かくして博麗は透き通る世界に至る   作:回忌

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あるべき食事とは、何の変哲もない食事のことだ

変に高い物で飾ることは無い

あるべき食事とは、まったくそれで良いものなのだ


あるべき食事

「…柴関ラーメン?」

「そうです、ここらで一番美味しい所なんですよ」

 

対策委員会のメンバーで私たちは昼飯を食べに行っていた

何気にこの世界で初めてご飯を食べる…今まで何も食べていない

そう思うとよくあそこまで腹の虫は耐えたものである、偉い

 

 

今、私たちはバスとかいう鉄の箱の中にいる

この世界には早苗の言っていたものが多い…そこは助かる

しかし、彼女が言っていないものもあるためそこだけが困る

 

にしても、早い

空を飛ぶスピードと比べれば欠伸が出るが、空を飛べぬ者からすれば十分早いだろう

幻想郷にもあれば移動が楽に…道路が舗装されてないか

 

ならダメか…移動が楽になると言えば、妖怪の山に似たようなものが…

守矢神社の為に作られた…なんだっけ、ローローウェイだっけ

 

…というか

 

「…私の代金は?」

「私が払います!」

「ありゃ?ノノミちゃんがやるんだ」

 

このバスで移動するには金が必要だろう

一文無しだし、どうしようかと聞くとノノミが払ってくれるようである

ラーメン代も彼女が奢ってくれるそうなので、かなり裕福なのだろう

 

…羨ましい

 

 

それから暇な時間、ホシノから色々なことを教えてもらった

色々なことと言っても大概な事じゃない、一般知識みたいなものだ

蛍光灯とか、金の単位とか、電車、だとか

どれもこれも早苗から聞き覚えのあるものばっかりだ

 

ただ、ここにいるのは二足歩行する動物か、ロボットのどっちかと言われたのは驚いた

もしかしてここ、人間は存在しないのか?

 

…怖い世界だ

 

 

 

─────ふと、窓から外を見る

 

 

「…どこもかしこも、砂漠ね」

「昔、砂嵐があって…大半が埋まっちゃったんです」

 

隣に居たアヤネがそう言った

昔に砂嵐…嵐って時点でとても嫌な感じだ

というかそれでよく潰れてないなアビドス高等学校

 

…伝えられてないだけでなにか、裏があるか

 

霊夢はふーんとアヤネに返しながらそう言った

掘られたく無い秘密なら掘る必要は無い

異変が起きている訳でもないのだから

 

そう思っていると、目的地に着いたようだ

いつの間にか砂漠ではなくビルとかいう建物が立ち並ぶ場所になっている

アビドス高等学校からかなり離れたようである

 

「降りまーす!えい」

 

アヤネは手を挙げて、ボタンを押す

すると、『次、止まります』と機械的な音声が流れる

 

不思議な所だ、まるで河童が世界を改造してしまったかのような…

 

降りていく彼女達に続き、地面に降りる

そして、空を見上げた

 

「…」

 

とても大きな建物である

妖怪の山くらいの高さの建物がポンポンと立っているのだ

物珍しい、なんて言葉じゃ足りないくらいだ

 

早苗は、見飽きるくらいだったろうけど

 

「霊夢さーん!」

「今行くわ」

 

見上げていると、アヤネが声をかけてくれた

声をかけてくれなかったらずっとビルを眺めているところだったろう

少し離れていたので走って追いつく

 

「もしかして霊夢ちゃん田舎育ちー?目がキラキラしてたよ」

 

ホシノが意地悪そうに聞いてくる

…まぁ、だいたい合ってるというか

一部違うというか…いや本当に一部だけどさ

 

田舎には変わりないのでそう答えておく

 

「そうよ、悪い?」

「いやー?なんか見た目通りかなって」

「見た目通り?」

 

この巫女服のことだろうか…見た目で判断しないで欲しいものである

ヘイローを見て敵認定した巫女さんはそう思った

 

「ここが柴関ラーメンね」

 

柴関ラーメンと看板がある建物にたどり着く

見た目通りだ、確か人里にも似たような店があったっけ

 

「…そうだ!ご飯を食べたら服を買いましょう?」

 

店に入る直前、ノノミがそんなことを言った

彼女は霊夢の服を見ていたので恐らく新しいの買うためだろう

後、仮とは言えアビドスの学生なので制服も要る

 

「ん、いいね」

「私は良いわよ」

「たしかにー…霊夢ちゃんもそれでいい?」

 

どうやら私以外は賛成のようである

ならば拒否の意味も無いが、別に拒否する意味が無い

…しかし

 

「この服が直せるならいいわよ」

 

この服が直せるならば、の話である

ボロボロではあるが…それでも、直せば使える

 

「んー☆多分大丈夫だと思います!」

「そう、なら良かったわ」

 

ここら辺に住んでいるノノミなら信用できるだろう

多分、というのが多少心配であるが…

 

「取り敢えず、入ろう?」

「はーい☆」

 

