ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
キラはガルナハン基地での作戦が終わり、ミネルバがディオキアへと入るタイミングになってもなお、浮かない気持ちでブリッジに居た。
苦笑いをしているメイリンの隣でセナを抱きしめたままため息を吐く。
「……ヤマト隊長」
「なんですか? タリア艦長」
「ディオキアに着きましたが?」
「そうですか。じゃあ、セナ。一緒に買い物にでも行こうか」
「その前にやる事があるのではないかしら?」
「やること」
キラはボーっとした顔で、タリアの言葉をただ返すが、タリアはそのキラの顔に青筋を額に浮かべる。
「隊長としての職務が沢山残っているのではないかしら? ガルナハン基地以降、ずっとブリッジに居ましたものね」
「あー。そっか。そうでしたね。……セナ。手伝ってもらってもいーい?」
「いえ。大丈夫ですよ。全部終わってます」
「んー。ありがと」
キラはセナの頬に口づけをし、直後、タリアの雷がブリッジに落ちた。
その怒りは今までのどんな物よりも激しい物であったというのは、アーサー副長の言葉である。
だが、タリアはキラに説教をしながらも、どこか責める気持ちになりきれない理由もあった。
それはこれまでの戦いにある。
プラントを守る為の戦いの記録も確認したが、酷い物だった。
争いを止めようと戦う二人を嘲笑うかの様に、ザフトから放たれた憎しみの光。
そして、ガルナハン基地での地球軍への虐殺。
平和を求めて戦っても、立場が変われば人は容易く残酷な刃と敵に振り下ろしてしまう。
ただ、平和をと願って戦う少女たちには辛すぎる現実だ。
だからこそ、艦長として、大人として言わなければならないと感じて、キラに説教をしつつも、その心を思えば、あまり強くは言えないのだった。
そんなタリアの気持ちを知ってか知らずか、キラはセナと共にミネルバを降りて、すぐ目の前にあった光景に顔をしかめた。
『みなさ~ん! ラクス・クラインで~す!』
そう。ピンク色のザクの手の上で踊りながら降りてくる少女ミーアを見たからだ。
「あー!」
「おい見ろ! あっちあっち!」
周りに居る者たちは皆楽しそうに笑いながら、ラクスことミーアの所へと駆けてゆく。
ちょうど、アークエンジェルがまだ合流していないから良いものを。
ここにラクスが居たらと考えて、キラは体を震わせるのだった。
「あれ? 隊長。隊長もラクス様のライブを見に来たんですか?」
「セナちゃんも?」
「あぁ、いや。別に僕はあんまり興味無いから」
「え? でも、ラクス様と一緒に戦ってらしたんですよね?」
「まぁ、ね?」
キラはあんな偽物とラクスを一緒にするなと叫びたい気持ちを必死に抑えて、首を傾げるルナマリアとメイリンに応える。
そして、ちょうどフリーダムの整備を終えたのか、キラ達の所へ来たアスランがザクの上で踊るラクスことミーアを見て、目を見開いた。
「は? はぁ!? おい! キラ! これはどういう事だ!」
「あー。アスランは知らなかったんだっけ」
「あっ、確かに! アスランさん。大丈夫ですか?」
「大丈夫かって大丈夫な訳ないだろう!」
「まぁ、そりゃそうですよねぇ。ラクス様と婚約してたのに。オーブのお姫様と駆け落ちなんて」
「あ? いや、それは……違くて! あぁ! もう! キラ! セナ! こっちに来い!!」
「あら。隊長と作戦会議ですか。しょうがない。メイリン。あっちは放っておこうか」
「えー。面白そうなのに。私たちも行こうよ。お姉ちゃん」
「ダーメ。常識で考えなさいよ。アンタ」
「ぶ~」
ルナマリアとメイリンが離れていくのを確認してからアスランは人気が無い場所でキラを問い詰める。
