エスケープ・フロム・アーク ~情報屋は世紀末を生きる~   作:うかた

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今回は短いです


大通りにて

大通りに出て、初心者の死体のそばまで寄る。

周辺に敵がいる可能性は低い。自分より前に来たプレイヤーがいたとしても、先ほどのスナイパーが見逃さなかっただろうからだ。

待ち伏せをされている可能性は低い。

とはいえ、別のPTが先ほどの銃声を聞いてくる可能性もある。

身軽にする為に中身が沢山入ったバックを置いて、死体へ寄っていく。

 

どうやら持っている銃はエルデアル小銃らしい。

ボスの取り巻きが持っていたものと同じで、特徴は何と言っても安いところだ。失っても痛くない値段でアサルトライフルを使えるというのはそこそこの利点と言える。照準器を載せている以外にはカスタムが見られないあたり、本当に始めたばかりの初心者かもしれない。

万が一生きている可能性を考え、サプレッサー付きのハンドガンO336ピストルを構える。大きなマガジン容量が特徴で、マガジン火力の高さにおいて他の追従を許さない。

もしも動き出したとしても問題なく倒すことができると確信した上で、死体の掴む銃を触ろうとして。

 

「スーーー……スーーー……」

 

寝息が聞こえてきた。

 

「え……寝て……る……?……え?」

 

混乱、困惑。

思わず動きが止まるネモを前に、睡眠中の初心者プレイヤーがもぞもぞと動き始める。

上半身を起き上がらせる拍子にヘルメットが脱げ、暗い青い髪が露になった。ヘルメットには恐らく銃弾がかすめたような跡があり、スナイパーに狙われたこの初心者が生き残った理由を示していた。

 

ヘルメットを弾が掠めた結果一時的な気絶判定を食らい、スナイパーから見れば即死したように見えたんだろうな、と内心で理解しつつ、どうしようかと考える。

フルダイブゲームにおいて、初心者がこうして寝てしまうことは珍しいことでは無い。

現実の体は睡眠の体勢でベットの上で寝ている状態で、更に普段使わない脳の領域を使うらしくかなり思考疲れをする。初心者向けフルダイブゲームの大半がSNSトーク系なのもそういった点が理由の一つだ。

気絶判定を貰った時は、視界が暗くなる。それが眠気を誘発し、この路上で寝てしまっていたと言ったところだろうか。

助けてもいいし、仕留めてしまってもいい。

どうしたものかと考えるノアの耳に、複数の足音が聞こえてきた。

 

「まずい、アビス・シャフトの報復部隊かな……」

 

足音の聞こえる範囲を考えると、ビル一棟向こうぐらいの距離感だ。全力で走っているなら20秒とかからず接敵する。

すぐに逃げないと逃げ切ることは難しいだろう。

 

「…………見捨てていくのもなぁ、仕方ない」

 

即身を翻し、置いておいた自分のバッグを回収する。

寝ぼけ眼での中で起き上がった初心者の手を掴み、そのまま駆け出す。

初心者の困ったような声が聞こえるが、無視して出口へと駆け込んでいく。

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