ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
テュュュュュュュュン
デケデケデケデケ
ドン!
デケデケデケデケ
ドン!
デケデケデケデケ
ドン!
デケデケデケデケ
チャカッツチャカッチャカッ
(第三者視点)
海からあがってきたデュエルとバスターは、イージスとストライク……そして、ブリッツがいた筈の小島へあがり、そのまま立ち止まった。
コックピットの中ではイザークとディアッカが呆然と呟く。
「ニコル……?」
「バカな」
ただ、目の前の光景が理解できないと、その言葉が、表情が物語っていた。
そして、頭が状況を理解すると同時に、ストライクへの激しい怒りを向ける。
「くっ、ストライクッ!! 貴様ァ!!」
「アスラン! 早く下がれ!」
イザークはストライクへビームライフルを向け、ディアッカはアスランに後退する様に叫んだ。
しかしそんな二人に、アークエンジェルから激しい弾幕が降り注ぎ、フェイズシフトに直撃し、火花を散らす。
そして、ストライクセイバーに抱えられながら上昇してゆくストライクを睨みつけ、イザークは叫んだ。
「逃がすかぁ!!」
「よせイザーク! 今は下がるんだ! アスランも!!」
「くっ」
「あぁああああ!!! ストライク!!」
それからアスラン達はなんとか母艦に帰投し、その身の内に眠る怒りの炎をイザークはニコルのロッカーにぶつけていた。
「くそぉ!! くそっくそっくそっくそっくそっくそっ! くそぉぉ!! くそっこの!」
イザークは怒りのままにロッカーを殴りつけ、蹴りつける。
そして、アスランは血が滲むほどに右手を握りしめ、ディアッカは何とか怒りを堪えながらイザークの肩を掴み、その行動を止めた。
「イザーク!」
「何故あいつが死ななきゃならない! こんなところで! え!?」
「っ! 言いたきゃ言えばいいだろ! 俺のせいだと! 俺を助けようとしたせいで死んだと!」
「アスラン!」
「くっ!」
「イザークも止めろ! ここでお前らがやり合ったってしょうがないだろ!」
イザークの胸倉をつかみ、叫んでいたアスランを、そして怒り続けるイザークをディアッカは宥めながら叫ぶ。
「俺達が討たなきゃならないのはストライクだ!」
「分かってるそんなこと! バルトフェルド隊長もあいつにやられた! 俺も傷を貰った! 次は必ず、あいつを討つ!」
イザークは怒りをまき散らして、更衣室から出ていった。
そして、ディアッカもそれを追い、部屋から出ていく。
残されたアスランはニコルの事を思い出し、イザークの暴走によって破壊されてしまったロッカーから零れ落ちた楽譜を見て、目を見開いた。
脳裏に蘇るのはニコルと話した記憶。共に過ごした時間。
そして、失われてしまったニコルの現在と未来であった。
「くぅ……くそぉ……討たれるのは俺の、俺の筈だった! ニコル……。俺が、今までアイツを討たなかった俺の甘さが! お前を殺した!」
悲しみは怒りへと変わり、怒りは憎しみへと転じる。
「キラを討つ」
決意を言葉に変えて、アスランはニコルの遺品を抱きながら、涙を浮かべて憎むべき敵を睨みつける。
「今度こそ必ず!」
もはやセナの事も頭にはなく、ただただ憎むべき敵を討つ為に、アスランは悲しき決意をするのだった。
そして翌朝。
逃亡していたアークエンジェルに追い付いたアスラン達は怒りを力へ変えて、アークエンジェルを追い詰めてゆく。
スカイグラスパーはバスターを抑えきる事が出来ず、ストライクもデュエルとの一騎打ちで押されてしまう。
そして、イージスは母艦であるアークエンジェルを狙おうとするが、そこに現れたのはストライクセイバーであった。
普段であれば、ほぼ戦闘能力を持たないセナをアスラン達は完全に放置していた。
しかし、今日のアスランにそんな余裕はなかった。
『アスランお兄ちゃん!』
「セナ!!」
