ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
長い。長い時間が経った。
キラは店に戻ってきたアスランやラクス、カガリに椅子まで運ばれ、変わらずミーアの無事を祈っていた。
そして、どれほど時間が経っただろうか。
奥の部屋からユーレンとヴィアが戻ってくる……が、顔色はあまり良くない。
「キラ」
「ユーレンさん。ミーアは」
何も言わず黙っているユーレンにキラは椅子から立ち上がり、ユーレンに縋りついた。
「ねぇ。お願い。お願いだから、助かったって言ってよ。ユーレンパパって呼ばなかった事怒ってるの? なら何度でも言うよ! ビデオ撮影だって付き合う! 言ってくれれば何だってするから!!」
「キラ。あの少女、ミーア・キャンベルは助からなかった」
その言葉にキラは目を見開いて、崩れ落ちた。
「手の打ちようが無かった。すまないな。キラ」
ユーレンの言葉は冷たく響き、キラは嗚咽を漏らしながら、悲しみの涙を零した。
「ぼくが、殺した……」
「キラ!」
ラクスが思わずキラに駆け寄ってその体を抱きしめるが、キラは変わらず悲しみの海に居る。
「無理矢理にでも、連れて行けば良かったんだ。放置して、その結果が……これだ」
「キラ。これ」
そして泣き崩れているキラに、カガリはミーアの物と思われるバッグを渡し、その背を撫でる。
キラはバッグを上手く受け取る事が出来ず、バッグの中から様々な物が零れ落ちた。
それは化粧品であったり、イヤイヤという様な顔をしたキラと苦笑しているセナ、そして満面の笑みを浮かべているミーアの写真であったり……。
「これは、メモリー?」
何かしらのデータが入った記録ディスクであった。
キラはユーレンからPCを借りると、何かを求めてそのディスクを開く。
「これは……日記帳、でしょうか?」
ラクスが呟いた言葉の通り、それはミーアの日記であり、キラは一つずつそれを確認してゆく。
ミーアという人間を自分に焼き付ける為に。
『10月11日、今日やっと包帯が取れた。なんだか不思議な感じ。鏡を見たらそこには本当にラクス・クラインの顔が映ってた』
能天気な顔をしながらこれを書いていたんだろうなと思い出して、キラの心が軋む。
『ふしぎーふしぎー、だってこれはもうどこからどう見たってラクス・クラインだわ。大ファンのあたしが言うんだもの間違いない! その、代行、身代わりなんて仕事ほんとに大変だろうけど、あたし頑張る! 絶対バッチリやってみせるんだから! 声は大丈夫。元々似てるって言われてたんだし。問題は喋り方とか仕草よねぇ。ラクス様は歌われる他はほとんどメディアに出ないから普段が全く分からない。演説の時みたいにいつも凛々しいのかなぁ? うーん、そんなことないよね。ラクス様だって女の子なんだし。化粧品とかどこの使ってるんだろ。出来ればそこまでちゃんと調べておいて欲しいんだけどなぁ』
キラの頭に浮かぶのは初めて会った時のミーアだ。
嬉しそうに駆け寄ってきて、セナに抱き着いて。馴れ馴れしく話しかけて来た。
『もーホントビックリしちゃった! まさかあの英雄セナ様とキラ・ヤマトに会えるなんて! でも実際に会ったセナ様はセナ様ー! って感じじゃなくて、セナちゃんって感じだった。こんなに小さくて可愛いのに、核ミサイルから私たちを守ってくれたんだもんね。思わず嬉しくて抱き着いちゃった!』
『でも、そこに居たのが! あの女! キラ・ヤマト! セナちゃんにほっぺすりすりしてたら、無理矢理引き離して、セナが汚れる。とかって! 私はそんなに汚く無いわよ!! ホント失礼しちゃう!!』
『お仕事はほんとにある日突然やってきて、夢だったデビューとはちょっと違ったけど。でも考えてみればこれってそれより凄い事よね。あたしラクス様みたいになりたいってずっと思ってたんだし。ほんとにあたしなんかに出来んのかなって心配だし、怖いけど。キラは何か適当な感じだけど守ってくれるって言ってくれて、セナも私の事を見てくれるから、もっと頑張ろうって思った。そうよ。二人がもう戦って辛い思いをしない様に。私も頑張らなきゃ!』
