※この話を書き上げた後に西くんの母親が自殺していることに気づきました。やっべ。
※この話は『西くんの母親が自殺してなかった世界線』ということでユルシテ。え、「ママが生きてたら西くんはこんなにやさぐれてないだろ」って?俺もそう思う。
※考えるな感じろ。西くんを曇らせたいんだ俺は。
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玄野に見殺しにされた俺は、巨人どもの兵器を食らッて死んだ。
そう思ッた直後、理屈は分からないがラストミッション終了直後に“逆行”していた。
あの塔は空間だけでなく時間も圧縮していて、それがぶッ壊れたからバグッて俺が“逆行”した、とかか?
···分かんねーけど、もう一度やり直せんなら何でもいいか。
次こそは、俺がこの世の支配者になッてやる。
···そう、思ッていたんだけどな。
ママが、死んだ。
カタストロフィの前日、車に撥ねられて。
何故だ?前回はママは死ななかッたのに、なんで死んだ?···ただ1つ確かなのは、俺のループがきッかけだと言うことだろう。
俺が特異点になッたせいで、ママは死んだんだ。
俺が殺したようなもんじゃねえか。
因果応報ッてやつか?
···巫山戯んな。なら俺に罰を与えやがれ。
ママは善良な人だッたんだ。
俺の母親とは思えないくらい、優しかッた。
なのに、なんで·········いや、さッきも考えたことか。もう結論は出てる。
俺が───ママを殺したんだ。
無気力なままでカタストロフィを過ごした。
結局、あの屑どもは殺さなかッた。
あんなのでも、殺せば───ああ、気持ち悪い。
吐き気がする。
「う、ぅ゙···おェ゙···」
「大丈夫?」
タケシ······1回目と同じように、コイツはガンツの部屋から抱えて飛んで救けた。···何が『いい人』だ。アホくせえ。消えろ。どッか···俺の目につかねえところに行ッてくれ。
ああ、口ん中がゲロの味だ。不味い。最悪の気分だ。
苦しい。
···死ねば、楽になれるだろうか?
『いい人!絶対いい人!』
『西くんは、本当は優しい人だと思う』
···チッ。嫌なことを思い出した。
◆◆
(Side玄野)
「あの施設···あの塔を壊さないで」
「え?」
「あれを壊すとこの世界が、大きな人たちが滅んじゃうんだッて···」
「あたしたちみたいに···普通に暮らしていた人も死んでしまうんだよ···おじいちゃんもおばあちゃんも、赤ちゃんも···」
「あの人が···最期に言ッたの···」
「『私たちを···滅ぼさないで』ッて···」
そんなふうに、君に泣きながら言われたら想像してしまう。
俺達人間を、人間と見做さない奴らの生活を。
技術は発展しているけど、俺たちと対して変わらない···ただ、平穏に暮らしたかッただけなのだろうか。
······滅ぼすべきでは、ない···のかもしれない。
「分かッた···助けるよ」
◆◆
あの時と同じように、巨大ロボットを腕を振るッて塔を殴る。
が、
───殴られた。
ハードスーツで強化された拳を食らい、倒れる。
「来たか···玄野」
「西!?おまえ、なんで···」
「ハッ、知るかよ」
「·········西、もういい。もう止めろ···相手もかなりダメージを食らッてる」
「変わッたな···ホント、変わッたよお前」
出会ッたばかりの頃、ミッションに早く順応していくこいつを見て···俺と同類なんだッて思ッてたんだけどな。
実際、俺が田中星人に殺られたころのこいつは、ミッションに対して前向きだッたと思う。
命がけ、スリリングなバトル···GANTZに魅せられていたはずだ。
でも、今は違うんだな。
「はァ···?なんだよ、何がしたいんだよお前···」
「分かんねーんだよ···ママが死んでからずッと···なんで生きてんのかも···」
「西······お前の、母さんは······」
「昨日、車に撥ねられて死んだ。よりにもよッて、カタストロフィの前日だぜ?」
「·········」
ひでえ顔してんなコイツ。
他人のことなのに···俺のことなんて、どうでもいいだろうに。
なんで泣きそうになッてんだよ。
あの
がッかりだ。
「······泣いてんじゃねえよ、ギゼンシャ」
「······お前もだろ」
「あの······西、くん?」
「······何?」
「取りあえず、地球に帰ろう?何も壊さず、誰も殺さずにさ」
玄野の女···“たえ”だッたか。
ガンツスーツも着てねーのに、ノコノコとこんなとこまで来やがッて···死にたいのかこいつ。
今更どうでもいいけど。
「あー、分かッたよ。疲れたから休みてーし」
「西·········」
◆◆
別々の飛行ユニットに乗ッた俺たちは無事に地球へ帰還した。
あの飛行ユニット、宇宙空間でも人間が生きていられる作りになッているのか。
大気圏に突ッ込む時も、ぶッ壊れるどころか俺たちも無事だッたし···考えてみると、ガンツの兵器ッて訳わかんねー。
宇宙人か何かだろうが、誰がこんなモン作ッて、地球人類に渡したのか···。
趣味ワリー。
俺は人混みを避け、日本の···どこか山奥に着陸した。
何をする気にもなれない。
怒る気力も、壊す気力も萎えてしまッて。
ガンツスーツの“レンズ”を指で押し込んで壊し、耐久を0にする。
その後、空き家の倉庫に入ッていたボロッちいロープを梁に結びつけた。
怒らない。壊さない。殺さない。
ならば、残ッた道は1つ。
「疲れた·········」
台から足を踏み外し、縄が俺の首を絞める。
「がッ······ッ······ぉ゙、ォ゙ぁ゙······」
ブツンッ
······ロープが、切れた。
俺は楽になることもできないのか。
そう思ッたら、涙が出てきた。
『西くんは、本当は優しい人だと思う』
·········そういや、あいつは死んだんだろうか。
まさか機動隊に誤射されて死んだッてことは無いだろうが、いかにも弱ッちそうだしカタストロフィに巻き込まれてとッくに死んでるだろう。
「············」
だが、確定じゃない。
俺はあいつが死ぬ所を見たわけじゃない。
「············行くか」
スーツは壊した。
ここから東京までは数百キロはある。
あいつは死んだかもしれない。
俺もこれから死ぬかもしれない。
それでも······取りあえず歩き出すには十分な理由か。
───赤かッた空は、いつの間にか元の青い空に戻ッていた。
ブラックボールによる「再生」は、「オリジナル個体の複製」です。 あなたは、大切な人が死んだら、「再生」しますか?
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