妖怪ウォッチ シャドウファンタジー   作:U.ティーズ

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♯3 猫にしては声が良い

あらすじ うんがい鏡とともだちになった。

 

次の日

光刃「兄さん、昨日は大丈夫だった?」

影刃「ん?あぁ、鬼時間?なら全然。どうしたの?」

光刃「いやそれもあるけど、何か兄さん昨日遅くまで誰かと喋ってたから。」

多分影オロチやうんがい鏡と話していたから独り言言っている様になってたんだろうな。

影刃「あーごめん、もしかしたらこれから増えるかも。まぁ気を付けるよ。」

光刃「そっか。」

影刃「それより時間大丈夫?今日朝練は?」

光刃「あっ、そうだった!先出るよ!」

ガチャッと玄関のドアを開け「行ってきまーす!」と家を出ていく光刃。

影刃「気をつけてーって、弁当忘れてる…。」

 

通学中

影オロチ「それにしても君の弟はよく食べるんだな。弁当2つも要るとは。」

影刃「朝練終わりの朝食2回目とお昼だからね。」

影オロチ「影刃は部活やってないのか?」

影刃「部活らしい部活はやってない。一応バイトを奉仕活動部として認めて貰ってるけど。」

影オロチ「奉仕活動部?」

影刃「うん。なんでも有りのハイパーフリーダムな部活でね。自主的に挨拶活動してる奴とか、学校周りのゴミ拾いしてる奴とか、先生の代わりに補習授業してる奴とか。」

影オロチ「…本当になんでも有りなんだな。」

影刃「そ。んで、バイトも社会貢献という事で部活の内容の1つとして認められてる。」

影オロチ「成程な。そういえば影刃、妖怪ウォッチで妖怪を呼び出す時の口上を考えた方がいいかもしれない。」

影刃「こ、口上?なんで?」

影オロチ「格好がつくからだ。呼び出される側のテンションも上がる。」

影刃「うーん、成程?」

召喚口上か…。なんだろう、異能バトル物の主人公になった気分だ。ってか呼び出す前から声聞こえてんの?

?「おはよう、えいちゃん。」

影刃「おー、おはよう虎瀬。」

彼女は幼なじみの虎瀬 越子(とらせ えつこ)。ディープなオタクだが、陽キャとも普通に話せる、と言うか陽キャの方から話しかけられる光のオタク。その為かスクールカーストも上の方。…どうなってんだコイツ。しかも趣味はガジェット作り、と男のロマンまで分かってる。片思いして10年になるだろうか?

影刃「あ、丁度いいや。虎瀬。味方を召喚する時に使えそうな台詞って今思いつく?」

越子「なになに、異世界物でも書くの?うーん、シンプルに契約に従い、来い!〇〇!とかで良いんじゃない?そもそもどういう召喚方法なの?魔法?」

影刃「え、あー、うーんと、道具を使った妖術系?」

越子「ふぅむふむ、妖術かぁ。あ、そういえば妖術で思い出した。山の麓に豪邸があるの知ってる?」

影刃「猫屋敷さんの事か、宝石商の。知らん訳無いだろ、結構ショックだったし…」

この街では知らない人は居ないだろうといえる程の有名人、宝石商の猫屋敷 真蔵さん。ほぼガセだろうが個人資産が国家予算の5%と言われた程の大金持ちで、とても猫好きだった。

とても気さくな方で、小さい頃ウチに相談しに来た時(多分妖怪絡み)には暇そうな僕等にベーゴマや宝石の種類なんかを教えてもらった事がある。奥さんは先立たれていて日本家屋の豪邸に一人暮らし。つい数ヶ月前なんか家の蛍光灯を交換しに行った。お手伝いさん等は雇っておらず、基本的には自分の事は自分でする方だった。

