ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
アスランは、致命傷だけは避けているがボロボロのセイバーを支えながらミネルバへ着艦し、得意げに笑っていたシンの元へ向かい、その頬を勢いよく殴りつけた。
「っ!」
「アスラン! 何するの!」
「黙っていろ! キラ!」
アスランを止めようとするキラを振り切って、アスランはシンの胸倉を掴む。
「殴りたいのなら別に構いやしませんけどね! けど! 俺は間違ったことはしてませんよ! あそこの人たちだってあれで助かったんだ! うッ!」
そして、シンが叫んでいる言葉を聞きながらも再度殴りつける。
「戦争はヒーローごっこじゃない!」
「く」
「アスラン! 今シンが事情を話してるじゃない!」
「甘やかすな!! シンが勝手な行動をした事で、お前が落とされるかもしれなかったんだぞ!!」
「っ! た、隊長」
「良いんだよ。シン。大丈夫。僕は無事だった。それに、次からはちゃんと動く前に報告出来るでしょ?」
「……はい。ごめんなさい。隊長」
キラは泣きそうなシンをアスランから引き離すと、その頭を撫でて、抱きしめる。
そんな姿にアスランは未だ不満の消えない顔で二人を見つめているのだった。
マハムール基地へと無事に入港したミネルバであったが、シンは一人自室のベッドで横になりながら考え事をしていた。
無論、考えているのは先ほどの戦闘についてだ。
「考え事か? シン」
「……まぁ」
「先ほどの戦闘についてか」
「やっぱ、レイには分かるか」
「まぁな。格納庫であれだけ派手に騒げば誰でも分かる」
「そっか。そりゃそうだよな」
「後悔してるのか?」
「……いや、何もかもが悪かったとは思ってないけど。でも、もっと他にやり方があったんじゃないかとは思ってる」
「そうだな」
「レイなら、レイならさ。どうしてた?」
「どう。と言われてもな。俺は詳しく状況を知らん。話してくれるか?」
「それは……」
シンがレイに先の戦闘について話そうとした瞬間、シンとレイの部屋に呼び出し音が鳴り、シンが返事をするとキラとセナが部屋に入ってくるのだった。
「隊長! それに、セナ」
「休憩中ごめんね。さっきの話の続き、聞こうと思ってさ。セナはシンが殴られたって聞いて一緒に付いてきちゃった。良いかな。一緒に話を聞いても」
「……はい。大丈夫です」
シンはやや落ち込みながら、キラ、レイ、セナに戦闘で見た事、感じた事、どうしてそんな行動をしたのかを語る。
「それで、俺、無理矢理働かされている人たちを見て、逃げ出そうとしている人たちが撃たれているのを見て、それで、頭がカッとなっちゃって……」
「そっか。それで、基地を壊してたんだね。なるほど」
「隊長」
「んー? なぁに。レイ」
「私は、シンの行動に全て問題があったとは思えません。シンはオーブでの事があり、地球軍の虐殺を見せつけられれば、この様な暴走をしてしまうのも仕方のない事かと考えます」
「まぁ、僕もそこを責める気はないよ。僕だって同じ物を見たら、きっと怒っちゃうからね。ぷんぷん! ってさ。でも、問題はそこだけじゃないよね?」
「……隊長の忠告も聞かないで、突っ込んだ事ですよね」
「そ。今回は運よく狙われたのが僕だったから良かったけど、シンが狙われちゃう事だってあるんだよ。そうなったら危ない。だから、どんなにいけそうだ! って思っても、一度冷静になって、味方の位置は見て欲しいかな。みんながみんなシンみたいにびゅーんって行ける訳じゃないからさ」
「……はい」
「まぁまぁ。そう落ち込まないで。誰にだって失敗はあるよ。失敗を積み重ねて人は成長するってね」
