ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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PHASE-04『未来を知るという事』

キラお姉ちゃんとアスランとの日々は緩やかに過ぎてゆき、気が付けば私も十歳になっていた。

 

キラお姉ちゃんとアスランは既に十二歳になっており、来年にはいよいよアスランもプラントへ帰ってしまう。

 

だが、正直私とアスランの関係は出会った時から変わっていない。

 

まぁ、私自身最初はアスランと張り合っていたが、途中からとんでもない速度で進化していくアスランに対抗する事が出来なくなり、大人しく妹ポジションへと移ることにしたからだ。

 

それをアスランは寂しそうにしていたが、キラお姉ちゃんは嬉しそうであった。

 

つまり、結果オーライというワケだ。

 

そんな訳で、途中から料理の腕ばかり鍛えていた私は、毎年の事ながらアスランにバレンタインデーのチョコレートを送る為の準備をしていた。

 

まぁ一応好感度稼ぎくらいはしておかないといかんので。

 

「あれ? セナ。今年もチョコレート作ってるの?」

 

「うん」

 

「またアスランに?」

 

「そうだよ。後、お父さんとお母さん。それにキラお姉ちゃんにもね」

 

「やった」

 

嬉しそうに笑うキラお姉ちゃんに、私は苦笑しながら、貰うばかりで良いの? と聞こうとしたが、藪蛇になりそうなので、止めておいた。

 

そして、作りかけの一つをニコニコと笑っているキラお姉ちゃんの口に放り込むのだった。

 

 

 

それから少し時間が過ぎて、バレンタインデー当日、私は家でチョコレートを渡そうとしたのだけれど、何故かアスランの家に招待されてしまう。

 

「えと。お邪魔します」

 

「いらっしゃい。セナさん」

 

「あ、はい。あの。アスラン君は」

 

「今ちょっと出かけているの。だから私と少し話をしましょう?」

 

「……はい」

 

うーん、だ。

 

私はいつもとは違う空気にちょっと緊張しながら、レノアさんに勧められるまま、中庭に用意されたお茶用のスペースで椅子に座り、正面のレノアさんを見つめる。

 

「まず最初に謝罪をさせてね?」

 

「えと、はい」

 

とりあえず頷くが、レノアさんは私が思っている以上に申し訳なさそうな顔をしていた。

 

なに? いったい何をやらかしたんですか?

 

「実はね。以前、セナちゃんとキラちゃんが家に泊まりに来た事があったでしょう? その時にね。アスランとの未来を調べさせてもらったの」

 

「未来と言いますと」

 

「セナちゃんは、見た目以上にずっと大人だからハッキリと言わせて貰うわね。セナちゃんとアスランの子供が出来るかどうかと、キラちゃんとアスランの子供が出来るかどうかの確率」

 

「……なるほど」

 

「驚かないのね」

 

「えぇ。プラントは婚姻統制をしてますからね。アスランと同じ年齢で、それなりに仲の良い相手なら調べない方がおかしいと思います」

 

「本当によく知っているわ。大人も顔負けね」

 

「いえいえ。私なんてどこにでもいる子供ですよ。それで、子供が出来る確率はどの程度でしたか? 多分凄く高い確率だったと思うんですけど」

 

「……えぇ。その通り。セナちゃんもキラちゃんも共に子供を作る確率は理論上の最大値が出たわ」

 

「でしょうね」

 

まぁ、パッパがそうなる様に遺伝子操作をしたのだから、当然と言えば当然だ。

 

今更驚くような話でも無いし。何ならパッパが嬉しそうにそう語ってたよ。

 

「セナちゃんにとっては、この話は知ってて当然の話なのね。どうして、そんな事を知っているのか。聞いても良いかしら」

 

「レノアさんは、私のお母さん、カリダさんのお姉さんの事はどれだけご存知ですか?」

 

「ヴィアさんは遺伝子技術研究所で……って、まさか」

 

「はい。私はヴィアさんの夫。ユーレン・ヒビキの夢と願いによってこの世に生まれた奇跡の存在。らしいですよ? どんな夢でも叶うのだと、父であるユーレン・ヒビキは言っておりました」

 

「そう……。全ての夢、ね」

 

レノアさんは微妙な顔で溜息を吐きながら、疲れた様に笑ってお茶を飲んだ。

 

私も緊張して止めていた息を吐いて、お茶をいただく。

 

「そういう事情を知ってしまった以上、やっぱり二人はプラントへ連れて行かないといけなくなったわ」

 

「コーディネーターの出生率の低さを解消する為に?」

 

「違うわ! 二人が私の親友の子供だからよ。例え引き取った子供だとしてもね。カリダはセナちゃんもキラちゃんも愛している。だからよ。大人のくだらない思惑に利用されるべきじゃないわ」

 

「……ふふ」

 

「セナちゃん?」

 

「私、やっぱりレノアさんの事、結構好きです」

 

「……ありがとう?」

 

「なので、一つだけ、レノアさんにお願いがあります」

 

「何かしら」

 

「三年後のバレンタインデーは、家族で一緒に過ごしてください。仕事の予定も全部断って、三人で家で過ごして下さい」

 

