ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
リュニックが突き出した実体剣を受け止め、火花を散らしながらホープセイバーにぶつかったブラックナイトスコード カルラはドラグーンを使い、リュニックを遠ざける。
『チィ。余計な邪魔を!』
『オルフェ!? 何故! お前は私を疎ましく思っていただろう!?』
「何も……知らぬまま、終わる貴女が哀れ、だったからです」
『なに……?』
火花の散ったコックピットの中で、オルフェは右半身から血を流し、口を開く。
「オルフェ……! 喋らないで!」
「イングリット。すまない。君を危険に」
「私はいいの! 今は貴方が」
「大した、傷じゃない。気にするな」
それが強がりである事くらい誰にだって分かる。
だから、せめてオルフェが静かに語らう時間を作れる様にと、レイとシンはすぐさまアル・ダ・フラガの駆るリュニックに向かって飛び込んでいた。
もはや何もさせないという強い意思で。
『オルフェ』
「あなたは、言いましたね。人は変われない、と」
『あぁ』
「それは、間違いだ」
『なに?』
「だって、そうでしょう。他でもない。貴女自身がそれを証明している。人は変わっていけるのだと」
『……』
「かつての貴女は、支配者であったのでしょう。ですが、セナ様と出会い、変わった」
『……そうだな』
「そして、それは我らアコードも同じだ。我らも役目以上に欲しい物を見つけ、変わっていく」
血を吐きながら、それでも想いを伝えようとするオルフェに、ミアは自分でも気づかぬ内に涙を流していた。
一筋、二筋と涙が頬を伝ってゆく。
「世界の、歩みは、遅いかもしれない。絶望的だ。破滅に瀕しているというのに、目先の損得や思い込みに取りつかれ、足を引っ張りあう事しかできない、愚か者ばかりだ」
『だからこそ、我らが導く必要があるのだろう? この世界の争いを止める為に』
「ちがい、ますよ。人に、世界に必要なのは、希望の、光だ」
『変われぬよ。そんな物を見ても、真実変われなかったではないか。セナとシン・アスカが起こした奇跡を見ても』
「そう、かもしれません。ですが、いつか……」
『まったく、夢物語を語るのが好きな奴だ』
ミアは呆れた様に笑うと、ホープセイバーとデミスシルエットの機能を全て解放し、力を集めてゆく。
『ミア!?』
『オルフェ・ラム・タオ。そして、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。お前たちの信じる未来! そして私の望む明日! どちらが強いかくらべようじゃないか!』
どす黒い憎しみと、白く輝く希望が世界中からホープセイバーに集まり、機体を半ば暴走させてゆく。
人の意思が集まり過ぎて、機体が小爆発を起こしているが、それでもなおミアは機能を解放し続けていた。
『ホープセイバーには一つの可能性がある!! 神にも届きうる可能性だ!!』
ミアの声を聞きながら、キラはラクスとセナの安全を考え、距離を取ろうとした。
が、少し離れた程度では安全とは思えない程の大きな力が今、ミアの元に集まっていた。
『ハインラインです。ヤマト隊長。総裁。危険です。その宙域から離れて下さい』
『え!?』
『既に空間が歪むほどの影響が出始めています。このままでは、ホープセイバーを中心として全てが消え去る可能性があります』
『そんな!』
『っ!』
『セナ!?』
マイティーストライクフリーダムのコックピットを開き、外へ飛び出したトリィはホープセイバーのコックピットに飛び込むと、ミアにぶつかる様にして、その動きを止めた。
『……何をしにきた。セナ』
『ミアさんを助けるために』
『無駄な事を……今も昔も変わらないな。お前は』
『ごめんなさい』
『いや、良いさ。それがきっとお前なのだろう』
セナはミアの足の上でトリィの翼を広げ、ホープセイバーのシステムに介入し、動きを安定させてゆく。
