ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
テンテケテーン
テテテテテテーン
(第三者視点)
戦争をどうやって終わらせるか、その答えは未だ明確な形としてキラの中にある訳では無いが、それでもラクスやラクスの父、そして久しぶりに再会したレノア・ザラとパトリック・ザラの言葉から、絶滅戦争へと繋がってしまう様な事だけは止めようとキラは決めていた。
その上で、戦力がパナマへと集中しているという事から、戦力の薄いアラスカを攻め落とす。
そして地球軍本部を落とした事を切っ掛けとして、停戦協定を持ちかけるという話をまずは信じたのだった。
その為、キラはヴェサリウスで地球へと向かおうとしていた。
「キラ・ヤマト」
そんな中、キラに声を掛けてきた人物がいた。
そう。ニコル・アマルフィの父親ユーリ・アマルフィである。
「忙しいタイミングに、すまないな」
「いえ。僕は……」
「それでも、だ。これから戦場へ向かうのだ。緊張はするだろう? 私の息子は、ニコルはそうだった」
「……っ! ユーリさん……! 僕は、ニコルさんを」
「あぁ、知っているよ。私も、妻も、まだ心の整理はついていない。だが、君がニコルの事を覚えていてくれる。それで少しは救われるさ」
キラは、目を伏せて、静かに涙を流した。
「それに……、君も失ったのだろう。妹さんを。そして、君は妹さんや、ニコルの思いを受け継いで、平和を求めている。願っている」
「……はい」
「君の機体。フリーダムには、ニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されている。君の妹さんが世界に遺してくれた物だ。どうか、その使い方を誤らぬ様に、気を付けてくれ」
「分かっています。セナの想いは、汚させません」
「……戦争など無ければ、君や妹さんとニコルが共にある未来もあっただろうにな。今はただ、それが残念だよ」
「はい」
「あぁ、話が長くなってすまないな。では、我らコーディネーターの希望を君に託す」
「分かりました」
キラはユーリとの話を終えると、去っていくその背を見ながら、静かに頭を下げるのだった。
ヴェサリウスで地球の周辺まで移動したキラは、アラスカでの作戦の推移を見守っていた。
しかし、通信から聞こえてきた兄によく似た声に顔をしかめながら、その内容に出撃を決意する。
「アデス艦長。フリーダム。出撃します」
『いや、しかし!』
「先ほどの通信。途中で途切れてしまいましたが、何かしらの異常事態が起きていると考えます。そうであるならば、救援を。もしここで多くのザフト兵が死ぬ様な事になれば、停戦など出来ません。憎しみは憎しみを呼ぶだけでしょう」
『ですが、それは評議会からの指示を待ってからでも……』
『それじゃ遅いと思うぜ。アデス艦長』
『ミゲル!』
『大丈夫さ。キラちゃんは強い。フリーダムもな。そうそう容易くは落ちないさ』
「ありがとうございます。ミゲルさん」
『俺のゲイツは大気圏を抜けられん。一人で行けるか?』
「はい。ご心配ありがとうございます。大丈夫です」
『よし。じゃあ俺たちはこっちで待ってるからな。地上での戦いが終わったら帰って来いよ』
「はい!」
『じゃあ行ってこい!』
『ミゲル! 何を勝手に! って、おい! カタパルトを動かすな!』
「キラ・ヤマト。フリーダム。行きますっ!」
『止まっ』
アデスの言葉を振り切って、出撃したフリーダムはその勢いのまま地上へと向かい、アラスカを目指す。
そして、遥か上空から地上の様子を確認し、かつて自分が乗っていた艦、アークエンジェルも発見するのだった。
「……っ、アークエンジェル!」
降下する勢いに加えてスラスターでさらに加速したフリーダムは、アークエンジェルのブリッジに向かって弾丸が放たれようとしている重突撃機銃の銃身をビームライフルで撃ち抜くと、その衝撃で離れたジンの頭部をビームサーベルで斬り捨てた。
