ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
ダーダネルスでの戦いで甚大なダメージを受けたミネルバは、マルマラ海の港で修理、補給作業に入っていた。
修理には相当な時間がかかる事が予測されるが……ミネルバもザフトもそれどころではない状態であった。
「……出撃許可? 出せるワケが無いでしょう」
「なら、勝手に行きます」
「キラ!! 貴女一人で行って何が出来るというの!!」
「アークエンジェルが居ます! マリューさん達なら、手伝ってくれます!」
「落ち着きなさい! キラ! 貴女は今、ザフトの軍人なのよ! そんな勝手が許されると思っているの!?」
「別に入りたくて入った訳じゃない!! 僕はセナを、大切な人を守りたかっただけだ!」
「……だとしても、今の貴女は自由に動ける立場じゃないの。分かって。貴女が飛び出せば、シンもレイもルナマリアも止まれない。そうなれば貴女は無事でもあの子たちは死ぬわ。それでも良いの?」
「……っ」
「卑怯な言い方だと思うけどね。今、貴女まで失う訳にはいかないのよ……キラ」
「っ、分かりました」
キラは全く納得出来ていないという顔であったが、頷き、ブリッジを出て行った。
その様子にタリアは深くため息を吐き、他のブリッジクルーも複雑な顔をする。
「見世物じゃないわよ。作業に戻りなさい!」
「は、はい!」
タリアは再びため息を吐き、どうにか議長へと連絡が取れないかと港へ打電を続けるのだった。
殺されていない以上、利用価値があるから奪われている。
それなら奪い返す事も可能だと、考えて。
タリアのそんな考えを知ってか、知らずかキラは、一人誰にも見つからない様にミネルバの空き部屋に隠れてアークエンジェルと連絡を取っていた。
アークエンジェルは少し離れた海中で身を潜めているが、電波を妨害する物がなければ、セナが作った携帯端末で通話可能だ。
「もしもし? ラクス?」
『はい。キラ。セナ様の事ですわね?』
「うん。そっちは動ける?」
『はい。既に飛行できるMSは全機出撃しておりますわ。とにかく情報を、と』
「……そっか」
『キラは……戻られますか?』
「僕は……」
キラはラクスの声に返答しようとしたが、突如開かれた扉に外へと視線を向けた。
無論、何も口には出さずにだ。
「隊長。シンが暴れています。一緒に格納庫へ来ていただけますか?」
「……レイ」
キラは携帯端末の通話を切りながら、さりげなく懐へとしまう。
そんなキラを無表情で見ながら、レイは先導する様に歩き、キラに言葉をぶつける。
「逃げるんですか? 俺たちから」
「っ」
「確かにアークエンジェルは隊長にとって、かつての仲間だったかもしれない。でも今の仲間は俺たちだ。そうでしょう?」
「レイ」
「許しませんよ。そんな事。隊長は、俺たちの隊長だ。俺にも、シンもルナマリアも、貴女が必要なんだ」
「君は……」
「セナの事なら心配は要りません。既にギルが部隊を送っています。発信機もありますしね。すぐに取り戻せます。ですから、どうかミネルバに留まって下さい」
「君たちは、何をするつもりなんだ」
「いずれ分かります。隊長がセナとギルを裏切らないというのなら」
キラはそのレイが発した言葉に、少しだけ表情を硬くした。
しかし、すぐに元に戻ると、大きく息を吐いて、レイに一言だけ返すのだった。
「分かったよ。今は何もしない。でも、君たちがセナを傷つけるなら、僕が壊すよ。そんな計画も、ザフトも」
「……分かってます」
静かに、凍える様な瞳でレイを射抜いた後、キラは格納庫で暴れているシンの元へと向かうのだった。
格納庫でシンは複数の警備兵に捕まりながら、叫んでいた。
「離せ! 離せよ!! セナの所へ行くんだ!!」