シロコが一番最初に入り、次にノノミが入る

何故かセリカがソワソワしながらそれに続く

アヤネも同じく疑問に思ったのか、それを見て首を傾げながらついていく

 

「さ、行こ?霊夢ちゃーん」

「分かってるわよ」

 

ホシノが手伸ばす

私は彼女に導かれてばっかりだなと思った

初めて会った時から今まで彼女が先にいる

 

…いつかこの手を離さないとな

 

霊夢とホシノは一緒に中に入った

中は木造の…人里にあった飲食店の少し近代版というか

と言っても明かりがLEDとか言うやつなのだが

 

そう思っていると、二足歩行の柴犬がヌっと現れる

気さくな様子でこちらに話しかけ…いや、セリカに話しかけた

 

「お、セリカちゃん…お友達と一緒かい?」

「え、えぇ…今回は…」

 

セリカの歯切れが悪い

こちらと柴犬をチラチラ見比べている、なんなんだ?

そう思っていると、柴犬がこちらに話しかけてくる

 

「お!アビドスの新入生さんかい?」

「…なんで知ってるの?」

 

どうもこちらのことを知っているらしい

怪しさを感じ、私は彼(多分)に質問した

 

「この子達と一緒に居るのはそれくらいだろう?

 態々他の地区からこんな辺鄙なところに来ないさ」

 

…それ、言ってて悲しくならないのか?

まぁ、かなり性格の良い人だというのは分かる

 

「おっと、自己紹介が送れたな…俺はここで店主をやってるんだ、よろしくな」

「…博麗霊夢、一応まだ、2年生よ」

「これからよろしくな!、霊夢さんよ」

 

大将さんに挨拶をした後既に座っている皆のところに急ぐ

席は二手に別れるタイプのもの…6人席だろうな

片方にアヤネ、ノノミ、セリカが居る…つまり埋まっているのだ

 

なら仕方なしとシロコとホシノが座る席に腰を下ろす

 

「何にするー?」

「私は味噌で…」

 

どうやら今は注文の途中のようである

味噌や塩やら柴関やら…色々な単語が飛んでいる

メニュー表を見てみると、確かに豚骨やら塩やらある

 

…私ってあんまりこういうの食べないからなぁ

あちらでの生活はだいたい白飯に酒や味噌汁だった

こういうものを食べることはあまりない、宴会にも出ないし

 

「霊夢ちゃんは何にする?」

「…私は、塩で」

 

ここはシンプルに塩にしよう

豚骨にして濃すぎてもダメだし、醤油で濃すぎてもダメだ

試す、ということも兼ねて塩にしてみることにした

 

「大将ー!注文お願いしまーす!」

「あいよぉ!すぐ作るぜいッ!」

 

セリカが慣れた声色で大将さんに言う

大将さんはとても楽しそうな声で返事をした

にしてもああいう獣人は初めて見たな、セリカとかシロコみたいな獣人は妖怪の山に文字通り山程いたけど

 

…犬種が違うやつが同じくらいいるって、こと?

 

まぁいいや…

 

そう思いながらラーメンを待つこと五、六分

割と楽しみとして待っていたラーメンが現れる

 

「わぁー☆いつも通り美味しそうです!」

「暑いから火傷しないようにな」

「分かってますよ大将さん!…それじゃあ、頂きまーす!」

 

美味しそうなラーメンの香り

塩ラーメンを頼んだので注文通り塩ラーメンが来ている

チャーシューが乗った、とても美味しそうなラーメンだ

 

匂いが食欲をそそる、美味しそう

 

「…いただきます」

 

箸を手に取り、麺を啜る

 

─────その瞬間、溢れる旨みの雪崩

犯罪的だ…ッ!あまりにも美味しすぎる…!

なにか、食べてはいけないものが混ざっているのではないかと疑ってしまうほどの美味さ!

 

…これは、美味すぎる!

 

「ふふ、そんなに美味しかったんですか?」

「…?」

 

ノノミが優しげな瞳でこちらを見てくる

どうしてそんな顔で私を見るというのか

首を傾げながら見ていると、彼女は言う

 

「だって、そんなに目をキラキラしているの初めて見ましたから!」

「あ、確かに、霊夢がそんなに目を輝かせてるの初めて見たわ」

 

セリカがノノミの言うことに同意する

…どうやらあまりの美味しさに感情が目に出ていたようだ

 

まぁ、仕方ない

弁明させていただけるのなら、言うが、最近はまともなものを食ってないのである

炊けてないご飯に土の着いたじゃがいも…果てには雑草まで

 

それに比べたらもはや美味しすぎるだろう、これは

 

「いえ、あまりに美味しすぎてね」

 

言い訳のように霊夢は言った

それを聞いて大将さんは満足そうである

 

「そりゃ良かった!自慢のラーメンだからな!」

 

彼を見てると、人里の人間を思い出す

彼らも大将さんみたいな笑顔をしてたっけ

それらは全て食い尽くされた訳だが

 

 

苦い思い出と今が重なり合いながら、私は麺を啜ったのだった




この時期って17歳って3年生…?
いやまぁ2年生でええやぁ(投げやり)

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