かくして博麗は透き通る世界に至る   作:回忌

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A. 抹殺



突然のエ駄死に不快感を覚えた方々の贖罪として投稿しました
そして毎度毎度、誤字修正されてらっしゃる『ちびた』さんに全力の感謝を


最後のあがき

「まさかヘリを拝借できるとは思いませんでした☆」

『最新製なので動かしやすいですね』

 

アヤネが楽しそうな声を上げる

現在アビドス対策委員会はミレニアム製のヘリに搭乗していた

ゲヘナのマークが付いている通り、これは風紀委員からの提供である

 

「"皆、作戦通りに行くよ"」

 

先生はヘリの助手席にて言う

作戦は単純なもので、ヘリより降下し、素早くカイザーにカチコミに行く

ただの学生にヘリからファストロープは期待できない

 

 

故、着陸して直ぐに展開し、離陸する

 

 

風紀委員会達がカイザーを少しは抑えてくれるだろう

 

 

『…!敵の小銃による攻撃です…!』

「"シロコ!側面にあるミニガンを使って!"」

「ん、分かった」

 

カンカンと機体から火花が散る

どうやらカイザー達がこちらに気づいたようである

対空火器が使われてない限り斥候だろうか

 

しかし、使われるのは時間の問題である

 

『…!熱源反応!回避します!』

「"ホワアアアアア!!!"」

「ミ"ャ"ァ"ァ"ァ"ア"ア"ア"!!!」

 

グリンと回避運動をアヤネがこなす

そのおかげでヘリの中がミキサーみたいになっている

腹の中でお昼に食べた食事がグルグルしている

 

死にそう、ウッ

 

「…一体何が…」

『…支援砲撃…?』

 

頭を擦りながらシロコは外を見る

見てみると、斥候が支援砲撃によってメキャメキャにされていた

たかが数十人に対する攻撃にしては過剰攻撃であるが、アビドスに対して仲間と誇示するのには有効であった

 

『み、皆さん聞こえますか!』

「あっ!ヒフミ⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯」

『違います!私はファウストです!』

 

無線が接続される

その声はブラックマーケットで聞いたことのある声であった

しかし、その主はそれを否定する

 

己は、水着強盗団のリーダー、ファストであると

 

(あら、割と乗り気じゃない)

("…ヒフミって割とちゃっかりしてる?")

 

『わあ、ファウストさん!お久しぶりです!

 ご自分で名前を言っちゃってましたが、そこはご愛嬌ということで☆』

『あ、あれ!? あう……!

 いえ、その、このL118は、トリニティの牽引式榴弾砲ですが……と、トリニティ総合学園とは一切関係ありません!

 射撃を担当している皆さんにも、そう伝えておきましたので!』

 

…んなわけないだろう

ノノミとヒフ…ファウストとの会話を聞きながら先生と紫は思った

いくらヒフミがお嬢様であったとて、あの量の牽引式榴弾砲を独断で動かすなんて無理な話である

もし彼女が上層部に直談判したとして…それを許可したものがいるという訳である

 

こんな借金まみれの学校にそんなのをよこす訳が無い

今までなんの支援も受けれていないのだ、そうとしか言えない

 

ならば、他の可能性は──────────

 

(…シャーレへの貸し作り、かしらね)

("だとしたら、後々足を引っ張るかも")

 

シャーレへの貸しを作る以外ないだろう

言っては悪いがこの組織はかなり怪しいものなのである

突然設立された何処の馬の骨かも分からない組織に全ての垣根を越えて関わる事が許される権利があるのだ

 

怪しすぎる、アコの言う通りである

 

…ま、仕方ない話ではあるが

 

『す、すみません…これくらいしか出来なくて』

「"十分だよ、ヒフミ"」

「そうです!ありがとうございます!ヒフミちゃん!」

『あ、あはは…頑張ってください!』

 

ヒフミが元気いっぱいに言った後、通信が切れた

あちらから割り込んできたのかそれとも普通に接続したか分からない

いや、暗号化していたはずなので普通に接続したのは無いだろう

 

もしかしたら、アロナが気を利かして繋いでくれたのかもしれない

さすがスーパーアロナ、後でなにか褒美をやろう(やるとは言っていない)

どうせ美味しいイチゴシェイクでも飲みながら紫と談笑しているのだ

さして気にすることでも、ご褒美をあげる程でも無い

 

 

さて、やることはもう単純である

 

「"行くよ、皆"」

「「「おぉー!」」」

 

 

ホシノを、返してもらう

 

 

「…平和ねぇ〜」

「百鬼夜行は今日も平和です、何も異常ありません」

 

