TSビッキーは少女達に愛される   作:勝機を零した、掴み取れん

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昔描いたやつのリメイク的なやつで、良い感じのが描けたと思ったので初投稿です。


第1話

 

 

 

 

「……なぁ、響」

 

 特異災害対策起動部二課のリフレッシュルーム。

 そこのソファに座っていた少女──天羽奏は、隣に座っている少年に声をかけた。

 

「どうしました? 奏さん」

 

()()──立花響はその声に反応して、彼女に顔を向ける。

 

「……いや、響がここに来てもう一年以上経つんだなって……」

 

 奏は響の頭を優しく撫でながら、少し悲しそうな表情を浮かべている。

「はい……そうですね……」

 

 響は突然頭を撫でられた事に驚きつつも、奏の表情を見て小さく呟く。

 

「今でも覚えてるよ……あの時のことは……」

 

 そう言って奏は……当時の事を響に語り始めた。

 

 ────

 

 今から一年以上前、響は天羽奏と風鳴翼の二人が所属するツインボーカルユニット『ツヴァイウィング』のライブ公演に参加していた。

 

 しかし、そのライブ公演中に認定特異災害『ノイズ』が襲撃するという事故が起き、響はそれに巻き込まれてしまった。

 

「嫌だっ! 助けてくれっ!」

 

「死にたくない! 死にたくない!」

 

 最前列にいた観客はノイズに取り込まれて炭素転換され、中には逃げる人々の波に押しつぶされて圧死する者もいた。

 

 崩壊していくライブ会場から逃げる観客達。

 

 響もその観客のうちの一人だったが、彼は二階の観客席からステージの方を見つめていた。

 

 そこでは、ツヴァイウィングの二人がライブの衣装とは全く違う『シンフォギア』というものを纏い、ノイズと戦っていたのだ。

 

 彼から見ればその光景は異質であった。

 

 本来、人間はノイズに触れただけで炭になるはずなのに、彼女達は触れるどころか、ノイズだけを一方的に倒していたのだから。

 

 逃げないといけないのに……彼は戦う二人の姿に見惚れていた。

 

 その時だった。

 

「うわぁぁぁっ!?」

 

 響のいた観客席が崩壊し、彼はノイズの大群が蔓延るステージ前へと落下してしまった。

 

 運良く瓦礫の下敷きになって死ぬことは免れたが、受身を取れずに床へと叩きつけられた響の右脚は真っ赤に、大きく腫れていた。

 

「おいっ! 大丈夫か!?」

 

 響の姿を見た奏は、慌てて駆け寄ろうとする。

 しかしその時……彼女達を目掛けて大型のノイズが攻撃を仕掛けてきた。

 

「マズい!」

 

 奏は慌てて駆け出し、響を守るために手に持っていた槍をノイズに向けて振るう。

 しかし、ノイズの攻撃は想像以上よりも強く、奏が持っていた武器はどんどん損傷していき、破片が飛び散る。

 

 そして……その破片が、後ろにいた響の心臓へと刺さった。

 

「あ……が……」

 

 吹き飛ばされた響は大量の血を吐いて、そのまま倒れてしまった。

 奏はそんな響を見て、慌てて駆け寄る。

 

「おい! 死ぬなっ! 目を開けてくれ! 生きるのを諦めるな!」

 

 奏は響を抱き起こし、必死に声をかけた。だが、響はピクリとも動かない。

 

「……っ!」

 

 彼の姿を見た奏は絶句してしまう……そんな時。

 

 突然、彼の身体に光が纏い始めたのだ。

 

 

「えっ……!?」

 

 突然の事態に動揺する奏。だが、それ以上に響の身体は光を放ち続けていき……奏の視界を真っ白に染めた。

 

「うっ……!」

 

 あまりの眩しさに奏は目を瞑ってしまう。

 

 そして、光が収まった事に気づいた奏が目を開けると……そこには信じられない光景が広がっていた。

 

「これは……一体……」

 

