ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
(キラ視点)
何をどうやったのか。
オーブの奥地で隠れてないといけない僕を外に連れ出して笑うセナに、僕はため息を吐いてしまった。
また僕の知らない所で何かをやったんだろうな。と思うと、笑う事も出来やしない。
最初は僕がセナを守る。だなんて息巻いていたけど。
結局守られているのは僕だった。
初めて人を殺した時、その感覚で手が震えて、次の瞬間には、これを僕に教えたくなかったのかとセナの行動の意味を理解した。
でも、相手を殺せば殺すほど、セナは傷つかなくなって。
これが正しいのだと思えば思うほどに、心が軋む。
いつかこんな戦いが、こんな戦争が終われば良いと願うけれど、その時、僕は生きている事が許されるのか、とも思う。
父さんや母さんが会いに来てくれたのは嬉しいけれど、セナも会わないと言うし。
僕も会いたい気分にはなれなかった。
セナを守ると言いながら、誰かの大切な人を殺している僕はきっと、もうみんなと同じ場所にはいられないと思うから。
だから、アスランにセナを。
そして、いつか戦争が終わったらラウ兄さんとも同じ家で、みんなで過ごしてほしい。
みんなが笑っていてくれるなら、僕がここまで頑張った意味もあると思うから。
僕はアスランとそのお友達に別れを告げて、モルゲンレーテの工場へと戻る。
が、その途中でカガリに見つかり、セナと二人して捕まってしまい、休憩室の様な場所へと入れられてしまうのだった。
「ったく。心配したぞ! お前らがどこにも居ないから」
「申し訳ございません」
「ごめんカガリ。トリィが飛んで行っちゃってさ」
「ま、良いけどな。それで? 少しは気分転換出来たのか?」
「えぇ。バッチリですよ。美味しい飲み物も飲めましたし」
「そうか、そうか。って、ちょっと待て! セナ。お前、財布も持たずにどうやって飲み物を買ったんだ!?」
「親切な人にご馳走してもらいました」
「親切な人だぁー?」
「はい。お嬢ちゃん。可愛いね。飲み物奢るから、俺と少し話そうよ。と言っていて……」
「バカ! お前! それはナンパだ……って、どこのどいつだ! ソイツは! セナをナンパだと!? 犯罪じゃないか!」
「え? いや、私もう14歳なんですけど」
「関係あるか! 私は見た目の話をしているんだ。お前はどう見ても10歳やそこらにしか見えん!」
「むー。見た目は子供かもしれないですけど、頭脳は大人ですからね! その名も……わわ」
「何が頭脳は大人だ! こうやって捕まったら何も出来ないという事も分からずに、知らん奴に付いていくな!」
「知らない人じゃないですー! ディアッカさんは、知り合いの人ですぅー!」
「自己紹介したら知り合いという意味じゃないんだぞ!」
カガリに抱き上げられながら怒られているセナを見て、僕は少しだけ荒れていた心が落ち着くのを感じた。
いつか、戦争が終わったら、プラントからアスランとセナがオーブへ旅行に来て、こうやってカガリと話す事もあるかなと思う。
カガリはお姫様だけど、セナが来たと知れば飛び出してきそうだ。
「ふふ」
「何笑ってんだよ。キラ。お前の妹の危機だぞ。まぁ、私の妹でもあるが!」
「別にディアッカさんもイザークさんも悪い人じゃないと思うよ」
「お前もか! キラ! どうしてお前ら姉妹はそうなんだ!」
そうだ。ディアッカさんもイザークさんも、プラントを守る為に戦っている。
デュエルとバスターに乗って。
「少しは危機感を持て!」
……そして、もう一人。
アスランと共に居た少年。ニコル君。彼はおそらくブリッツのパイロットなのだろう。
戦いたくは無いな。
「おい! 聞いてんのか!?」
でも、どうせ死ぬのなら、どうせ誰かに殺されるのなら、僕はアスランが良い。
僕が悪い事をするとちゃんと叱ってくれて、正しい事を教えてくれるアスランに。