「どういう事?」

 

「理由はどうか聞かないで下さい。これはただの我儘なのです」

 

「分かったわ。三年後のバレンタインデーは家族で過ごすわ。パトリックはちょっと難しいかもしれないけど。それでもお願いすれば多分無理をしてくれるから」

 

「……はい」

 

苦しくて、苦くて、痛い思いを胸の奥に噛みしめながら私は顔を伏せて、頷いた。

 

とてもじゃないが、レノアさんを見ている事は出来ない。

 

そして、これ以上ここに居る事も出来なかった。

 

きっと私は人殺しの顔をしているだろうから。

 

「……ごめんなさい。ちょっと用事を思い出してしまったので、今日は帰りますね。チョコレートはアスランに渡しておいて貰えますか?」

 

「え? えぇ」

 

呆けた様な返事をしているレノアさんに、私はふと返事を忘れていたことを思い出し、立ち止まって口を開いた。

 

レノアさんに背を向けたまま。

 

「あぁ。そうだ。先ほどのお返事ですが。お断りします。私たちはプラントへ行く事は出来ませんし。アスランと婚約する事も出来ません。そう決まっていますから」

 

「セナちゃん……!」

 

「じゃあ、失礼します!」

 

私は言うだけ言って、中庭から外へ向かって走り出した。

 

途中に何度か転びそうになるが、それでも止まることは出来ず、走り続ける。

 

しかし、門から外に出ようとした時、運悪く、誰かにぶつかってしまった。

 

「っ!?」

 

「おっと。危ないな。って、セナじゃないか。駄目だろう。前も見ないで走ったら……って、泣いているのか?」

 

「泣いてない、から」

 

「そんな訳無いだろう。どうした? 家の中って事は母上と何か話していたのか。なら……」

 

「関係ない! 関係ないの! レノアさんとは!」

 

「……セナ」

 

「だから、さよなら!!」

 

私はアスランの手を振り切って、再び走り出した。

 

そして家に帰り、何事かと声を掛けてきたカリダママとハルマパパ。そしてキラお姉ちゃんの声を無視して、私はベッドの上で横になり続けた。

 

枕に顔を埋めながら泣いて、泣いて……。

 

夜遅くに、起きた時には涙で酷い顔になっていた。

 

流石にこのままでは駄目かと、お風呂に入ろうと部屋から出ると、扉のすぐ横でキラお姉ちゃんが眠っているのに気づいた。

 

私を心配してくれたのだ。

 

それを嬉しく思いながらも、自分にはそんな資格が無いと思い直し、キラお姉ちゃんが風邪を引かない様に、毛布を掛ける事にするのだった。

 

本当は部屋まで運んだ方が良いのだろうが、非力な私ではそれも難しいのだ。

 

 

 

月明りに照らされながら、眠るキラを見て思う。

 

きっとキラなら、血のバレンタインの悲劇を知っていれば、止めようと思うだろう。

 

自分には力が無いなんて言い訳はせずに、出来る事をしようとするだろう。

 

一人でも多くの人間を救おうとするだろう。

 

でも、私はそんな選択を選べなかった。

 

自分には力が無いと、運命を変えた時に未来が分からなくなるからと言い訳をして、親しい人間だけが救えれば良いと考え、自己満足の為だけに行動した卑怯者だ。

 

もう。キラ達と同じ道は歩めないだろう。

 

どれだけ綺麗な言葉で自分を偽っても、私は二十四万人の人間を見捨てた人間なのだから。

 

 

 

そして、私はこの日以降、アスランとレノアさんがプラントへ帰るまで、徹底的に二人を避け続けるのだった。




オリ主が、笑ったり泣いたりしてる。
アハハ。ウジウジしてる。曇らせかな?
いや、違う。違うな! 曇らせってのはもっとバーって曇るもんな!

という訳で、まぁそんなに激しくは無いですが、オリ主曇らせ中。

保険に曇らせタグ付けておいて良かった……。
とは言っても、まぁこの程度は曇らせでも何でもないので、セーフかな。
とりあえず、当分は曇ってるんじゃないですか? 知らんけど。


という訳で、今回の内容に関するお話。
SEEDと言えばの代表的な事件の名前『血のバレンタイン』ですね。
マリューさんのような声の人が毎話、毎話、話の初めに話しているから、年代まで覚えてしまうというアレです。

作者の頭の中では、『血のバレンタイン』はある種の必須イベントであると考えております。
未来を知っている人間が避けようとすれば、他のプラントが別の日に狙われるだけだろうなと。
正直、コズミック・イラの住民の民度がアレなので……。

という訳で、どの道避けられない物と考えて、未来が変わるリスクを避け、手が届く人間だけは救おうとした結果。
それ以外の人間を全て見捨てなくてはいけないという事実に苦しむという。

未来を知っているが故に、苦しまなくてはいけないという葛藤は何とか書きたかったので、書けて良かったです。

『血のバレンタイン』以降も避けられないイベントがいっぱいあるから、明日ももーっと頑張ろうね。セナ太郎!

ヘケッ!
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