ズズズッとお茶を啜る音が響く

はらはらと桜の花びらが落ちてくるのを彼女は眺めていた

その横で、少女が跪いていた

まるで主人と従者のようであるが、全く間違いは無い

 

彼女達は、主と従者の関係であるのだから

 

「いつの間にか変な場所に居るなんて、夢みたいね」

「死んでないだけ夢ではないでしょう、いえ、既に死んでいますが」

 

塀の向こうから人々の和気あいあいとした声が響いている

城下街のような街並みは全て和風の建築であるため、今は亡き故郷にある人里を思い出させる

 

全て変わったものだが、空気はあまり変わっていないように感じた

 

「こんにちは、西行寺様」

「…」

 

ふと、誰かのくぐもった声が響く

刀を持った少女が直ぐに刃を抜き、構えた

過剰とも言える反応であったが声の主は何も気にしなかった

 

「あら〜、ワカモちゃぁーん、何か用かしらー?」

「いえいえ、わたくしは経過報告に来ただけです…分かっているでしょう?」

 

その人物は顔に着けている狐面を外し、言う

彼女は狐阪ワカモ、七囚人の1人であり、『災厄の狐』と言われる程の問題児

 

実態は先生大好きっ子であるのは先生方にとって周知の事実だろう

 

「それで、シャーレの先生さんはどうだったかしら?」

「えぇ!とても素敵な人です…ふふふ、思い出すとまた会いたくなってきました…///」

 

頬を赤らめながら彼女は言う

それを見ながらお盛んねーと西行寺…もとい、"西行寺幽々子"は思っていた

彼女が惚れているのは自分の友人ではなく、その素体とも呼べる人物の方だろうが…

 

なんだか、胸がモヤモヤする

 

「顔を見合わせた瞬間、感じたことの無い感情を感じたのです!

 あぁ…!今から会いに行けばまた感じられるでしょうか…!」

「今から行けばいいんじゃないのー」

 

幽々子はもうシラネと言った感じでワカモに言う

すると彼女は目をハートにしながら言う

 

「そうですね!善は急げ…今から行きます…!」

 

瞬間、彼女の姿が消える

その数秒後に引き起こる風から従者は幽々子を守る

風圧が無くなった後、従者は舌打ちを隠すことなくし、刀を鞘に戻した

 

「無礼者め…」

「落ち着きなさい、妖夢、気が昂り過ぎよ」

「しかし…しかし…!!」

 

ギリ、と妖夢は歯ぎしりをした

あの滅びゆく故郷、自分たちも力になりたかったのに主の友人によって逃がされた

冥界と現世の入口が封鎖されたと同時に二人の意識は掻き消えた

 

起きて見えたそこは、透き通った世界であった

少なくとも冥界にこのような空は確認されていない

 

生き残りが居るか分からない

妖夢は全滅していることを視野に入れ、"絶対"に主を奪われるものか、と意気込んでいる

とはいえあの大きな桜の下に埋めたあの"依代"さえあれば問題は無い

 

「…幽々子様は変わりませんね」

「んー?」

「皆、いなくなってしまったというのに」

 

少し嫌味が混じってしまっているのはある意味愚痴のようなものであった

ギチリと白楼剣の柄を握りしめる

 

「…そうね、確かにいなくなってしまった」

「でしたら」

「しかし、それは諦める理由にはならない」

 

キッパリと、彼女は言いきった

その目にはある種の執念の様なものが宿っていた

ある種の恐怖を覚えそうになった妖夢だが、戸が開いた音により気を取り直す

 

「こんにちは、西行寺さん」

「あら、キキョウ…何か用かしら?」

 

あやとりをしながら、その人物は現れる

猫耳、二股の尻尾に和装の制服

 

百花繚乱の桐生キキョウである

またの名を反吐反吐加湿器、なんか湿度上がってきたな

 

「ナグサが助言を求めてる、来てくれる?」

「良いわぁー、妖夢ー?準備してー」

「分かりました、幽々子様」

 

白楼剣と楼観剣を元の位置に戻しながら準備を始める

準備はそんな大層なものでは無い、大量の食事に耐える財布さえあれば良い

 

金銭事情によって幽々子の食費はなんとか抑えられているもののそれでもエンゲル係数は80%を超えている

稼げる働き場所を探さないとそろそろ死ぬ、いや幽々子様は死なないのだが

 

主に私が、空腹で半分死んでしまう

 

ため息をつきながら妖夢は外出の準備を終えるのだった

 




幽々子(経過報告ただの色恋話では…?)
妖夢(ただの色気話では?ボブは訝しんだ)
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