ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
フリーダムを討ったシンはミネルバに帰還し、何とも微妙な反応で迎え入れられた。
それもそうだろう。
つい先日までアークエンジェルはほぼ友軍であったのだから。
それを躊躇いなく討ったシンは間違いなく異端であった。
しかし、そんなシンをレイとルナマリアだけは変わらず迎え入れる。
「シン! すごかった! あんな戦い方。びっくりしちゃったわよ」
「そう?」
「よくやったな、シン。見事だった」
「ありがとう。レイのおかげだ」
「やり遂げたのはお前だ」
そんな三人の反応を見て、整備兵たちは段々と気持ちを切り替えてゆく。
「シン! おめでとう!」
「あぁ!」
しかし、歓喜に包まれる格納庫でハイネだけはため息を吐きながら、シンのそんな姿を見ているのだった。
そう。見ていれば分かるのだ。
シンは明らかに無理をしている。
その笑顔も立ち振る舞いも。何もかも。
「あーあ。性に合わねぇんだよな。こういうのはさ」
ハイネは一人そう呟いて、営倉の方へと向かった。
あの真っすぐ過ぎるくらい真っすぐな少年がこれ以上傷つかない様にと。
営倉に入ったハイネは誰もいないその場所で静かにキラへ話しかけた。
「よぅ。キラ。楽しんでるか?」
「これが楽しい様に見えるなら、ハイネは病院に行った方が良いね」
「はっは。そりゃそうだ」
「それで? ハイネは何の用? もしかして何か差し入れかな」
「……」
「僕としては、何か良い感じの枕があると寝るのも楽しいんだけど。なんて……」
「アークエンジェルとフリーダムが撃墜された」
「……は?」
キラは先ほどまでのふざけた雰囲気など何処かに捨てて、ハイネを鋭く戦士の顔で睨みつけた。
「冗談なら面白くないんだけど」
「冗談じゃない。討ったのは俺達だ」
「ふっ、ざけんな!!! なんで! なんでアークエンジェルが討たれなきゃならない!! アスランが!」
「議長がな。ロゴスを討つってんで、アークエンジェルに乗ってるムルタ・アズラエルの身柄を引き渡す様に言ったんだよ。でも拒否してな」
「当たり前だろ!! アズラエルさんがロゴスだったのも! ブルーコスモスだったのも二年も前の話だ! その時の賠償だって全部やった! セナの為に、表で生きていける様にって、プラントにだって支援は送った! なのに! なんで!!」
「俺には分からん。だが、命令だからな。討っただけだ」
「ハイネ!!!」
「憎みたきゃ憎めよ。謝れってんなら謝るけどな。俺達は軍人なんだよ。キラ」
「っ! なら、軍人なら、恩人を討つのか!? ザフトは! ミネルバは! オーブに、アークエンジェルに! フリーダムに助けられてきたんだろ!! それをよりもよって!!」
「すまん」
「なんで……! なんでハイネがそんな傷ついた顔するんだよ! なんで……!」
「悪いな」
「結局僕だけ蚊帳の外か……! シンだって僕に嘘を吐いて! それで君たちはいったい何を守れるつもりなんだっ……」
「キラ!!」
「……ぅ」
「その言葉は絶対にシンには言うな。アイツもな。いっぱいいっぱいなんだよ。そこでお前に否定されたら、アイツは壊れちまう」
「う……ぅぅ」
「すまん。俺で良ければいくら罵っても構わん。ハンカチ代わりにしても良い。だからあいつらの前では、優しいヤマト隊長のままでいてくれ」
キラはハイネの胸倉を掴みながら泣いた。
牢屋の中でいつまでも、いつまでも泣き続けるのだった。
それから、ミネルバはジブラルタル基地へと向かい、無事入港した。
『こちらジブラルタルポートコントロール。LHM-BB01、ミネルバの到着を歓迎する』
「おお!」
『これより貴艦を二番プラットホームに誘導する。ビーコン確認をどうぞ』
「こちらミネルバ。了解。ビーコンを確認する」
「いや凄いですね~。付近の全軍に集結命令が出ているのは知っていましたが、こうして見ると壮観です」
アーサーは興奮しながらタリアに語り、タリアは難しい顔をしたまま小さく息を吐いた。
「何の為に、戦うのか。か」
「艦長?」
「何でも無いわ。それより各員に連絡」
「は、はい!」
それからミネルバは入港作業を行い、ブリッジクルーはひとまず息を吐く。
「入港完了。保安要員及び整備班、船務A班は直ちに所定の作業を開始せよ」
「艦長」
「どうしたの? メイリン」
