ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
アカツキ島の南東。木々に覆われたその場所でセナは一人膝を抱えながら海を見ていた。
すぐ隣にはミアの墓石があり、島の反対側で行われている結婚式とは違い、この場所は酷く静かである。
「……」
そして、そんな寂しい場所でセナは一人、結婚式にも参加せずただ海を見ているのだった。
そんなセナの不在にカガリ達が気づいていない訳もなく、現在オーブ全軍や手の空いている者たちでセナを探していた。
「っ! よ、ようやく見つけた! もう、なんでこんな所に居るの! セナ! もう結婚式は始まってるのよ!?」
「……ミーアさん」
暗く感情の見えない瞳でミーアを見つめるセナに、ミーアはウッと動きを止めるが、このまま怯んでいられるかと前に一歩踏み出した。
「ほら。行こう?」
「私、行けないです。資格がありません」
「資格ぅ!? そんな事言い始めたらセナ以外に資格がある人なんて居ないでしょー! もう! 我儘言わないの!」
「我儘、とかではなくて、私、本当に駄目なんです」
「セナ……」
腕を引っ張っても動こうとしないセナにどうしたものかとミーアが考えていると、ミーアが来た方とは別の道から燃える様な赤髪の少女が怒りのオーラを身に纏って地面を踏み鳴らしながら現れた。
「見つけたっ! この……バカ! バカセナ! 姉の結婚式で何行方不明になってんのよ!? バカなの!?」
「っ、フレイ」
「え、えぇ!? 突然なにぃ!?」
「ちょっとアンタ! アンタがセナを連れ出したって訳!?」
「い、いや私は、私もセナを探しにここへ来た次第でして」
「ふーん。そう。なら良いけど」
フレイはミーアを射殺す様な視線で貫いた後、またセナへと視線を戻し、強い圧力を込めて見下ろす。
その瞳は激しい怒りに燃えていた。
「ほら! さっさと行くわよ! 私だってまだ軽くしか話してないんだから!」
「……行くならフレイ一人で行ってください」
「はぁ!? ふざけてんの!? アンタが行かなくてどうするのよ!」
「……」
「アンタ。キラとラクスが今日の事、どれだけ楽しみにしてたか知らない訳じゃないでしょ!? 何我儘言ってんのよ!」
「だからこそ! です!!」
「……っ」
セナの叫びに、セナの手を引っ張っていたフレイも、オロオロと状況を見守っていたミーアも動きを止めた。
そして、フレイはセナの手を離さぬままジッとその姿を見つめる。
「どういう意味」
「私が、行くと、キラお姉ちゃんが不幸になる、から」
「は?」
「全部私のせいなんです。お姉ちゃん達が不幸になったのも! この世界で戦争が終わらないのも!!」
「それで? 悲劇のヒロイン気取って、こんな所でウジウジしてたって訳。大した救世主サマね! 自惚れないでよ!」
「っ」
「アンタが一人で世界がどうにかなる訳ないでしょ! 戦争を始めたのだって、アンタの責任じゃない! 戦争を止めたのだってアンタ一人の力じゃない! この世界に生きる全ての人間がそうあれと決めて、動いた! ただそれだけの事よ! アンタはただのちっぽけな人間で、甘ったれの自己犠牲が過ぎる優しいクソガキだわ」
「……」
「不安なら聞いてみなさいよ。少なくとも、私の知るキラは大好きな友達や妹に、何か見返りを求めた事は無かったハズよ」
「……はい」
「そうと決まれば、こんな所はおさらばして、さっさと会場に向かうわよ」
それからフレイはセナを引っ張り広い場所まで出ると、空中を飛んでいるムラサメを呼び出して、ミーア、セナと共にMSとなったムラサメの手の上に乗った。
そして、会場へと真っすぐに向かうのだった。
結婚式の会場へと到着したムラサメは、会場の近くに降り立って、三人を降ろす。
ミーアは降りる前にサングラスで顔を隠しており、降りてからもサッと群衆の中に隠れるのだった。
だが、セナとフレイはしっかりと群衆に見つかっており、人々は二人の前に道を作る様に左右に割れる。
