かくして博麗は透き通る世界に至る   作:回忌

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あれから数日がすぎた

カタカタヘルメット団がしつこく攻めてきたりもした
皆と笑い合い、助け合いながら過ごしてきた
とても楽しく、久しぶりに心が満たされた日々だった

…何故こうも最終回のような口回しをしているのか?






──────────シロコが死体を、担いできたからである


特務機関シャーレ

「…よっと」

「おー、達筆ぅ」

 

対策委員会の部室

そこの長机にて霊夢は札に文字を書いていた

言わば御札の作成である、これがないと色々困る

 

それはそうと戦闘からはどうにかして身を引いたのだが。

 

「巫女服じゃないから、まるで授業の補習みたいだねぇ」

「そんな補習なんて…私には無用よ」

「うへ、そうかな」

 

これで30枚め、と霊夢は言う

これ以上書いてもかさばるし、腰のポーチに入らない

故にこれくらいでいいだろう…霊力の札なら陰陽玉から出るし

攻撃手段はいくらでもあるのだ

 

「…そういえばシロコ先輩遅くない?」

 

セリカがそういった

確かにそうだと思う、あの子は自転車だけども割と早く来る

もしかしてなにか面倒事でもあったのだろうか?

 

「まぁ、直ぐにくる」

「ん、おはよう」

「ほら言ったそばから」

 

ガラリと扉が開き、シロコが入ってきた

横目で見る限りだが何かを抱えているようである

 

その瞬間、他のメンバーが叫んだ

 

「ぎゃー!シロコ先輩が死体持ってきた!」

「シロコちゃんが大人を拉致してきた!?」

 

「死体?」

 

その言葉に反応し、見てみればボロボロの大人がシロコに抱えられていた

見てみると、多分死んでるのだろう(適当)、フラフラしている

にしても、死体かぁ…

 

「焼く?」

「"待って!生きてる!私生きてるよ!?"」

 

手のひらから炎をポッと出すとその大人が暴れた

どうやら生きていたようである、良かった

死人を焼くなんてとてもいい気分では無いものである

 

「ここに用があったみたい」

「つまり…死体でも拉致でもなく、お客さんということ?」

 

パッパッと砂を払い、その大人は立ち上がる

女性だ、むっちりとした太ももと大きな胸

 

そして、──────────特徴的な金髪

 

いや、ありえない

霊夢は心の中でそれを否定する

溢れ出てくる希望を抑え、ありえないと否定する

 

…まさか、いや、人違いだ

 

 

 

彼女は、私を逃がす為に

 

 

 

心の中をぐちゃぐちゃにされている霊夢を知ってか知らずか、その大人は名乗る

 

「"こんにちは、私は八雲、シャーレの先生だよ"」

 

「八雲──────────」

 

あぁ、なんと世界は残酷なのだろうか

似たような顔付きに体つき、挙句の果てに苗字まで同じなんて

もしこの世界に神がいるならば今から殴りに行くところである

 

…高まる動悸を抑え、ホシノと目を合わせる

 

そして、その目が双方同じことを思っていると確信する

 

((…信用ならない))

 

 

どうも、あの賢者様の悪いところまで引き継いだ様子である

動作の一つ一つが大袈裟というか、なんか胡散臭いのである

言っていることを文字にすれば誠実、読み上げ方が悪いのである

 

それのお陰で、霊夢は泣きじゃくり抱きつきに行くことがなかった

 

あまりにも似すぎて、逆に信用ならなかった

 

しかし、他はそうは思わないようである

 

「シャーレってことは…連邦生徒会の!?」

「つまり支援要請が受理されたってこと…良かったですね!アヤネちゃん!」

 

…そういえば前に支援要請がウンタラカンタラって言ってたっけ

それがようやく受理されたということである、おめでたい事だ

最近は弾がほぼ無くなりかけ、危うく私が出るところだった

余程の事じゃない限り私は出たくない、あれから一度も出ていない

適当にアヤネと一緒にこの部屋にいるだけだ、私は御札を書いてた

 

「"一応、色々持ってきておいたよ"」

「おぉ…!すごい量の弾薬!」

 

先生はどこからともなく大量の弾薬を取り出す

その様はまるで早苗の語っていた未来のロボットみたいだ

…そんなポケットは見当たらないのだが

 

「これなら数ヶ月は耐えられます!」

「質も良い、なんならいつものより良い」

 

アヤネやシロコ達は喜んでいるようである

護身用の銃の一丁すら持っていないので弾の善し悪しは分からない

ただ、ここで孤独に戦い続けた彼女達からすればいつもより良い弾薬なのだろう

 

…そもそも数ヶ月耐えれるとか言ってる時点で弾薬不足なのが伺える

今まで己の霊力で戦ってたから、そういったことは考えたこともない

 

「良かった、これだけあればカタカタヘルメット団にも───────」

 

アヤネが安堵のため息を漏らし、敵とまともに戦えると言おうとした時だった

子気味良い、連続した破裂音が響く

 

銃声だ

 

「あら、噂をすればなんとやらってやつね」

「フハハハハハハ!」

「この学校を占領して、あたしらのもんにしてやるぜぃっ!」

 

霊夢は鼻で笑いながら言った

その直後にカタカタヘルメット団の笑い声が響く

どうやら今日も彼女らはせっせこ攻めに来たようである、勤勉だな

 

「武装集団が学校に接近しています! カタカタヘルメット団のようです!」

「あいつら…! 性懲りもなく!」

「ふぁあー……むにゃ。おちおち補給もできないじゃないかー、ヘルメット団めー」

「すぐに出るよ。先生のおかげで、弾薬と補給品は十分」

「はーい、みんなで出撃です☆」

 

どうやら今から対応するようである

最近の者は対応が早くて助かる

迎撃の為にそれぞれの武器を持ち、用意する

しかしどうも弾薬が今来てしまったので装填しているようだ

 

「私がオペレーターをします!先生は援護を!」

 

アヤネは耳のデバイスを起動し、ドローンを用意する

 

「"私が指揮をするよ、皆"」

「先生が!?」

 

…おかしい

先生というのは、戦闘指示をする存在だったか?

