白苺プロジェクト  〜どけ! 俺は白苺だぞ!〜   作:俺が白苺だ!

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ちょーっとお茶濁させてもらいます。


閑話 在りし日の原罪の断片・1

「……ん?」

 

 

 転生してからはや何年、俺の役目はねぇなと思いながら色々こねくり回す日々が続いていた……が、どうやら宿主サマに動揺が走ったみたいだナァ、世界が揺れてる。

 

 

「ふむふむ……ヘェ、光とやらのお偉いさんの前でお仲間サマが暴れ始めたのか。サッサと切り捨てりゃいいのに」

 

 

 アデルとか言う、どこかパッとしない奴だ、宿主サマならバッサリ行けそうなモンだが。……あぁ、ソユコト。

 

 

「用意周到ダネェ、ちゃーんと拘束してやがる」

 

 

 おそらく、お姫サマなり光のお偉いさんを斬るなり被害を与えるなりした後の身代わりにでもするつもりかね? お姫サマは優しそうだが他ならアッサリと宿主サマを処分してくれそうだしナァ。

 

 

「……ちゃちゃっと動いてみるカァ」

 

 

 拘束破ってアレを両断、簡単なオシゴトだ。本物の白苺とは比べものにならんくらいにはちょろい仕事だな。

 

 

「ヒャハハ! お披露目と行こうじゃねぇか」

 

 

 


 

 

 

 体が、動かない。

 

 目の前で、同僚が愚かな行為をしているのに。

 

 直接的には難しくとも、これをきっかけに平和へと進んだかもしれないのに。

 

 ……綺麗なあの人が、危険な目にあっている、というのに。

 

 

(動いて……!)

 

 

 思いは届かず、体は言うことを聞いてくれない。

 

 

(困ってんなぁ?)

 

(……誰?)

 

(誰でもネェよ。……どうにかしてぇんだろこの状況)

 

 

 謎の声が頭に響く。"彼"は一体……? でも、言い方からしてこの状況をどうにかすることができるらしい。

 

 

(お願い、私がどうなっても良いから、あの人を……!)

 

(……ヒャハッ! 良いぜ。ちょっと体借りるけどナァ!)

 

 

 "彼"がそう言った瞬間、体が言うことを聞かなくなる。そして   

 

 

(え)

 

 

 一瞬だった。周囲の闇を、魔物を、そしてアデルを、容赦なく"彼"はその悉くを切り裂いた。

 

 

(すごい……)

 

 

 鍛錬を怠ったことは、一度もない。けれどそんな私ですら驚愕するしかない程圧倒的な、技量。そして何より……

 

 

(……真っ黒)

 

 

 暗くて深い、けれど懐かしい感じのする"彼"の闇が、体を介して伝わって来る。その感覚は、とても……どこか心地良い。

 

 

「ハッ……危なかったなぁお姫サマ」

 

「あ、貴方は……?」

 

「……ま、こいつとは仲良くしてやってくれや。……と、流石に逃げらんねぇなこりゃ」

 

「貴様ら……!」

 

「お早いご到着だなぁ騎士様」

 

「黙れ、薄汚い闇の者共め……一瞬でも信じた俺が馬鹿だった!」

 

「ヒャハハ、じゃあ早く捕まえろよ」

 

「言われずともそうさせてもらう!」

 

 

 "彼"は思いの外素直に捕まってしまった。……いつになったら体を返してもらえるのだろうか?

 

 

(……)

 

 

 だが、今すぐじゃなかったのは都合が良い。彼の動きを、力の使い方を……振り返る時間になる。

 

 

(……見えたか、見えなかったかで問われると、見えなかったっていうしかないんだけど……)

 

 

 ……"彼"に聞いたら、教えてくれるだろうか。というかそもそも"彼"は一体誰なんだろうか。

 

 

(……い、おい)

 

(!? な、何)

 

(そろそろ大丈夫だと思うぜぇ。後は適当に何とかしな)

 

(伝えたいこと、思ってること、何でもいい。正直に話しゃあ通じるさ)

 

(え、ちょ、ちょっと待っ……)

 

 

 体の感覚が戻って来る。それと同時に、わずかながらに感じていた"彼"の存在も消えてしまった。

 

 ……聞く間もなく、消えてしまった。

 

 

「……」

 

 

 伝えたいこと……か。

 

 

 


 

 

 

 あっぶねぇなあの半端者。あと少し切り替えが遅かったらお姫サマがタダじゃ済まなかったろアレ。

 

 まぁ結果的に何とかなったし結果オーライだな! ……ってか、宿主サマのあの反応、もしかして……。

 

 

「ヒャハハハ! お姫サマに惚れちまったかぁ? 敵対陣営に一目惚れとはまた複雑だなぁ」

 

 

 感覚的にはあの騎士様も似たようなもんだろ? 恋敵か。ヒュー、罪深いネェお姫サマ。

 

 

「さぁて、ここからどうなるか。……ま、気楽に見守っててやんよ、宿主サマ」

 

 

 ピンチになったら、力を解放……はまだ無理か。操作が甘ぇから壊れちまう。俺が出るしかねぇかぁ。

 

 

「……寝るか」

 

 

 


