ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
テュュュュュュュュン
デケデケデケデケ
ドン!
デケデケデケデケ
ドン!
デケデケデケデケ
ドン!
デケデケデケデケ
チャカッツチャカッチャカッ
(第三者視点)
パナマ基地がザフトによって陥落したという報を受けた地球連合軍構成国の高官たちは、会議にて激しく言い争いをしていた。
アラスカ基地で戦力を削ったはずのザフトにパナマを攻略されてしまったと聞いたのだから、当然の反応ではある。
「何たる様だこれは! ジョシュアが成功しても、パナマを落とされてはなんの意味もないではないか!」
「パナマポートの補給路が断たれれば、月基地は早々に干上がる! それでは反攻作戦どころではないぞ!」
「ビクトリア奪還作戦の立案を急がせてはおるが……無傷でマスドライバーを取り戻すとなると、やはり容易にはいかぬ」
「オーブは……オーブはどうなっておる!」
「再三徴用要請はしておるが、頑固者のウズミ・ナラ・アスハめ! どうあっても首を縦に振らん」
言葉が行き交う会議室で、その言葉に反応した者が居た。
静かな笑みを浮かべた男、ムルタ・アズラエルである。
「おや? 中立だから、ですか? いけませんねぇそれは。皆命を懸けて戦っているというのに。人類の敵と」
「アズラエル、そういう言い方はやめてもらえんかね。我々はブルーコスモスではない」
「これは失礼致しました。しかしまた、何だって皆様この期におよんでそんな理屈を振り回しているような国を、優しく認めてやっているんです? もう中立だのなんだのと、言ってる場合じゃないでしょう」
「オーブとて、歴とした主権国家の一つなのだ。仕方あるまい」
「地球の一国家であるのなら、オーブだって連合に協力すべきですよ。違いますか? それとも、オーブはエイプリル・フール・クライシスで、セナが差し伸べた手を払いのけたんでしたっけ? 僕の記憶にはありませんがねぇ」
「……」
「少なくとも、今この世界。地球上にある全ての国家が! セナに助けられたはずです。そんなセナが! あの野蛮なコーディネーターによって命を奪われた! 皆さんはそれを仕方が無かった。とでも思ってらっしゃるんですか?」
「それは……分かっている。だからこそ、我らもこうしてザフトとの戦いをより積極的に行う様になったのだ。禁じていた手段も使ってな」
「当然です。ニュートロンジャマー・キャンセラーの開発は既に最終段階に突入しています。宇宙に上がればすぐにでも核ミサイルでの総攻撃も可能だ。その為にも! 宇宙への道は必須。そうでしょう? 皆さん」
「う……うむ」
「しかしアズラエル。セナ嬢は本当に命を落としてしまったのか?」
「その辺りは、まだ調査中です。あの子はまだどこかで生きている。その希望は僕もまだ捨ててはいません」
「……」
「ですが、例え生きていたとしても、あの恩知らず共を世界に残しておけば、セナの命は何度でも狙われる。それは皆さんも分かっている事でしょう?」
「それは、確かにそうだが」
「ならば、あの子の望んだ様にまずは平和を作らなくてはね。ピースメーカー隊が平和を作るまで。進まなくては」
「……」
「という訳で、我らは急ぎ準備をしなくてはいけない訳です。うん。そうですね。では、オーブとの交渉。私の方で引き受けましょう」
「なんだと?」
「今はとにかくマスドライバーが必要なんだ。早急に。どちらかが、或いは両方か」
「それはそうだが」
「皆さんにはビクトリアの作戦があるんだし、分担した方が効率いいでしょう。もしかしたら、あれのテストも出来るかもしれませんしね」
「あの機体を使うつもりかね君は……」
「まぁ、向こうの出方次第ですけど。そのアスハさんが噂通りの頑固者で、恩知らずの愚か者なら、ちょっと凄い事になるかもしれませんね」
