ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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本日3回目の更新


PHASE-10『追悼慰霊団』

(第三者視点)

 

 

 

ユニウスセブン。

 

それは前大戦にて、核ミサイルが撃ち込まれ崩壊したプラントの農業用コロニーであり、前大戦が終わりのない絶滅戦争へと足を踏み出した最初の切っ掛けである。

 

犠牲者は24万3720名。

 

今もなおプラントにはユニウスセブンの悲劇『血のバレンタイン』によって親しい人間を亡くした人間がおり、その傷は未だ癒えてはいない。

 

そして、前大戦にも一周忌にラクス・クラインを中心として追悼慰霊団を派遣する計画があったが、襲撃される事件があった為、その翌年は見送られ、今年コズミック・イラ73は宇宙艦で護衛しながらの追悼慰霊団派遣となったのである。

 

「護衛。ありがとうございます」

 

「いえ」

 

セナはラクスを名乗っているミーアと共に護衛として派遣された面々に頭を下げる。

 

ここまで何のトラブルもなく順調であったが、セナは僅かに緊張していた。

 

何故なら護衛として派遣された者の中にサトーら、原作の世界にてユニウスセブンを地球に落とそうとした面々が居たからだ。

 

無論彼らがユニウスセブンを落とそうとした動機はここで家族を亡くしたからであり、怒りだけでなく、悲しみもその胸に秘められているのはセナも知っている。

 

しかし、それでも彼らの気性を考えれば、エイプリル・フール・クライシスで有名になった自分を許しはしないだろうとも考えていた。

 

故に、セナは危険だからと宇宙艦にミーアを残し、一人護衛と共に出撃したホープの中でサトーらに通信を繋げるのだった。

 

「聞こえていますか?」

 

『……何かありましたか?』

 

「この通信は私とサトーさん達の間だけで繋がっています。だから、何も気にしなくても大丈夫ですよ」

 

『意味が分かりませんが』

 

「私は、サトーさん達が計画している作戦を中止していただきたいのです。つり合いは取れないと思いますが、どうか私の命だけで」

 

『ちょ、ちょっと! 待って下さい! 何故我らがセナ嬢の命を奪わねばならない』

 

「それは」

 

『貴女は第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦にて、プラントをナチュラル共の核から守った英雄だ。ナチュラル共ならいざ知らず、我らコーディネーターが貴女に銃口を向ける理由が無い!』

 

「それでも、私は血のバレンタインの時、ブルーコスモスの盟主と共に居ました!」

 

『知っています。囚われていたのでしょう。ザラ元議長もそう仰っていました』

 

「違います! 私は、別に閉じ込められていた訳では無いのです! 屋敷の中をある程度自由に動き回る事が出来ました! だから」

 

『血のバレンタインを止められなかったのは己の責任。故に我らがセナ嬢を討って、この身の内に眠る憎しみを止めろと、そう仰るか』

 

「はい」

 

『我らを舐めないで貰いたい。セナ嬢』

 

静かに向けられた冷たい殺意にセナはコックピットの中で震えた。

 

『我らは獣ではない。理性を持った人間だ。例えその心が憎しみに染まっていようとも、狙うべき対象を見誤ったりはしない』

 

「でも、私は」

 

『子供一人に何が出来るか!! 驕るな!』

 

「っ」

 

『ナチュラル共に囚われ、戦場にも居なかった貴女に出来る事など何もない! 貴女がどれだけ言葉を尽くしても、奴らは貴女を殺して、核を撃ち込んだだけだ! 変わらぬ!! 何も!』

 

「ぅ」

 

『ありもしない罪を背負おうとするな。君には数多くの同胞が心を寄せている。我らもまた、セナ嬢に多くの事を救われている。デュランダル議長と交渉し、建設中であったプラントの一つを前大戦の戦没者を弔う為の墓としたのもその一つだ。ユニウスセブンに放置された者たちは個人の資産に関わらず、皆ユニウスセブンより保護され、順に弔われている。その事に感謝をしても、恨む事などあり得ん』

 

「……でも、落とすんですよね? ユニウスセブンを、地球へ」

 

『っ、先ほども我らの計画をと言っていたが……! まさか知っていたのか!』

 

「はい。確かに計画そのものを知る事は出来ませんでしたが、人や物資の動き、話している内容から作戦を推察する事は出来ます」

 

『凄まじいものだな。ザラ元議長が貴女こそプラントには必要だと言っていた事がよく分かる』

 

「お願いです。サトーさん! ここには、多くの人がまだ眠っているんです。地球軍を憎むなとは言えません。でも、どうか! ユニウスセブンを落とす事だけは!」

 

『しかし、我らはもはや止まれぬ。このまま偽りの平和の中で生きる事など!』

 