キラは笑いながら、シンの背中を叩き、シンは泣きそうな顔でキラを見つめた。
その顔にキラは微笑みながらシンをまた抱きしめる。
「ごめんね。怖かったんだよね。もしかしたら失っちゃうかもしれないって考えると」
「……たいちょう」
「大丈夫。僕は落ちないよ。何があってもね」
「ぅ……うぅ、隊長……」
「はいはい。今はよく泣きなさいな。泣いた分だけ強くなるよ。男の子はね」
キラはシンを抱きしめたままその背中を撫で、レイとセナはそんな二人を見て微笑むのだった。
それからキラはスエズ基地の人に挨拶をしに行くと出て行って、部屋にはシンとレイ、そしてセナが残された。
セナは持ってきた医療バッグから、シンが殴られた場所を手当しようとする。
しかし……。
「良いよ。恰好悪いから」
「でも、手当した方が早くよくなりますよ。痛いでしょう?」
「へっ、あんなの全然大したことないね!」
「強がりだな」
「レイ!」
シンの声にレイはフッと笑うと、本を開いてそれを読み始めた。
これ以上は何も言わないというアピールだ。
そんなレイにシンが狂犬らしくガルルと唸った後、ため息を吐いて、セナにされるままに治療を受ける事にした。
「……シン君」
「なんだよ」
「アスランお兄ちゃんの事。あんまり悪く思わないで下さいね。言葉はちょっと足りないんですけど、あれでもシン君の事も心配してるんです」
「あれが!? どう見たって殴りたかっただけだろ!」
「シン」
「分かってるよ。ごめん。セナ。怒鳴っちゃって」
「いえ。私は大丈夫ですよ」
「っ」
「きゃ」
何でもないと笑うセナに、何だか気持ちがこみ上げてしまい、そのまま抱きしめてベッドに仰向けで倒れた。
ベッドに寝るシンの前には困ったようなセナの顔が映る。
「……シン君?」
「俺、情けないかな」
「そんな事は無いと思いますけど」
「でも、セナはあいつの事兄って呼ぶだろ? 俺の事はシン君なのにさ」
「シン君はお兄ちゃんって呼ばれたいんですか?」
「そうじゃないけどさ! そうじゃないけど、なんかモヤモヤするんだ」
「……」
セナは困った様に笑い、そのままシンに体重を預けた。
「私はシン君の事を信頼してますよ」
「……」
シンは無言のままセナを抱きしめて、天井を眺めながらため息を吐いた。
心の中は様々な事が渦巻いており、シンはその微妙な気持ちをどうすれば良いのか分からず、息を吐き出す。
「シン」
「なんだよ。レイ」
「お前は、セナをどんな時も信じる事が出来るか?」
「はぁ? そんなの当たり前だろ」
「なら、お前の不安はいずれ晴れる。このまま進んでゆけばな」
「は?」
不意に予言者の様な事を言い始めたレイにシンは横へ視線を向けるが、そこには表情の読めない顔で笑うレイが居るばかりだ。
「何があろうと、お前がセナと共にあると決めたのなら、俺もその道を進むだけだ」
「……? いや、意味が分からないんだが」
「いずれ分かる」
「おい! レイ!」
シンはレイの名を呼ぶが、レイはその声に返事をする事はなく、ただシンに背を向けてベッドに寝るばかりであった。
そんなレイの姿にシンは意味が分からないと言葉を漏らして、目を閉じた。
そして、想う。
この腕の中に居るぬくもりが消えないというのなら、俺はどこまでもセナの為の剣で、盾となろうと。
プラントにいるシンの家族も、レイも、キラも、皆、セナが守ってくれるのだ。
ならば、そのセナを守るのが俺の役目だと、シンは強く心に刻みつけるのだった。
書いてから読み直して思ったんですけど。
なんだ、これは夫婦……?
子供の教育方針で喧嘩してるのか……?
まぁ、シン君はこうして色々と経験して成長してゆくという事で。
また次回に期待しましょう。