ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(第三者視点)
コズミック・イラ80
カガリが国連議会の議長となってから、二年ほどの時が流れた。
世界に存在する問題は少しずつ解決されてゆき、人々は遥か遠い昔にあったような平穏な生活を取り戻しつつあった。
ブルーコスモスやコーディネーターの過激派グループは、その支援団体が消えた事で徐々に活動を小さくさせてゆき、ごく稀に起こるテロ事件も武器の購入ルートなどから割り出され、被害は最小限に抑えられている。
だが、未だ各国が固有に戦力を持っている以上、再び争いの火が燃えれば、世界を巻き込む様な戦争が起こる可能性もある。
今、世界はまさに転換期を迎えていた。
「無論私も今すぐ全ての戦力を捨てろとは言わん。だが、レクイエムやジェネシス、核ミサイルなどは必要な戦力だとは思えんな」
「しかし以前起こった様な隕石落下事件が再び起これば、地球は終わりだ。防衛戦力としては必要でしょう」
「あれほどの大規模な作戦が行われれば、今度こそコンパスの出番だ。監視衛星だって数を増やした訳だしな」
「議長」
「なんだ」
「我らは安心が欲しいのです。絶対に安全だという確証が。それなくして、武器を手放すなど出来ませんよ」
「コンパスが居ると言ってもか?」
「えぇ。コンパスだけが戦力を保有するというのであれば、話も変わるでしょうが」
「それは難しいだろうな」
「であれば、我らもそれを手放す事は難しいという事になります」
いつも変わらない議題を終わらせ、カガリは私室に戻ってから深いため息を吐いた。
椅子に深く座り、天を仰ぐ。
「理想ばかり口にしても、世界は変わらないな」
「でも、それでも、カガリお姉ちゃんは理想を語るのでしょう?」
「当然だ。まずは大量破壊兵器の排除。そして各国の戦力を少しずつ削り、国連議会の決議以外で大きな戦力を動かせなくなれば、とりあえずの平和は生まれる。後はそんな世界を十年も続ければ人は戦争してた事すら忘れるさ」
「確かに、そうですね」
「まぁ、まだまだ道は遠いがな。私が生きている間に何とか実現したいモノだ」
「……」
セナはカガリの私室にあるソファーに座りながらため息を吐くカガリをジッと見つめる。
そして、少し悩んでからゆっくりと口を開いた。
「例えば」
「ん?」
「例えば、大きな脅威があって、たった一機で世界を、世界の文明全てを滅ぼしてしまえる様な脅威があって、それが、コンパス以外の戦力を全て破壊したとすれば、カガリお姉ちゃんの理想は叶うと思うのですが、どうでしょうか」
「どう、と聞かれてもな。まぁ、確かにそうなれば理想には大きく近づくだろうが、そんな存在が居ればどこの国ももっと戦力が欲しくなるだろうし、犠牲になった奴は憎しみを持つだろう。そんなに簡単じゃないさ」
「そう、ですよね」
「あぁ」
「なら、人的被害は出さず、武器だけ、MSだけを壊す事が出来れば……? そのMSが戦う意思にだけ反応すれば?」
「そりゃあ、確かに、それが出来れば、世界は平和になるだろうな。戦争をしようとすればとんでもないMSが襲ってくるって言うんなら、争うだけ無駄だし。最悪は滅ぼされるかもしれん。戦争なんて出来なくなるだろう」
「……そうですよね」
不穏な言葉を呟きながら、ジッとテーブルを見つめるセナに、カガリは何か異様な物を感じて、椅子から立ち上がった。
そしてセナの隣に座りながら、震えているセナの手を取る。
「何か悪い事を考えて居るんじゃないだろうな?」
「……そんな事考えていません」
「本当か?」
「はい。だって、現存するMSには不可能でしょう? その様な事は」
「まぁ、確かにな」
「そう。これを実現するには例え、キラお姉ちゃんのマイティーストライクフリーダムでも、アスランお兄ちゃんのナイトジャスティスでも足りない。一つの時代を終わらせる程の力が必要なんです」
「セナ?」
「カガリお姉ちゃん。私、大事な用事がありますので、そろそろ行きますね」
カガリは微笑むセナに何か言葉に出来ない恐怖を感じて、その手を取り、足を止めさせた。
「セナ」
「なんでしょうか」
「どこに行くつもりだ」
「どこにって、提出しましたよね。ヴェサリウスの皆さんと一緒に暗礁宙域へ偵察任務ですよ」
「あぁ、確かにそれはそうだが」
