ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
かつてアスランはアカツキ島の地下に秘密工場が出来たと聞いて、激しく怒りをぶつけたが……。
今はその存在に感謝している。
その感覚に奇妙な物を覚えながら、静かにその機体を見上げた。
「まったく! まさかここの力を借りる事になるとはな! 思ってもみなかったぞ!」
「そうだな」
「アスラン。お前、大丈夫か?」
「あぁ。不思議とな。心は落ち着いている。頭も冷静だ」
「そうか。お前の報告を聞いた時は、キラやセナとは戦えない! なんて泣いていると思って、気合を入れに来たんだが、無駄だったようだな」
「むしろ、余計に気持ちが入ったさ。キラの願いを捻じ曲げて戦場に向かわせる様な奴にも、セナの想いを踏みにじって、世界を支配しようなんて奴にも、負けられない」
「そうか」
アスランはカガリの言葉に応えながら、ズゴックの偽装を外し、最終調整を行っているジャスティスを見上げた。
「力はただ力だ。だが、この正義にはセナの想いが宿っている」
「奇跡を起こすフレームか……お前はジャスティスで奇跡を起こすつもりか?」
「あぁ。それでキラとセナ……それにラクスを助けられるなら」
アスランは自身の握りしめた拳を見つめながら言葉を呟いたのだが、そんなアスランの背を叩く人物が現れた。
「何一人で気分出してるんッスか!」
「うぉっ! シン!」
「一人で敵全部と戦う訳じゃないんですから。あんまり気負わないで下さいよ!」
「シンの言う通りですよ。アスラン。隊長の代理の代理とは言え、ヤマト隊を率いているのですから、その程度は理解して貰いたいですね」
「シン、レイ」
アスランがぼんやりと呟いた言葉に、シンは笑顔で親指を立てて応え、レイもまた静かに笑う。
「ま。俺にもようやくデスティニーが返ってきましたからね。これでもうブラックナイツになんて負けませんよ」
「なんだ。シン。ジャスティスはそんなに不満だったか?」
「いやっ! そういう訳じゃないですけど! 合う合わないっていうのはあるじゃないですか! 気分が乗らないっていうか!」
「一流のパイロットなら、どんな機体でも乗りこなすものだがな」
「分かってますよ! それくらい!!」
「……まぁ、だが、それでも。分かるよ。俺にも」
「アスラン?」
「託された想いがあるからこそ、実力以上の力が出せる。そういう気持ちもな」
シンから視線を外し、ジャスティスを見上げるアスランの瞳には、強い決意が宿る。
「ようやくアスランさんにも分かったみたいですね!」
「まぁ、俺はフリーダムでも問題なく戦えていたがな」
「アンタのそういう言葉が!!」
シンは苛立ちのままに地団太を踏むが、アスランは気にせずちょうど通りかかったアグネスの元へ向かう。
これから単身危険な任務へ向かう少女に。
「アグネス!」
「はい? なんです」
「もう行くのか?」
「えぇ。今から出ればうまくザフトの艦隊に紛れられますからね。ジャガンナート中佐とは何度か話をした事がありますし。問題なく潜入出来ますよ」
「そうか」
「なんですか? 心配してるんですか? ま。そんなに心配しなくてもヤマト隊長は私が必ず救出しますから! 精々のんびり来てくださいよ」
「……すまないな。アグネス」
「大した事はありませんよ。どの道、私にしか出来ない任務ですし。ヤマト隊長に誰よりも早く会えるなら役得ですから! くふふ。これでヤマト隊長の心は私の物に」
冗談の様に笑うアグネスの手は震えており、恐怖があるのだという事はアスランにも分かったが、あえてそれを伝えない強さにアスランは静かに頷いた。
そう。これからアグネスはコンパスを離れ、デスティニープランに賛同する人間としてジャガンナート中佐の部隊に合流するのだ。
そして、内部から情報を集め、キラの居場所を突き止める。
その後はキラが敵対する前に、洗脳を解く任務に就くのだが、それはあまりにも危険な任務であった。
何せアコードは表層とは言え心を読むのだ。スパイである事がバレればただでは済まないだろう。