だからこそ数週間前に突然聞かされた訃報に兄弟でショックを受けた。

影刃「それで、猫屋敷さんがどうしたんだ?」

越子「猫屋敷さんがって言うより猫屋敷さんちの猫の事なんだけどさ。」

影刃「あー、真っ黒い子を飼ってたな。」

越子「その飼ってた猫が居なくなったらしいよ。」

影刃「マジで?」

越子「うん。まぁウチは寿命かなって思うけど。結構長いんでしょ?」

影刃「そういやそうだな、5年前位だけど確か10歳って言ってたか?大往生だな。」

越子「5年前って事は今15歳!?化け猫じゃん。」

そう言われればそうだ。猫の寿命は大体10年位。当時はなんとも思わなかったが、相当長生きだ。

影刃「でもなぁ、亡くなる数週間前に蛍光灯変えに行ったけど、元気にしてたけどなぁ。」

1回あの屋敷に行ってみるかな、と思っていると

越子「ねね、えいちゃん。明日遊びに行ってもいい?」

影刃「明日?良いけどなんで?」

越子「今作ってるガジェットが今日には出来そうなんだよねぇ。多分えいちゃん気に入ると思う。」

影刃「マジか。分かった。楽しみにしとく。」

越子「うむうむ、そうしてくれたまえ。あ、クラスの子だ。じゃあまたね、えいちゃん。」

それだけ言うと駆け足でクラスメイトの元へ行ってしまった。やっぱり脈無しかな…。それにしても、

影刃「聞いてた?」

影オロチ「明日出掛けていた方がいいか?」

影刃「違う!猫屋敷さんちの方。今日家に帰ってから見に行こうと思うんだけど、着いてくるでしょ?」

影オロチ「勿論だ。」

 

【放課後 HR教室 三人称視点】

?「今からカラオケ行かね?」

そう提案したのは陽キャグループのリーダーの様な奴、下関(しもせき)。

?「いいね行こうぜ!」

こう答えたのは勿論陽キャグループの幡生(はたぶ)。

その2人を含めた10数人の陽キャ組がワイワイしているのを横目に足早に立ち去った。そこへ入れ替わる様に越子が来た。

越子「ねーねー、えいちゃ、じゃなかった。堅石くん居ますかー?」

下関「堅石?誰か見た?」

越子「 帰ったっぽい?」

幡生「じゃねーの?アイツ影薄いから分かんねーよ。」

下関「それな。」

ゲラゲラ笑い出す陽キャ組に越子はフッと一瞬笑う。

越子「そっかー、じゃあねー。」

と、さっさと帰った。

 

【下校中 越子side】

みんな何も分かってないんだよねー。いやーもうこれウチの一人勝ちでしょ。色んな情報集めてるけどえいちゃんの事好きって人全然居ないんだよねー。みんな光刃くんばっかり見ててさ。有難いけど。ま、幼なじみが負けヒロインってジンクスはウチが確り打ち破りますか!10年分の恋心舐めんなよ!

それにしてもえいちゃんが最近着けてる時計、 滅茶苦茶気になるんだよね。色合いは高級感あるけど見た目はおもちゃっぽいし。うーむ、気になる。

 

【影刃side】

家に帰った俺は動きやすい服装に着替え家を出た。自転車で10分ぐらい走った所にある大きな日本家屋。それが猫屋敷さんの家だ。

門の前に自転車を停め、中へ入る。

?「ん? 君は…」

影刃「あ、お久しぶりです!堅石です。」

?「あぁ!えっと、影刃くん、だよね?久しぶり。元気してたかな?」

そこに居たのは猫屋敷さんの息子、物蔵さんだった。真蔵さんから受け継いだ宝石商をしている。

影刃「はい、お陰様で。それにしてもこの荷物、もしかしてこっちに引っ越して来るんですか?」

物蔵「そうだよ。今の時代何処でも仕事が出来るからね。動かなきゃいけないのは何かあった時とか買い付けに行く時ぐらいでいいからこの街に帰ってくる事にしたんだ。前々から考えてたんだけど、父さんが亡くなったしここを管理する人が居ないしって事でね。」

成程、と納得する。そうだ、物蔵さんに聞いてみよう。

影刃「実は噂で真蔵さんが飼ってた猫達が居なくなったって話を聞いたんですけど、本当ですか?」

物蔵さんはあー、という顔をした。

物蔵「そうなんだよ。私も気にしていてね。私も猫が好きだから会えるのを楽しみにしていたんだけど…。まぁ、もう15才ぐらいになるから死んでいてもおかしくないし。ほら、猫って死に際を見せないって言うだろう?本当にそうなら弔ってあげたいけど、死んだ姿を見られたくないならそのままにしてあげた方が良い気がしてね。」