アズラエルは憎しみにそまった目で笑いながら、会議室を後にするのだった。
そしてオーブへ最後通告を叩きつけた後は、船に乗りながら、パソコンを開き、かつての日々を思い返していた。
『パパ! パパ! もう撮ってるの!?』
『どう? セナの服。可愛いでしょ! ま、私も当然似合ってるけど!』
『へへ。ほら。セナ。誕生日なんだから、もっと大きなケーキを取って良いのよ?』
映像の中で喋っているのはいつもマリーだが、セナもそんなマリーと共に笑い、楽しんでいた。
それを見て、懐かしいという思いと、それを奪ったコーディネーターへの憎しみが強くなる。
「セナ様の映像ですか?」
「あぁ。十三歳の誕生日さ。僕は忙しくてね。誕生日もたまにしか祝ってやれなかったが、この時は運が良くてね。まぁ、世界としては運が悪い日だったけどさ」
「エイプリル・フール・クライシスですか」
「そうさ。この時から、あの子はコーディネーター共に命を狙われる様になった。あの子は平和を訴えていただけだけどね」
「……私の家族もセナ様には救われました」
「そうか。でも、まぁ、そんな人間は世界中に居るさ。それにコーディネーターだって、同じ。みんなあの子に救われたのに、あの子を傷つけて、遂には殺した。まったく。同じ人間とは思えないね」
「そうですね」
「だからさ。僕も出来る事なら争いなんてしたくないんだけどね。コーディネーターはこっちの事なんか気にせず撃ってくるし。そんな連中の味方をして、セナの想いを踏みにじる。なら、そんな国。無くなった方が世界の為でしょ。あの子が願った平和な世界に、野蛮な連中は要らないんだよ」
「……む? オーブからの返答です」
「見せてもらおうか。オーブの意思とやらをさ」
アズラエルはその返答を見ながら、なるほどと頷くと、全艦隊に通信を繋げる様に艦長に言い、言葉を発した。
『さて。我々は現在地球の救世主であるセナの願った平和を作る為に戦っている訳だが、ここで悲しい知らせだ。どうやら、オーブはセナに助けられた恩義よりも、今自分たちが持っている力を手放す事が惜しいらしい。所詮は世間知らずの小娘の理想など知った事では無いという事だ。非常に残念な事だ。さて、セナの想いに答えてくれた地球軍の勇敢なる兵士諸君。分かるな? かの国は、諸君の愛した少女よりも己の利益を取った。これを断じて許してはならない』
アズラエルの声に、全ての艦から声が上がる。
怒りを、憎しみを、願いを込めた声だ。
そして、それをアズラエルは聞きながら、今回持ってきた兵器たちにも声を掛けた。
彼らの出撃を開戦の合図とするために。
「あー、君達?」
『あぁっ?』
『へ?』
『はい』
「マスドライバーとモルゲンレーテの工場は壊してはいけません。分かってるね?」
『他はいくらやってもいいんだろ?』
『ですね』
『うっせーよ! お前ら!』
狂暴な返答をする三人にアズラエルは笑いながら、出撃の合図をする。
そして、三機が出撃するのと同時に連合とオーブの戦争が始まり、それぞれの軍で激しい戦闘が行われるのだった。
アズラエルはそんな戦場を遠くから見ながら、かつてセナとマリーに貰った押し花の栞を片手で触り、ため息を吐く。
「戦争に戦争。早く終わると良いんですがねぇ。この世界は、ままならないものですね」
呟いた言葉は誰に届くこともなくどこかへ消えていった。
そして、平和を願った少女の気持ちは都合の良い言葉に変えられて、ただ世界には死が溢れるばかりであった。
アズにゃん回!
アズにゃんは原作からマイホームパパ。いいね?
設定だけで多分それが回収される事は無いでしょうけど。
だからどうやっても問題ないやろ的な精神ですが。
しかし、故人をいつまでも忘れられない展開って良いですよね。
いつまでも帰って来ない日々を引きずってくれ……。