だが、それでもアグネスは征く。敬愛するキラの心を操り、キラが大切にしている者と戦わせようとするファウンデーションからキラを解放する為に。
「では、そろそろ私は行きますので」
「あぁ」
「アスラン・ザラ!」
「……なんだ。アグネス・ギーベンラート」
「私は貴方の事が嫌いでした! 隊長の幼馴染だからって馴れ馴れしくして! 偉そうにして!」
「……」
「でも、きっと隊長を止められる人は貴方しかいない。もしもの時は、隊長をお願いします。もう、隊長が傷つく姿は見たくないので、必ず止めて下さい」
「分かった。必ず」
「……ありがとうございます。では!」
アグネスは涙を手で振り払うと、敬礼をして、格納庫から出て行った。
彼女が向かうべき戦場へ行くために。
アグネスの合流を待って、輸送用大型シャトルはオーブから宇宙へと飛び立った。
離れてゆくオーブの大地を見ながら、アグネスは目を細める。
「怖いかね?」
「クルーゼ隊長。いえ。私は」
「怖いなら正直に言った方が良い。言ったところで逃げる事は出来んがね」
「……はい」
「怖いというのなら、私も怖いさ。向こうで呑気に眠っているムウも、シャトルを操縦しているニコルもな」
「皆さんも?」
「あぁ。なにせ我らの役目は重要だ。奴らが使う可能性のある兵器の使用を止めるのが我らの役目だからな。その為にMS三機で敵艦隊の中央へミラージュコロイドでのサイレントラン。私とて逃げられるものなら逃げたい気分だ」
「……」
「しかし、逃げる事は出来ん。逃げればキラやセナが愛したオーブは焼かれるだろう。正気に戻ったあの子たちが悲しむ姿を私は見たく無いのでね」
「……はい。そうですね」
「という訳だ。怖いというのならば、恐怖を吐き出し、その上で覚悟を決める方が良いという話だ。まぁ、開き直りという奴だな」
「ふふ、そうですね。……私も、アコードという読心能力を持った者達の巣に飛び込む事に恐怖を感じています。バレれば酷い死に方をするでしょう。でも、隊長がこのまま利用されているのを見ているだけなんて出来ない。例え、この先に死が待っているのだとしても」
「良い覚悟だ。アグネス・ギーベンラート。君をアスランに預けておくのは惜しいな。この作戦が終わったら私の部隊に来るかね? 潜入が主な任務だが」
「いえ! 折角ですが」
「……」
「私はどこまでも隊長と、キラさんの背中を追いかけると決めておりますので!」
「そうか。分かった。ではキラを頼む。アグネス」
「お任せください!」
そして、大気圏を抜けたシャトルは進む方向を決めてから一度ブースターを点火し、ミラージュコロイドを展開した。
アグネスは最低限の修理だけを行ったギャンシュトロームに乗り込んで、シャトルを離れ、サブフライトシステムを使い、ザフト艦隊を目指す。
『こちら、アグネス・ギーベンラート。ザフト艦隊聞こえますか? 応答を願います』
『こちらザフト艦隊。聞こえているぞ』
『あぁ、良かった。ザフトからコンパスへ出向していたアグネス・ギーベンラートです。認識番号は……』
『確認した。事情を確認したい。まずはそのまま話せるか?』
『分かりました……っ! きゃっ!』
『どうした!?』
『いえ。コンパスから脱出する際に受けた機体のダメージが大きく、コックピットの中で爆発しただけです』
『それは不味いな。分かった。まずは機体を降りてくれ。こちらで回収する』
『分かりました』
アグネスは通信を終えると、ギャンから外へと飛び出して、少ししてから機体を自爆させる。
より危機を演出する為に。
自分がコンパスから逃げて来たという言葉に信憑性を持たせるために。
これよりアグネスの静かな戦いが始まるのだ。
はい。
という訳でアグネスが離脱してファウンデーション王国の陣営に行きました。
そして、クルーゼ隊長とニコル、ムウさんがしれっと宇宙へ。
まぁ、これから仕事がありますからねぇ。
いよいよ戦いが始まりますねぇ。
ここから映画とは大分違う感じのストーリーになりますが、
所々映画と同じ所が出たりもします。
まぁ、そんな感じでまた明日ー!