かくして博麗は透き通る世界に至る   作:回忌

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迎えの邪魔者

「邪魔ねぇ、こういう時は皆引っ込んでれば良いのに」

『引っ込んでいたらカイザーは抵抗しないも同義ですよ…?』

 

38式歩兵銃を手足のように使い回しながら霊夢はボヤく

もう無理だおしまいだという感じで引っ込んでいれば今回は楽だったのに

そんな彼女に対してそんな甘い現実は訪れないだろうとアヤネはため息をついた

 

「シロコ」

「ん」

「ぐぁっ」

「あがっ」

 

 

短い会話の交わし合い

それだけで双方の意思は伝わった

互いの死角に入り込んだオートマタを射殺し、それから流れるように数多の敵を破壊していく

 

「行きますよ〜☆」

「「「うぎゃぁぁぁぁああああ!!!」」」

 

ノノミのミニガンが相手をバタバタとなぎ倒していく

曳光弾がキラリと輝いているのが目に見えてわかる

やはり弾数は正義である、如何なる障害でさえ薙ぎ払える、弾幕はパワーだぜ

 

「恋符・マスタースパーク」

「アバァァァアアーッ!」

 

霊夢は大量に集まっている敵に対してマスタースパークを叩き込む

あっという間に敵が消し飛ばされ、軍隊に対して一直線の空きを作った

攻め入る隙が出来たことで全員がそこに集中する

 

『ホシノ先輩はその先のバンカーに確認出来ました!先生の情報通りです!』

 

目的地はもうすぐである

彼女の帰りを待つもの達がここにいるのだ

そちらの都合で勝手にさよならーは許されるものでは無い

 

 

きっちり、叱ってやろう

きっちり、謝らせてやろう

 

 

きっちり、ただいまを言わせてやろう

 

 

霊夢は空を飛ぶ

その姿を初めて見たらしいオートマタ達は反射的に足を止めていた

 

「今よ」

『支援砲撃、行きます!』

 

ヒフミの声と共に遠くから規律ある砲撃音が響く

数秒後、空から大量の爆弾が降り注いだ

それらはオートマタの大群を蹴散らしていく

 

「…」

 

すると、刀を持ったカイザーPMCの傭兵が現れる

ヘイローがあるのと、背丈から察するのに生徒と変わり無い

恐らく壊滅させられたヘルメット団から抜かれた1人だろう

 

「あら、死に来たの──「黙れ」…なら始めよう」

 

会話をブツ切りにされ、少し不服そうだが霊夢は攻撃を始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BGM 〜ALL for Now〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

相手はこちらに駆け寄ってくる

刀の鞘に手をかけながら愚直なまでに走ってくる

 

そんな彼女に対して霊夢は38式歩兵銃をぶっぱなした

刀で防がれてもへし折れるはずのそれは…彼女が振り払った刀によって弾き返された

 

「ッ!?」

 

即座に体を捻り、左手に38式を持ち替え右手に大幣を握り締めた

 

あれは只者じゃない、普通の雇われだと思っていたら死ぬ

ギリ、と奥歯を噛み締めて構えた

 

「シロコ、援護」

「私も行く」

 

シロコが銃撃しながら距離を詰める

それを相手…ここでは『ドラゴン』とでも呼称しようか…は一瞥しながらこちらに走るのを止めない

当たらない弾丸は無視し、確実に当たる弾丸をはじき返す

 

 

CQCの間合いに2人は入り込んだ

 

 

シロコに遅れを取らないように霊夢は後に続く

ドラゴンは持っていた刀を振り下ろす

上から下への切りおろし、それをシロコは銃でガードする

 

「くっ」

「…」

 

シロコはドラゴンを睨みつける

ヘルメットを被っている為瞳は見えない

しかし、強い何かの意思がドラゴンにあるのは分かった

 

「後ろ」

「ん」

「…!」

 

ドラゴンを流れるように移動させ、後ろに居る霊夢に突き出す

そのまま大幣で殴り飛ばされるかと思えたドラゴンは受け身と前転をし、2人から離れた

 

間合いは近接武器は届かない程度の距離

 

「…」

 

カチリと刀を構え、ドラゴンは霞の構えでこちらを見る

その構えに一切の隙は何処にもなく、油断も無かった

 