「基地指令からシン・アスカとキラ・ヤマトに出頭命令です」
「え?」
そして、キラは久しぶりに営倉の外へと出て、身支度をしてからシンと共に基地の内部にある工廠へと向かうのだった。
シンはキラと久しぶりに歩きながら、嬉しい気持ちと、申し訳ない気持ちの両方を抱え、何を言えば良いか分からず、ただ服を握りしめていた。
「ほら。シン。あんまり握ってると皺になっちゃうよ。これから議長と会うんだし。しっかりして」
「え? あ、はい!」
「眉間の皺も取って、はい。男前になりました。ちょっと見ない間に成長したね。うん」
シンはいつもと変わらないキラの様子に困惑し、呟く様に喉の奥に引っかかっている言葉を呟いた。
「あの、隊長。アークエンジェルの事」
「しょうがない」
「え?」
「本国からの命令だったんだもん。しょうがないよ。シンが気に病まないで」
明らかに無理をしていると分かるその笑顔にシンは小さく分かりましたとだけ呟いて、前を見た。
キラにこんな顔をさせてしまっているのは自分だと理解しながらも、もうこれ以上傷つけたくないと。
どんな悲しみからも守りたいのだと、気持ちを強く持ち直す。
「ごめんなさい。隊長」
「ん」
キラはシンの背中を叩き、前を見た。
そして、二人は案内されるままその場所へと足を踏み入れた。
議長が待つ、その暗いMSハンガーの中へと。
「失礼します!」
「ん?」
「シン・アスカ、キラ・ヤマトを連れて参りました」
「うん」
「お久しぶりです。議長」
キラは感情の読めない笑顔でそうデュランダルに告げ、議長もまた同じ笑顔で返す。
そしてキラの事を見つけ、駆け寄ってきたラクスことミーアを抱き留めて、そのまま片腕に抱き着くミーアをそのままにデュランダルの話を聞くのだった。
「さて、もう知っていることと思うが、事態を見かねて遂に私はとんでもないことを始めてしまってね」
「いえ! とんでもないなんてそんな……」
「また話したいこともいろいろあるが、まずは見てくれたまえ。もう先ほどから目もそちらにばかり行ってしまっているだろう?」
デュランダルの言葉を合図として、明かりが付き、その二機の機体が照らされる。
「ZGMF-X42S、デスティニー。ZGMF-X666S、レジェンド。どちらも従来のものを遙かに上回る性能を持った最新鋭の機体だ。詳細は後ほど見てもらうが、おそらくはこれがこれからの戦いの主役になるだろう」
「議長! これは!」
「あぁ。君達の新しい機体だよ。シン。そして……キラ」
デュランダルの微笑みに、シンは無邪気に喜び、キラは静かにデュランダルを見据えた。
「よろしいのですか? 僕は現在、軍規違反により拘束中の身ですが」
「……ぁ」
「無論だとも。キラ。今回の事情は聞いているよ。確かに軍規違反は問題だが、君の功績を考えれば、些細な違反だよ。それに、実は君の処遇に関して、かなりの数の嘆願書が上がってきていてね。このままではザフト全軍が裏切りそうな勢いなんだ」
「じゃ、じゃあ!」
「あぁ。今回の件は不問とする」
「隊長!」
「……ありがとうございます。議長」
「いや。この程度は大した事じゃないよ。それで、どうかな? 君にはレジェンドを任せたいのだが」
キラは静かに自身の機体だと言われた物を見上げる。
そして、微笑みながら頷いた。
「ありがとうございます。議長。これからも議長の理想の下、頑張らせていただきます」
「ありがとう。キラ。詳細は整備士と確認してくれ。そして、シン」
「は、はい!」
「君にはデスティニーを任せたい。どうだろうか」
「デスティニー……セナの調整したシルエットと同じ」
「そうだ。デスティニーはセナが大きく開発に関わっているからね。シルエットと同様に」
「やります!! 議長! やらせて下さい!」
「嬉しいよ。では、また話そう」
そして、デュランダルは深い笑みを浮かべながらハンガーを離れ、キラとシンは新機体を調整する為に整備士と話し始めるのだった。
はい。
まぁ特にいう事は無いですが、新機体を貰いました!!
ヤッタネ!
いや、まさかね。
主人公機の記念すべき初出撃が何か重苦しい空気の中、脱走する味方を落とすとかね。
そんな訳無いですわ。
ねぇ?
という訳で、新機体を貰ってうっきうきのシンはきっと忘れられない出撃をする事でしょう。
今は前準備。前準備。
次回「PHASE-46『セナ脱走』」
では!
また明日!