そして、集まった人の意思を一つに束ねて、ホープセイバーは一つの奇跡を起こした。
「……ここは?」
ホープセイバーが作り出した何もない白の空間で、オルフェはイングリットに支えられながら座っていた。
動くだけで苦痛を与えていた傷はどこにもない。
「オルフェ」
「大丈夫だ。イングリット。私の傍を離れるなよ」
「……はい」
そんな空間の中でオルフェは警戒する様に周囲を見るが、ここには何もない。
「いったい、何が起きているんだ」
戸惑った様なオルフェの疑問に応える様に、この空間を作り出した主が姿を現した。
そう。ミアである。
「ここは時の狭間だ。世界の果てと言っても良い」
「……」
「ホープセイバーはな。理論上、時間を超える事が出来る機体なんだよ。過去や未来。その時間に触れる事が出来る。ただ、まぁ……どの様に触れるかは得ているエネルギーによるがな」
「エネルギーとは」
「お前も気づいているだろう? 人の想いだ。それが憎しみに寄っていれば破壊を産み、希望に寄っていれば奇跡を起こす」
「……」
「フン。そんな顔をするな。今私の手にあるのは奇跡だ」
ホッとした様に息を吐くオルフェにミアは目を細めた。
「お前は一体、いつからそんな風に変わってしまったんだ? オルフェ。やはりキラ・ヤマトか?」
「いえ」
「……」
「私が変わったのはイングリットが原因です。無論、キラも影響していると言えばしていますが」
「は? イングリットが? どういう事だ。イングリットが想定外の動きを見せたことなど無かっただろう」
「ではお聞きしますが、ミア様。今まで一度でもイングリットの心を読んだ事はありますか?」
「は? そんな物……いや、待て……まさか」
「私も、シュラも、誰も一度だってイングリットの心を読んだ者は居ないのですよ」
オルフェは柔らかく笑いながら、イングリットを見据える。
「それに気づいた私はイングリットが裏切者かと考え、疑う様になりました。しかし、真実は違った。ミア様。イングリットは誰よりも早く、キラが来るよりも前に、アコードの宿命から逃れ、人としての道を歩み始めていたのです」
「……なるほどな。イングリットはお前に愛情を抱いていたのだな。オルフェ」
「っ! 私の心を?」
「舐めるな。集中すれば多少隠していようが関係ない。が……そうか、ここまで強固に隠していたか。そして、その想いを知り、人の道を歩み始めたか。オルフェ」
「はい」
「しかし、その想いに気づいていながらキラに想いを向けるとは、罪な男だな。お前も」
「いや、それは!」
「まぁ良い。そうやって想い、悩んで生きていくのがお前たちの選んだ道という事なのだろう」
「……はい」
「ならば、その先を見せてみろ。愛を得て、役目を捨てたお前たちアコードがどんな希望を世界に見せるのか。地獄の底から見させてもらうよ」
ミアは小馬鹿にした様に笑いながら、座っているオルフェの右肩を叩き、そして消えた。
次の瞬間、オルフェは……いや、この宙域に居る全ての人間、そしてこの宙域の戦闘を見ていた全ての人間はホープセイバーが起こした奇跡を目の当たりにした。
「こ、これは……私の傷が、消えている?」
「オルフェ!」
「これが……奇跡か」
ホープセイバーを中心として宇宙に溢れたオーロラの様な輝きは、この宙域に居る全ての傷ついた人を癒し、更に広がって地球を包んでゆくのだった。
流星の奇跡以上の奇跡で、人々の心に希望の灯を宿す為に。
そして、セナは久しく戻った自分の体で、奇跡を起こす代償に消えたミアを想い、一人静かに涙を流すのだった。
はい。
という訳で、さよならミア。
まだFREEDOM編の終わりじゃないですが、いったん色々と終わりです。
しんみりしてる時は、あんまり喋らず私も終わりましょう。
ではまた。
あ、っと明日、明後日の更新なんですけど。
仕事が深夜残業まで突っ込みそうなんで、更新出来ないかも(出来ても深夜遅く?)
なので、あまり期待しないで下さいー。
ではー