ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
ててててーんてん てんてんてーん
(第三者視点)
ヴェサリウスでプラント本国へと戻っていたクルーゼは、アスランと共にシャトルに乗り込み、プラント最高評議会へと向かっていた。
そして、シャトルの中でアスランの父であるパトリック・ザラとの密談を行うのだった。
「ご同道させていただきます。ザラ国防委員長閣下」
「礼は不要だ。私はこのシャトルには乗っていない。良いかね? アスラン」
「分かりました。父上。お久しぶりです」
それぞれが席に着き、これから最高評議会で公開する内容について話をする。
「リポートに添付してあった君の意見には、無論私も賛成だ。問題は、奴等がそれほどに高性能のモビルスーツを開発したというところにある。いや、開発させたというべきだろうか」
「……セナ嬢の事ですね?」
「あぁ、まず間違いないだろう。МS自体はナチュラル共にも開発が可能だとしても、システムはどう考えても彼女の物だ。解析の結果を見たが、我らコーディネーターですら、あの領域に達するのは生半可な事ではない」
「父上! しかし彼女は!」
「分かっている。大声を出すなアスラン。別に私は彼女を非難するつもりなどない。レノアからも言われたがな。あくまであの子は、罪なき人を守りたかっただけなのだと。無論それは私も分かっている。彼女とは何度か話をしただけだが、人の良い少女であった。だが、だからこそ、今地球軍に居る。そうだな?」
「……はい」
「であるならば、だ。説得などと手ぬるい事をいつまでもやっている場合では無いだろう。セナ嬢をまずはプラントへ連れ帰れ。説得ならばその後ですれば良い」
「しかしセナは!」
「アスラン。今は戦時中だ。お前のヒーローごっこに付き合っている暇など我らには無いのだ。現在プラントとしても技術が確立したニュートロンジャマーキャンセラーであるが、彼女は我らよりも早く単独でその技術を実現しているのだぞ。そして、今回の新型МSだ。このまま放置すれば、戦火は広がるばかりだ。ナチュラル共など所詮は彼女の才能を兵器開発にしか使えぬのだからな」
「父上は、プラントは違うと?」
「当たり前だ。我々は進化した人類だぞ。戦うばかりが全てなどあり得ん。彼女が望むのならばどの様な道でもプラントには存在する。戦うばかりの道を示すナチュラル共とは違ってな」
「はい」
「故に、だ。アスラン。クルーゼ。彼女は必ずやプラントへ連れてこい。良いな?」
「はい」
「承知いたしました」
その後、シャトルを降りた彼らは別々に進み、評議会の場で素知らぬ顔でそれぞれの役割をこなすのだった。
そして、全ての報告が終わり、騒然となる場を冷めた目でクルーゼは見ていた。
「こんなものを造り上げるとは……! ナチュラル共め!」
「でも、まだ、試作機段階でしょ? たった6機のモビルスーツなど脅威には……」
「だが、ここまで来れば量産は目前だ。その時になって慌てればいいとでもおっしゃるか!?」
「これは、はっきりとしたナチュラル共の意志の表れですよ! 奴等はまだ戦火を拡大させるつもりなんですよ!」
「しかし、地球軍の中にも平和を望む者は居る。かの救済の天使もその一人であろう!」
「だが、その天使がこれらのМSを開発した一人なのだぞ! 平和等と言いながら、ユニウスセブンへ放たれた核を止めようともしなかったではないか!」
「たかが一人の少女に何が出来ると言うのだ! いくらニュートロンジャマーキャンセラーの開発が出来たとて、彼女はまだ十代の少女だ。世界を動かす力などありはしない!」
「だが、その才能を利用されれば、また多くの民が血を流す事になる!」
「静粛に! 議員方! 静粛に!」
クルーゼは進化した人類を自称しながら、たった一人の少女の心も見通せない愚かな者たちを見据え、仮面の奥で思考を巡らせる。
