがキヴォトスで禁忌とされていても、引き金を引かなければならないと頭が叫ぶ

 

あれは、"アレ"は存在してはならない化け物だ

 

しかし、ガタガタと震えて照準がまともに狙えない

落ち着け、さらに落ち着け、この1発に全てがかかってるんだ

 

 

しかし、巫女の声に思考が遮られる

 

 

「お前達は毎回私の居場所を、奪うと言うのね」

「な、何を言っている…?」

 

全くもって理解が出来なかった

多分、人違いをしてるんじゃあ無いかとイオリは思う

私達が彼女になにかした思い出は無い、一切無いのだ

 

それにも関わらず相手は目の敵のようにこちらを見ている

 

しかも、こちらが喋ったことに激昂したようである

明らかに雰囲気がガラリと変わった

 

 

「黙れ、お前らみたいな化け物が人の言葉を喋るな

 もういい、皆の分の仇、とってやる」

 

 

ぐしゃぐしゃと頭を掻き回した彼女は、大幣と大きな針を構えた

顔から血が引いていくような感覚を覚える

 

不味い感覚だ、こんな感覚は今まで味わったことは無い

 

 

降伏する、と叫ぼうとした瞬間と、巫女が飛び出した瞬間はほぼ同時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女綺想曲〜Dream battle

By toho LUNA NiGHTS

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん!大変です!」

「どうしたのーアヤネちゃーん」

 

アビドス対策委員会の部室にて

ポチポチとタブレットを弄っていたアヤネが大声を上げる

その声を気だるそうにホシノは返した

他の面子も、あまりの大声に驚いてしまう

 

「ど、どうしたのよアヤネ」

「そうですよー☆大声は喉によくありませんよ」

「ん、何かあった?」

 

彼女はコンコンとタブレットを叩きながら言う

 

「アビドスの自治区が襲撃されてるんです!」

「うへー、大変だねー」

「タレコミによれば柴関ラーメンが吹っ飛んだそうなんです!」

「──────────なんて?」

「ひ」

 

ホシノはガタンと椅子を倒しながら立ち上がった

アビドス自地区が襲撃されてることなんてどうでもいい

前者はどうでもいい、しかし後者は?

 

柴関ラーメンが吹っ飛んだだと?

 

「すぐに行くよ、皆」

「ど、どうしたの?ホシノ先輩」

 

ショットガンを用意し、すぐに向かおうとするホシノにセリカが質問した

あまりにも動揺している彼女に、当たり前の質問だ

 

動揺するのは分かるが、何故そこまで焦る?

 

そう聞くと、ホシノは返す

 

「霊夢ちゃんが今日そこでバイトしているからだよ!」

「「「!!」」」

 

その言葉に、全員がすぐさま反応し各々の武器を装備する

ホシノの焦りようが彼女達には理解出来た

それは、かなりマズイ事であると

 

彼女の性格なら、やられた存在に対してやり返してもおかしくない

あの戦闘能力がキヴォトスの生徒に振るわれる?死んでもおかしくない

 

 

皆がホシノと同じように、焦り始める

 

…それ故に、誰もが先生を置いてけぼりにしたことを忘れてしまっていた

ポツーンと1人残された先生は軽い溜息をつく

 

「"…私"達"は、それで移動しようか"」

「そうね、慣れなきゃいけないものね」

 

 

 

 

 

 

走る

 

ともかく、走る

 

 

 

何もかもが、手遅れになる前に

 

 

 

「はぁっ、はぁっ…!」

 

キヴォトス人の体力を生かし、グングン走る

足の筋肉痛だとか、そんなものを気にしている暇は無い

 

 

そうして、走ること数十分

やがてその"現場"にたどり着くことが出来た

 

「…」

 

その現場を見て、咄嗟に声が出る者はいなかった

なぜならば、あまりにそれは凄惨な現場であったからである

 

 

飛び散る肉片、地を濡らす真っ赤な鮮血

時折吹っ飛んでいく迫撃砲や生徒達

 

「なに、あれ…」

 

セリカが、ようやく声を漏らす

アビドスを襲撃していたのは、風紀委員会の生徒達だった

あれは恐らくゲヘナの生徒達だろう、かなり腕っ節はあるはず

 