正義の人であるアスランに殺されたい。
悪人である僕を、倒すのは正義の人であるべきだから。
「キラ!」
「ちゃんと聞いてるよ。カガリ」
「ほー。じゃあなんて言ってたか、言ってみろ」
「うん……セナ。お姉ちゃんにこっそり教えて」
「え? はい。カガリさんはですねー」
「キーラー! セナも! キラを甘やかすな! そうやってお前が助けるからキラは真面目に考えようとしないんだぞ!」
カガリの言葉に、かつて同じ場所で生きていたアスランの姿が重なる。
それが何だか嬉しくて、悲しくて……同時に酷く苦しかった。
それから少しして、僕らを探していた用事を思い出したカガリによって、僕とセナはモルゲンレーテの奥の奥。
М1アストレイの開発用工廠に来ていた。
そして、飛躍的に運動性の上がった機体を見据える。
「新しい量子サブルーチンを構築して、シナプス融合の代謝速度を40%向上させ、一般的なナチュラルの神経接合に適合するよう、イオンポンプの分子構造を書き換えました」
「よくそんなこと、こんな短時間で。すごいわね、ほんと」
「僕だけの力じゃないですよ。元々セナがナチュラル用のOSは開発してましたし。僕はそこに手を加えただけですから」
「んー。流石はキラお姉ちゃん。良い仕事です」
「いや、セナの戦闘支援システムもかなり凄いけどね。ヘリオポリスに居た時は、戦闘記録から最適な戦闘を。なんて夢物語だと思ってたけど、ここまで上手く支援出来るなんて全然想像も出来なかったよ」
「ふふん。では私たちは凄い姉妹という事で!」
「そうだね」
僕は腰に手を当てながら笑うセナに微笑んで、また画面に視線を戻す。
ストライクの戦闘データ。そして、セナがこっそり仕掛けたイージス、デュエル、バスター、ブリッツの戦闘記録を転送する機能。
それらを合わせて、戦闘支援システムはほぼ完璧な物として仕上がっていた。
「エリカ・シモンズさん」
不意にセナが真面目な顔をして、主任設計技師であるエリカさんの名前を呼ぶ。
「え? えぇ。どうかした?」
「この戦闘支援システムは、オーブの内部だけで秘匿して下さい」
「え? でも」
「おいおい。セナの嬢ちゃん。ここには俺も居るんだけど?」
「地球軍にも、ザフトにも決して渡さないで下さい」
「もしもーし。聞こえてますかー?」
「えと、それはオーブとしてはありがたいし。断る理由は無いけれど……でも良いの?」
「はい。一応地球軍へも、戦闘支援システムは渡します。しかし、こちらは回避に特化した物です。私が彼らに提示し、分かりやすく仕掛けたモノですね」
「……」
「ですが、システムの基礎部分に組み込んで、外部から隠した『本当の戦闘支援システム』は絶対に見つかる訳にはいかないのです。見つかってしまえば、このシステムは守るという行為を超えて、誰かを殺し、悲しませる為の凶器となります」
セナの言葉に、僕は自分の手を強く握りしめた。
そして、セナの言葉に集中する。
「これからより混迷してゆく世界の中で、オーブは希望の象徴となります。これはその為の力です。だから、フラガ少佐。この事はどうか、内密に」
「いや、内密に。って言われてもさー。……だぁー! 分かったよ! 黙ってりゃあ良いんだろ?」
「はい。ありがとうございます。きっとフラガさんも、この事で助かる日が来ますから」
「そんな日が来りゃあ良いんだけどね」
「来ますよ。きっと」
セナはムウさんを見ている様で、まるでここではないどこか遠くを見る様な目をしていた。
その目を見ていると、何故か僕は酷く不安になってしまう。
まるで、ここから、この世界からセナが消えてしまう様な……そんな漠然とした不安が、湧き上がってくるのだ。
「……セナ」
僕はセナの笑う姿を見て、静かに祈る。
どうか、アスランと共に、あの暖かな優しい世界で幸せに生きて欲しいと。
ただ、そう……願ってしまうのだ。
シリアスが続くので、あとがきはなしな方向