 

 

 

「……貴女は、あの人じゃ、ない?」

 

「……」

 

 

 始祖のルーンの前で祈っていた筈なのだけれど……いつの間にか、彼女に身体を支えてもらっていた。けど……目の前にいる彼女と、あの時の"あの人"が、どうにも一緒の人物であるようには見えない。

 

 

「姿も、ルーンも同じなのに……どこか……」

 

「……光の、王」

 

「……なん、ですか?」

 

「黒は……黒の……民は……皆が、皆、戦いを望んでるわけじゃ、ない」

 

「……」

 

「皆が、皆……白を、邪険にしているわけでも、ない。……平和を、望んでいる」

 

「……そう」

 

「……もし、貴女が……平和を望み、その道を選んでもらえるのなら……」

 

「自分に、あなたを……光を、泥の中からでも、支えさせて欲しい」

 

「……その道を、歩ませて欲しい」

 

「……ありがとう。……そう、よね、こうやって、光も、闇も手を取り合える……もの」

 

 

 この人が、倒れそうになった私を助けてくれた様に。光と闇は、お互いに助け合える。お互いに安らぎを与えられる。

 

 

「光も闇も、役割は変わらない……なのに、どうして……?」

 

「……自分は、<闇の王>の後継者。黒の王女……です」

 

「ええ。……感じていました」

 

 

 彼女から感じる闇が、後継者であることを教えてくれる。

 

 

 

「……必ず、王位を継ぎます。二人で……平和を、もたらしましょう」

 

「<約束>します。」

 

   改めて、ありがとう……」

 

「いえ……」

 

「白は光、黒は闇……天と地、それぞれのいるべき場所で、お互いを支え合いましょう」

 

「<約束>です」

 

「……ええ、それまでは」

 

「決して   

 

「……あ、それと……」

 

「?」

 

「……少し、待ってください」

 

 

 ……何を、しているのだろう?

 

 

「……いいから、早く、でて」

 

「?」

 

 

 誰かと話してる……?

 

 

「……<光の王>」

 

「……はい」

 

「"彼"の準備が、整ったので。少し、話してみて、ください」

 

「彼……?」

 

 

 そう、彼女が言った瞬間、纏うルーンの気配が変わって   

 

 

「!」

 

「……どーしてこうなったぁ?」

 

「あな、たは……」

 

「……ご機嫌麗しゅう、お姫サマ。このような場所で再会することになるとは思ってなかったぜ」

 

「あの時は、民を……皆を、守ってくれて、ありがとう」

 

「あんたらなんか守るかよ、手本を見せただけだ」

 

「……それでも、ありがとう」

 

「……」

 

「もういいかぁ? 俺が馴れ合うつもりはねぇんでな」

 

「?」

 

「……これ完全なおせっかいかよ。しかも完全に引っ込んでて聞いてねぇなぁ」

 

「……貴方は」

 

「あ?」

 

「……貴方は、平和について、どう思うの   ?」

 

「心配せずともアンタならできんだろうよ」

 

「え……?」

 

「怖がんなよ、震えてんぜ。……光の王だの何だの言われてる見てぇだが、結局は広がり続ける闇を恐れねぇことが大事なんだよこんなモン。その点アンタなら問題ねぇさ。障害はあるだろうが……っと」

 

 

 そう言って、あの人が向いた先には。

 

 

「この先に影が……」

 

 

「どっちにしろ時間だナァ」

 

「……あ、えっと……」

 

「じゃあな。……もう会わねぇことを祈るぜ?」

 

 

 そう言って、あの人は。私が何か言う前に去ってしまった。

 

 

「……私なら、できる……?」

 

 

 何気ない、ありふれた一言だと言うのに……その言葉は、酷く心に響いて落ち着かない。

 

 

「……」

 

 

 そんな風に言われるのは、初めてではないのに……何故?

 

 

 


 

 

 

「なぁんであん時に限って宿主サマはこっちに……」

 

 

 気まずいっての。何だあの告白紛いな約束、マトモに話したのあれが初めてだよなあの二人。

 

 

「……俺からしか話しかけらんねぇよな? ここにいる時って」

 

 

 ついでに言えば。俺側から話しかけることは簡単だがあっちからこっちに、ってのは無理だと思ってたんだが。初めての意思疎通で鍵が緩かったカァ?

 

 

「……マァ、宿主サマが死なねぇんならそれで良いかぁ」

 

 

 結局はそこさえ達成すれば基本的に何とかなる筈だ、白のお偉いサマはお姫サマの言うことなら聞くだろう、黒のお偉いサマは……宿主サマの考えに従うかネェ。

 

 

「……ま、王サマになっちまえば何とでもなるさ。……それまでの運命だ」




白苺(新鮮)

・ようやく出番が来てウキウキ。自分の行いによる二次被害について自覚なし。オイオイオイ、死んだわあいつ。責任取って♡(死刑宣告)


黒の後継者(まだそんなに)

・ズブズブ沼るのはこれから。罪深いぞ白苺。


白の王(ん?)

・最初の被害者は後継者ちゃん(間違ってはいない)、けど被害の重さはこっちの方が重かったか……? 白苺って奴、タチ悪いな。
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