とある場所
そこはキヴォトスではなく、外の世界である
陰気な空気が辺りに満ち溢れる場所
今日が雨なこともあり、酷く陰気であった
人々が傘を開き、歩く
様々な格好をした人物達がすれ違い、肩がぶつかる
ギロリと睨む者も居たが、気にする者は居なかった
そんな、彼らの中に…彼女は居た
「"〜♪"」
鼻歌を歌いながら、彼女は歩いていた
恐らく何かしら幸運なことがあったのだろう
少しの幸運でも喜ぶ彼女らしい姿であった
誰も彼女の鼻歌を不快に思わない
何かしらいいことがあったのだと他人事のように扱う
これは、何一つ変わらないはずの…日常の筈だった
「"…、……?"」
ふと、彼女は何かの音が聞こえたの感じた
音は断続的に続いており…発生源は路地裏のようである
ホームレスか何かしらが這いずっているのか?
先生は首を傾げた
──────────この時、彼女は気にするべきではなかったのだ
ホームレスだと思い、助けることをしなければ良かったのだ
…しかしこの女、手を伸ばせられる者ならば誰でも躊躇せず伸ばす者
道端でくたばろうとするホームレスも同義であった
「"大丈夫ですかー?"」
路地裏に入り、声をかける
トタン屋根を雨がひたすら叩く音が響いている
先程の音は発生源に近づいた為か、かなり大きい
そちらの方に歩いていく
やがて、その発生源を見つけた
「"…!大丈夫ですか!?"」
「う…、……あぁ……」
そこには血まみれになった女性が居た
左腕が肩から食いちぎられた様に存在しない
そのちぎれた断面から絶え間無く血が流れ落ちている
その顔色はもとより死人のように白かった顔は更に白くなっている
明らかに、死に際だ
故に彼女はその人物に駆け寄っていた
「"…、…え?"」
「うふ、ふふふふふふふふ…」
押し倒された事に気付かなかった
怪我人とは思えないほどの腕力、女性とは思えない腕力
…いや、人間とは思えない腕力だった
そして、その化け物は彼女に顔をちかづける
「死ぬところだったけど…丁度良かったわぁ…」
「"…ひっ"」
口が三日月のように裂ける
彼女の顔には影がさしており、輝く瞳と裂けた口以外なにも見えない
その理解不明の存在が…先生には恐ろしく怖かった
先生も、ただの人間なのである
原因不明の物に対して恐怖するのは当たり前であった
「あらありがとう、恐怖してくれて」
「"え"」
彼女の言葉に反応しようとするのもつかの間、先生の意識は暗黒に消えていったのだった
手紙の内容は、カイザーPMCの私兵として働くことであった
そうすればアビドスの借金が半減するということも…
前から怪しい奴にスカウトされたこと、借金をどうにかすること
他にも、対策委員会の面々に対する謝罪する言葉もあった
新入りの霊夢のことを言及しているのもあった
その最後に、敵対することがあれば…ヘイローを"壊す"ことも
それが意味するのは、敵対すれば彼女は対策委員会に殺されるということである
つまり彼女が守りたかったもので殺される
その事を、彼女は分かっているのか
また、別紙として先生への手紙があった
それを先生は誰にも見えないように確認し、何も表情を変えなかった
ダンと、セリカが机を叩いた
「なんなの!?あれだけ昨日の会議で偉そうに昼寝してて!
かと思えば次の日には投げ出したかのように退部届け出して!
こんなの認められると思ってるの!?」
「ん、すぐに連れ戻す…すぐに行動を」
「まっ、待ってください!ここは足並みを────────」
アヤネが皆を落ち着かせようとしたその時、爆発音が響く
あぁ、始まったか、先生は心の中で溜息を着きながら思う
この世界は、子供に対するやり方が腐ってる
彼女らの感情やその心情を全て無視して、悪意と都合で進んで行く
"彼女の予測した"侵略が今、始まった
「今のは…爆発!?」
「位置はどこよ!アヤネ!」
「霊夢さん待ってください!場所は…、……そんな…アビドス市街です!」
アビドス市街地が侵略されていく
銃を構えたオートマタが民を散らし、己の土地としていく
アビドスの最後の自治区を突き進んでいく
『ゴーゴーゴー!』
『全員追い出せ!』
『誰か助けてくれぇぇえ!!』
あそこに住む住民の声が響く
どうやら奴らは無差別攻撃を行っているようである
やがて、乗っ取られたスピーカーから声が響く
『ここは今から、カイザーの土地となる───────』
『フハハハ!これで条件は揃った!ようやくな!
小鳥遊ホシノの退部!つまり最後の生徒会員の退学…!
つまり!現生徒会はこの瞬間をもって消えた!
