―The 『Human』 of Eternity Sword―
永遠神剣になっちゃった
※属性:シリアス、一部ダーク※
……エルスサーオ……
ラキオス王国の東側に位置する街のひとつであり……
敵対関係にあるバーンライト王国に隣接する街でもある。
つまりは、最前線に位置する街、という事だ。
アオとナナルゥの姉ちゃんは、何故か、そのエルスサーオとかいう街の門番として駆り出された。
担当者と思わしき老年の兵士より
『敵国のスピリットを発見したら迎撃せよ』という一言と共に、二人は東側の門より締め出された。
俺達が外に居るというのに、門は俺達の侵入を拒むように固く閉ざされている。
「ナナルゥお姉ちゃん、此処、暗くて怖いよ……」
「暗いのは日の入り前の時刻だからです。
敵スピリットの気配はありません、引き続き警戒しましょう」
「……うん……」
アオは怯えるように、ナナルゥの姉ちゃんの裾を掴んで震えている。
裾を掴まれたナナルゥの姉ちゃんは、マネキンみたいに無表情で突っ立っていた。
改めてナナルゥの姉ちゃんを観察する。
たしか、ナナルゥ・レッドスピリットって名前なんだっけか?
燃えるような赤い髪でいて、女性なら誰もが羨むほどのサラサラな髪質をしている。
機械のような無表情が目立つが……
表情を出していないお蔭で顔の美貌が際立っているとも言える。
何よりも胸がデカイ……
外人さんのモデルにも引けを取らないナイスバディーの持ち主である。
俺の身体が無機物である事が本当に残念でならない。
俺の声が直接届かない事も含めて残念極まりない。
普通の身体だったらなぁ……
そりゃあもう、仲を深めるために話しかけまくってたのに……
「ねえ、ナナルゥお姉ちゃん?」
「どうしたのですか、アオ?」
「敵のスピリットさんの気配って、どうやったら解るの?」
「……私の場合は、『消沈』が教えてくれます……」
「しょうちん??」
「私の神剣の名前です。
神剣同士は共鳴して、その位置を知らせてくれます」
「そうなんだ……じゃあ私も『雫』に任せれば良いんだね?」
「はい、神剣に意識を集中して、雫の声に耳を傾ければ解ります」
「練習してみても良い?」
「……はい……御自由に……」
アオはナナルゥの姉ちゃんから離れる。
その距離は8mほど……
「ねえ、雫……ナナルゥお姉ちゃんの気配、解る?」
『そうだな、手に取るように解る』
アオは更にナナルゥの姉ちゃんから距離を取る。
10m以上離れてしまったので、もう解らない。
「雫、ここからだと解る?」
『全然解らねえ……』
「そうなんだ、ふ~ん……
じゃあ近づくから、ナナルゥお姉ちゃんを感じたら教えてね」
『あいよ……』
感じられる景色が移動する。
ナナルゥの姉ちゃんを感じた瞬間、俺はアオに合図を送った。
『俺の感知距離は、こんなもんだな……』
「ナナルゥお姉ちゃん、『雫』がね、ここまでだって!」
「………………」
「ナナルゥお姉ちゃん?」
「アオの神剣は、索敵に適しておりません」
「てきしてない……って?」
「……索敵が苦手、という意味です……」
「そうなんだ、雫、苦手だったんだね」
『そうなの??』
てっきり、こういうモノだと思ってたんだけど……
「……広域の警戒は、私が……
アオは、目視にて警戒を御願いします」
「うん」
これって、もしかして……俺って役立たずと思われたのだろうか?
……嫌だ、困る……
こんな美人さんかつナイスバデーさんからの評価が下がったの?
最低限の索敵や警戒が出来ない奴って認識されたって事でしょ?
漢として名誉挽回しなければと、周りの状況を必死で探る。
でも、閉ざされた門を背に、二人して周囲を警戒してる事しか解りません。
その光景を感じ続けて、ふと思った。
もしも敵勢力が攻めてきたとしたら……?