「……戦争はまた始まります」

 

『なに……?』

 

セナは交渉出来ないと判断した時の為に残しておいた切り札を切る。

 

その言葉にサトー達は明確に動揺した。

 

何故なら、彼らの中でセナやラクスは平和の象徴であるからだ。

 

前大戦だって戦争を止める為に奔走していたのだ。

 

それが、そんな彼女が、戦争が始まるのを知っていて、止めないとは。

 

『その様な嘘で』

 

「嘘ではありません。おそらくは一年以内に、新造艦ミネルバの推進式が行われます。またセカンドステージの機体も式典で発表されるでしょう。そこでザフトは地球軍から奇襲を受ける。これは地球軍の情報を調べて判明した事実になります。そして私たちはその事実を世界に発表し、報復の為に戦争を始める予定です」

 

『その様な事は……! 今の議長、デュランダルはクラインの手先ではないか! 戦争など』

 

「そのデュランダル議長が起こそうとしているんですよ。今度こそ、完璧な平和を作る為に」

 

『完璧な……平和』

 

「だから、落とす必要はありません。落とさずともサトーさん達の憎しみを向ける場所はこれから生まれるのですから」

 

『……』

 

セナは緊張のあまり、震える右手を抱きしめて、大きく息を吸ってからモニターに映るサトーを見つめた。

 

『一つ確認したい』

 

「はい」

 

『セナ嬢は、次の戦争。どこと戦うつもりか』

 

「私は最期の瞬間までプラントと共にあります。デュランダル議長と共に」

 

『そうか。分かった』

 

「……」

 

『計画は中止しよう』

 

「サトーさん!」

 

『我らも、出来ることなら静かに眠らせてやりたいのだ。この場所だけは』

 

「……はい。そうですね」

 

セナはサトーらと共に眼下に広がるユニウスセブンを見つめ、両手を握り合わせた。

 

祈る様に。

 

どうか、安らかに眠って欲しいと、そう願って。

 

 

 

母艦へ帰還したホープから出たセナは、心配して駆け寄ってきたミーアに抱きかかえられながらブリッジへと向かった。

 

「お待たせしました」

 

「いえ。構いませんよ。我らもまた、祈っておりましたから」

 

「ありがとうございます」

 

セナは宇宙艦の中からユニウスセブンを見つめ、静かに目を閉じた。

 

そんなセナをミーアは抱きしめながら、自然と歌を歌う。

 

かつてラクスが歌っていた様に。

 

争いの中で散った多くの命が、安らぐようにと。

 

その優しい声にセナは一筋の涙を流し、永遠に終わらない平和の世界が来る様にと願うのだった。

 

 

 

セナがミーアと共にユニウスセブンからプラントへと帰投している頃、デュランダルは執務室でモニターを見ながら笑みを浮かべていた。

 

サトーらがデュランダルに対して、面会を求めていたからだ。

 

その理由は分かっている。

 

おそらくはセナが彼らに戦争の事を教えたのだろうとデュランダルはすぐその答えに至った。

 

今、議長を……いやセナを支持する人間は非常に多い。

 

クライン派は元より、過激派であった旧ザラ派の人間もその多くがセナの説得により議長とセナを支持している。

 

もう一度戦争をして、平和な世界を作るのだというセナの言葉を信じて。

 

「……実に愚かしいものだ。そうは思わないか? レイ」

 

「ギル」

 

「なんだい?」

 

「本当に、デスティニープランを実行するの?」

 

「あぁ、それが他でもない。彼女の……セナの願いだからね」

 

「しかし、実行されればセナは!」

 

「あぁ。平和という名の楽園に囚われ。二度と自由に生きる事は出来なくなるだろうな」

 

「……っ!」

 

「だがそうなれば、もう二度と君の大切な者を傷つける人間はいなくなる」

 

笑みを浮かべながら言ったデュランダルの言葉にレイは歯を食いしばりながら、言葉を無くす。

 

「まぁ、ゆっくりと考えればいいさ。どの道、先に戦争をしなくてはいけないからね。レイ。ミネルバは任せたよ」

 

「……はい」

 

悩み、迷うレイをデュランダルは笑いながら見つめ、その姿を見守るのだった。




次回からいよいよDESTINY編の本編が始まります。
とりあえず書かなきゃいけない事の最低限は書けたかなって感じですわ。

一応まったく触れてないオーブやら連合やらはほぼ原作通りですね。
まぁ、黙って出て行った挙句年単位で行方不明になっている姉妹にブチ切れてるオーブの代表とか、その護衛とかが居ますけど。

本編からは出てくるので。
その辺りまでお待ちくだせぇ。

では!
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