ガンダムSEED~オリ主で主要キャラ全員生存ルート爆走記~ え? キラが女の子とか聞いて無いんですけど 作:とーふ@毎日なんか書いてる
PHASE-11『怒れる瞳』(前編)
(キラ視点)
コズミック・イラ73。10月2日。
プラントの軍事コロニーの一つ『アーモリーワン』の基地にある通信機の前で僕は終わりの見えない通話をかれこれ二時間は続けていた。
すぐ横にはセナが眠そうにウトウトとしており、早く通話を終わりたいと願っているのだが、向こうはまだ終わるつもりが無いらしい。
『だって、私、こんな事になるなんて思わなくて』
「しょうがないよ。それだけアグネスが優秀だったって事なんだから。それに、プラント本国の防衛隊なら滅多な事じゃあ怖い思いもしないよ」
『でも、私! 隊長と一緒に居たかったんです! 隊長。どうにか、私と同じ隊に移動出来ませんか? ミネルバに乗るなんて危なすぎます!』
「別に戦争になる訳じゃないんだからさ。危険なんて早々無いよ。それにシン達も心配だしね」
『……また』
「ん?」
『いえ』
アグネスの勢いが落ちた事を確認した僕はここで一気に通話を終わらせるべく、畳みかけた。
「じゃあアグネス。また何かあったら通話してよ。ごめんね。こっちも明日に向けてドタバタしててさ。また今度落ち着いたら連絡するから!」
『あ、隊長!』
「ごめんね!」
僕はとにかく謝って通話を切ると、大きく息を吐いた。
たまに行われるラクスとの通話もそうだが、彼女たちは話し始めると長く、いつまでも拘束されてしまう為、切る時は半ば無理矢理切る必要があるのだ。
「セナ。終わったよ」
「……んぁ。終わりましたか」
「うん。待たせてごめんね」
「いえ。しょうがないですよ。寂しい気持ちもわかります。一人だけ別の隊になってしまうだなんて」
「そうだねぇ。まぁ上層部の命令だからしょうがないけどさ」
「そうですね」
「ま。ここで言っててもしょうがないかな。とりあえず行こうか」
「はい。あっ! ちょっと待って下さい」
セナに呼び止められ、振り向いてしゃがむと、顔にサングラスをかけられる。
「お姉ちゃんは有名人なんですから。顔を隠さないと駄目ですよ」
「はいはい。じゃあそれを言うならセナもね」
僕はセナの顔にも懐から取り出したサングラスをかけて笑う。
そして近くにあった鏡で自分を見ると、何だか以前バナディーヤで会ったバルトフェルドさんみたいで格好良く見える。
「どう? 格好いいかな。僕」
「はい。とても可愛いと思います」
「むー。僕は格好いいかって聞いたんだけど」
「分かってますよ。だから可愛いと答えました」
「こらー! セナー! 意地悪言う子はこうだぞー!」
僕はセナを捕まえて、その脇をくすぐる。
セナは耐えられないとばかりに笑い、そしてすぐにギブアップするのだった。
まったく。お姉ちゃんに意地悪を言うからこうなるのである。
「じゃあそろそろ行きましょうか。ミネルバにも明日の打ち合わせをしに行かないといけないですし」
「そうだね。じゃあ行こうか。セナ」
僕はセナの手を握りながら外へ出て歩き始めた。
プラントの中は多くの人で賑わっており、道行く人も実に楽しそうである。
「しっかし。これがみんなミネルバを見に来てる人だなんて信じられないね」
「気になると思いますよ。ザフトも連合軍も」
「また、すぐそういう事を言う。純粋に凄い宇宙艦を見に来てる人だって居るかもしれないでしょ。ほら。見てみなさい。あそこに楽しそうに踊ってる子がいるよ」
僕は通りのガラスに自分の服を映しながら踊っている少女を指さした。
戦争の事なんて少しも考えてなさそうな、実に楽しそうな姿である。
「確かに」
「ね?」
「あっ」
セナの方を見ながら話をしていた僕は、不意にセナが声を上げた事で、セナの見ている方に視線を送る。