シールドを構えて、イージスのビームライフルを受け止めるセナにアスランは急接近すると、そのまま機体を掴んで近くの小島へ向けて投げる。
そして、そのままストライクセイバーの背中にあるエールストライクと同じスラスターをビームライフルで打ち抜き、墜落させるのだった。
まだセナに対してはギリギリ理性の残っているアスランが辛うじて考えた、セナを自分とキラの決闘に、そしてアークエンジェルを撃墜させる際に巻き込まない様に行った事であった。
しかし、その行動がストライクの怒りに火を付けたのか、デュエルの足を打ち抜き、グゥルを破壊するとそのままイージスへと迫る。
「……キラ!!」
アスランはグゥルをストライクに向かわせると、ストライクの直前でビームライフルを打ち、それを打ち抜いた。
その爆発でストライクは直下にある小島へと落ちてしまうが、アスランはイージスを駆り、両手両足のビームサーベルでストライクへと迫るのだった。
憎しみが、次から次へと攻撃をアスランに繰り出させてゆく。
例え、いつもと違ってストライクの抵抗が弱いとしても、アスランは手を緩める事は出来なかった。
それがニコルを殺してしまった自分への戒めだから。
防戦一方であったストライクに変化が起こったのは、アスランにとって本当に些細な事であった。
アークエンジェルから出てきた戦闘機の一機がミサイルをイージスに向けて放ってきた事で、その機体に向けてシールドを投げた。
それはスカイグラスパーの翼を削り取り、飛んできた勢いのまま少し離れた場所に落ちて爆発した。
たったそれだけの出来事だ。
それだけの出来事であったが、ストライクの動きが明確に変わった。
まだ生き残ろうとしている。
ニコルを、多くの同胞を殺したというのに、まだ生き残り、これ以上の罪を重ねようとしている。
それがアスランには許せなかった。
セナを戦争に巻き込んで、多くの同胞を殺し、ニコルの未来を奪って、なおまだ生きて、セナを戦争に巻き込み続けるキラが。
だから、アスランはキラを確実に殺すべく、頭の中で何かが弾けた様な感覚と共にコックピットへ向けてビームサーベルを突き出した。
避けられる筈のないタイミングで。
これでキラを確実に殺す事が出来る筈だった。
しかし、そうはならなかった。
何が起きているのか。分からない。
アスランは、荒い呼吸の中で目を見開いて、イージスのビームサーベルと、ストライクのビームサーベルに貫かれている機体を見た。
守る筈だった子だ。
守りたかった子だ。
ラクスと同じ様に、平和な場所で、陽だまりの中で過ごしていて欲しかった筈の子だ。
『キラ……お姉、ちゃん。アス、ランお兄ちゃん。もう、二人が、戦わないで』
ストライクセイバーは二本のビームサーベルに貫かれたまま、嫌な音をたてて、動く。
争う姉と兄を引き離す様に。
アスランの頬には、涙が流れ、グルグルと意味のない思考が頭の中で回り続ける。
『だいじょうぶ。二人なら、この、戦争を……おわらせることが……』
笑うセナの姿がストライクセイバーの爆発によって、消えた。
アスランはもはや自分が何を叫んでいるのかも分からぬままイージスを変形させて爆炎の向こうにいたストライクを捕まえる。
そして、自爆コードを入れ、イージスを自爆させようとした。
もうどうする事も出来ない。こんな世界なら、このままキラと共にセナの所へ逝こうと。
二人でニコルとセナに謝ろうと、そう心に決めて。
しかし、アスランの意思とは別にイージスはアスランを外へと強制的に脱出させてしまった。
「……っ! セナ! キラっ! 俺は……!」
アスランの声は、イージスの自爆音にかき消され、虚空に消えていった。
そしてアスランがイージスから離れる瞬間に、聞いたのはセナの声であった。
それだけでアスランは、セナがこうなる前に仕込んでおいたものであると理解出来たのだった。
アスランは後悔する事すら出来ず意識を闇に落とした。
『アスランお兄ちゃん。貴方は、貴方の正義を胸に……生きて』