……二人に逃げ場って無いよね?
まるで背水の陣のように……
閉ざされた門を背に戦わざるを得ないんだから……
……ふと、先日のトラウマを思い出す……
怪我をしたネリーと、落岩に足が挟まって動けなかったシアー……
……それを傍観するしか無かった俺……
もし、また同じ事が起きれば?
敵が攻めて来て、二人とも重症を負って、殺されかけたとしたら?
俺は、また傍観しなければならないのか?
―― 冗談じゃねえ ――
『なあ、アオ……』
「なに?」
『後ろの門の硬さって、どんなもん?
ぶっ壊そうと思えば壊せるもんなの?』
「雫、なにを言ってるの?
私達のお仕事はモンバン、なんだよ?
モンは守るのがお仕事なんだから壊しちゃダメなんだって……」
『いやいや、敵さんを発見したら倒せってのが俺達の仕事内容でしょ?
だったら門をぶっ壊そうと関係無いだろう?』
「そうやって、イタズラする気なんでしょ? アオ、知ってるよ?」
『いや、悪戯とかじゃなくてさ……
遭遇した敵さんがすごい強かったら逃げるしかないでしょ?
だから今の内に逃げ道を確保しようって提案してるの!』
「でも、私達はモンを守らなきゃって……」
『だ~か~ら~、門を守り切れなかった場合に備えろっつってんの!
今の俺達、背水の陣じゃねえか! 追い詰められたら終わるんだぞ!』
「だから逃げちゃダメって、何回も言ってるでしょ!」
『あ~もう、なんなのコイツ!? 人が親切で言ってるのにッッ!!』
俺達が騒いでいると、不審に思ったナナルゥの姉ちゃんが声をかけてきた。
「アオ……さっきから何を騒いているのですか?」
「ナナルゥお姉ちゃん、助けてっ!
雫がね、私たちはモンバンなのに、モンを壊そうって言うんだよ!?」
「門を、壊す……? それは、なぜ……?」
「そうだよ! なんで壊そうとしてるの!?」
『だから、逃げ道……っていうか、このままじゃ退路が無いからだ!』
「えっとね……タイロが無いって、言ってる」
「……退路……?」
ナナルゥの姉ちゃんは背後を振り返り、門に阻まれた背後を確認する。
「……確かに、退路がありません……
強敵と戦闘になった場合、全滅は必至でしょう」
よかった、ナナルゥの姉ちゃんには話が通じそうだ。
「……ですが、その何処が問題なのですか……?」
『普通に大問題じゃねえかっ、馬鹿野郎!』
訂正、きっと電波です、この女……
いかなる美人さんだとしても、
今の言葉で俺からの好感度がガクっと下がりました。
「私達の任務は『敵性スピリットの発見・迎撃』です」
『うんうん、そうだね~、サーチ&デストロイだね~』
「えっと、さーち、あんど……何??」
「戦闘で敗北したら、死ぬのは当然です」
『だから、敗北しても死なないようにしましょうって……
さっきから何度も何度も訴えてる訳なんだが?』
「えっと、雫がね……敗北しても死なないようにしようって……」
「……?? 任務に失敗したら、私達は処刑されます」
『ふざっけんなっ!! なんだよソレ?!』
「―― ひぅ?!」
今、明かされる衝撃の事実……
此処はブラックを通り越して深淵の闇だった。
アットホームな職場と思ってたのに、実体がコレかよクソがっ!!
……いや、刃物を使った対人訓練を行ってた時点で気付くべきだった。
でも、任務失敗=処刑とは誰も思わんだろ?!
人の命を何だと思っとるんだ、コイツ等?!