影刃「そうですか、分かりました。俺も探すのはやめときます。」

物蔵「そうしてあげてくれ。」

その時、屋敷の奥の雑木林の方から、チリンと鈴の音が聞こえた。

物蔵「どうかしたかい?」

どうやら物蔵さんには聞こえていないらしい。

影刃「いえ、なんでもないです。急に来てすみません、お邪魔しました。」

そう言って門を出る。何時でもおいでとは言って貰えたけど、まぁ社交辞令だろう。さて、

影刃「影オロチ。鈴みたいな音聞こえた?」

影オロチ「あぁ。はっきりと雑木林の方からな。」

やっぱり。多分妖怪とかを視える人なら聞こえたんだろうと思う。

行ってみたいけど1番の近道は猫屋敷さん家の庭を突っ切る事。庭を囲う柵の1部が雑木林に繋がるフェンスゲートになっていた筈だ。どうやってそこまで行こうか?探しませんと言った手前、雑木林に行かせてくださいというのも変な話だ。

影オロチ「影刃、私が取り憑けば走っても歩いても喋ってもバレないぞ。」

思わなかった訳じゃないがちょっと犯罪チックなんだよなぁ…。でもあの鈴の音、何も無いとは思えない。

影刃「…よし、それで行こう。」

取り憑いて貰い再び門をくぐる。物蔵さんは仕事の電話をしている様だ。真横を通っても全然バレない。

影刃「本当にバレないね。さっさと雑木林まで行こう。」

庭の方に行くと屋敷の中で物蔵さんが連れてきたのであろうお手伝いさん達が荷解きをしている。流石にフェンスゲートを開けたらバレそうなのでゲートに手を掛け飛び越える。腰までの高さで良かった。

 

雑木林に足を踏み入れた瞬間、さっきも聞こえた鈴の音が聞こえると同時に神聖な雰囲気を感じた。獣道を歩き奥へ入って行くと鈴の音はどんどんはっきり聞こえてくる。

雑木林に入って五分。少し開けた場所へ出た。そこには1匹の黒い猫がこちらをみて座っていた。見覚えがある。猫屋敷さんちの猫だ。その後ろには小さな祠。これあれだ、ボス戦だ、セーブしたい。

そう思っているとその猫がニャーニャー言い始めた。困惑していると妖怪ウォッチがなり始めた。

影オロチ「妖怪レーダーが反応しているんだ。サーチライトで照らしてみてくれ。」

言われた通り妖怪ウォッチで照らしてみる。すると猫達は二足歩行で2、3等身ぐらいの猫のマスコットみたいな見た目へ姿が変わった。その体は宝石の様にキラキラしており、黒いマントに長い耳、手には剣を持っていた。

?「私は世の何よりも硬く、何よりも硬い!ブラックダイヤニャン!」

影刃「ブラックダイヤ、ニャン?」

情報が渋滞してる…ブラックダイヤなの?猫なの?硬いの?ってか声渋っ!

影刃「えっと、初めまして。堅石 影刃です。影オロチ、この妖怪は?」

影オロチ「ブラックダイヤニャン。エンマ王家に伝わる七種の神器を守る伝説の宝玉七将の一人だ。…どうしてここに居るんだ?」

ダイヤ「話せば長くなるんだが…。」

影刃「どれくらい?」

ダイヤ「真蔵との出会いから話すことになるからな…5時間ぐらいだな。」

影刃「さ、流石に長いよ!3行ぐらいにならない?」

ダイヤ「この地に訳あり旅に出た時色々あって

    それを助けてくれたのが我が友真蔵で

    エンマ大王に呼ばれた時以外、

    この地を護るよう約束したのだ!」

影刃「エンマ大王のくだりが無かったら3行に収まったのに…。って言うか訳あり旅ってなに!?」

厄ネタかな?