「であれば、私は今から地球軌道上のヴェサリウスと合流し、奇妙な信号を発しているという暗礁宙域へと向かいます」
カガリは自分の中に眠る謎の感覚から、セナに行くなと言おうとしたが、それを口に出す事は出来なかった。
そして、その不安を解消する為に、技術開発局のアルバート・ハインラインへと連絡を取るのだった。
二時間後、カガリに呼び出されたハインラインは、キラ、ラクス、アスランと共にカガリの私室へと入るのだった。
「アスラン。お前たちまでどうしたんだ」
「いや、俺たちもカガリと同じ様な感覚を感じていたんだ。それでハインライン少佐の所に集まっていたんだが……ちょうどカガリから連絡が来たからな」
「そうか」
カガリはアスランの言葉に頷きながら、先ほどセナと話した事を皆に共有する。
「一番あり得そうな話はセナがそのとんでもMSに乗って、全部壊すって事だけど……」
「あり得ません。現存するMSでその様な事を行うのは不可能です。可能性としてはホープセイバーでハッキングから全てのシステムを破壊する事ですが……」
「いくらセナのハッキング能力でも全世界は不可能だろう」
「では、何を?」
「分からん。だが、良い予感がしないのは確かだ」
「……カガリさん」
「なんだ? ラクス」
「セナ様はカガリさんとその話をしてから暗礁宙域へと向かうと」
「あぁ。しかし、暗礁宙域に何がある? 精々が壊れた宇宙艦やMSの残骸。それに小惑星の欠片があるくらいだろ」
「えぇ、そうですよね」
「ラクスはその暗礁宙域に何かあるって?」
「可能性としては、という話ですわ」
「可能性……か。いや、可能性ならあるかもしれない」
「何? 本当か!? キラ!」
「うん。ほら、ネオ・ザフトの事件、あれは未来から来たアスランが起こした事件だっただろ? そして、未来から彼が来たのはセナの発見したフレームが原因だ」
「……まさか時間を超えて、遥か未来のMSを呼び寄せようとセナ君が考えていると?」
「そのまさか、って感じだけどね。他には何もないでしょ?」
「だが、それじゃあセナが未来の事を知っているみたいじゃないか」
「それに関しては、正直なところ知っているじゃないかって思うんだよ。いや見えているって言った方が良いのかな」
「未来が、か?」
「そう。 第一次世界大戦の時からさ。たまに、未来の事を知っているみたいな言動をする時があったんだよね。そして、それは全て当たっていた」
「……なるほど」
「ではヤマト隊長はセナ君が未来を視る事が出来ると」
「可能性だけどね。でももし、この勘が当たってたら大変だ」
キラの言葉に、この場に居た全員が息を呑んだ。
もし、セナの視た未来のMSがこの時代に来たとして、セナが本気でそれを世界に向けたら……。
「カガリ。もう遅いかもしれないけど、僕らに出撃命令を出して。セナが何かをしようとしてるなら、それを止めなきゃ」
「あぁ、そうだな!」
カガリはキラの言葉に大きく頷き、準備を始めた。
セナはカガリの私室を出てから、シャトルへと乗り込み、地球軌道上にいるヴェサリウスへと飛ぶ。
その機体の中で、セナは窓から地上を見下ろして、ブツブツと独り言を呟くのだった。
「その機体の全容は誰も知らない」
「ただ確かな事は、一つの時代を終わらせて、新たな時代を作り出す事の出来るMSという事だけ」
「遥か時の果てに居るあのMSが目覚めれば……この争いばかりの世界を、黒歴史を書き換える事が出来るかもしれない」
「そうだ」
「全てのガンダムを知る私がこの世界に目覚めた理由はきっと……」
セナは何度戦いを終わらせても平和にならない世界に、ようやく希望の光が見えたと、小さく笑みを浮かべるのだった。
はい。
JUSTICE編はこの話で完結となります。
一応時系列的には、
CE70-71 SEED
CE73-74 DESTINY
CE76 FREEDOM
CE78 JUSTICE
CE80 HOPE
みたいなイメージですかね。
原作とは微妙に違うんですけど、あんまり気にしないで下さい。
しかし、濃い十年過ごしてますね。
コズミック・イラの人たち。
十年でどんだけ戦ってるんだ……。
そりゃ民衆もどんだけ煽られようが戦争やる気とか起きないわな。
という訳で! ここにさらに最後の戦いをドンして、恒久平和をコズミック・イラに作ります!
黄金の秋を迎えるぞー!