『アオ、逃げるぞ!!』
「え? なんで??」
『何でも良いから早くッ!! コイツ等ヤベェッって!!』
「だから、私達はモンバンなの~」
『ああ、もう、本当にどうなっても知らないからな、俺!!』
ダメだ、今は何を言っても無駄だ。
もう本当に知らんぷりしたいけど……
でも、アオやナナルゥの姉ちゃんが目の前で殺されたら胸糞が悪すぎる。
どうにかして、どうにかして二人を説得したい。
この狂った国から逃げ出さなきゃ二人に未来は無い。
でも、どうやって説得しろっていうのだ?
……何分……
いや、何時間、俺は悩んだのだろう?
逃げ出す口実を作ろうとも、この世界に関する情報が足りな過ぎる。
この世界の情勢なぞ、道具に成り下がっている今の俺に知る術なぞ無い。
『……はぁ……』
……ああ、嫌だな……
また、この無力感に苛まされるのか……
「……雫、また溜息……」
『悪い、今の無しで……』
溜息を続ければ、またアオが泣き出して迷子になるかもしれない。
平和な街中ならいざ知らず、此処は最前線なのだ。
下手に泣かせて敵に殺されたらと思うとゾッとする。
溜息を吐かないように意識すると、今度は空腹感が浮き彫りになる。
空腹感を紛らわせる為に、今まで食ってきた食事の内容を思い出す。
……白米……
……白米の上に、缶詰から開けたシーチキン……
……白米の上に、カツオブシに醤油垂らしたヤツ……
……白米の上に、アジシオ振り掛けたヤツ……
……白米の上に、ゴマダレのサラダドレッシング掛けたヤツ……
……一番美味かった、卵かけ御飯……
ダメだ、余計に腹が減って来た。
そして自分の生活水準の低さを認識させられて鬱になる。
だって、コンビニ弁当って高いんだもん。
一ヶ月で何円すると思ってるんだよ?
朝飯抜いたとして、最安値の奴で約500x2食で1000円……
一ヶ月で3万もする。
―― 無理だ、無理なんだよ ――
月の食費が万に届いたら破滅するんだよ……
カップ麺は100x2食で200円……1ヶ月で6千……
――ちょっとキツイんだよ。
それに比べて、白米ご飯は10kgで3000円……
しかも3食欠かさず食って二ヶ月持つんだぞ!
一ヶ月1750円のコスパなんだぞ!
……ああ、思い出したらまた腹減った。
過去のご馳走を思い出していると、ナナルゥの姉ちゃんが光り出した。
その光は、ナナルゥの姉ちゃんの頭上に集い、円環状に加速する。
まるで天使のハイロゥを象るように加速した粒子はやがて……
黄緑色を放つスフィアが2つとなりて、ナナルゥの姉ちゃんの傍に浮遊した。
「―― 敵です」
「『え?』」
俺とアオの声が重なる。
俺の索敵範囲内に、確かに感じられた。
緑色の髪をした奴と、赤色の髪をした奴と、赤い髪をしたガキが……
……武器を持って、近づいてきた。
印象的だったのは、真っ黒なハイロゥ……
そして、ナナルゥの姉ちゃんと同じく無表情である事だった。
『……なあ、おい……嘘だろ……?』
この3人、無表情の癖に素人でも解る殺意を出してるのが性質が悪い。
本当に殺しに来るのだという事実が嫌でも解った。
……2対3……
数では此方が不利……
加えて、アオが人を殺せるとは思えない……
スピリット同士が戦うという事は座学で知っていた。
スピリットという者達は、殺し合いをするという事も知っている。
……でも、いざ殺し合いとなると竦んでしまう……
誰もが見惚れるほど美人が……
人間とは比べ物にならない美貌を持った女性達が……
機械的な殺意を以って襲ってくる、この光景は、果たして現実なのだろか?