考える事は、どの様にしてセナとキラを地球軍から保護し、彼女たちと知られずに、プラントへ連れてくるか、だ。
ここまで有名になってしまえば、セナもキラもその才能を利用されてしまうだろう。
そう。彼女たちは最高のコーディネーターとして生まれた存在なのだから。
だからこそ、クルーゼはタイミングこそ重要だと考える。
ヤマト夫妻の居場所は分かっていない。
だが、ヘリオポリスから脱出しているハズだという事は、彼の忌まわしき遺伝子元からの才能で察知している。
しかし、彼らはヘリオポリスからオーブへと向かうし、セナ達は月の本部へと向かうだろう。
それぞれに保護しても良いが、それでは結局プラントへ連れてきた段階で、引き離される可能性も高い。
誰だって、あの二人の才能を前にすれば、それを利用せずにはいられないのだから。
それが人間であるとクルーゼはよく理解していた。
だからこそ、自分という人間が生まれたのだから、と。
「戦いたがる者など居らん。我らの誰が、好んで戦場に出たがる?」
思考の海に沈んでいたクルーゼは、不意に聞こえてきた最も警戒しつつも、最も利用しやすい人間へと視線を向ける。
まだギリギリ理性の中で生きている。プラントの雄パトリック・ザラを。
もし、という話であるが、彼の妻が本来の予定通りユニウスセブンに行っていた場合、血のバレンタインに巻き込まれ、彼は他者の話など聞かず、ナチュラルを、地球を全て滅ぼそうとしていただろう。
しかし、妻が生きているからこそ、彼はまだそのギリギリの所で理性を保っているのだ。
話を聞けば、かつて月に居たとき、セナにバレンタインデーは家族で一緒に過ごす方が良いと言われた事で、難を逃れたとか。
つくづくセナは様々な場所で人助けをしているなと思いながら、パトリックの演説に耳を傾ける。
「我らは忘れない。あの血のバレンタイン、ユニウス7の悲劇を!」
そう両手を広げながらハッキリと言葉にするパトリックに、議員たちは皆それぞれに想いを込めながら俯く。
「24万3720名……それだけの同胞を喪ったあの忌まわしい事件から1年。それでも我々は、最低限の要求で戦争を早期に終結すべく、心を砕いてきました。だがナチュラルは、その努力をことごとく無にしてきたのです」
「……」
「我々は、我々を守るために戦う。戦わねば守れないならば、戦うしかないのです!」
あぁ、確かに。パトリックの言う事は正しいのだろう。
しかし、戦いは決して終わりを見つける事はない。
結局武器を取れば、互いが滅びるまで撃ち合うのが人類であろう。
クルーゼは、未だ人類などという物を信じてはいない。
あくまで信じるのは、己の『家族』だけなのだ。
会議も終わり、アスランへの指令を伝えた後は、一人プラントへ用意した自宅へと向かった。
かつて月にあった。ヤマト家にもよく似た姿で、クルーゼ一人で住むには大きすぎる家だが、いつか家族を呼ぶならと大きな家を購入したのだ。
どの道、軍で稼いだ金も、彼にとっては全て意味のない物だからと。
「全てはタイミングだな」
クルーゼはパソコンでセナとキラの乗った戦艦の進路を予測しながら、どの様にしてあの艦をオーブ近海で落とすか考えていた。
どういう流れになろうが、このまま月の基地やアラスカへなど行かせはしない。
であるならば、ヤマト夫妻が居るであろうオーブ近海で落とし、彼女たちをオーブに救出させる。
そして、無事家族が集まった所で、軍で手に入れた隊長という立場を使って、秘密裏に彼女たちをプラントへと移送する。
それがクルーゼの考えた作戦であった。
「上手くやらねばな。失敗は出来ん。だから、全てが終わるまではこの体……持ってくれよ」
という訳で、本編ではユニウスセブンの話をする回ですね。
まぁ、この作品においてはクルーゼの動向の話ですが。
特に今回の回は、話せばネタバレになりそうな事ばっかりなので、特にいう事は無いです。
明日もまた、ずんずん進んでいければなという感じですわ。
では!