 先程まで、ライブ会場を埋め尽くすくらいにいたノイズが、まるで最初から居なかったかのように……跡形もなく消えていたのだ。

 

「……この子が、やったのか?」

 

 奏は抱き抱えていた響の事を見つめる。

 

「んっ……」

 

 すると、響はゆっくりと目を開けた。

 

「お、おい……大丈夫か? 何処か痛くないか?」

 

 奏は心配そうに声をかける。しかし、響はまだ意識が朦朧としているのか反応が鈍い。

 

「……かなで……さん?」

 

 響はゆっくりと顔を上げて、奏の事を見つめる。

 

「よかった……生きてた……!」

 

 

「ごめん……なさ……」

 

 響は謝罪の言葉を口にすると、そのまま意識を失ってしまった。

 

「お、おいっ! しっかりしろ!」

 

 奏は慌てて響の事を揺するが、起きる気配は全く無い。

 

「クソっ……! どうすれば……!」

 

「奏っ!」

 

 そんな時、一人の少女が走って来た。その少女はツヴァイウィングの片割れである風鳴翼だった。

 

「奏……今のは……」

 

 翼は奏の元へ駆け寄り、何が起こったのかを確認する。

 

「あたしにもよく分からないけど……多分、この子が助けてくれたんだよ」

 

 奏はそう言いながら響の事を翼に見せる。

 

「まさか……こんな事が起きるだなんて……」

 

 翼は驚いた表情を浮かべている。

 

「とにかく、ノイズが消えた今のうちに観客を避難させないと……。翼はおやっさん達が無事かどうか見てきてくれ」

 

「……分かったわ。奏はその子をお願い」

 

 翼は頷き、ステージの方へと向かって行った。

 

「頼む……死ぬなよ……!」

 

 そう言って奏は響を背負いながら歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 ────

 

「……ごめんな。あたしが響の事を守ってやれなかったせいで……」

 

 話を終えた奏は響の頬に優しく手を添えて、彼に対して謝罪する。

 

「奏さんのせいじゃないですよ。あれは……仕方のない事だったんです」

 

「だけど……!」

 

「それにあの時、奏さんのギアと融合できたから……奏さんや、あの会場にいた人達を守ることができたんです」

 

「……だけど、そのせいで響は……ノイズとの戦いに巻き込まれて……」

 

「二課に入って、戦う事を決めたのは……俺自身です。だから……気にしなくて大丈夫です」

 

 響は優しく微笑みながら、奏に言う。

 

「……でもな、あたしは響に無茶をして欲しくないんだ。あたしのせいで響が危険な目に遭うのが嫌でさ……」

 

 奏は申し訳なさそうな表情を浮かべてそう言うと、響を優しく抱きしめる。

 

「あたしはもう戦えないけど、響の事は守らせて欲しいんだよ……大切な家族だからさ」

 

「奏さん……」

 

 奏は響の耳元で優しく囁きながら、彼のことを更に強く抱きしめる。

 

「だから、辛い時とか苦しい時はあたしに頼ってくれよ……」

 

「はい……ありがとうございます」

 

「ふふっ……いい子だな。響は……」

 

 奏はそう言うと、響の頬に優しくキスをした。

 

「か、奏さん……!?」

 

 突然の事に、思わず響は顔を赤くしてしまう。

 

「ははっ! 顔が真っ赤だぞ?」

 

 奏は笑いながら、そんな響の頬をツンツンと突く。

 

「そ、それは……いきなりキスされたから……」

 

「なんだ? あたしからのキスは嫌か?」

 

「……嫌じゃ……ないです」

 

「そっか。なら、これからもこうやってキスしても良いよな?」

 

「そ、それは……恥ずかしいです……」

 

「はははっ! 可愛いなぁ、響は!」

 

 奏はそう言って、響の頭を優しく撫でる。

 

「……これからもずっと一緒だぞ? あたしの大切な家族なんだからな」

 