「キラ! あれはどういう事だ!」
「どうもこうも。ラクスを見つけられなかったプラントの苦肉の策だよ」
「はぁ!?」
「お兄ちゃん。そんなに怒らないで下さい。戦争に向かってしまうプラントの人たちを抑える為に、ラクスさんの存在が必要だったんです」
「……この事をラクスは?」
「知らないよ。知ってるわけが無いだろ? このまま何も知らないで居てくれる事を僕は願ってるよ」
キラはため息と共に、そうアスランへ告げたのだが、その願いは叶わなかった。
何故なら、キラの懐で携帯端末が激しく震えたからだ。
「キラ。何か鳴ってるぞ」
「僕は何も気づいてない」
「無視すると余計に怖い事になると思いますよ」
「ぅ……いや、でもまだフレイとか父さん母さんの可能性が……あぁ」
キラは携帯端末を取り出しながら、画面を見て絶望した様に目を覆った。
そして、力なく通話ボタンを押す。
「……はい」
『キラですか?』
「はい。キラです」
『今、テレビでディオキアの映像が流れておりますわ』
「……なるほど?」
『とても楽しそうですわね』
「えーっと、その。ラクスさん?」
『そういえば、キラ。少しプラントの情報を調べておりましたら、とても面白い事が書いてありましたよ?』
「えと、はい。なんでしょうか」
『なんと、ラクス様とセナ様がヤマト隊長と仲良くお食事をされていたそうですわ。不思議ですわね。私はずっとオーブにおりましたのに』
「その……それはですね」
『不思議ですわ』
「あの。そのですね。ごめんなさい。浮気とかじゃないんです。本当です」
『キラ。私、別に怒ってませんよ』
「……」
『ただ、キラはあの様な方が好みなのですね。と』
「違う! 全然違うからね! 僕はラクス一筋だから! ミーアとは! 全然これっぽっちも関係無いから!」
『でも、楽しそうにお話されて、お食事されていたのと。それにお名前でも呼んでらっしゃいますし』
「仕事上の付き合いだから! そ、そうだ! 今度、一緒に食事に行こう! どうかな!」
『……まぁ、構いませんけれど』
「お願いします! 五回! いや十回行こう! もうラクスが好きなお店に全部行こう! ね!? だから、捨てないでぇ~」
『ふふ。分かりましたわ。では楽しみにしておりますわね』
キラはラクスとの通話を切って、深い、それはそれは深い息を吐いた。
そして、亡霊の様な顔でアスランとセナを見据える。
「な、何とかなった」
「お前」
「あまりラクスさんを苦労させては駄目ですよ。お姉ちゃん」
「わーかってるって。大丈夫大丈夫。何とかなったんだからさ! まぁ、ちょっと出費が痛そうだけど。大丈夫」
「そういういい加減な所は本当に変わってないな。お前は」
「お姉ちゃんは……もう本当にラクスさんの事は大切にして下さいね」
「分かってるよ。そこに関してはね。なんていうか。僕とラクスは運命の赤い糸で繋がってるんだから。この糸は大事にするよ」
「ったく。本当に分かってるのか? お前は」
キラはアスランの説教が始まりそうな予感に、セナを抱きかかえたまま、アスランの傍から脱出しようとした。
しかし、アスランはそんなキラの行動を完全に予測しており、当然の様にキラの肩を掴んで逃がさない様にするのだった。
「キ~ラ~」
「ひ、ひぃ! 暴力反対!」
「大丈夫だ。俺はお前に手は上げない」
「口だって十分に暴力なんだからねっ!」
「俺にはお前を真人間にするという使命があるんだ! 良いか!? キラ! お前のそのいい加減な態度が……!」
それからアスランの説教はいつまでも続き、議長がキラとアスランとセナを呼んでいるとルナマリアが伝えに来るまで続くのだった。
ようやっとディオキアに来ましたわね。
ここではイベント目白押しなので、のんびり書いてゆきましょうかー