そのまま降下してきた勢いでアークエンジェルの下部から攻めようとしていたザフトのМSの武装を破壊して、再び上昇しながらブリッジの前でフリーダムの翼を広げる。
「こちらキラ・ヤマト! 援護します。今のうちに退艦を!」
そしてアークエンジェルに通信を繋げながら、ただ生き残って欲しいと告げる。
セナを愛してくれた人達に。
だが、返ってきた言葉は衝撃的な物であり、キラの聞いた異常事態の正体であった。
「マリューさん! 早く退艦を!」
『ぁ、いえ……あ、本部の地下に、サイクロプスがあって、私達は、囮にっ……! 作戦なの! 知らなかったのよ!』
「サイクロプス……?」
キラが聞きなれない言葉に疑問を口にするとモニターにその詳細が映された。
マリューが共有してくれた情報に感謝しつつ、キラはフリーダムの通信をこの戦闘区域に居る全てに向けて放つ。
「ザフト、連合、両軍に伝えます」
その通信は、かつてセナが全世界に流した通信技術が使用されており、ジャミングされている状態でも、思いや声を届ける事の出来るものであった。
故に。キラの言葉はこの戦場に居る全ての者に届く。
「アラスカ基地は、間もなくサイクロプスを作動させ、自爆します! 全軍。争いを止め、撤退してください」
セナのストライクセイバー同様に、戦場のあらゆる声が、フリーダムのコックピットに届く。
それを聞きながらキラは何度も言葉を繰り返した。
争いを止めたいと、平和を訴えていたセナの様に。
「両軍とも、直ちに戦闘を停止し、撤退して下さい! 繰り返します! アラスカ基地は間もなくサイクロプスを作動させ自爆します! 両軍とも直ちに戦闘を停止し、撤退して下さい」
そんなキラの声に、誰もがその真意が分からず動けずにいたが、ビームサーベルを抜きながら急接近してくるMSがあった。
そう。イザークの駆るデュエルである。
『下手な脅しを!!』
「……! デュエル!」
キラはフリーダムのシールドでデュエルのビームサーベルを受け止め、向けられた拳も受け止める。
そして肩から撃たれたレールガンは首を傾ける事でかわした。
『なに!?』
「もう戦闘は止めて下さい。イザークさん!」
『っ!? なぜ、俺の名前を……!』
キラはデュエルに直接通信を繋げると、顔を見せて笑った。
「オーブの時以来でしょうか」
『お前は……何故、МSになど、乗っている!! キラ!!』
「世界を平和にする為です。ですが、今は脱出を! イザークさん! 私はもう誰にも死んでほしくない!」
『……』
イザークはデュエルから離れていくフリーダムを目で追って、動揺する心を落ち着かせようとしていた。
そして、少ししてから正面を見据えて、近くのザフト兵に撤退を指示し、自身も撤退してゆく。
それから然程せずに、サイクロプスは作動し、多くのザフト兵を巻き込みながらアラスカ基地ごと自爆した。
キラはアークエンジェルと共に戦闘区域を脱出し、一人でも多くの兵を助けようと最後まで奮闘するのだった。
サイクロプスの影響範囲外に降り立ったアークエンジェルは、久しぶりにキラとの再会を噛みしめた後、これからの事について話していた。
「お話ししなくちゃならないことが、沢山ありますね」
「えぇ。そうね」
「僕もお聞きしたいことが沢山あります」
「そうでしょうね」
「ザフトに居たのか?」
「はい。ですが、僕はザフトではありません。そしてもう、地球軍でもないです」
「えぇ?」
「分かったわ。とりあえず話をしましょう。あの機体は? どうすればいいの?」
「整備や補給のことを仰っているのなら、今のところは不要でしょう。あれには、ニュートロンジャマーキャンセラーが搭載されています」
「ニュートロンジャマーキャンセラー?」
「じゃぁ核で動いてるってこと?」
「それは、まさかセナ中佐の……」
「はい。セナが世界に遺した技術を元にしています。ですから、どうかその願いを悪しき力には変えないで下さい」
「……分かったわ」
それから、キラはマリュー達と話をして、これからの事を考える為にオーブへと向かう事になるのだった。
はい。
特にコメントはありませんが、IF色がちょっとずつ強くなってきましたわ。