ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
ジブラルタル基地で、停電騒動の間に起こった出来事についてレイから報告を受けていたデュランダルは頭を抱えながらため息を吐き、小さく「そうか」とだけ呟いた。
そして憔悴状態のシンとレイに休む様に言うと、ベッドの上で眠る何とか命を繋いだ小さな命を見据える。
「……君は本当に無茶ばかりするね。セナ。しかし、君の無茶がキラを殺した」
呟いた独り言は、セナとデュランダルしか居ないこの部屋で誰にも届かず消えていったが、それでもデュランダルは言葉を続けた。
「今の君やレイを見ていると、私は間違っていたのではないかと思ってしまうな。いや、だからこそ、もう止まれないか」
しかし、やはりデュランダルの声に応える者は無く、その声は静かに消えてゆくのだった。
デュランダルがセナの病室に居る間も、対ロゴスの為の勢力は集まってゆき、地球連合軍からも多くの人間が対ロゴス同盟軍に参加しつつあった。
そして、その中にはサングラスを掛け、不敵に笑う男。アル・ダ・フラガの姿もあったのである。
「フラガ大佐」
「どうした」
「昨晩の騒ぎですが、詳細が判明しました」
「ほぅ。聞かせて貰おうか」
「どうやら、キラ・ヤマト、セナ・ヤマトがザフトのMSを奪い、逃亡しようとした様です」
「……それで?」
「キラ・ヤマトはMSが撃墜され行方不明。セナ・ヤマトは乗機が撃墜されるも救助され、今は基地の最奥に居ます。死亡はしていない様ですが、状況は不明です」
「なるほど。先手を打たれたか。流石はセナ・ヤマトという所かな」
「は」
アルは発言が理解出来ず、呆けた声を出す部下にため息を吐くと、やや乱暴な口調で語り掛けた。
「我々の目的を言ってみろ」
「ハッ。せ、セナ様の保護と、その姉キラ・ヤマトの確保でございます」
「そうだ。その為に、一度は確保したセナ・ヤマトをザフトへ戻したワケだ。これから崩壊する連合よりもザフトの方が安定するし。ザフトが対ロゴスの同盟軍を組むだろうと、知り得た情報から推察出来たからな」
「さ、流石のご慧眼です」
「この程度は当たり前だ。そして、我々は対ロゴス同盟軍に参入し、旧連合に全ての罪を被せ、敵として討ち、敵が居なくなる瞬間に、内部から二人を確保すれば良かった。だが、そうなる前に、セナ・ヤマトは姉であるキラ・ヤマトをザフトから逃がしたのだ」
「その様な事が行われていたのですね」
「あぁ。そうだ。……宇宙でメンデルを嗅ぎまわっている連中も、オーブも動いてはいなかった。しかし、セナ・ヤマトは動いた。間違いなくこちらの動きを察知していたとしか思えん」
「流石は救済の天使殿」
「何を褒めている。その天使が我々の計画を妨害していたんだぞ」
「それでも天使殿は我らの救世主ですから」
話にならないとアルは頭を抱え、戦艦の中からジッとジブラルタル基地の奥を、セナが眠っているであろう場所を睨みつけた。
そして、笑う。
「完璧な私を出し抜くか。やはり面白いな。セナ・ヒビキ。手放したのは失敗だったかもしれんな」
「大佐?」
「いや、何でもない。それよりも準備を進めろ。特にリュニックの偽装は完璧にな。連中にファントムペインだとバレると面倒な事になるぞ」
「ハッ!」
「ふふ。我々は正義の味方になるのだからな」
そして、獅子身中の虫が入り込んでいる事など知る由もないミネルバの艦内では、シンが酷く疲れ切った様子でベッドに倒れていた。
「シン」
「……どうしたんだ。レイ」
「大丈夫か?」
「あぁ。大丈夫だよ」
シンはかすれた声で、そうレイに返すが、その言葉が強がりである事くらい誰にでも分かるくらいシンは憔悴しきっていた。
当然だろう。
デスティニーが勝手に動いたとはいえ、シンはその手で、敬愛していた隊長と、仲間であるルナマリアの妹、そして、大切にしていた妹を討ったのだから。