「――死になさい」
10m離れていた筈の赤いスピリットは、一瞬で距離を詰めていた。
彼女が持つ双頭剣が煌めくようにアオの喉元に ――
『あ……』
―― アオが死んだ。
そう知覚したとき、俺は赤スピリットの胴体に埋まっていた。
「ば、馬鹿な……!?」
そんな声が聞こえる中、俺の身体が熱くなる感覚がした。
感じたことの無い熱さ……否、これは『暖かさ』だ。
枯れた地面に水が染み込むように、『温かさ』が俺を満たしていく。
そして、赤スピリットは消えるように透けていき……
……存在そのものが、黄金の微粒子に変化を遂げた。
『……これが、マナ……?』
本能的に、その微粒子の正体を知ってしまった。
……いや、知らされた。
この大地に満ちる力、大いなる力、尊い命達の源泉……
―― マナ ――
その単語に、何者かが頭で呟いている。
否、呟いているというのは間違いだ。
ただ、本能的に、何者かが……
俺ではない誰かが、俺を通して訴えている。
――マナを、マナを寄越せ――
もしも声が聞こえたら、そういう言葉を呟いているに違いない。
これは予想ではなく確信に近い。
悪魔の囁きがあるとしたら、間違いなくこの声なのだろう。
だが、それは囁くだけ……それだけ、それだけだった……
もし俺が囁きに洗脳されたとしても、きっとソイツに決定権は無い。
俺は使われる存在であり、何よりも自分で動く事が出来ないからだ。
「ぜぇ、ぜぇ……っ、ゲホ……はぁ、はぁ、はぁ……」
ふと我に還った時、アオがえずいていた。
アオの状態を見て、危機的状況が訪れて時間が止まったのだと理解した。
その時間が動き出すとアオは激しく消耗する事も思い出した。
『……アオ、無茶するなよ』
アオの疲労は既にピークに達している。
前回は一回使って意識を失った。
今回は何とか意識を繋ぎ止めているようだが、
これで戦闘続行しろというのは不可能、一目瞭然だ。
「逃がさないよ!!」
「――?! つ゛ぅ?!」
だというのに、追撃するように槍が飛んできた。
アオは、その槍を辛うじて叩き落したが ――
槍が地面に落ちる直前に
緑スピリットはアオの懐に飛び込みながら槍を掴み――
「もらっ――!?」
アオの胴体を抉る筈の刃先は、大きく軌道がズレて外れた。
真横から飛んできた小さな火球が、緑スピリットの顔に直撃したのだ。
「!――てやあああぁぁ!!」
俺は地面を擦りつけられながら、緑スピリットの股間から胸部まで斬り裂いていた。
「あ、あ゛……」
だが、まだ奴は完全に沈黙していない。
血を撒き散らしながら、髪を紅蓮の炎で燃やしながら……
そのスピリットは捨て身の覚悟で強引に無防備なアオに突きを放つ――
――寸前に、ナナルゥの姉ちゃんが首を切断した。
ごろん、っと緑スピリットの無表情の顔が地面を転がる。
胴体の首からは噴水のように血が噴き出て俺たちを濡らす。
まるで、ホラー映画を見ているようだ。
残りの赤スピリットは、すでに索敵範囲内に居ない。
どうやら逃げたようだ。
「任務、完了……」
さっきまでは地面に、おびただしい鮮血が散乱していたと言うのに……
文字通りの血の雨が降っていたというのに……
その血痕は、幻のように消え去っていた。
最初から、存在していなかったように ――
―― 死 ――
それは、生物にとって逃れられない運命。
早かれ遅かれ必ず訪れる現象。
……そう思っていた。
人を殺すのは悪いこと……日本人の常識だ。
だが、他の国はどうだ?
歴史ではどう判断していた?
―― 殺戮者と英雄 ――
この二つは=(イコール)で結ばれている。
片方は恨まれ、罵らる。
片方は歓迎され、尊敬される。
そんな矛盾点から人を殺すのはそんなに悪いことではない。
……そう思っていた。
死んでも、ちゃんと悲しむ奴が一人でも居るはず。
心を痛めてくれる奴が一人でも居るはず。
ちゃんと葬式を挙げて、遺骨を墓に埋めてくれる。
それで十分じゃないか。
……そう思っていた。
けど、それは幻想……
ただの思い込みだったこと骨の髄まで思い知った。
ここではきっと、死体すら残らないのだろう。
人知らないところで殺されたら、何処で殺されたのか誰も解らない。
人知れず、人が死んでいく。
……そんな世界……
それほどまでに、哀しい世界なのだ。
人間が死ぬのは、まだいい……
劇的な最後を遂げたら、多くの人は悲しみ、その悲しみを教訓としてより良い明日を歩んでいくだろう。
だが、皆が道具のように扱うスピリット達は、どうだろう……?