アビドス高等学校は存在しないも同義!』
カイザー理事が高笑いをしながら先頭に立っている
それを見て悔しそうな顔をアヤネがしていた
肩越しに見ていた霊夢が無表情になり、窓側に足をかけた
「応戦する、斥候を潰してからね」
「校内に侵入されています!校庭にも敵性反応が…!」
「ノノミ先輩、バリケードを作ったよ…間から制圧射撃を
怯んだ隙に私が奴らを潰す」
「分かりましたー☆」
校舎内をドタドタと大人数が走り回る音がする
カイザーPMCのオートマタだ、重装では無い
霊夢が外に飛び出し、校庭に着地する
服装はアビドスに来て作って来たものである
首にはシャーレ所属の証である会員証が存在している
先生からキヴォトス人の戦闘に極力合わせる為…彼女は銃を持っていた
38式歩兵銃、彼女はこれを貰った
弾薬は霊力を使用しているので普通の弾薬より威力が高い
なんならそこらの狙撃銃を凌駕するレベルの貫徹力がある
白と赤の塗装がしてあり、彼女のイメージカラー通りである
「さて、こちらをさっさと片付けるとしよう」
霊夢はライフルをグルグル回しながら地面に着地した
瞬間近くにいたオートマタの顔面を撃ち抜く
相手は少しの情けをかける意味も無いので殺すしか選択肢は無い
霊夢はそう思いながらライフルをコッキングしたのだった
○
「…どうして、アビドスを…」
ホシノはディスプレイに表示された地獄を見ながら言った
瞳孔は最大まで開き、ありえないと言わんばかりの顔であった
それはそうだ、これは契約なのだから
あの、真っ黒な胡散臭い奴との契約を────────
そう思っていると、付き人のようにいたオートマタが言う
『あそこはアビドスの自地区では無くなった』
「どうして!?対策委員会があるでしょ!?あそこはまだアビドスの…」
『生徒会最後の役員であるお前が消えたことによりアビドス高等学校は消滅した
知らなかったのか?対策委員会が非認可であったことを?』
「…あ」
それは、小さな見落としであった
ホシノは対策委員会の受理を何回も送った記憶がある
しかしいくら待てども返信が来ないのでもう受理されたものとして扱ってしまったのだ
それが、裏目に出てしまったのだ
「…そうかぁ、そういう、ことかぁ」
ホシノは、またしても大人に騙されたことを分かってしまった
己が過去にしてしまった過ちを今日もしてしまったのである
…がっくりと、彼女は項垂れた
そんな彼女を見ながら、とある人物にオートマタは声をかけた
『小鳥遊ホシノだ』
「ありがとうございます、報酬はきっちりと」
そこには…彼女を騙した張本人である黒服が居たのであった
「…うへ」
柱に括り付けた腕の感覚を感じる
奴の望んでいたのは、私という素体であった
キヴォトス最高の神秘を持つという私の体
この体を実験することを奴の目的だった
アビドスの借金だとか、カイザーとの協力はどうでもよかったのだ
私の、身体が奴の目的だった
「…もう、いいかな」
溜息をついてしまう
もうおしまいなのだろう、ここまでなのだろう
今まで守っていたものが今この瞬間壊されていっているのだ
シロコちゃん達は大丈夫だろうか、押し潰されてないだろうか
霊夢ちゃんも、あの時みたいな無茶をしていないといいんだけれど
先生は…先生は、信じられる
あの人はまさに人を導く人であり…希望であった
彼女さえいればなんでも出来そうな気分になれた
信用できた、信頼出来る唯一の大人だった
…紫は胡散臭い女だ
大人…というには長生きのし過ぎである
訳の分からない力を使ってきたりする
そのどれもが反則的な力ばっかりだ…
信用は出来ないが、信頼は出来る奴だった
…あぁ、こう思うと私は恵まれた環境に居るな
笑い合える仲間がいて…信じられた大人もいて…
どこから来たのかも分からないけど…仲間として迎え入れた新入生もいて…
彼女達に全てを任せてしまうのは酷な話である
しかし…もう私にあそこにいる資格は無いのだろう
甘い言葉を囁く悪い大人に騙されて…アビドスをこうして危機に陥れた私なんて…
自己嫌悪に陥り目を瞑る
「何故終わろうとしているのですか」
誰かの声が、響いた
目の前にその人物は立っているようであった
声は女性のものであるが、私の知っている人物の物では無い
そのような、芯のあって…人を"裁く"ような声を私は知らない
「貴女に終わる権利は存在していません
その閉じてしまおうとしている瞳を開くのです」
「そうよーん、貴女にそんな権利は存在してないのよーん」
もう1人の声がした、かなり間延びした声である
何事にもやる気がなさそうであるが…しかし圧倒的な力を感じさせる声である
その2人は、私に語りかけた
「貴女は黒です、真っ黒です、まっくろくろすけです
200色ある黒のうち最もドス黒い許されざるクロです」
「そうよーん、貴女は許されることの無いクソ野郎なのよ」
彼女は、私を黒と言った
それを言われただけで…心に罪悪感が湧き上がる
まるで今までどっちつかずだった心がキッパリ分けられたようである
黒と白がキッパリ分けられた…?
「しかし、まだ貴女には出来る善行が残されている」
「残されているのだよーん」
頭に、何か板のような物がのせられた
それは恐らく木の板の筈…なのだが、重さがおかしい
明らかに、鉄以上の重さなのである
今まで感じたのことない重量に思わず嘔吐いてしまった
「感じるでしょう?この重さを…これが貴女の罪の重さ
今まで貴女が積み上げてきた罪の重さなのです」
「そうよーん、貴女が積み上げた様々な罪の重さよーん」
「へカーティア様は一旦静かになされてください」
これが、私の罪の重さ
首が砕けてしまいそうな…超重量
今まで犯してきた、認識すらしてない罪や後悔の塊
これが、放棄しようとした罪なのか
ホシノは深い後悔の念を募らせたのだった
そいや某メガネ店主によりゃ紫は少女に見えるそうなのですが2次元創作らしくおねーさんキャラです
少女の方が推しの方、悪いがおねーさん好きになってもらう
後感想返しのところで後に出る東方キャラが1か2と答えた方、騙して悪いが受け入れてもらおう()