 そう言って彼女は優しく微笑むのだった……。

 

 ────

 

 奏と解散した後、響はトレーニングルームで身体を鍛えていた。

 

「ふぅ……」

 

 響は一息つきながらベンチに座り、タオルで汗を拭う。そんな時、入口のドアが開いた。

 

「やっぱりここにいた」

 

 そこには響や奏と同じ二課に所属している少女──風鳴翼が立っていた。

 

「あっ、翼さん!  お疲れ様です!」

 

 響は笑顔で翼に挨拶をする。

 

「えぇ、お疲れ様」

 

 翼は微笑みながら響のもとへ近づいていく。

 

「今日も頑張ってるわね」

 

 そして響の隣に座り込んだ翼は、そう言って彼の頭を撫でる。

 

「えへへ……ありがとうございます」

 

 響は少し照れくさそうにしながらも、素直に翼に撫でられている。

 そんな響を見て、翼は更に優しい表情になる。

 

「でも……無理は絶対にしてはダメよ?  響が私達のために頑張ろうとしているのはわかるけど……いざという時は私が居ることを忘れないで?」

 

「翼さん……」

 

「私は……響が心配なの。だから、あまり無茶はしないでね?」

 

「……はい」

 

「ふふっ。良い子ね」

 

 そう言って翼は、響の事を優しく抱きしめる。

 

「あ、あの……翼さん?」

 

「なぁに? 響」

 

「今の俺……汗かいてるから汚いですよ……」

 

「別に気にしないわよ」

 

 翼はクスッと笑うと、そのまま響の首筋に顔を近づける。そして、彼の首筋の匂いを嗅いだ。

 

「ちょっ!? 翼さん!?」

 

「……ふふっ。良い匂いね……」

 

 翼はそのまま舌を出して、響の首を舐めた。

 

「ひゃっ……!」

 

 彼女の突然の行動に驚く響だが、不思議と嫌ではなく……むしろ気持ち良く感じてしまっていた。

 

「可愛いわね……響は」

 

 翼は首から離れ、響の耳元で囁く。

 

「……っ!」

 

 響の顔が真っ赤に染まる。それを見た翼はクスリと笑った。

 

「……本当に可愛い」

 

 そして今度は、その耳に甘噛みをする。

 

「ひゃあっ!?」

 

 突然の刺激に思わず声が出てしまう。

 しかし翼はその反応を楽しむかのように、何度も繰り返した。

 

「ふふっ。やっぱり響の反応は面白いわね」

 

 そう言って彼女は微笑む。

 

「もう……揶揄うのはやめてくださいよ……」

 

「ごめんなさい。でも、響の反応が可愛いからつい……」

 

「全く……」

 

 響の少し呆れた様子を見た翼はそっと彼の頬に触れる。

 

「……本当に嫌だった?」

 

 翼は不安そうな表情を浮かべながら聞いた。そんな顔を見てしまうと、響は何も言えなくなってしまう。

 

「……嫌じゃないです」

 

 結局、響は素直に答えることにした。それを聞いた翼の表情は明るくなる。

 

「……良かった。もし響に嫌われたら私……生きていけないから」

 

 翼はそう言いながら、響の手を握る。

 

「……大袈裟ですよ」

 

 響は苦笑しながらも、その手を握り返した。

 

「大袈裟じゃないわ。それくらい、私にとって響は大切な存在なの」

 

 翼は真剣な顔で響の事を見つめる。

 

「……ありがとうございます。俺も……翼さんの事が大切ですよ」

 

 響は少し恥ずかしそうにしながらも、しっかりと自分の気持ちを伝えた。

 

「ふふっ。嬉しいわ……」

 

 彼女は満面の笑みを浮かべる。

 

「これからもずっと一緒よ。響……」

 

 そう言って、彼女は再び彼を抱きしめる。

 

(絶対に……離さないからね?)

 

 そう心の中で呟く彼女の瞳は、とても暗く濁っていた……。

 

 

 

 

 




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