確かそういう存在は指揮官だとか提督だとかそういうもののはずだ

寺子屋の先生(上白沢慧音)が人々を従えていた記憶は無い

 

…やはり、キヴォトスだからだろうか

 

「…ん、先生なら当たり前か」

「わかりました☆指揮をお願いしますね☆」

 

それをなんの疑いも無く、受けて入れていく彼女達

私から言わせればもはや異常の類である

恐怖とも呼べるものだ…おかしい

 

私は、やはり…彼女の事が信用ならなかった

ホシノも同様で、皆には聞こえない様なため息をついた後

 

「よーし、おじさんも頑張っちゃうかぁ」

 

ショットガンを構え、迎撃に出たのだった

 

 

ボコボコにされたヘルメット団が「覚えてろ!」と言いながら逃げていく

あそこまで綺麗な捨て台詞も他に無いだろう

録画してやろうと思ったが、するものが無かった

シロコ達が持っている"携帯"なるものがあれば別だったが…

未だに文無しの上居候とかいうクソみたいな生活なのだ

…彼女達って、どこから収入を得てるんだ?

 

「状況終了…!お疲れ様です皆さん!」

 

アヤネが笑顔でそう言う

いい笑顔だ、今まで割とギリギリな顔をしていたが余裕のある表情になっている

 

それもそのはず、今回の戦闘はかなり潤滑かつ終始こちら有利で動いたのだから

笑顔にならない方が異常であろう

 

「いやぁ~まさか勝っちゃうなんてね。ヘルメット団もかなりの覚悟で仕掛けてきたみたいだったけど」

「まさか勝っちゃうなんて、じゃありませんよ、ホシノ先輩……勝たないと学校が不良のアジトになっちゃうじゃないですか……」

 

うへうへとホシノは呟きながら冗談のように言った

アヤネは冗談でも言うんじゃないとホシノに呆れたように言う

 

そんな傍ら、霊夢は勝ち負けよりもずっと気になることがあった

 

(…銃声が違う)

 

委員会室の中で筆を走らせていただけだが、銃声はポンポン聞こえる

そのうち、ヘルメット団の方の銃声が変わっていることに気付いたのだ

 

弾薬を変えたか、そもそも持っている武器を変えたか

それは銃をよく知らない霊夢にはよく分からないことである

 

しかし、勘ではあるが──────面倒事の匂いを嗅ぎ取ってしまったのだった

 

「これが大人の力…弾薬資源から戦闘の指揮まで…凄い」

 

気付けば、シロコが先生を褒めている場面になっていた

その途中を知らないが、言うて何かある訳では無いだろう

どうせたわいのない、私には関係の無いことだ

 

「"そ、そうかな"」

 

先生が照れるような感じで言う

しかし、どうも動作というか口調が胡散臭い

なんでこんな胡散臭いんだろう、この人

 

「んも~先生、褒めてるんだから素直に受け取りなよー。

 ママが来てくれたおかげで、わたちゃはぐっすり眠れまちゅ」

 

ホシノが冗談を言うように言った

ママ…親…か、なんとも私には縁のない言葉である

 

母親どこらか、父親の顔も名前も知らないのであるから

 

ホシノからママ呼ばわりされ、えぇーっと大袈裟に驚く先生

…扇子を持っていたら照れ隠しに口に当てそうだ

そんな感じがする、というかするだろうなこの人

 

「あはは……少し遅れちゃいましたけど、改めてご挨拶します、先生」

 

アヤネがなんの違和感を感じさせることなく話題を変換する

一緒に学校に居て思うが、彼女はこういった事が得意…というか毎回やっているから慣れたのだろう

不自然さを感じさせない、挨拶だった

 

「私たちは、アビドス対策委員会です。

 私は、委員会で書記とオペレーターを担当している1年のアヤネ。

 こちらは同じく1年のセリカ、こちらが、2年のノノミ先輩とシロコ先輩。

 そして、こちらが委員長、3年のホシノ先輩です

 

 …それと、最近入学してきた3年生の博麗霊夢さんです」

 

「…よろしく」

「いやぁ〜改めてよろしく、先生ー」

 

先生に対して適当に手を振る

彼女からすれば戦闘中「紙になんか漢字書いてる」程度だろう

今はこうして適当にだらーっとした体にしている

 

 

「"よろしく、皆"」

 

 

先生は、笑顔で私たちに挨拶をしてくれた

 

 

 

…私とホシノは、なんともそこが深い瞳だと感じてしまった




何故皆が霊夢をさん付けしているのかと言うと、理由はごぜぇません

ただ、アビドス組からすれば素性が分からない上ヤベー戦闘能力を持ってるので尊重してるんじゃないの?(投げやり)
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