しかし、それは1人の少女により…蹴散らされていた

 

「…」

 

能面のような顔で邪魔するものを潰していく博麗霊夢

瞳は黒曜石のような深い黒で包まれており、光を一切受け付けない

 

戦闘スタイルは、弾幕ごっことは比べ物にならないほど"効率的"だった

 

倒しに倒し、動けないものは放置

邪魔するものを機械的に潰していくスタイル

鬼神とは違う、神業…いや違う

 

彼女のスタイルには全く合わないものだ

 

 

それを表現できる言葉は、彼女達には存在しなかった

 

 

「"あれは…"」

「せ、先生!?」

 

そんな彼女達の隣にはいつの間にか先生が立っていた

そういえば彼女のことを置いて行ってしまったことを忘れていた

本当にいつの間に、隣にいたのだろう

 

「"あれはダメだね、どうする??"」

「…私がやる、私しか説得できない」

「…?先生?なんで自問自答を──────────」

 

シロコが、自問自答している先生を見て質問しようとした

しかしそれは次の瞬間彼女達全員を絶句させることになる

 

 

 

「う、撃て」

「邪魔」

 

撃つ準備をしていた筆頭の化け物を蹴り上げる

奴らの姿は人を模倣しているようだ、人型の化け物になっている

一番効率が良いと感じたフォームがそれだったのだろうか

 

他にも犬やら猫やら蛆虫やら、いいモノはあったろうに

 

蹴り上げたそいつの体にアミシュレットを連射、針のむしろにしてやる

動かなくなったソレはボトリと地面に墜落した

 

「イオリ!?…ギっ!?」

「おぐあっ!?」

 

もう1人の司令タイプの頭に針を投げつける

奴の腹を貫通して後ろにいたやつに命中したようである

弱い奴らだ、司令タイプというのにこんなにも雑魚なのか?

 

「舐めたマネを」

「ひっ」

 

顔に散る脳髄を全て拭きとり、奴らに照準を合わせる

相手は既に決まっている、誰であるかも

…とはいえまず叩くのはここにいる化け物共だ

 

空を飛び、群れる奴らに弾幕を放つ

勿論妹紅の時とは違う、"退治"の為の弾幕を

アミシュレットを化け物達に突き刺していく

 

「あぎっ」

「うぐっ!?」

「あがああ!?」

 

人間のような悲鳴を上げながらバタバタと倒れていく

おかしい、何かがおかしい…どういうことだ?

 

霊夢は化け物を打ち倒しながら進んでいく

 

おかしいのは、この化け物達の耐久力であった

あまりにもこいつらの耐久力がモロ過ぎるのである

 

「…」

 

地上に降り、大幣で突く

普通なら化け物にこういった攻撃は効果が薄い

刺さったとしても怯む確率は少ない

 

 

と、いうのに

 

 

 

「ギっ!?」

「脆い、脆すぎる」

 

あまりに脆いのである

たかが腹に刺さっただけで動く気配も無い

それどころか顔面に刺さったらヘイローが消えてしまう

 

様子を見るに、おそらく死んでいる

ヘイローがサラサラと崩れてしまっているからな

 

「おかしい…何かがおかしい」

 

 

いつの間にやら、弱体化したのか?

それとも紫が死に際に呪いでもかけたのだろうか

とはいえこの化け物達に呪いの痕跡は感じられない

 

…妙、だな

 

そう思っていた時だった

背筋が凍る感覚がし、すぐさま回避をする

 

己のいたところが、穴だらけになる

 

宙に浮き、そいつを見る

 

 

 

 

「…アコの話と違う、お前はなんだ?」

「ようやく、お頭のお出ましかしらね」

 

MG42と呼ばれるライトマシンガンを構えてきた彼女を睨む

キヴォトスで見た中で、ホシノの次にヤバそうなやつが来たものだ

 

 

──────────腕が鳴る




原作キャラ死亡?タグにそんなものありましたか…?

ちなみに風紀委員会の面々はMadnesscombatの雑魚兵達みたいになってます
無論ネームドも論外ではありません、うへへ
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