その姿にこいつの評価を上げなければな、と思いながら霊夢とシロコは各々の得物を構えた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、『ドラゴン』は"真横"から放たれた弾丸を見もせずに弾き返した

 

「きゃあっ!?弾き返してきた!?」

「あはは!おもしろーい!」

「芸達者なPMCの犬だね、アイツは」

「死んでください死んでください死んでください…!」

 

「便利屋…」

 

霊夢はそちらを見て呟いた

白目を剥きながら弾き返されたことに驚愕しているアル、カラカラと笑っているムツキに冷静に分析するカヨコ

もう既にダメそうなハルカがそこにいた

 

便利屋68がそこに居たのだ

 

 

「いいところに来てくれたわね、便利屋」

「ええ、狙っていたものだから」

 

目をひん剥いていたアルは霊夢に声をかけられたことでいつものカリスマを取り戻す

なんかどこぞのかりちゅまみたいだな、と霊夢は思いながら両手の武器を握り直した

 

「面倒な奴がいるわ、後ろを頼めるかしら」

「…ふふふ、そんなちゃちなことはしないわ」

「…?」

 

アルはずいっと1歩前に出て、持っているPSG-1を片手で構えた

そしてそのまま宣言する

 

 

 

 

 

「ここは私に任せて、先に行きなさい!」

「おー!アルちゃんカッコイーッ!」

「…はぁ」

 

ビシィッとすました顔で言いのけるアル社長

その言葉はどこか安心できるものであり、その場を制すカリスマを纏っていた

やはりコイツはレミリアの生まれ変わりではないか?と思いながら霊夢は後を任せ、ホシノのいる場所に走る

 

「死なないでよ!便利屋!」

「ん、後は任せた」

「行きますよー☆」

 

アビドスの激励を受けながら、便利屋は『ドラゴン』に対して引き金を引いたのだった

 

 

「…あれだね」

 

バンカーが見えた

砂に埋もれてしまっているが、奇跡的に入口は埋まっていない

もし埋もれていれば掘り返す手間がかかったが、気にする必要は無いようだ

 

「行こう、皆」

「ええ、そうですね…!」

 

シロコとノノミが向かい合い、言う

迎えるべき存在はあの扉の中に居るのだ

 

目標は目の前だと言うのに──────────立ち塞がる影が一つ

 

 

「行かせるか…!」

「カイザー理事!?」

 

 

パラパラと砂を落としながらその人物はこちらを睨めつける

てっきりもう逃げてしまったものだと勘違いしていたが、そういう訳では無いようだ

 

「"今更、なにをしようってのさ"」

「しつこい…!本当にしつこい!」

「ホシノ先輩が待ってる、お前に構っている暇は無い」

「そこをどいてください!さもないと…」

 

先生はもはやうんざりしたような口調でそう言った

それほ他のアビドスメンバーも変わらないようで、同じような口調で警告を発した

 

それに対して、カイザー理事は明確な怒りを見せる

 

「さもないと…?さもないと何をする気だ?」

 

彼は怒りに震えていた

握りしめるその鋼鉄のアームがギチギチと嫌な音を鳴らす

 

 

「お前らがずっと、目障りだった…アビドス対策委員会!」

 

 

アビドスを占領できたと思っていたこの前の余裕はどこにもない

計画な達成を目の前で挫かれたことに対して明確な殺意を露わにしていた

そんなに怒ることもあるまいに、怒りたいのはアビドス対策委員会の方だろう

霊夢は能天気にそう思ったのだった

 

「これまで、ありとあらゆる手段を講じてきた……!

それでもお前たちは、滅びかけの学校に最後まで残り、しつこく粘って、どうにか借金を返済しようとして…

 あれほど懲らしめたのに、徹底的に苦しめたのに、毎日毎日楽しそうに!」

 

ある種の羨望、だろうか

そんなものが入り交じったような声をカイザー理事は漏らした

 

その状況を強いたのは貴様だというのに、哀れなものだ

どちみちにしろこの鉄屑にかける情けは微塵も無いというものなのだ

 

奴は先生を睨んだ、同時に、その体に宿るもうひとつの"大人"にも

 

「極めつけは…お前"ら"だ!シャーレと妖怪の賢者!

 お前らさえ居なければ、こんなことにはならかった!

