ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
どこからおかしくなってしまったのだろうとミーアは考えていた。
いつから狂ってしまったのだろうとミーアは悩む。
ホープセイバーの実験に立ち会った時、ミーアはこの世の終わりという物を確かに見た。
全ての実験が成功し、セナと議長の夢が成功する。世界が平和になると人々が喜んでいる中、セナはホープセイバーのコックピットから這い出てきて、血を吐いていた。
苦しそうに胸を抑えて、何度も咳き込みながら。
「セナ!」
ミーアは急いでセナに駆け寄って、服が汚れる事も気にせず、ハンカチでセナの口元を拭きながら抱きかかえた。
「……あぁ、ラクスさん。ありがとうございます」
「セナ」
「セナ。実験は大成功だよ」
「そうですか。それは良かったです」
ニコニコと朗らかな顔で笑う議長と、苦しいだろうに無理をして笑っているセナを見て、ミーアは心の中で何度も叫んでいた。
もう止めてと。
こんな風にセナを痛めつけて何が平和への道なのかと。
訴えたかったが、議長が恐ろしく、終ぞその言葉を二人の前で吐く事は出来なかった。
しかし、レクイエムを受け止めて、ボロボロになりながらも世界に平和を訴えて、また体を傷つけているセナを見て、ミーアはもう我慢する事が出来なくなっていた。
「……逃げましょう。セナ」
寝ているセナを連れ出して、兵士に嘘を吐いてシャトルを動かしてもらい、月面都市コペルニクスに逃げて来ていたのだ。
どこまで逃げれば安全か分からなかったが、それでもあのままメサイアに居てはいずれセナは死んでしまうとミーアは考えていたのだ。
しかし、二人きりの逃亡生活というのはミーアにも負担が大きく、ベッドで寝ているセナを見ながらミーアは一人膝を抱えて顔を埋めていた。
「……あいたい」
思い出すのはいつも喧嘩ばかりしていた人の顔だ。
「キラ……あいたいよ」
そんなミーアの逃亡生活であったが、ある時セナが急に散歩がしたいと言い始めた事で、外へと出る事にした。
久しぶりに受ける外の光は酷く眩しく、セナの手を握って歩きながらも、ミーアは気分の悪さを感じていた。
すぐにでも家に帰り、ベッドに倒れたいような気分であったが、セナが望むからと何とか気合を入れて歩いているのだった。
だが、セナが行きたいと言っていた公園に来ていたのだが……そのコロッセオ風の建物で、ミーアはずっと会いたいと願っていた人物と、いつの間にか最も会いたくないと考えていた人物と出会う事になるのだった。
「セナ!!」
「……キラ!? 生きて……!」
「ミーア! 何で君がここに?」
「何でって、セナと逃げ出して……それで」
走り寄ってきたキラに、ミーアもキラも混乱するが、その疑問に答えを与える人物が居た。
「来てくれて、ありがとうございます。お姉ちゃん」
そう。セナである。
「え? え? どういう事? セナ」
「それは、こういう事ですよ」
セナはミーアを突き飛ばすと、懐から銃を抜いて、いつでも使える様に準備する。
「セナ!」
「お姉ちゃん。私はこれから世界を変えます。しかし私と議長の理想に賛同しない人間は必要ありません」
「っ!」
セナは銃を両手で持ちながら、それを真っすぐにキラとキラが抱きしめているミーアに向ける。
「……私は」
「セナぁぁああ!!」
「っ!? アスラン……お兄ちゃん!?」
物陰から飛び出してきたアスランはセナの手から銃を蹴り飛ばすと、周囲を警戒する様に自身の銃を周囲に向ける。
そして、セナ自身も走ってきたキラによって捕まってしまうのだった。
「さぁ! セナ! 大人しくしてもらうよ!」
「そういう訳にはいきません」
セナは強い目でキラを見据えると、その名を呼んだ。
「来てください! ホープセイバー!!」
そのセナの声に反応して、飛んできた漆黒の機体は、レクイエムを止めた時の物とは違い、ほぼホープと変わらない見た目をした機体だった。
そして、キラを軽く押しのけて、セナを掴むとコックピットまで運ぶ。
「本当はお姉ちゃんとミーアさんを処分しようと思ったのですが、残念です」
「セナ!」
「では……さようなら。ミーアさん」
「待って! 待ってよ! セナ!!」
『もう会う事もないでしょう』
セナはホープを通して、キラたちにそう告げて、さっさと出て行ってしまうのだった。
そんなセナを見て、キラは呆れた様にため息を零して、抱きしめているミーアを見つめる。
「どうやら、君を僕らの所へ逃がす為だけに、こんな茶番をしたみたいだね」
「え? え?」
「確かにラクスの代役をやっていた君は微妙な立場だ。議長の下に居ては命が危ないかもしれない。セナはそう考えたんだろう。議長に殺されなくても、ラクスを信奉する人は多いから。まったく。だから早くミーアに戻れって僕は言ったんだよ? セナにこんな茶番までさせて」
「ご、ごめんなさい……でも、私」
「貴女がミーアさんと仰いますの?」
そして、キラとミーアの会話に顔が分からない様にフードを被ったラクスが近づき、そのフードを取る。
「……ラクス様」
「貴女とはちゃんとお話ししたいと思っていましたわ」
「え、私、その……キラの事は」
「ふふ。そうですわね。キラの事もそうですが。その前に、私が貴女に押し付けてしまった事をちゃんと謝りたいと思っていたのです」
「謝る、なんてそんな」
「いえ。どの様な形であれ責任を放棄して逃げてしまったのは私ですから。ミーアさんには辛い思いをさせてしまいましたね」
「……ラクス様」
ラクスはミーアに笑いかけながら、その手を取り、目を閉じる。
ミーアはそんなラクスに、申し訳なさと、羨望を同時に抱えながら、それでもようやくこの日々が終わるのだと微笑んだ。
そして、笑い合うキラとラクスを見て、痛む胸の奥をそのままに、まずは話をしようと顔を上げて……見てしまった。
狂気をその瞳に宿した男がラクスを狙っているのを。
「セナ様の理想に! お前は不要だ!! ラクス・クライン!!」
「危ない!!」
それはほぼ無意識の事だった。
ミーアは目の前に立っているラクスを押しのけて前に出ると、撃たれ、腹部から血を吹き出した。
「ミーア!!!」
「この!!」
ミーアが撃たれた事で、キラはミーアを抱きとめ、アスランはミーアを撃った男に銃を撃つ。
「ねぇ、嘘だよ。嘘だよね。ミーア! 嘘だって言ってよ!!」
「……きら」
「ミーア! 待ってて、すぐに医者の所へ連れていくから!!」
キラはミーアを抱きかかえたまま走り、ユーレンが居るであろう場所を目指した。
腕の中にあるぬくもりは少しずつ世界に奪われて、消えてゆく。
それでも諦めず、キラは走って、ミーアの血に濡れたまま店に飛び込むのだった。
荒い呼吸を繰り返しながら、必死にキラはユーレンへ訴える。
「お願い!! この子を! ミーアを助けて!!」
「ヴィア。手術の準備だ」
「えぇ」
キラはミーアをユーレンに預けるとその場にへたり込んで、両手を握り、神に祈る。
ユーレン達が戻ってくるまで、ただひたすらに、ミーアを助けて欲しいと祈り続けるのだった。
はい。
次回「PHASE-56『ミーア』」