ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
ファウンデーション王国に入ったコンパスの面々は、まずアウラ女王に挨拶をした後、ラクスたちはそのまま作戦の話し合いへと向かい、アスラン達は案内役であるイングリットに王国の内部を案内されていた。
そして、中庭でサーベルを使った訓練をしているシュラ達を見かける。
「あれは?」
「彼らが我が国の近衛師団です」
「あれが噂のブラックナイツか」
「はい。MSのパイロットと言えど、軍人である以上は有事に備え、この様に実戦を意識した訓練を行なっております」
「少し見て行っても?」
「問題ありませんよ」
アスラン達は案内役であるイングリットに許可を取りながら中庭に足を踏み入れて、その訓練を見ていた。
しかし、アスランに興味があるのはシュラ達ではなかった。
そう。ファウンデーション王国に来る前にクルーゼから聞いた情報。MS隊の副隊長をやっているというキラを探しているのだ。
だが、アスラン達が見ている事に気づいたシュラはリュー・シェンチアンの持っていたサーベルを打ち上げると、アスランのすぐ目の前に落とし、視線を向けた。
地面に刺さったサーベルを見て、アスランは目線を鋭くしながらシュラを見据える。
「これは失礼しました。お客人方。怪我はありませんか?」
「いや」
「サーペンタイン隊長!」
「良ければお手合わせをお願いしても?」
「悪いが、俺は意味もなく力を振るうつもりはない」
シュラはサーベルをアスランに向けながら笑いかけるが、アスランの表情は冷たく、その温度差は凄まじい。
「いい加減にして下さい! サーペンタイン隊長!」
「おっとこれは失礼しました。かの有名なアスラン・ザラに会えたモノですから。思わずこの様な失礼な事を」
「いや、こちらは気にしていない」
「そうですか。いや、これは残念だ。彼女が高く評価していたから、どれほどの者かと思っていたが、とんだ腰抜けでしたね」
「……なに?」
シュラの挑発にアスランはやや怒りを表面に出すが、やはり地面に刺さったサーベルを手に取ろうとはしなかった。
当然と言えば当然だろう。むしろ外国の要人に対して無礼な態度を取った上で、剣を向ける方が正気ではない。
だから、アスランはどれだけ挑発されようと飲み込んでいるのだが、それが出来ない者も居る。
「いえ? キラ・ヤマトと言えば、知らぬ者は居ない方ですが、そのヤマト隊は己の武を見せられぬと言う。これでは噂は本当だったという事でしょうか」
「きゃははは。結局キラちゃんの足手まといだったって事かぁ!」
「おいおい止めてやれよ。リデラード。可哀想だろ? 今まで自分たちは特別だって思い込んでたんだからさ」
「えぇ。やはり彼女に相応しいのは……」
「黙って聞いてれば! アスランがやらないのなら! 俺がやる!!」
「シン! 止めろ!」
「あぁ、大丈夫ですよ。外交問題にはしませんし。それに、殺さない様に気を付けますから」
「サーペンタイン隊長!」
「ではやりましょうか」
「あぁ!」
「近衛師団シュラ・サーペンタイン」
「ヤマト隊! シン・アスカ!!」
そしてシンとシュラは互いにサーベルをぶつけ合いながら戦ってゆくが、頭に血が上っているシンは単調な攻撃を繰り返し、やがてカウンターで剣を弾かれて負けてしまうのだった。
「……下っ端ではこんな物か」
シュラは呆然としているシンをそのままに、アスランへと視線を送る。
しかし、アスランはその視線にも応じる事なく、シンの腕を掴んで立ち上がらせると、そのまま中庭を後にするのだった。
去っていくアスラン達を見ながら、シュラは内心で失望と苛立ちを同時に感じていた。
あれだけ挑発しても挑んでこなかったという事実に、その程度の男なのか。という失望と、あんな男のどこにキラは惹かれているのかという苛立ちだ。
しかし、実力が確かな事は、これまで幾度となくMSでぶつかった事によりシュラはよく知っている。
だからこそ油断はするまいと、その背中を見据えるのだった。
「しかし、アスラン・ザラの実力を見る事は出来ませんでしたね」
「……大した事ないって可能性もあるんじゃねぇの?」
「それは考えにくいでしょう。これまでにオーブ近海、ユニウスセブン、クレタと何度も仕留めきれずにいる」
「フン。どうだかな。どの戦場でも副隊長が居たんだからよ。アイツが強いとは限らねぇだろ」
「キラちゃんホント強いもんねぇ。ま、でもヤマト隊なんて偉そうにしてる連中は雑魚だって分かったかな。きゃはは」
「しかし分からないものですねぇ。女性としてはあぁいう男に惹かれるものなんですか? 戦う事も出来ず、ただ逃げる事しか出来ない者など」
「さぁー? 少なくとも私は全然惹かれないけどね。まぁでも、キラちゃんとセナ様はアイツの幼馴染で、姫様は親が決めた婚約者ってだけでしょ。別に魅力がどうのは関係ないんじゃない?」
「……ただ運が良かっただけ」
「言えてるー! きゃははは!」
「ま。分かってたことさ。だからこそ、こんな間違った状態は、正しくしないとな」
「あぁ、そうだな」
シュラはグリフィンの言葉に頷きながら、既に立ち去り姿も見えなくなったアスランの姿を思い出す。
そして、次の機会があれば力を見せつけてやると強く決意するのだった。
「てか、リデラード。お前いつまでもここに居て良いのか?」
「へ? 何の話?」
「副隊長のドレス姿を最初に見るんだって言ってただろ。もうそろそろ準備。終わるんじゃねぇの?」
「あ!!! 忘れてた!! 行かなきゃ!!」
リデラードはベンチから飛び降りると、人間離れした速さで宮殿に向かって走るのだった。
そんな慌ただしい背中を見て、グリフィンたちはため息を吐く。
「ったく、勝手な奴だな」
「しょうがないですよ。それに、そこがリデルの良いところでもあります」
「そういうモンかね」
「……まぁ、生きる意味があるのは良い事だと、思うよ」
「そうだな」
三人の会話を聞きながら、シュラは空を仰ぎ、キラの言葉を思い出していた。
『僕らはここに居たいから存在するんだ。君たちが生まれて来たのだって、世界が望んだからじゃない。君たちを愛する人が望んだから生まれて来たんだよ』
『愛してくれる人が居ないって? 分かってないなぁ。ここに居るだろ? 忘れないでよ。僕は君たちをちゃんと見てるし、愛してるよ。大切な家族だろ?』
キラが口癖の様に言ってる言葉は、シュラ達の心に届き、小さくはあるが確かな変化を与えていた。
アコードという人類を導くために生まれた存在なのだと、母であるアウラが植え付けた憎しみを薄め、母を離れて一人の人間として生きようとしている。
その一歩はまだ小さく、望んだ世界へたどり着くまでにはまだ時間が掛かりそうだが、それでもシュラ達は確かな希望へ向けて歩き始めていた。
だからこそ。
今ここで奪われるわけにはいかないのだ。
シュラ達がようやく手に入れた希望であるキラを。
そして、これから手に入れる平和への道標であるセナとラクスを。
「……俺たちはその為に生まれた」
使命ではなく、愛を求めて。
そう考えて、シュラは小さく笑みを作りながら、夜に向けての準備をするべくMSハンガーへと向かうのだった。
はい。
シンの敗北はサクッと飛ばしました……。
そして、もうキラに落ちてるファウンデーション組。
ハッピーエンドへの伏線置いておかないとね。