 今頃アビドス高等学校は崩壊し、アビドスはカイザーのものとなっていたはずだったのに!」

 

ある種の糾弾のようにも思えるソレをカイザー理事は撒き散らす

長年の野望が打ち砕かれたその瞬間程虚しくなるものは無い

 

同時に、過去最高の怒りが湧いて来ることも、だ

 

 

「ふん!野望通りにならなくてざまぁないわ!」

「あなたみたいな情けない大人に私たちは負けません!絶対に!」

「返してもらうよ、ホシノ先輩を」

 

積年の恨みはどちらにもある

特に学校を奪われかけたアビドス対策委員会のメンバーはその恨みが強い

長年の野望を砕かれることより、大切な場所を奪われることの方が怒りを呼ぶに決まっているだろう

 

 

しかし、カイザー理事に諦める心は無いようである

 

「…そうか、貴様らがそこまで絶望に縋りたいなら致し方ない!」

 

奴は機会の声音装置を震わせながら笑う

彼女達が絶望にすがりついているかは兎も角、ここで始末する気のようだ

 

とはいえ、やつはよそ行きのスーツしか来ていないようだが?

何も持っていない状態で…まさかその図体でCQCをする訳でもあるまい

 

「私がこの身一つで戦う訳がなかろう!…こいつがあればなんの問題は無い!もう何も怖くない!」

 

そう言うと、懐から取り出したなにかのスイッチを押した

 

「一体何を………!?」

 

その瞬間、ガタガタと地面が揺れ始めた

いや、違う一定のリズムを刻んで大地が揺れている

 

…まるで、なにかが"走って"来ているような……

 

 

『全員退避してください!そちらに──────────』

「皆逃げなさい!!」

「"皆伏せて!"」

 

アヤネの警告と同時に霊夢と先生は叫ぶ

ほとんど反射的的にアビドスメンバーはその場から逃げ出した

 

それが功をなし、誰一人として"踏み潰される"者は居なかった

爆音と砂を散らし、大きな機械が降ってきたのだ

 

 

いや、着地と言うべきだろうか

 

 

「…コイツは!?」

 

そこに居たのは、鋼鉄で出来た文字通りの怪物であった

 

まるで恐竜を機械化したようなそのデカブツはギギギと火花を散らしながら関節を動かす

決して故障しかけとかそういう訳ではなく、砂の影響のように見える

 

右肩に大型の槍のようなもの、左には丸いレーダーのようなものが付いている

 

明らかに、人間数人に対して扱うには余剰戦力である

 

「ハハハハハ!!」

 

いつの間にか乗り込んだのか、T字状のコックピットに乗り込んでいた

計器から放たれる青い光がカイザー理事を照らす

 

 

「貴様ら、光栄に思えよ!戦術核を運用する兵器が二足歩行したこの日に、死ねることぉッッッ!!!」

 

 

ガシャリ、とコックピットが閉じる

それと同時に化け物が体を捻り、咆哮をあげる

音声が使われてないはずだが、その咆哮はまるでこの機械仕掛けの化け物が生きているのかと錯覚させる程だった

 

「何よ、あの化け物」

『刻印を確認…、…識別名『METAL GEAR・REX』です!』

「"レックス…ラテン語で王という意味だったかな"」

 

まさに語源の通り、この場の王としてそれは立ちはだかった

ホシノの元に辿り着くための最後の障害物

 

勝つのは一筋縄では行かない

 

先生はシッテムの箱を取り出し、個別に指示を飛ばす

 

 

「"霊夢、空を飛んで奴の注意を逸らして"」

「合点」

「"シロコは踏み潰されない程度に接近して銃撃を"」

「分かった」

「"ノノミは援護射撃、セリカはミサイルとかの処理を"」

「任せてくださーい☆」「お易い御用よっ!」

 

 

的確な指示を飛ばし、己の相方とも呼べる存在にも頼る

 

 

("…アロナと一緒に弱点を探ってくれない?")

(何とかしてみるわ)(このスーパーアロナにお任せあれ!)

 

 

負ける訳には行かない

何を使っても、何をしてでもこのデカブツに勝つ

 

コックピットに乗るカイザー理事をにらめつけながら先生は戦闘に移行したのだった




刀を持ったカイザーの傭兵

無名の傭兵
未来予知と時を操る能力を持っているらしい
実態は戦争ドラッグによって超強化された兵士
NULLという部隊に居たとか、なんとか
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