悲しむ者は居るかもしれないが……
人のために死んでいった者が、多くの人には虫が死んだようにしか思われない。
それが無性に哀しかった。
そして、やり場の無い憤怒を覚えた。
「雫、泣いてるの?」
『……さあ、どうなんだろうな……』
泣いている……うん、きっと泣いているんだろう。
『アオ、疲れている所悪いが……ちょっと頼みがある』
「ん? なあに……?」
『墓を……小さな墓でもいいから、作ってくれないか?』
「お墓?? なんで?」
『俺の、自己満足のため、だな……』
「……うん、いいよ」
エルスサーオの街からやや離れた場所にある森の中で、ちっぽけな墓が2つ出来上がった。
墓を作るため、ナナルゥの姉ちゃんにも手伝ってもらった。
アオや俺は、この世界の文字を完全に習得していないから……
ナナルゥの姉ちゃんが居てくれて、本当に助かった。
改めて墓を見る。
こぶのように膨らんだ小さな山……
その上にアオの拳サイズの石ころが置いてある。
そいて地面には、ナナルゥの姉ちゃんが木の枝で書いた象形文字……
金魚や小亀などの小さなペットが死んだとき作った墓に似ている。
数週間でペットの墓の存在を忘れた記憶があるが……
今回も、きっとそうなのだろう。
俺は、この日の出来事を明日にでも忘れてしまうのだろう。
死んでしまったのは、名前も知らない赤の他人だし……
俺達を殺そうとしてきた赤の他人だのだ、覚えてやる義理は無い。
だから、この墓を作ったことも、絶対忘れる自信がある。
―――でも、重要なのはソコじゃない。
墓を作ろうと至った想い。
墓を作ろうとした動機が最も重要だと、俺はそう思いたい。
『アオ、手を合わせて目をつぶって念じるんだ』
「?? こう?」
『そう、そして安らかにお休みなさいって3回念じてくれ』
「うん、わかった」
そして、俺も祈る。
せめて、少しでも幸せを感じる時間を過ごしたことがありますように……
数秒で祈り終わると、ナナルゥの姉ちゃんの行動に少し驚いた。
だって、無駄な事は一切しませんしませんオーラを出している奴が両手を合わせて祈っているから……
ナナルゥの姉ちゃんが祈り終わると、疑問を浮かべた顔でこう答える。
「この行為に何か意味でもあるのですか?」
「死んだ人におやすみって念じるんだって……
もう、痛い思いしなくていいよって……」
ナナルゥの姉ちゃんは「なるほど……」と呟いて、再び墓に手を合わせる。
アオも、再び墓に手を合わせる。
今度は数分だろうか……そのくらい経って、二人は姿勢を崩した。
「帰りましょう、そろそろ交代の時間です」
「うん……ぁ?」
すると、アオが急にバランスを崩した。
ガシっとナナルゥの姉ちゃんが腕を掴んで立たせる。
「お、おおぅ?」
そして、そのまま背負い込んだ。
「このほうが効率的です」
「うん……ありがとう……ナナルゥ、お姉ちゃん……」
そして、アオは安心した顔で気を失った。
道が夕日の光で紅く染まっている中、ナナルゥの姉ちゃんはアオを背負ってエルスサーオの街に戻っていく。
ナナルゥの姉ちゃんの顔は、相変わらず無表情だったが……
いつもと比べて、優しい顔だった。
そんな気がしたのだ。