ダイヤ「そこを話すと3時間ぐらいかかるのだが…。」

影刃「やめておくよ…。」

厄ネタだ。

影刃「それで僕等は鈴の音が聞こえたからここまで来たんだけど、僕等は君に呼ばれたって事で間違いない?」

ダイヤ「あぁ。妖怪ウォッチを持つ者よ。私に力を貸して欲しい。」

影刃「勿論!僕で良かったら!」

ダイヤ「そうか!では宜しく…頼む!」

思い切り下げられた頭は地面に当たった。

影刃、影オロチ「うわぁっ!」

耳先がちょっと触れただけでクレーターが出来るとは思わんじゃん!?

 

影刃「それで僕等は何をしたらいいの?」

ダイヤ「うん。して欲しい事は2つ。先ずは真蔵との約束、この地の守護だ。ウォッチを持っていると言う事は色々な妖怪達と友達なのだろう?君の友の力を借りて私と一緒に戦って欲しいのだ。」

その言葉に僕は少し目線を逸らした。

ダイヤ「うん? どうした?…まさか?」

影刃「はい。今の所2人しか友達妖怪いません。」

ダイヤ「…なんということだ…、最近ウォッチを持ったばかりなのか?」

影刃「仰る通りで…。」

ダイヤ「そうか、ならば仕方ない。一緒に戦ってはくれるんだな?」

影刃「僕は難しいけど、影オロチが…」

影オロチ「あぁ。そこは任せろ。」

影刃「との事です。」

ダイヤ「そうか!宜しく…頼「頭下げなくていいから!!」そうか?まぁいい。そして2つ目だ。私を ここから出して欲しい。」

影刃「どういう事?」

ダイヤ「それが、どういう訳か真蔵が亡くなってからここに結界が張られていて私は外に出られなくなってしまった。」

影刃「え!?それって僕等は大丈夫なの!?」

ダイヤ「すまない、それは私にも分からないのだ。」

影オロチ「調べてきた。どうやら我々も出られない。」

…え?詰んだ…?

影刃「え、ちょっと待って、え、どうすんのこれ!」

影オロチ「落ち着け影刃。こういう時こそともだち妖怪だ。この結界は物理的な物にしか反応しない 。私の妖怪パットが普段通り使えていると言うことは妖怪通信は通る。即ち妖怪ウォッチを使った召喚は可能だ!」

影刃「何が何だかさっぱりだけど影オロチ以外1枚しかないあのメダルってことね!」

僕はポケットから銀色のメダルを取り出し 妖怪ウォッチにセット。ベゼルを右へ90°回す。

試作零式「オット 召喚ノ構エ」

その音声と共に軽快なBGMが鳴り出す。

影刃「契約に従い、来てくれ!うんがい鏡!」

ベゼルを左へ180°回す。

試作零式「フシギ 召喚デアリマス」

うんがい鏡「ぺろーん。影刃様、早速呼んでくださいましたね!影オロチ様から妖怪パッドを通じて状況は把握しております。先ずは家に帰りましょう。」

影オロチが優秀すぎる!

そんな訳でうんがい鏡を通りブラックダイヤニャンを連れて家へ帰る事が出来た。

ダイヤ「本当に助かった!ありがとう!」

影刃「気にしないで。それでこれからどうするの?」

ダイヤ「一先ず行く宛てがないからな、ここに居候させて貰えると助かる。普段は猫に化けているからそんなに迷惑もかからない筈だ。そうだ!これを渡しておかなければ!」

そう言ってブラックダイヤニャンが取り出したのは、鍵?

ダイヤ「わたくし、こういう者です。」

名刺みたいに渡されても…

影オロチ「妖怪アークだ。メダルと同じように妖怪を召喚する為のものだが、影刃の零式で使えるのかは検証が必要だな。」

ダイヤ「お近付きの印にアークホルダーもお納めください。」

影オロチ「それに妖怪アークを下げることが出来る。早速入れておくといいんじゃないか?」

影刃「成程、分かった。これから宜しく、ブラックダイヤニャン!」

ダイヤ「あぁ。宜しく頼む!」

影刃「頭下げなくていいから!」

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