そして、先ほど言った少女がちょうど路地から出て来たシンとぶつかる所を見てしまうのであった。
「大丈夫!?」
僕とセナは急いで少女とシンの所へ駆け寄り、僕はシンの落とした荷物を広い、セナは少女の方へと駆け寄る。
「あっ! 隊長!」
「シン。見てたよ。不注意。駄目でしょ」
「す、すみません」
僕はサングラスを取りながらシンに怒り、セナもまたサングラスを取りながら少女に話しかける。
何となく二人の会話が気になった僕は言い訳を並べているシンを放置して、少女の方へと視線を向けるのだった。
「大丈夫ですか?」
「……」
「あの?」
「セナ」
「っ! え」
「一緒に行く」
「え? あの!」
少女は話しかけていたセナの手を握ると、そのまま無理矢理連れて行こうとしていた。
「ちょいちょいちょい! 何やってるの! 確かにぶつかったのはこっちが悪かったけど」
「……」
僕の声に反応して振り返ったその少女は僕の顔をジッと見ると、小さく消えそうな声で呟いた。
「キラ」
「僕の、名前?」
「キラも一緒に行く」
「ちょっ!」
少女は僕の腕を掴むと凄い勢いで引っ張り始めた。
その少女らしからぬ強い力にびっくりするが、ちょうど居たシンとヨウランが助けてくれ、何とかこの場に留まる事が出来るのだった。
「おーい! ステラ!」
「何やってんの! お前!」
そして、僕たちから離れながらどこか不満そうにしている少女を見ていると、向こうから駆け寄ってくる二人の少年が見え、僕はそちらに視線を向けた。
少しは話が出来そうな子の登場である。
「ステラ」
「……セナ。キラ」
「っ!」
僕とセナの姿を見て、驚く二人に僕は少しだけ警戒を強めた。
何かあるという事も無いだろうけど、前大戦を思えば楽観視は出来ない。
「っ、あぁ。申し訳ない。我々は観光でここに来たんですが、ステラは二人のファンでして」
「ファン?」
「えぇ。プラントを守った英雄。そうでしょ?」
「あー。まぁー。その呼び方はあまり好きじゃないですけど」
「だから一緒に写真を撮りたかったんですよ。でも、ステラはちょっと口下手な所がありまして」
「あぁ、そうだったんですね」
そういう言い訳か、本心かは分からないけど、僕はなるほどと頷いた。
セナを自分の背中に隠しながら。
「でも、申し訳ない。僕たちも少し忙しくて。またどこかで機会があれば。という事でも良いですか?」
「えぇ。勿論」
おそらくは一番年上であろう少年との会話を終わらせて、僕はセナの手を引きながら、シンたちと共にミネルバを目指す。
なるべく早く歩きながら。
「隊長? どうかしたんですか?」
「……嫌な予感がする。ミネルバに急ごう」
そして、僕はセナ、シン、ヨウランと共にミネルバへと急いだのだが、その勘が正しかったのか。
僕とセナがミネルバの艦長であるタリアさんと話をしている時に、警報と共に爆発音が響き渡った。
「ヤマト隊長!」
「はい。MS出撃させましょう。メイリン。シンを呼び出して。それにルナマリアとレイの場所を特定。急いで!」
「はい!」
「お姉ちゃん」
「セナはここで待機。メイリン。シンに通信繋いで」
「はい!」
『隊長!』
「シン。状況は分からない。けれど、何かが起きてる。油断しないで」
『はい! 任せてください!』
「何かあったら、すぐに通信するんだよ!」
『分かりました!』
シンはそれから勢いよくコアスプレンダーで出撃し、空中でインパルスに合体して地上へと降り立った。
奪われたであろうザフトの新型ガイアの前へと。
うぉぉおおおお! DESTINY編の本編が始まったぞ!!
視点は、キラ!!!
??????
いや、こんなハズでは。
まぁ、でも、こっちの方が色々と都合が良かったというか。
ここから長い期間出番が無いであろうアグネスに少しでも出番をあげたかったというか。
そう……優しさなんですよ。
うん。
ゆるしてほしい。