ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
ダイダロス基地へ、ミネルバ、エターナル、アークエンジェルの三艦が移動を始めた頃、カガリは世界へ向けてメッセージを送る準備を進めていた。
無論話す内容は先のオーブ侵攻、そしてアークエンジェルへの攻撃の件である。
エターナルのブリッジで皆に見守られながら、服を整えて、小さく息を吐く。
「準備は良いぞ」
「では開始します」
カガリはカメラを見ながら静かに口を開き、語り始めた。
「オーブ連合首長国代表首長、カガリ・ユラ・アスハです。今日私は全世界のメディアを通じ、先日ロード・ジブリールの身柄引き渡し要求と共に我が国に侵攻したプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います」
カガリが喋っている姿を別のモニターでも確認しながら、配信は続けていく。
しかし。
「過日、様々な情報と共に我々に送られたロゴスに関するデュランダル議長のメッセージは確かに衝撃的なものでした。ロゴスを討つ。そして戦争のない世界にというの議長の言葉は、今のこの混迷の世界で政治に携わる者としても、また生きる一個人としても確かに魅力を感じざるを得ません。ですがそれが……」
「ん?」
『皆さま。わたくしはラクス・クラインです』
カガリの言葉を放送していた映像は全て、プラントに居るラクスの物に切り替わってしまう。
エターナルのブリッジに映し出された映像を見て、ラクスは目を細めた。
「ラクス。じゃあ予定通り」
「……確かに大きいですわね。私より」
「ラクス?」
「何でもありませんわ。キラ」
ラクスの笑顔にキラは何故か寒気を感じながらも頷き、ラクスはカガリの隣へと移動した。
『過日行われたオーブでの戦闘はもう皆さんも御存じのことでしょう。確かにジブリール氏がオーブへと逃れたという情報に惑わされてしまった私達でしたが、元よりオーブにはロゴスの……』
「その方の姿に惑わされないでください」
メイリンの手により再び映像をハイジャックしたエターナルは、カガリと並び立つラクスの映像を世界中に流した。
その姿に世界中が動揺する。
「わたくしはラクス・クラインです」
ラクスはふわりと笑ってから、言葉を続けた。
「わたくしと同じ顔、同じ声、同じ名の方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています」
ラクスの言葉は静かに響き、聞いている者の耳に届く。
「ですが、私、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではアークエンジェルと共に戦いました私は、今もあの時と同じ平和を願う方々と共におりますわ」
そして、映像は半分にラクスとカガリ、もう半分でミーアを映し、それぞれの言葉を世界中に流してゆく。
「彼女と私は違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います」
『わ、わたくしは……!』
必死にミーアも言葉を語ろうとするが、彼女の言葉が用意された台本である以上、何も言葉になる事は無かった。
それでも何かを語ろうとするミーアの姿にキラは、酷く悲しい気持ちになる。
「わたくしはデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません」
『え……なんで』
「戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか?」
ラクスの言葉に世界中の人が言葉の意味を考えるべく、放送に耳を傾けた。
いつの間にかミーアの通信は切れており、もはやラクスの言葉を邪魔する者は居ない。
そして、ラクスの言葉はエターナルと共に行動しているミネルバも聞いており、シン達もまた自室で集まり、見て、聞いていた。
「哀れな物だな」
「……レイ?」
「所詮、偽物は偽物という事だ。本物に成り代わろうとしても出来るはずがない」
「そうだな」
「ちょっと、シン!」
レイの事情について、レイから聞いたルナマリアはシンの無神経な返事に背中を叩くが、シンはその衝撃に咳き込みながらも、レイを真っすぐに見て、笑う。
「レイはレイ。アルダなんちゃらって奴の偽物なんかじゃないよ。俺の親友。レイ・ザ・バレル。そうだろ?」
「シン……」
「へへっ。俺はずっとそう思ってるぜ」
「お前と話していると、自分の悩みがまるで大した事が無いんじゃないかと思えてくるな」
「うーん。それが良いのか悪いのか。俺には分かんないけどさ。悩んでも良いんだと思う。迷っても良い。それで立ち止まった時はさ。言ってくれよ。俺たち。親友だろ?」
「……あぁ、そうだな」
レイの目には僅かに涙が光り、そんなレイの姿を見て、シンとルナマリアは顔を見合わせて笑うのだった。
ラクスの放送は世界中に波紋を与え、皆がその正しさについて考え始める。
その考えがどの様な方向へ転がるか分からないが、今までの様にデュランダルの言葉をただ真実と受け入れる事が出来なくなったのは確かであった。
しかし。
しかしだ。
その様に世界が流れ始めたこの時に、一人の男がその兵器を見ながら笑みを浮かべていた。
「グノー、予定ポイントまであと20分です」
「レクイエム、ジェネレーター稼働率85%。23番から55番臨界」
「パワーフロー良好。超鏡面リフレクター臨界偏差三一二九」
「予備冷却系GRを起動」
「バイパス接続」
ダイダロス基地の中で、順調に進行してゆくそれは、人の悪意を形にした物であった。
「しかし、本当に撃つのですかな? 貴方はこれを」
「当たり前だ。そのためにわざわざこちらへ上がったんだからな」
「それは頼もしいお言葉だ。嬉しく思いますよ。ならば我々も懸命に働いた甲斐もあるというもの。こんなところでもね」
「ん?」
「最近は必要だと巨費を投じて作っておきながら肝心なときに撃てないという優しい政治家が多いものでね。それでは我々軍人は一体何なのかと、つい思ってしまうのですよ」
「ふん!私は大統領のような臆病者でも、デュランダルのような夢想家でもない。撃つべき時には撃つさ。守るために」
「なるほど」
ジブリールはモニターに映るプラントを睨みつけながら、ここまで追いつめられたのは始まりの時以来だと心に抱えた怒りを思い出す。
親友だと思っていたコーディネーターに裏切られ、殺されそうになり、一人の少女に救われ、何とか生き延びる事が出来た時の事を。
そういえばあの裏切った男はデュランダルによく似ていたなと、これから死にゆく敵の姿を想像してほくそ笑んだ。
「彼女は?」
「ハッ。プラントを防衛している艦に」
「フン。では問題ないな」
ジブリールはいよいよ時が来たと、その時を待ちわびる。
全てが終わり、新たな世界は始まる瞬間を。
「グノー、所定位置へ」
「フォーレ、チェルニー、姿勢安定。フィールド展開中」
「レクイエム、ジェネレーター作動中。臨界まで480秒」
「護衛艦隊は射線上から退避せよ」
オペレーターの言葉を聞きながら、司令官はジブリールへと尋ねる。
「照準はどこに?」
「アプリリウスだ。決まっているだろう。これは警告ではない」
「照準、プラント首都アプリリウス」
「目標点入力、アプリリウス。最終セーフティー解除、全ジェネレーター臨界へ。ファーストムーブメント準備よろし。レクイエムシステム発射準備完了。シアー開放。カウントダウン開始。発射までGマイナス35」
全ての準備が終わり、司令官は最後の指示を出した。
「トリガーを回せ」
そして、ジブリールはそのトリガーを手に持って、スイッチを入れる。
プラントへと憎しみの光を向けるのだった。
「さあ奏でてやろうデュランダル。お前達のレクイエムを!」
その言葉を合図として、レクイエムは今まさに最悪の産声を上げるのだった。
はい。
ミーアさん、ボッコボコに殴られて世界中に配信されるのホンマ可哀想。
何かずっと悲しいんだよね。
という訳で、特に今回は語る事もそれほど多くありませんが。
レクイエム。行きますっ!