『戦争が、本当に始まっちゃった。私なんかの言葉で本当にみんな止まってくれるのかな。いつか、本当にどうしようもない事になっちゃわないかな。それが不安。怖い。戦争になったら、キラもセナも怖い所に行くって聞いた。生きていて欲しい。無事に帰ってきて欲しい』
『久しぶりにキラとセナに会えて、やったぁー! って思ってたけど、相変わらずキラはツンツンしてるし。セナはなんか忙しいみたい。何か寂しい感じ。早く平和になれば良いのに』
『慰問のコンサートはどこへ行っても凄い人。地球の人もみんな待っててくれて、声かけてくれて、ほんとに嬉しい! こうやって、みんなが戦うよりも楽しいって気持ちが大きくなれば戦争も無くなるんじゃないかな! うーん。何かやる気出て来た! あたしももっと頑張らなくっちゃ!』
『なんで? なんでこうなるの? 議長は正しくて、ザフトも正しい。ならここでやっていけば良いのに。なんでキラは出て行っちゃうの? なんで』
『……キラが死んだって。事故だって言ってたけど、原因が何かなんて、どうでも良い。キラがもうどこにも居ない。それが辛い。寂しいよ。私、貴女に伝えたい事があったのに』
『セナがようやく目を覚ました。でもすぐに宇宙へ行くって言うから、私も付いていく。セナだけでも守らなきゃ。キラの代わりに。そしたら、向こうで会った時に、少しは褒めてくれるかな』
『ダメ! ダメダメダメ! こんなのダメ! あのホープセイバーっていう機体に乗る度に、セナが苦しそうにしてる。血だって吐いてる。このままじゃ死んじゃう。どうすれば良いの。平和なんてどうでも良い。だから、セナを助けたい。どうすれば良いの? 教えてよ。キラ』
『セナと逃げ出して、月まで来たけど、これからどうすれば良いんだろ。オーブに行けば良いのかな。オーブならセナはもう傷つかないのかな。分かんないや』
全ての日記を読み終わったキラは椅子にもたれ掛かって涙を流す。
どうしようもない悲しみに、己が間違い続けた選択に。
そして、前大戦の時に一度宿った炎がキラの中に再び目覚めた。
それは悲しみの向こうにある怒りだ。
「キラ」
「ラクス。ごめん。でも、僕は……」
「良いのです。愛とは切り捨てる事ではありませんから」
「……ありがとう」
そして、ラクスに支えられながらキラは立ち上がり、ユーレン達の家から出て、すっかり夜となってしまった空を睨みつける。
「……ギルバート・デュランダル。そして、セナ。これが君たちの望む世界の果てか」
僅かにあった迷いも全て振り切って、キラは、二人の計画を止める為に進む覚悟を決めた。
「行くの? キラ」
「うん。多分もう始まるから」
「無理はしないでね」
「……保証は出来ないけど。帰ってくる事が出来たら……また会いに来るよ」
キラはヴィアにそう言葉を返して、ラクスと共に一歩を踏み出した。
その背中を見ながらアスランとカガリも進んでゆく。
決戦の時はすぐそこに迫っていた。
そして、コペルニクスでキラ達が決意を固めている頃、メサイアではデュランダルとセナが話をしていた。
「ミーアさんはラクスさんの所へ預けてきました」
「そうか。まぁ、その方が良いだろうな。これからの事を考えれば」
「はい」
「では」
「始めましょう。人類存亡を賭けた最後の防衛策。デスティニープランを!」
はい。
本日の更新はこれで終了です。
明日よりまた1日1話更新で進行してゆきます。
平日は日中仕事をしているもので、多分更新は21時前後かと思われます。
金曜日にDESTINY編本編終了。
そして、後日談を2話挟んでFREEDOM編開始ですね。
ただ、FREEDOM編はいきなり本編スタートなので、今回は前日譚無しです。
ここから始まるDESTINY編の最終決戦及び、FREEDOM編。
お付き合いいただけますと幸いです。