まともで居られるはずがない。
だが、世界はシンに立ち止まる事を許してはくれなかった。
全ての原因が、こうやってシンを追い詰めている原因がまだ居るのだ。
これまでに起こった事は全て、ロゴスという巨悪が起こした事。
だから、それを討たねば同じ悲しみが繰り返される。
「……シン」
レイは、生きている事が不思議に思えるほどに、生気を感じないシンに、語り掛けようとした。
しかし、言葉は出ず、何を言おうかと悩んでいる時に、部屋の扉が開く。
「シン」
「っ! るな……!」
ベッドに寝ていたシンは飛び起きて、震える瞳で、部屋に入ってきた一人の女性を見つめた。
シンと共に長く戦ってきた仲間でありながら、キラが教官となってからはレイやアグネスを含めて四人で過ごしてきた。
キラが隊長となってからはアグネスが居なくなって、代わりという訳ではないが、メイリンも一緒に過ごす様になって。
かけがえのない友人として、同じ時間を過ごしてきた。
シンにとってはただの同僚や仲間という言葉では語れない様な相手だ。
しかし、そんな相手の大切な妹を、自分は殺してしまった。
コックピットを強力なビームで焼いたのだ。遺体すら残っていないだろう。
「ごめ……ルナ……ごめん」
「シン!」
ルナマリアは今にも崩れ落ちそうなシンに駆け寄ると、その体を強く抱きしめた。
元よりルナマリアはシンを責める為にここへ来たワケではない。
事情は艦長から聞いたのだ。
だから、シンの事が心配となり、来た。
「シン。しっかりして、シン」
「……ぅ、ぅう」
「メイリンの事、聞いたわ。正直、自分でも、まだ混乱してる。どうしてって思いもある。でも、シン。貴方はまだ生きてるでしょう?」
「……ルナ」
「私もシンもレイもまだ生きてるでしょ!?」
「……うん」
「よく考えて、シン。もし貴方が死んだら、誰がどう思うか! セナちゃんは、一人残されたセナちゃんはどうするの?」
シンはルナマリアに見つめられながら、ただ静かに涙を流した。
「きっとあの子は自分を責めるわ。隊長やメイリンを落としたのが、事故だったとしても! そのせいでシンまで、自分のせいでシンまで死んでしまったって! あの子は一人きりの世界で、きっと最悪の選択を選ぶ。分かるでしょう!?」
「……あぁ」
「だから、生きて。辛くても、苦しくても。守るって決めたんでしょ? シン・アスカ!!」
ルナマリアはシンの肩に手を乗せて、言葉をぶつけ、その言葉にシンはルナマリアから離れながら、流れる涙を乱暴に拭った。
そして、怒りではなく、決意を秘めた瞳でルナマリアと、レイを順番に見据えた。
「ルナ」
「えぇ」
「レイ」
「あぁ」
「ごめん。俺」
「良いのよ。私たち。仲間でしょ?」
「……ルナ」
シンはルナマリアの言葉に落ち着く様な嬉しさを感じながら、目を伏せた。
そして、静かに目を開くと、拳を握りしめて、誓う。
この戦争を終わらせてみせると。
「今度こそ、平和を作るんだ。俺の手で」
ルナマリアはシンの握りしめた拳を引き寄せて、自分の手を重ねて笑う。
「俺たち。でしょ?」
「お前は一人じゃない。シン」
「……っ! あぁ! やろう! 俺たちの手で! 隊長やメイリンに誇れるような、平和を作る!!」
シンはそう決意して、これから行われるヘブンズベース攻略戦……オペレーション・ラグナロクへと意識を向けるのだった。
まだ心の傷は何も癒えていない。
しかし止まってしまえば、もう動けない。
そう分かっているからこそ、シンは走り続ける覚悟を決めるのだった。
はい。
という訳で落ちたので、ここから上がってゆく話。
まぁ、毎度のアレですが。
巨悪に立ち向かってゆく、ちっぽけな人間の話が好きですからね。
という訳で、
次回「PHASE-49『天空のキラ』(前編)」
衝撃のヘブンズベース編全カットでございます。
いや、まぁ原作と大して変わらんし。
シン、ルナ、レイが協力してヘブンズベースを攻略するよって感じです。