「さ。みんなアンタが来るのを待ってたんだからね。ビシッと決めてきなさい」
「……はい」
セナは緊張を隠さないまま両手を強く結んで、ゆっくりとキラとラクスの元へと歩いて行った。
その足取りは酷く遅い物であったが、誰も何も言わず静かに見守る。
まるでそれが神聖な儀式であるかの様に。
「……キラお姉ちゃん、ラクスさん」
「うん」
「はい」
「あの、ご結婚おめでとう、ございます。その、今日はそれだけ言いたくて!」
「はい。逃げないの」
「う、うぅ」
セナはキラとラクスに頭を下げてからすぐ逃げ出そうとしたが、フレイに肩を掴まれてしまい、逃げる事が出来ずに、この場に留まる事となった。
「セナ」
「は、はい!」
「セナは僕とラクスの事が嫌い?」
「そんな事無いです! そんな事……」
「では私たちと共に過ごしては下さいませんか?」
「いえ、私は」
セナはモジモジと両手を握り合わせながら言葉を迷う。
そして、ようやく決心が出来たと、唇を震わせながら真っすぐにキラとラクスを見て、口を開いた。
「私は、キラお姉ちゃんとラクスさんにとって邪魔だと、思うんです!」
「はぁ?」
「あらあら」
「なんでまた、そんな事考えてたの」
「その、私が上手く出来なかったから、世界が戦争になって、みんなを傷つけて、それで……私は、世界を平和にする事も出来ないから」
セナの言葉を聞いて、キラは呆れた様に息を吐いて、笑みを零す。
そして、ラクスもまたセナの言葉に微笑みを浮かべ、セナの手を取りながら言葉を紡いだ。
「セナ様。世界はセナ様の手に収まるほど小さくはありませんわ」
「そうだね。僕の手にも、ラクスの手でも収まらないかな」
「……」
「そう。世界はそれほどに大きなものですわ。そんな世界を思い通りに変えようとするのはとても大変な事です。セナ様がどれほどの力を持っていても難しいでしょう」
「でもさ、だからこそ。僕たちみんなで世界を変えていこうって思ってるんだ」
「世界を、変える」
「そうだよ。今までの在り方を全部壊して、新しく世界を作るんだ。でもそれには僕たちだけじゃ足りない。この世界に生きる人全ての力が必要。そうやって僕たちはやってきたんだよ。セナはもう忘れちゃった?」
「……いえ」
セナはキラの言葉に目を見開いた。
長い暗闇の中で、ようやく全てを照らす光を見た様な、そんな表情をして、キラを見上げる。
「私、大切な事を忘れていたのかもしれません」
「まぁ、色々な事があったからね。しょうがないかな。一生懸命なセナも可愛いけどね」
「そうですわね」
「そうですよね。『この世界で生まれ、生きている全ての人』が変えていく物なんですよね。世界は」
「そういう事。よく出来ました。だからさ。セナも必要なんだよ」
「……はい。私、ようやく理解しました。私がこの世界に生まれた意味が」
「おっとー! そういう話ならカガリお姉ちゃんも黙ってないぞー! 新婚家庭は何かと居心地が悪いだろう。カガリお姉ちゃんの家ならいつでも空いてるからな。カガリお姉ちゃんの秘書とかも楽しいと思うぞー?」
「ちょっとカガリ。今大事な話をしてるんだから」
「なにおう! 私だって大事な話をしている!」
「どこが! どさくさに紛れてセナを連れて行こうったってそうはいかないからね」
「良いじゃないか! お前ばかりズルいぞ! えぇい、この際だ、キラも長期休暇を取って、私の秘書として部屋に居ろ!」
「休暇になってないでしょうが」
「私の傍に居るのだから休暇みたいなものだ!」
「何その横暴は」
キラとカガリの声を聞きながら、セナは希望に満ちた顔で笑う。
そして、強く右手を握りしめるのだった。
はい。
という訳で結婚式後半。
セナ編ですね。
そして、次回AFTER-PHASEを経て最終章「HOPE編」に入ります。
SEED編は、話が始まる元、種
DESTINY編は、シン
FREEDOM編は、キラ
JUSTICE編は、アスラン
HOPE編は……
では、また明日。