「落ち着け! シン・アスカ! 命令は待機だ!」
「うるさい!! 俺が行かなきゃいけないんだ!!」
「シン」
「っ! 隊長!」
「命令は待機。聞いたでしょう?」
「でも! セナが!」
「分かってるよ。僕だって出来る事なら飛び出したい。でも、他の部隊も動いているし、僕らが動いても邪魔になるだけだ。セイバーもインパルスも隠密性は高くないしね」
「う、うぅ……おれ」
「シン。ごめんね」
「俺が上手くやっていれば、セナが居なくなる事も無かったのに」
「あんまり自分を責めないで。シン。セナは自分で決断して戦場へ出た。そして、おそらくは子供を助ける為に地球軍へと向かった。だから、あの状況じゃあ僕たちに出来る事は無いよ。冷たい事を言う様だけどね」
「っ!? 子供を助けるって」
「僕たちがホープの所へと向かった時、ホープの傍に居た子供が教えてくれたんだ。子供に銃を向けて、ホープから降りろって言ったみたい。連絡もするなってさ」
「あ、あぁ、あぁぁあああ!! 地球軍!!!」
シンは怒りのままに床を殴りつけて、涙をこぼした。
そんなシンを見て、キラもまた目を閉じて空を仰ぎ、涙を流す。
格納庫ではいつまでもシンの嘆きが聞こえているのだった。
ラクスとキラが話を終えた後、アークエンジェルに一つの通信が入り、マリューはその人物をアークエンジェルに受け入れた後、全MSに帰投命令を出した。
そんな命令に、アスランはパイロットスーツから着替える事もせずブリッジへと向かうのだった。
「艦長。帰投命令というのは」
「あぁ、ごめんなさいね。アスラン君。ちょっと情報が入った物だから」
「情報……?」
アスランの疑問に応える様に少女と少年が一人ずつオーブの軍服を着て、ブリッジへと入ってきた。
「そ。私たちが持ってきたの。アスラン・ザラ」
「君は、ミリアリア・ハウ! それにトール・ケーニヒか!」
「久しぶりだな。アスラン!」
「知り合いかね。アスラン」
「はい。クルーゼ隊長。以前、アークエンジェルに乗っていたオーブの民間人です」
「そして、今はオーブの諜報機関に所属し、世界各地の情報を集めて貰っている。まぁ、スパイだな」
アスランの言葉に、カガリが補足をして、ブリッジに居た全員がなるほどと頷いた。
「それで、そのスパイサンはどんな情報を持ってきてくれたんですか?」
「セナちゃんの居場所ですよ。ムルタ・アズラエルさん」
「ほぅ」
「本当か!?」
「勿論。嘘を吐いてもしょうがないでしょう?」
ミリアリアは持っていた写真をその場にいた者たちに渡して、見せる。
「セナちゃんを攫った連中は、一度地球軍の空母に連れて行った後、港に着いてから、ここに向かった」
「ふむ。ロドニアのラボですか。これは随分と厄介な所に連れていかれましたね」
「アズラエルさんは何かご存知なんですか?」
「えぇ。地球軍の負の遺産。生体CPUの生産工場ですよ」
「生体CPUという事は、サブナック少尉たちの……」
「その通りですよ。副長サン。しかし、そんな所にセナを連れ込んで、何を考えているんでしょうねぇ」
「まさかとは思うが、クローンを作ろうとしているのでは無いだろうな」
「クローン? あぁ、そういえばクローンの研究もしてるんでしたっけ。なくは無いでしょうが、セナと同じ能力の偽物を作った所で、あの子と同じ精神性は持たないでしょうし。女神を二人に増やす無意味さは流石に理解していると思いますよ」
「そうか」
「とにかく。居場所が分かったのなら、すぐに発進しましょう。ミネルバへ打電。アークエンジェルはロドニアのラボへ向かいます」
マリューはそう指示を出し、アークエンジェルをロドニアへ向かわせるのだった。
はい。
寝る前に投稿してから。
では、また明日ー。